営業フローを営業マンが自ら考える大切さとは

営業フロー

営業の仕事の魅力の一つは、何と言っても自分で計画を立てて自由に動いていける範囲が広いところかと思います。営業は一つとして同じ案件はなく、都度違う個性の人とコミュニケーションを深めながら課題解決のお手伝いをするクリエイティブな仕事です。

ゆえに、指示待ちの人よりも能動的な人のほうが結果を出していきます、もちろん、最初は会社の用意した営業フローを忠実に進めるべきですが、会社が用意しているものは最大公約数的なものが多いので、慣れてきたらそれを自分なりに創意工夫することが大切だと言えるでしょう。

営業マンといっても人それぞれスキルも個性も違いますし、相性のあう業界も異なります。自分の強みやコミュニケーションスタイルを活かした営業フローを考えることは、能力を高めたり成果を上げる上でとても重要です。 

営業フローとは 

営業フローとは、いわゆる営業導線をより具体的にしたもので、どのシーンでどのようなメールを送るのか、どのような内容を電話で伝えるかなど、打ち手レベルまで言語化、視覚化したものです。わかりやすく言えば、営業のHow to(ハウツー)をまとめたガイドライン、マニュアルに近いでしょう。

営業フローがあると営業マンは「今どのような対応をすべきか?」「今のベストプラクティスはどの打ち手か?」と確認しながら進めることができます。迷ったり、思考停止したりする時間が減るため新人営業マンの成長が速くなりますし、営業部門内の営業マンのスキルが一定レベル以上に保てます。 

ただし、一口に営業フローといっても商品・サービスにより最適な営業フローは異なります。昨今、オンライン営業を始めた方は実感されていると思いますが、シチュエーションや活用するツールが変われば最適な営業フローも変化します。

営業フローのパターン例

  • 商品・サービスごとの営業フロー
  • 営業マンのスキル別の営業フロー(新人、ベテラン)
  • 営業手法別の営業フロー(対面、オンライン etc)

営業フロー=どのように売るかは、市場の変化はもちろん、売る人材の成長にあわせて常に改善していくべきものです。

営業フローと営業プロセスの違い 

営業フローと似た言葉に営業プロセスがあります。いずれも営業の流れを可視化するものなので同じ文脈でよく使われます。

企業によって言葉の定義は多少異なり混同されやすいのですが、一般的には営業プロセスは営業活動の全工程と打ち手を大まかに示したもの、営業フローはさらに細部のアクションまで言語化、体系化したものを指します。 

営業プロセス=骨組み、営業フロー=マニュアルとイメージすればわかりやすいでしょう。

■営業プロセスと営業フローの構図

営業プロセスは、見込み客の連絡情報を獲得してから契約にいたるまでの一連の営業活動の流れのことで営業導線をメールや電話、商談などのレベルまで細分化し視覚化したものです。営業フローは、営業プロセスの各工程をさらに掘り下げて、打ち手レベルで詳細に落とし込んだものです。

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営業導線

例えば、営業フローでは電話する、メールするという記述だけでなく、以下のように具体的に細かく表現します。

  • 電話をする
    → メールの返信があった見込み客には当日中に電話をする。
    → メールの開封やリンクのクリックがあったら〇日以内に見込み客に電話をする。
    → 当面ニーズがないお客様には一旦テンプレートBのメールを送信する。

営業シーン別一般的な営業フロー例

ここでは、営業活動でよくあるシーンの営業フローを紹介します。 

お問い合わせ後の営業フロー

広告やオウンドメディアを経由して問い合わせが来た場合のフローです。まず電話をすることが多いと思いますが、当然つながらないこともあります。見込み客が出る場合、出ない場合、出ていただいてスムーズに次のステップに進んだ場合、あるいは商談にならなった場合など、各分岐点ごとに営業マンがするべきことをフローとしてまとめます。

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お問い合わせ後の営業フロー

新規電話営業の営業フロー

新規の電話営業を行う場合「それは面白い」「話を聞こう」という流れになるケースはわずかです。まずは「関心なくはないがまだ不要」「とりあえず資料を送って」「今は忙しい」といわれることが多いので、断り文句ごとの対応をフローとしてまとめます。   

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新規電話営業の営業フロー

掘り起こしの営業フロー

展示会で名刺交換したり、問い合わせてが来て資料送ったものの返信がなかったり、一度訪問したけれどニーズがあまりなかったりなどの理由でアプローチできていない見込み客にも、定期的な掘り起こしのメールをお送りします。

これをフローに組み込んでいないと、せっかくの会社にとっての資産が活かせません。また、時期がたっていると担当者が異動・退職している場合もありますので、状況が変化してニーズが発生していることもあります。

定期的に一斉メールを送ることでメールアドレスがアクティブかどうかがわかります。メールトラッキング機能があるツールならメールの開封やメール内URLのクリックがわかるため、営業活動に役立てることができるでしょう。メールの内容によっては開封された見込み客に電話やメールでフォローを行うこともできます。

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掘り起こしの営業フロー

なぜ営業フローを考えることが大切なのか 

ここでは、営業フローを営業マンが自分で考えることのメリットを紹介します。

自身の営業活動の振り返りを行い体系化できる 

営業フローを作成すると自身の営業活動を振り返ることができます。紙に書いて言語化、視覚化していくことで、非効率な動きをしているところや手薄になっているところに気付きます。自分の活動を俯瞰して見ることができるので、営業活動全体を体系だてて理解できます。 

自身の足りない営業活動を見つけることができる

営業フローを振り返ることで、普段は気付かないような営業アプローチの不足点にも気付くことができます。

「不要です」と言われたときに、一言つけ加えていなかったためにつながれるお客様が少なくなっていたかも知れません。あるいは、紹介をもらうのが上手な営業マンのように営業フローの工程に「紹介依頼」を組み込めば営業成績が倍増するかも知れません。自分で改善点を見つけて成長することができます。

対応漏れを防ぐことができる 

営業フローがあると迷うこと、動きが止まること、放置することが少なくなくなります。

新人の営業マンだと、次に何をしたら良いかわからずそのままになってしまい、結果的に対応漏れをしてしまうこともあります。不思議と迷っているときはあっという間に時間が経ちますし、するべきことを先延ばしすると無意識で気になって集中力も落ちます。

営業フローがあるとテキパキと仕事が進められるため営業マンもストレスがたまらず、お客様にとって良い対応ができ、失注も防ぐことができます。

チーム内で効果的な営業フローを共有することができる 

ミーティングで営業マンに成功事例の発表をしてもらっても、口頭の説明だけだと、なぜその成果を挙げられたかがわかりづらいものです。素晴らしい提案資料は参考になるものの、そこまでお客様の課題をつかめた真因まではあまりわかりません。

営業フローとして共有してもらえれば「この段階でこのようなアプローチをした」「ニーズが顕在化していないときは〇カ月ペースで情報提供していた」などの過程が見えやすくなります。営業フローが体系的になっていることで、お互いに効果的な営業ノウハウを共有しやすくなります。

営業フローの全てを対応できればいいが漏れも生じる

営業マンはよく野球のバッターに例えられます。たしかに3割打てればかなり評価されるはずです。 

どんなに営業フローを確立しても実際の現場は綺麗に流れるように進まないことが多々あります。停滞したり、場合によっては振り出しにもどったり、急な流れになったりと見えないところがあるためそこが面白くもあるのですが、可能な限りそれぞれの案件を丁寧に対応しても、対応漏れが生じるのはいた仕方ない面があります。

また、営業マンが忙しすぎてやむを得ず簡略化しなくてはならないこともあるでしょう。それでも営業フローを体系だてて理解したうえで意識的にショートカットすることと「何だか忙しいからもういいや……」と感覚的に省くことには大きな差があります。 

営業フローを理解していると表現はよくありませんが上手に手を抜くことができます。つまり、極力影響(契約や売上げ)の少ないところを省略し、影響の多いところに注力する。影響の少ないところは、その後のフォローで調整できるため、致命傷を避けることができるのです。

営業フローの一部を自動化するセールスオートメーションとは

近年の営業マンの仕事は多岐に渡っています。営業フローでもツールでできるところはどんどん仕組化して業務を効率化することが成果につながります。ここでは営業フローの一部を自動化するセールスオートメーションツールを紹介します。

セールスオートメーションとは 

セールスオートメーションとは、営業活動を自動化するITツールです。見積書作成などの事務、メール作成・送信、スケジュール調整など、何度も繰り返すタスクを自動化することができるため活用すると営業マンがお客様と接する時間を増やすことができます。

また、見込み客のメール開封やWeb閲覧履歴などをもとに、営業マンがアプローチするべき見込み客を日々営業リストとしてリストアップしてくれるツールを活用すると、新人でもタイミングよくお客様にアプローチできます。

セールスオートメーション

主な機能:

  • Web閲覧履歴、メール開封などの分析による最新営業リストの生成
  • メール開封、メール内URLクリックの通知機能
  • メールテンプレートの活用による営業メール送信の自動化
  • スケジュール調整の自動化

マーケティングオートメーションとセールスオートメーションの違い

マーケティングオートメーションとセールスオートメーションはメール開封、URLクリック、資料ダウンロードの通知機能、見込み客スコアリングによるメールの自動配信など共通の機能も多いITツールです。以下の点が異なりますので、自社の営業形態や目的に合うツールを選びましょう。

  • MA(マーケティングオートメーション)
    活用する部門:マーケティング部門が前提
    特徴:分業モデル
    Point:基本的にマーケティング部門が活用することを想定したツールです。前半をマーケティング部門、後半を営業部門が担当する分業モデルなため、活用する際は2部門の連携による綿密なシナリオ設計が重要となります。オウンドメディアやメルマガなどで5,000件以上の見込み客がある場合、スコアリングと自動メール配信機能があるととても便利です。
  • SA(セールスオートメーション)
    活用する部門:営業部門
    特徴:営業部門ですべて完結させるモデル
    Point:最初のアプローチからクロージングまでを営業マンが行う前提で活用するツールです。営業マンの動きに合わせメールを自動配信し、営業マンが見込み客と繋がったら自動メールが止まるなど並走するかたちで設定できます。有望見込み客のリストを自動的に日々更新するため、営業の“読み”を代行するツールでもあります。営業マンが中短期で成果を上げることにフォーカスしたツールです。

営業フローを簡単に作成するステップ

営業フローを自分で作ると思うと難しく感じる人もいるかも知れませんが、ゼロから作成する必要はまったくありません。現在のフローに手を入れるかたちで進めるとスムーズに作成できます(もちろん、スキルが充分ある人は、自分の頭の中にある内容をそのまま2次元に落とし込めば大丈夫です) 。

  • Step1:
    会社から提供されたフローに赤入れする(「自分だったらこうする」「ここは不要」「ここにはこのようなメール送信を追加」などメモ書き)
  • Step2:
    上記を見やすくまとめて営業シーンをイメージしてさらに追加できることはないか?削れることはないかを決めて、一旦フローをまとめる
  • Step3:
    フローの中で面倒なこと、繰り返し行っていることITツールでできるか検討する(メール送信などで自動化できるところをツールに置き換えてみる)
  •  Step4: エクセル、営業支援ツールなどを活用してて完成させる。さらに、現場で実施しながら改良していく。

加えて、Web上で紹介されている強い営業会社や、トップ営業マンの営業フローの見習いたい面を取り入れてもよいでしょう。営業フローはエクセルや無料の業務フロー作成ツールを使って作ることができますが、紙に手書きでも十分です。 新しい営業フローを作成して試してみることのほうが大切ですので、気軽にトライしてみましょう。

まとめ

もともと営業を希望するような人には、「あまり、指示されたくない」「自分の力を試したい」「数字はあげるので自由に動きたい」というタイプが多いのではないかと思います。これは自然なことであり、心理学の研究でも裁量権が広いほど仕事のモチベーションが上がることは判明しています。 営業マンが、自分で営業フローを考えて成果を出すと、かなりの成功体験になります。体系的に営業を捉えることができるようになるため後輩への指導力もアップします。本人にとっても会社にとっても大きなプラスとなるでしょう。

こちらから、「営業マンの営業活動をより楽にする 営業シーン別 営業自動化のヒント」がダウンロードできます。たたき台としてご活用ください。

    営業シーン別 営業自動化のヒント

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。