休眠顧客を効率よく案件化させる方法とは?

休眠顧客

コロナ禍の中、企業の営業部門にかかるプレッシャーはますます強まっています。売上げを上げなければいけませんが、コロナで逆風が吹いている企業は人件費や新規開拓になかなかコストをかけられません。

コロナで追い風が吹いている企業でも、全体的な景気の減速を考えれば新規開拓が徐々に頭打ちになっていく可能性があります。そもそも広告を出しても今10件の問い合わせを100件、1,000件と増やすことは難しく広告料も膨大にかかってしまいます。

今の時期は新規開拓を進めながらも、これまで蓄積してきた顧客情報にアプローチして成果を上げることが手堅い戦略です。

展示会で集めた名刺、辞めた社員がアプローチしていた企業、営業マンが一度はコンタクトをとったものの放置されてしまっている見込み客の情報が、営業部門全体にかなりの数あると思います(大抵の場合整理されずに散在している感じです)。

よほど営業フォローを徹底している企業を除けば、一般的に休眠顧客の中には、単にフォローしきれていなかっただけの優良見込み客が相当数含まれているものです。上手にフォローを再開して成果につなげていきましょう。本記事では、休眠顧客を効率よく案件化させる方法を紹介します。

休眠顧客とは

休眠顧客とは一般に「過去に問い合わせや資料請求をしていただいたが申込みまで至らなかった見込み客」「営業マンが商品・サービスを案内したものの受注まで至らずそのままになっている見込み客」「取引実績はあるが何らかの理由で発注しなくなった既存顧客」のことを指します。

本記事では「休眠顧客=新規アプローチ中に休眠してしまった見込み客」という定義で解説します。以下のパターンの見込み客です。

例):

  • 1度は商談できたが2回目以降のアポイントが取れずそのまま
  • 提案したが失注となり、その後フォローできていない
  • 展示会で名刺交換しただけでニーズや関心度がまったくわからない
  • Web問い合わせがありコンタクトしたがつながれなかった
  • Webサイトから資料をダウンロードしてもらったがフォローできていない
  • 社員が急に辞めたため引継ぎがスムーズにいかず後任の営業マンが会えていない

休眠顧客化する理由はさまざまです。単純に連絡がとれなかった場合もあれば、営業マンが早期に見切ってしまったケースもあるでしょう。そもそも浅い見込みのお客様は積極的に営業されたくない人が多く、アプローチ自体が難しいので、営業部門ではいつのまにか休眠顧客が増えていきます。

なぜ休眠顧客が大切なのか

なぜ、休眠顧客への営業が大切なのでしょうか?主な理由は、すでに連絡先を持っている休眠顧客であれば、コストを押さえて営業アプローチをすることができるからです。案件化率がそれほど高くないリストでも営業コストが低いため、費用対効果は高くなります。

また、潜在ニーズがあることはもちろん、中にはニーズが顕在化している場合があります。担当者の認識が変わっている場合もあれば、いわゆる「攻めの社風」の企業やオーナー企業に顕著なのですが経営方針が変化しやすく「うちには必要ありません」「面白いと思いますが上の方針で無理です」と言っていたのに、半年もたつと方針が180度変化していたりします。

「他社に決まった」「業界トップA社に発注した」と言っていた見込み客に切り替えニーズが発生していることもあります。素晴らしい商品でも使ってみると「高機能で社員が使いこなせない」などオーバースペックなことは少なくありません。

意外にイメージされないことですが、大手企業の営業マンだって人間です。忙しさのあまり、購入後のフォローをおろそかにするかもしれません。あまりに費用対効果が悪かったり、アフターフォローが悪ければ、担当者もキリのよい時期での切替を検討し始めます。1~2年経てば状況は変わっているため、スポットニーズにタイミングよく巡り合う可能性もあるのです。

休眠顧客化してしまうシーン

ここでは、休眠顧客化してしまうよくある営業現場のシーンを紹介します。

見込み客と繋がらない

見込み客に連絡したものの、なかなかつながれなかったため営業マンがアプローチをやめてしまって休眠するケースです。見込み客が本当に忙しかった場合もあればタイミングが悪かっただけの場合もあるのですが、営業マンは「会いたくないのだろう……」と判断してしまうことが多く、そのままフォローしなくなりがちです。

たしかに電話しても出ない、メール返信もない見込み客に、何度も連絡するのは一般常識上失礼ですし、アプローチしすぎると永遠につながれなくなります。ある程度のタイミングで引いてゆるやかなフォローに切り替えるべきなのですが、つい押しすぎたり完全に引いてしまったりするため休眠顧客化します。

今いまのニーズではなかった

見込み客と直接話したり商談することはできたものの、今いまのニーズではなかったため営業マンの優先見込みから外れてしまい、いつのまにか休眠顧客化するのはよくあるケースです。一番多いパターンかもしれません。しかし、前述のように時間がたてばニーズが顕在化する可能性はあります。

対応しきれずに放置されてしまった

単純に営業マンが案件を多く抱えており対応しきれず放置されてしまった結果、休眠顧客になるパターンです。ニーズがあまりない見込み客だから割り切るとは限らず、最初に話せたときにコミュニケーションが上手にとれて期待感溢れる話ができたからこそ、逆に放置してしまった後ろめたさから連絡しづらくなって休眠顧客となる場合もあります。

休眠顧客になってしまう顧客心理

ここでは、休眠顧客化してしまう際の見込み客側の心理について解説します。

現在ニーズがない

営業マンからアプローチがあった際に少し興味があったので話は聞いたものの、自社には当面必要ないというケースはよくあります。BtoBの担当者だと新たなツールの紹介があれば「自社に何か活用できるかもしれない」と、とりあえずの感覚で話を聞くことがあります。

もちろん、多少の興味はあるので営業アプローチ次第で潜在的なニーズに気付いてもらえることもありますが、急いでいたり困っているわけではないので、提案されること自体に乗り気ではありません。そのため重たさを感じてしまい2回目以降のアポにはあまり応じてくれなくなります。

情報収集をしているだけ

アンテナが広い担当者は、さまざまな情報を集めようとします。BtoBの担当者の中には、業界上位企業の営業マンの話を聞けば全体像がつかめるので、自分で情報収集するより早いとヒアリングする担当者もいます。BtoCでも住宅やマンションなどの高額商品になるほど、見込み客の情報収集は早期化します。いずれもフットワークが軽く展示会、ショールームにも出向く人たちです。

しかし、あくまで情報収集が目的であり検討する心理ではありません。準備もしくはイメージを膨らませている段階なので積極的に営業されることは好まず、営業マンと一定の距離をおこうという心理から「何かあったら連絡します」というスタンスを取ります

他社で決めてしまった

他社で決めてしまった場合、当面発注する可能性がない企業の営業マンに会う必要はなくなります。担当者としては他社製品を選んで決めた責任と自負があります。自分の社内評価にもかかわってくるため、当然長く活用しようと考えます。切り替えたい場合でもある程度の期間は使おうとするため、しばらくはアポイントの依頼に応じなくなる傾向があります。

検討しているけど問い合わせをするほどではない

担当者がニーズを認識しているものの、深刻な課題とまでは感じておらず行動には至っていない状態です。現状に大きな不満はなくむしろ新たにコストをかけてチャレンジすることにリスクを感じます。営業マンが明らかに現状よりもよくなることを説明できなければ、担当者としても検討を進める気になりません。

それでも課題が顕在化している段階なので営業マンの提示する事例や提案内容によっては商品・サービスの価値を感じてもらえる可能性はあります。営業マン次第で案件化につながりやすい段階だと言えるでしょう。

休眠顧客フォローでの課題

ここでは、営業マンが休眠顧客をフォローする際に直面する課題について解説します。

営業マンが目の前の案件で忙しい

営業マンは売上げ目標を達成するために、早く受注につながりやすい案件をまず追いかけます。大きな案件が動いている時は忙しく、他の既存案件にすら時間が割けないこともあります。休眠顧客は何らかの理由があってご縁が薄れているお客様なので、優先順位はどうしても低くなります。時間をかけて取り組めば案件化できるとわかっていても、ついつい後回しにしがちです。

誰をフォローすればいいかがわからない

社内には、自分が対面したわけでもないニーズの有無すらわからない休眠顧客もあれば、昨今は誰でもWebサイトから資料を気軽にダウンロードできるので、見込み客以外の層の情報も大量に集まります。誰をフォローすればよいかわからず面倒なため放置されているかもしれません。以下のステップで、まずざっくりとセグメントしてみましょう。

Step1:リストの仕分け

BtoBなら会社の規模、業界、担当者の所属部門。BtoCの場合は年齢、属性(会社員、主婦、学生)などを考慮して見込み客を絞り込みます。比較的ゆるい仕分けで大丈夫です。

Step2:ざっくりとグループ分け

自社商品のペルソナに近く継続的にフォローすべきAグループと、もしかしたら可能性があるくらいの見込み度のBグループに分けます。競合企業など明らかに見込み客でない層は省きます。

Step3フォローの頻度を決める

グループごとに情報発信の頻度を決めます。Aグループには週1ペースでメールマガジンを送る、もしくは月1回ペースで営業が直接フォローメールを送る。Bグループには3ヶ月に1回ペースで情報提供メールを送るという感じです。

何を伝えればいいのかがわからない

そもそも休眠顧客に何を提供すればよいかわからない課題もあると思います。何らかの理由で疎遠になってしまった見込み客なので、以下のファネルでいえば「認知」と「興味・関心」の期間が長期になることを前提に考えましょう。

ファネル

認知~興味・関心の段階でのコンテンツ

まず、初期の段階では宣伝メールばかりを送るのではなく「こんな役立つ無料ウェビナーを開催しているんだな」「レビューサイトでの評価が高いんだな」など、新しい印象をもってもらえるコンテンツを届けていきます。手段には営業マンからのメール、メールマガジン、ブログ、Web広告、プレスリリースなどを活用します。

  • 無料ウェビナーへの招待
  • 業界動向の最新レポート
  • 新しい事例(意外な活用方法等)
  • 自社のCSR活動
  • 新商品や機能アップデートのリリース
  • 担当者、経営者のSNSアカウント告知、他

比較・検討の段階でのコンテンツ

検討し始めた段階の見込み客には「より専門的な事例」や「ユーザーコミュティへの招待」など自社商品を他社と比較検討しやすい情報を提供していきます。特別感を持ってもらうのもよいでしょう。

  • ブログやメールマガジンによる継続的な情報発信
  • ウェビナー・カンファレンスの案内
  • ユーザーコミュニティへの招待
  • 興味・関心にそったeBookの紹介
  • 最新事例の紹介(他社から自社に切り替えた成功事例,etc)
  • 第3者レビュー紹介(例:口コミサイト顧客満足度1位)、他

購入の段階

購入を検討する段階では、営業マンから直接アプローチします。あるいはフリーミアム(無料プラン)を後押しするなど商品・サービスの体験を提案します。

  • 無料トライアルの案内
  • 営業マンによる電話相談会の案内
  • 営業マンからのメール・電話によるアプローチ

上記のファネルに沿って、初期は見込み客にとって新鮮な価値ある情報を届けながら、何回かに1回程度自社の商品・サービスの案内を加えるパターンを繰り返していくのがコツです。

効率的な休眠顧客フォローには何をするべきか

マーケティング部門がない企業では、営業マンが自分で掘り起こし営業をしなければなりません。営業マンが掘り起こし営業に割ける時間は多くないはずなので、ITツールを活用してフォローを仕組化しましょう。以下が手順です。

掘り起こしの手段を決める

掘り起こしの手段にはメール、DM、FAX、電話があります。コロナ禍が続くとなるとメールを基本に他の手法を組み合わたほうが安全です。ただし、HubSpot社の2020年7月の調査では営業メールが激増している結果が出ていますので、たまにDMやFAXDMを送る、1行の手書きのメッセージを添えるなどのいわゆる逆はり営業や、営業マンの個性をを印象づける工夫も大切です。

反応があるアクティブなお客様を見つける

Googleアナリティクスを活用したり、セールスオートメ―ション(SA)などのITツールを活用すると「メール内のリンクをクリックした」「ウェブサイトの事例ページを閲覧した」「資料をダウンロードした」などのデジタル上の行動から見込み客の関心度がある程度わかります。

休眠顧客の中からある程度アクティブな層を絞り込んでいきながら、次のアクションを考えることができます。

メール開封・リンククリック通知

(参考:Digima

ウェブアンケートの活用

例えば、メールを毎回読んでいるだけでなく、頻繁に事例ページや「よくある質問コーナー」を見ている見込み客は、検討をし始めているのかも知れません。過去に見込み度合いの高かった条件に合致した見込み客には、自動的に1日後にWebアンケートメールを送信する設定をしてもよいでしょう。

Webアンケートメールなら営業マンが連絡するよりもスマートですし、プルダウンのアンケートならば見込み客も「デモを試してみたい」「今は資料だけ欲しい」など、関心のあり・なしを気軽に返答しやすいものです。

Webアンケートメール

継続的なフォローを自動化する

休眠顧客は一度距離ができてしまった層への営業なので、腰を据えてフォローを継続していくことが信頼回復のポイントです。いきなり大量受注にはならないので、営業マンも第一優先は自分が現在抱えている案件として、休眠顧客への掘り起こし営業はITツールに任せるくらいの配分でよいかと思います。

それでも、母集団が多ければ徐々に案件化して、一定の確率で売上げが上がっていきます。その中で1件でも大型顧客に成長すれば、費用対効果の面から見てもかなりの成功になるでしょう。

シナリオ例):

継続的なフォローを自動化する

(参考:Digima

営業マンがシナリオを描いて設定さえしておけば、自動的にツールが掘り起こし営業をしてくれるので、休眠顧客を効率よく案件化していくことができます。

まとめ

コロナ禍で営業マンにとっての環境は厳しくなっています。一方で、テレワークの普及によって訪問しないでも営業できるようになりました。無料や安価なITツールが数多く登場し、低コストでウェビナーやカンファレンスが開催できるなどポジティブな変化もあります。

これまで活用されず眠っていた休眠顧客も、今の時代ならITツールで効率的に掘り起こし営業できます。ゼロから電話でアポイントを取るまでの労力を考えてみれば、連絡先にメールでお役立ち情報やウェビナーの紹介を送る労力は微々たるものに過ぎません。費用対効果もよい営業手法なので、ぜひチャレンジしてください。

こちらから「営業マンの営業活動をより楽にする 営業シーン別 営業自動化のヒント」がダウンロードできます。休眠顧客案件化のヒントにぜひご覧ください。

    営業シーン別 営業自動化のヒント

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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