デジタルでのコミュニケーションが増え、お客様と営業パーソンの接点は減ってきています。だからといってコミュニケーションスキルを軽視していいわけではありません。
逆に、貴重な機会を最大限に活かすことが大切です。また、デジタルではわからないこと、特にお客様の課題や状況についてのヒアリングの重要性も増しており、今まで以上に営業パーソンの聞く力が重視されるようになってきており、その傾向は強まると予測されています。
しかし、話すのが仕事とも言える営業パーソンは、聞くことに課題を持っていることが多いものです。そこで注目を浴びているのが「アクティブリスニング」という手法です。五感を使いながら積極的に傾聴を行うことで、相手を深く理解し、信頼関係を築きます。
もともとはアメリカの臨床心理学者によりカウンセリングで使われてきた手法ですが、ビジネスシーンにおいて注目を集めるようになってきました。
今回は、アクティブリスニングの磨き方やコツについてご紹介します。
アクティブリスニングのメリット
まずは、営業パーソンにとってのアクティブリスニングのメリットを4つご紹介します。
1. 反論処理が簡単になる
まずは、傾聴することで、お客様の反論や疑問についての理解が深まり、結果として、反論処理が容易になります。
2. 初期段階での拒絶が減る
初期段階で、詳しい話をする前に拒絶をされてしまった際にアクティブリスニングを活用することで、お客様の課題についての情報を聞くきっかけを作ることができます。
3. クローズがしやすくなる
押しが強いと思われることなく、クローズをする際にもアクティブリスニングは役立ちます。
4. 部下との関係を良好にする
部下との個人面談やコーチングの効果を高め、結果として売上拡大に結びつけることができます。
アクティブリスニングのコツ
ここから先は、アクティブリスニングの具体的なコツをご紹介します。
1. 理解するという意志を持つ
営業パーソンは、製品やサービスを売り込むことに常に意識が言っているものです。同じようなシーンを何度も経験していることから、お客様が次に言う内容を予測し、答えを用意しながら話を聞いているものです。その意識を一旦手放し、目の前にいるお客様を理解しようという意志を強く持ちましょう。
2. 聞くことに集中する
マルチタスクをしながら話を聞くのは失礼とわかっていながらも、ついスマートフォンの通知に目をやったり、時間を確認したり、急ぎのメッセージに返信したりしてしまうことがあるかもしれません。
スマートフォンやラップトップの通知をオフにするなどして、気をそらせるものを排除し、お客様の話を聞くことだけに集中しましょう。トークスクリプトもしまってしまいましょう。
優秀であればあるほど、営業パーソンは「次」を考えてしまっているものです。次に何を言おうか、どう返そうかを頭の中で考えていませんか?まずは聞くことに専念する練習をしましょう。
3. 正しく理解できたかを確認する
集中して聞いていても、正しく理解できていないこともあります。
重要だと感じたポイントは、以下のような質問で自分の理解を確認しましょう。
「〇〇と理解して聞いていましたが、間違いありませんか?」
「今おっしゃったことはこういうことでしょうか?」
4. 理解を深めるための質問をする
よりよく理解したいことについては、フォローアップの質問をしましょう。
ポイントは推測をしないことです。可能な限り、はい、いいえで答えられない、相手に答えの幅を委ねる、オープンクエスチョンを使い、答えを誘導しないようにします。
5. スピードを落とす
営業パーソンは話すことが仕事。話すことに慣れており、自分が言いたいこともよくわかっているので、どうしても話すスピードや会話のテンポが早くなります。沈黙や間を恐れず、会話のスピードを意識して落とすようにしましょう。
時間も多めにとり、直後に予定を入れず、ゆったりとした気持ちで臨むようにしましょう。
6. 遮らない
お客様の話を遮ってしまうと、伝えようとしていたことを学ぶ機会を失うこととなってしまいます。話が終わったと思ったときに、間髪入れずに質問をするのではなく、少し間を置くことを意識すると、意図に反して遮ることを防ぐことができます。
7. 感情にも耳を傾ける
ボディランゲージ、表情、声の調子などから、お客様の気持ちを感じることできます。電話の場合は難易度が上がりますが、意識をし始めると、違いがわかるようになってきます。
今回は、アクティブリスニングの磨き方やコツについてお伝えしました。
アクティブリスニングには忍耐、強い意志、集中力が必要です。最初は難しく感じるかもしれませんが、身に付けることで、営業力アップにつながる重要なスキルです。まずは自分のアクティブリスニング力を見極めることから始めてみましょう。