営業追客で効率的に案件化率を高める方法

営業 追客

営業マンのみなさんはきちんと追客しているでしょうか?自分で獲得したアポイントでもHPからの問い合わせでも「今まさに検討しているので事例と見積もり出して」と言ってくれるお客様はわずかです。

「来年くらいと思っているんだよね」と向こう半年~1年で考えていればまだ良い方で、「とりあえずこんな課題をどうにかしたくて……」「そろそろ家を買うことを検討したいと思っている」といった時期があいまいな段階の見込み客も少なくありません。

1回の商談ですぐ決まるお客様はごく一部。多くの場合、初回の連絡から成約までは半年、場合によっては~3年かかります。とは言え、時期のタイミングさえあえば大きな仕事になりそうなケースも多く、このような見込み客といかにつながり続けて成果を上げられるかどうかが営業マンの成果の差になります。

継続して営業成績を上げるには、直近の見込みだけでなく、中短期の見込み、長期の見込みをきちんとわけてそれぞれ適切にフォローしていかなければなりません。本記事では、営業追客を効率的に行い案件化率を高める方法を解説します。

営業追客とは

営業追客とはお問い合わせや資料請求、新規電話営業を行った見込み客に対して、長期的に営業アプローチやフォローを行うことを指します。

BtoBであれBtoCであれ、一般にお客様は何社かの営業マンから話を聞いています。また、高額商材になるほど検討に時間をかけます。その間、どの企業に発注するか絞り込んでいきます。この検討期間は前述のように半年の場合もあれば2~3年の場合もあるでしょう。

例えば、一度目に商材の説明をして今時点ですぐ成約になりそうにないお客様でも、何らかの見込みがある場合、お役立ち情報を送ったり、勉強会を案内したりフォローしつつ人間関係を作り、お客様がニーズが高まるまで1~2年追客を続けて契約につなげます。

(追客イメージ)

追客イメージ

営業追客の現状

とはいえ毎月の数字に追われている営業マンは往々にして今月の売上、長くても年内の売上に目がいき、フォローしなければと思っても追客に時間をさけないこともあります。

現実に、きちんと追客営業ができている営業マンはどのくらいいるでしょうか?

たとえば、展示会で入手した名刺情報をどのくらいいかせているかについて、Mtame社が2018年に行なったインターネット調査では「活用できている」と回答した比率は45%、55%はあまり有効活用できていないようです。

ブランディングテクノロジー株式会社と株式会社WACULが2020年に行った不動産業界の営業についての調査では継続した追客営業を行なっている企業は28%。「追客営業をしたいができていない」という回答が52%となっています。

同時に、長期見込みの売主にも追客営業を行っている20%の会社の場合、成約率が最低でも10%、最高で50%を超えるなど高い効果を上げていることもデータにあらわれています。

不動産営業の調査

(参照:PRTIMES

追客が重要なことは現場にいる営業マンならわかっていると思います。しかし、営業マンは忙しいため、どうしてもかなり先の見込みに対してはDM 送るだけ、メルマガ送るだけになりがちです。重要性は理解していてもできないのが現状なのでしょう。

営業追客の重要性

とは言え、追客はやはり非常に重要です。米国シリウスディシジョン社の調査で、営業担当が放置した見込み客の約8割が2年以内に競合他社から製品を購入しているというデータもあります。何らかの理由で問い合わせたり、営業マンと会った方はやはりニーズを持っている可能性が高いのです。

お客様は定期的な情報提供を望んでいる

ただ、お問い合わせをしたお客様は全てが今すぐに買いたいというお客様ではありません。商品・サービスの価格が高くなるほど検討期間は長引きます。将来的に買いたいと思っているお客様は、時間をかけて検討したいため検討段階で有益な情報を欲しいと思っています。

営業マンがアプローチしてすぐに追客をやめてしまうと、最終的に忘れてしまったり、不親切だと感じられてしまうでしょう。お客様のもとにはたくさんのアプローチがあります。つい2度目にアプローチしてつながらないと諦める気持ちになるかもしれませんが(海外でも44%の営業が1回であきらめるようです)、お客様が多忙で単に気づいてないケースもあります。

一般に、お客様は営業マンのアプローチを歓迎する感じはあまり見せないものですが、検討しているお客様については何もフォローしていないと今度は「A社さんはまめにフォローしてくれたんだよね」と、他社に決めてしまったりします。継続して貢献する姿勢を見せること、情報提供をすることが大切です。

少ないコストで案件化できる可能性がある

新規獲得の場合は、広告費用などの販促コストが必ずかかってきますが、一度コンタクトがとれた見込み客への追客、停滞案件への再アプローチにはメールや電話、SMSを活用できます。しかも、頻度もそれほど多くないため案件化するコストが少ないメリットがあります。

逆に言えば、相当なコストをかけて集客した見込み客を1~2回のアプローチであきらめたり放置してしまうのは非常にもったいないことです。1件の顧客情報を得るまでには高額な費用がかかっていることを意識して、一度つながったお客様とはつながり続け案件化していくことを意識しましょう。

毎月必ず蓄積されていく

どんな企業でもお問い合わせがあったら100%がすぐ決まることはありません。必ず何割かは長期的に追客しなくてはいけない案件が出てきます。一般にはアプローチしてから決まるまでに数ヶ月にわたる案件が多いため、追客をしていると毎月見込み案件が積み上がっていく形になります。見込みが増えれば増えるほど数字の組み立ては楽になり、営業活動に余裕が出てきます。

営業追客の営業手段

営業追客を行う主要な手段について解説します。

電話

電話はお客様の今気になっている情報に対して、リアルタイムに必要な有益な情報を伝えられる優れた手段です。ただ、お客様とタイミングがあわないとつながらないので情報を伝えることができません。検討段階でないお客様に何度も電話すると迷惑がられたりもします。

しかしコロナ禍になりテレワークが普及したこともあり、電話でのアプローチが比較的好まれる傾向も出ています。お客様にとっては自宅から外に出る必要がなく、短時間に多くの情報を営業マンから入手できるメリットがあります。

すべてのツールには一長一短あり、どのように使うかがポイントです。電話も上手に使っていきましょう。

自宅等から行う検討方法の利用理由

メール

メールはアドレスが違わない限り確実に見込み客の元に届きます。また、手軽に役に立つ情報を多くの人に対して送ることができます。ただ、書き方を工夫しないと、ただのメルマガだと思われみられない可能性があるツールでもあります。

営業マンからいかにも一斉送信されたようなメールが届いたところでお客様はあまり興味はわきません。話しているときに触れたテーマ、BtoCならお客様の年代、家族構成を考慮した情報、お客様が知りたいだろうと思われるTipsなどを提供することで関心を持ってもらいやすくなります。

通話率を上げるメールTips

SMS

昨今は、個人のスマートフォンにはさまざまな情報が通知されておりメールは気づいてもらうことが難しくなりつつあります。電話については最近は知らない番号には出ない人が増えています。そんな中SMSは気づいてもらえる確率が高く、返信ももらえる可能性が高い手段です。

ただし、かなり「距離感が近い」印象がある手段のため無闇に送るとかえってマイナスの印象を持たれます。送るときの文脈が大事です。電話をかけてつながらなかったらきちんとその経緯と理由を書いてSMSをお送りすることで安心感を持ってもらえます。

かといって、そこでSMS の返信が来ないのに何回も SMS を送るのは好ましくなく逆効果です。SMSはここぞというタイミングで活用するツールだと心得ましょう。

電話・メール・SMSを組み合わせた営業

DM・チラシ

DMやチラシは直接手元にモノとして届くため、気づいてもらいやすい手段です。ハガキやチラシタイプなら興味がなくても少なくとも視界に入ります。

これまでDMの開封率はあまり高くない印象があったかと思います。しかし、2020年の一般社団法人ダイレクトメール協会の調査では、 これまでレスポンス率が数パーセント程度と言われていたDMの効果が実際はその数倍あることが確認できました。

DM開封率

  • 購入・利用経験がある企業・団体からのDMの開封・閲読率:95%
  • 購入・利用経験がない企業・団からのDM開封・回独立:80.3%

DMの内容によっても開封率は異なりますが、利用経験のない企業からのカタログや情報誌の送付、イベントの案内なども約30%が開封しています。認知してもらうためには有効なツールでしょう。

さらに、本人宛のDMについての調査では以下のようにクロスメディア効果があることもわかりました。約16%がDMを開封したあと何らかの行動をしています。

DMを受け取った後の行動

DMを受け取った後の行動

(出典:一般社団法人ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2020」

今の時代なら、DMにQRコードを載せるとWebサイトへのアクセスやSNS登録と連動させることもできます。ITツールを活用すれば、どのお客様がスマートフォンで読み込んだのかもわかります。作成コスト、郵送コストが高いもののDMの有用性はこれから高く評価されていくでしょう。

営業追客で案件化を高めるためのポイント

営業追客で案件化を高めるためのポイントについて解説します。

お客様の情報の管理と蓄積

まずはお客様の情報をきちんとデータベースで管理することがポイントです。BtoBなら名前、役職、業界、会社名、BtoCなら名前、年齢、住所、年収などの属性情報をまずきちんと入力します。

その上でオンライン上の行動情報を蓄積していきます。お客様が自社のHPに来訪した、メールを開封した、リンクをクリックしたなどの目に見えない行動情報が蓄積されていくと検討度合、見込み度がある程度推測できるからです。

競合他社の方、単に勉強のためにウェビナーに訪れた方ではなく、本当に情報を求めているお客様をしぼりこむためにお客様情報をきちんと管理することが大切です。定期的なリストのブラッシュアップで追客の成約率が高くなります。

タイミングと頻度

追客とは無闇にアプローチすることではありません。回数も多いほどいいわけではありません。営業マンがリアルで行っていた活動と同じようにタイミングと頻度に注意しましょう。あくまでお客様が情報を欲しい、アプローチして欲しいと思うタイミングに追客アプローチをするのが理想です。

一般に見込み客の購買心理は以下のファネルのように移り変わっていきます。

見込み客の購買心理ファネル

例えば、認知段階(商品・サービスを知ったばかりのやや興味があるステージ)の見込み客に何度も何度もアプローチするのは好ましくありません。3~4カ月に1回、情報提供やコミュニティの招待などを送るくらいでよいでしょう。

一方、比較・検討段階の見込み客にはより詳細な事例、導入後のイメージがわくようなデモや見学会の案内などアプローチを短期間でつめていく必要があります。

前述のように、デジタル上の情報を把握できていればタイミングや頻度がわかります。ツールがない場合でもエクセルなどでしっかり案件管理をしてタイミングを逃さないことが大切です。

見込み客に個別化した対応

追客を行うにあたっても、一斉メールのような一般的なメールではお客様にも興味を持ってもらいづらい時代です。メールなら必ず一行はカスタマイズして、「あなたのために書いたメール」という雰囲気を出せないとスルーされてしまいます。

また、内容だけでなくお客様にあった手段で送ることも大切です。

以下はアットホーム株式会社が不動産業界に問い合わせたお客様がどのような連絡手段を好むかを調査した結果です。メール、電話、キャリアメールの順番となっています。初期の段階ではチャット、SMS、SNSのポイントは低いことを意識しましょう。お客様は当初は営業マンと距離をとりたいものなのでツールにも使う順番があります。ちょっとした気配りが信頼につながっていくでしょう。

見込み客の好む連絡手段を使う

自動追客フォロー

追客や個別化した営業活動は非常に労力がかかります。営業マンは既存のお客様対応もあれば今月、来月の売上のために成約できそうなニーズの高い見込み客を探さなければならないので、常に忙しいのが実態です。

そのような現状の企業ならば自動追客、自動個別化を行うITツ―ルで決まったタイミングで自動的にアプローチし、ITツールに蓄積された情報がメール内に自動で反映されるようにすると、営業マンが忙しくてフォローしきれない見込み客にもアプローチできます。

追客ツールがあると、追客による成果が出てくるだけでなく、営業マンが直近の案件や新規開拓に心おきなくエネルギーをさけるため生産性が上がります。

営業追客の最後の一押しは「電話」が重要

昨今は営業活動もかなり自動化されてきました。しかし、先端ITツールが登場して自動でアプローチできるようになったとはいえ専門的な商材、高額商材になると電話でのコミュニケーションが威力を発揮してきます。

自分の立場で考えてみると、何百万、何千万円の価格のものを購入する際、自分の情報収集力だけに頼るでしょうか?情報を収集しレビューサイトも確認し、営業マンとも会って数社から3社、最終的には1社に絞り込むことが普通だと思います。

人生における大きな買い物、契約してから長期で取引する企業案件であれば、やはりどのような「人・組織」から買うかが非常に重要だからです。営業の「ラストワンマイル」はやはり人が介在しないといけません。実際、コロナ禍とはいえ大きな契約では最終的に必ず対面しているケースが多いはずです。

では、その最終アプローチの面談はどのように獲得するかといえば、やはり最後の一押しは「電話」が大切になってきます。その電話が受け入れられるかどうかもそれまでの追客がきちんとできていたかが影響します。十分に信頼を得ていればそこから電話相談会、オンライン商談、商談に進みやすいでしょう。

まとめ

多くの企業で追客は重要だと営業管理職も営業マンも理解しています。しかし、多くの営業マンができていない現実があります。1~2割の営業マンができていないのならそれは本人の怠慢かもしれません。しかし、50%以上の営業マンができていないのであれば体制、現場の状況に要因があるはずなので、営業マン個人に期待するよりも追客の仕組を構築したほうが早いでしょう。

仮に50%の営業マンが追客できていない見込み客を仕組を整えてきちんと追客できたら部門の業績はかなり上がっていくはずです。分業してインサイドセールス部門に任せる方法もあれば、ITツールを活用してシステムで自動フォローする方法もあります。自社の規模にあった手段を考えてみましょう。

一度出会ったお客様は会社にとって貴重な財産です。適切なフォローを続けて長く良好な関係性を築くことで成果につながるだけでなく企業の評判もよくなります。こちらから「営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》」がダウンロードできます。追客の仕組づくりにお役立てください。

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

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