営業管理で設定するべき指標を紹介

営業 管理 指標

営業マンであれば誰でも高い達成率を出したり、大きな契約をとりたい気持ちはあるのではないかと思います。また、営業管理職の方もマネジメントに携わると「部下に成長してほしい」「意欲を持っていきいきと仕事をしてほしい」という思いは社員の頃より一層強くなるのではないでしょうか? 

しかし、営業マンの成長のロードマップは少し見えづらいところがあります。同じ商材を同じトークスクリプトで説明したとしても、結局は営業マンの個性との掛け合わせで、その営業マン独自の印象、説得力になってしまうため、全員に成果が出る万能なマニュアルがなかなかありません。

そこが営業の面白さなのですが、営業マンも営業管理職としても「こうしたら、こうなる」と明快な因果関係がわかるメソッドが欲しいところです。そのために、近年はKPIマネジメントが隆盛なのですが、こちらも運用が難しく成果に結びつく指標がどれかわからないという悩みが増えています。

そこで本記事では、「受注」「目標達成」などの成果に結びつく指標について解説いたします。

営業管理の指標とは

営業管理の指標とは、営業目標に対してどのくらい順調なプロセスを辿っているかを示す指標のことを指します。

どのような業種でも「売上=契約数×単価」であることは同じです。また、契約数はおおむね商談数や成約率の高さに比例し、商談数がアプローチ数、アポイント率に比例することも同じなので、一般によく使われる営業管理指標は以下が多くなります。

よく使われる営業管理指標

営業マンの成果は、担当顧客や運不運の影響も大きいイメージがありますが、1年程度の期間のデータでみると、個々の営業マンなりの傾向が如実に表れます。データを基に営業マンの強みを伸ばしていく指標を数値で設定すると、営業マンの成長、成果につながっていきます。

営業管理の指標がなぜ大切なのか

営業は属人化しやすい仕事です。目標数字だけ決めて自由に動いてもらって全員が売上順調となればよいのですが、大抵の場合は売上げの格差が大きくなります。

また、営業は自分のレベル(実力)を掴みづらい仕事です。昨今は、コロナの影響で同じフロアでオンライン商談を行っている会社もあるため、以前よりは見えやすいかも知れませんが、基本は単独で動き、お客様もそれぞれ異なるからです。

理想のモデルを見つけにくい仕事でもあります。トップ営業マンを真似ていけばある程度スキルは向上するでしょう。今時のインサイドセールスならば、すべての音声が録音されるため、ナレッジの共有もかなりされるようになりました。

それでも、話す間合い、相手の感情に気づく勘の良さ、声の音質、雰囲気、知識の量といった元々の営業マンの個性が要所要所に表れるため、誰かの完全コピーのような営業マンにはそうなれません。

では、どうすればよいかというと、結局のところ営業マンが大きな成果を出していくには、営業マン個人が自分の営業マンとしての力量、強み、コンディションをデータで把握して、毎日精進していくことに尽きるのではないかと思います。

行動量などの「数字」は嘘をつけませんし、案件化率などの増減もいろいろなことを語ってくれます。営業管理職も営業マンも、各指標の意味を理解し毎日のパフォーマンスを最大化するために活用していきましょう。

営業管理の指標の設定の際に必要なKGIとKPI

ここでは、営業管理の指標の設定の際に必要な、KGIとKPIについて簡単に解説します。

KGIとは

KGIとは「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」と呼ばれる最終目標となる数値の指標です。営業部門では一般に「売上高」「利益率」「契約数」などを設定することが多くなります。KGIは1つに絞ることが良いと言われています。

KPIとは

KPIとは「Key Performance Indicator(鍵となる活動指標)」、つまりKGIを達成するための指標です。KGIが何かによって適切なKPIは都度変わります。

例えば、KGIが年間の新規獲得金額のみならば、KPIに「アプローチ数」「アポイント数」「1日の平均商談数」などを設定すると良いでしょう。KPIを達成すると、KGIが自然に達成できるような組み合わせにすることがポイントです。

わかりやすく、覚えやすく、KGIとの因果関係が見えやすいKPIを、1~3個設定することが望ましいと言われています。

営業マンがみるべき営業管理指標

ここでは、営業マンがみるべき管理指標の例を紹介します。

アプローチ数

アプローチ数とはコール数、営業メール数、DM数、飛び込み件数、紹介依頼件数など営業マンからお客様にアプローチした数です。特に新規開拓営業は数が勝負です。狙いどころがよっぽど外れていなければ、獲得件数とアプローチ数は比例するからです。

単純な理屈ではありますが、わかりやすい指標です。仮に自分が500件アプローチしたら1件受注する営業マンなら、(もちろん他の指標を改善してもよいのですが)手っ取り早いのは他のタスクを極力減らして、アプローチ数を2倍にすればそれなりの成果が出るでしょう。

提案能力がいきなりアップすることはそうありませんが、数ならモチベーション次第で増やせるので、スキルや経験値が浅い営業マンにとっては重要指標だと言えます。

コンタクト率

コンタクト率とは電話営業で「発注担当者本人につながった割合」を指します。一般に最初に電話に出るのは受付や若い社員の方か、受付をアウトソーシングされている企業のスタッフの方ですが、内容をきちんと伝えると担当者につないだり伝言してくれたり、帰社時間を教えてくれます。再コール、3回目でコンタクトがとれることもあるでしょう。

コンタクト率の高い営業マンは「担当者に伝えてもらうトーク」が上手い場合もあれば、例えば、この時期はセミナーで見込み客が忙しいので17時~18時の短時間だけ集中してコールしようと、時間帯を工夫している場合もよく見受けられます。コンタクト率を指標として意識するとアプローチの内容、タイミングに自覚的になれるでしょう。

案件化率

案件化率とは、潜在的であれ顕在的であれ「見込み客にニーズがあるかどうか」の見込み度合を把握できた割合です。一つの目安としてBANT条件(予算、決裁権者、ニーズ、時期)があります。お客様が課題をどうにかしたいと言語化している段階なので、営業マンは営業活動を続けてよいというジャッジができます。

案件化できるということは、ニーズのある見込み客にアプローチしており、初回から何回かのやりとりで信頼されてニーズを聞き出せているということです。案件化率が高い営業マンは課題発見能力が高かったり、SPIN話法などを活用できたり、相談しやすい雰囲気が持っているなど総じて営業スキルが高めです。

商談化率

商談化率とは、アプローチした見込み客に「オンライン商談」や「商談」の機会を設定してもらえる率です。見込み客に「提案があるなら聞いてもいい」と了承をもらえた段階であり、商談化率が高いということはお客様が興味を持つような事例を提示したり、期待を持てるような仮説を提示するなど、お客様に期待感を持ってもらえているはずです。

案件化率も同じですが、知識はあっても常に受け身の姿勢でいる営業マンは、課題に気付いているお客様からは声をかけてもらえても、お客様自体が経験が浅かったり課題意識がないと率が伸びない傾向があります。

商談化率を指標にすることで営業スタンスを見直したり、仮説構築力、企画提案力をつける必要性に気付くきっかけになるかも知れません。もし、どうしても強気に出たり、仮説を立てたりすることが不得手という場合は、割り切って母集団の商談を増やす戦略をとる決断もできるでしょう。これも他の営業マンとデータを比べるからこそ気付けることです。

契約率

契約率とは商談から契約につながった割合です。営業プロセスが適切であったかどうかの結果がわかる指標です。平均よりも契約率が低い場合、顧客理解が甘く無理やり商談化にもっていく傾向があるのかも知れません。各指標を見直し、どこがボトルネックか調べましょう。

ただし、そもそも狙っているターゲット層の難易度が高い場合もあります。契約率は低くなりますが、1件あたりの契約金額が大きくなるのなら目標達成はむしろ楽になるので、契約率の低さをあまり気にすることはないでしょう。ただ、自分の契約率を過去のデータと常に比べて、より良い数値にアップさせようと意識し続けることは大切です。

失注率

失注率とは商談で失注してしまった割合です。もちろん低いことが望ましい率です。しかし、契約率同様に売上高とのバランスも考慮して判断する必要があります。「平均より失注率が高いが目標達成率も高い」のであれば、実力はあるもののラフに数多く提案する傾向があるのかも知れません。前述のように、そもそも厳しめのターゲットを狙うことが多いのかも知れません。

「平均より失注率が高く、目標達成率は低い」のであれば、失注理由を分析していきましょう。価格の問題、機能の問題、提案内容が見込み客に刺さらなかった、時期早承である、見込み客の経営者の承認が得られなかったなどさまざまな要因があるでしょう。

SFAなどを活用している場合は失注理由の割合もデータで出せるので、同僚と比べて多い失注理由が何かを確認し、これからの提案に活かします。

顧客単価

顧客単価とは、顧客一人当たりの平均売上単価のことを指します。単価には営業マンのスタンスがかなり表れます。他社よりコストパフォーマンスが高いことを良しとする営業マンもいれば、提案に絶対の自信を持ち常に大きな予算を提案する営業マンもいます。

顧客単価が高ければ目標達成は楽になります。一方、費用対効果が良いということでリピートにつながりやすいということもあるため、適正値の範囲内であればいずれも問題ないでしょう。なぜか、ついつい単価を低くしがちな営業マンは、顧客単価を指標とすると必要以上に安く売るクセを直せるはずです。

リードタイム

リードタイムとは、リード(メールアドレス等の個人情報を獲得した段階)から契約までの期間です。今時点での案件数と平均リードタイムを把握することで、先々の数値予測が行いやすくなります。自分のリードタイムの目安を把握して、数字を組み立てていきましょう。

インサイドセールス部門があり、アポの品質がそれなりに一定している場合は、他営業マンと商談スキルを比較する指標にもなります。新規アプローチから営業マンが行っており、1~2年先を見越してアプローチしている案件も多い場合は、有望見込み客に早期にコンタクトすることも大切なので、リードタイムの長さはあまり気にする必要はありません。

営業管理者がみるべき営業管理指標

ここからは、営業管理者がみるべき営業管理指標の例を紹介します。

営業担当者別のパフォーマンス

一つの営業チームには自主性が強く成績もよい営業マンもいれば、コツコツ営業してお客様思いなのに受け身なため売上げが一定レベルにとどまる営業マン、新規開拓は熱心でも契約後モチベーションが下がってしまう営業マンなど、不思議なくらいに多種多様な営業マンがいます。

各指標で営業マン全員の数値を比較すると、営業マンの特徴が数字でも顕著にわかります。営業マン個人のデータを初期から時系列に比較すると、営業マンが上り調子か下り調子なのかも見えてきます。

営業管理職は個々の営業マンの個別のパフォーマス(前述の各指標)を確認し、それぞれの営業マンの担当既存顧客数、担当エリア、営業スタイルも踏まえたうえで、適切な指導・アドバイスを行うことが大切です。

チームのパイプライン管理

チームで現時点でどれだけの案件を抱えているのか、どれだけの案件がどのフェーズにいるのかなどパイプラインの管理を行います。

営業パイプラインの例:

営業パイプライン

パイプライン上の各フェーズの件数とこれまでの平均契約率・単価などの実績から、数字の伸びが予測できます。また、何かの理由で成約件数が少なくなっている場合、要因も特定しやすくなります。

例えば、アプローチ件数は例年と同じくらいなのに商談数が落ちている場合、景気の影響を受けている可能性があるでしょう。あるいは強力な代替品が登場しているかも知れません。

外部要因であれば、営業マンの努力だけでは行き詰まる可能性があるため、アウトソーシング企業を活用してアプローチ件数を増やしたり、別のマーケットに向けて営業をかけていくなど戦術を変えていく必要もあります。

チームの案件化率

チーム全体の案件化率がどのくらいかを示す指標です。ニーズが明確な見込み客の率がわかれば、四半期、半年、一年の商談数、契約数、売上数字もある程度推測できます。

案件化率が高いほど、先々の数字の伸びが期待できます。案件化率が低い場合は、アポの質の問題か営業マンのヒアリング力などに課題があるのかも知れません。

リストの問題であれば新しい営業リストの収集時にペルソナを再設定したり、ヒアリング力の問題であれば営業トークの研修をしたり、お客様が興味を持つような事例集を用意するなど対策を立てていきましょう。

チームの売上実績

チームの売上実績はもちろん最重要指標です。さまざまな指標がありますが、結局、会社が営業部門、営業マンに期待しているのは数字につきます。

売上が未達であれば、管理職会議の場で「案件化率が上がりました」「アプローチ数を倍に……」と強調したところで、聞き流されるか火に油を注いでしまうかも知れません。

常に売上実績を指標としてチェックし、最低でも年間目標を100%達成して期末をおえるために、期初から月ごと、四半期ごとの数字をできるだけ積み上げていわば「貯金」をしておく必要があります。いかに予測を立てても、景気などの影響で半年先はどうなるかわからないからです。

厳しいのですが、売上という超重要指標があるからこそ、営業マンも達成するために最大の努力をします。営業マンを大きく成長させる指標であることは間違いないでしょう。

チームの目標達成率

チームの売上金額が目標に対してどのくらいの割合かを示す指標です。目標達成率はチームの特性で分母の大きさが異なるため、単純比較はできません。新規開拓営業チームの場合、既存顧客からの売上がないため目標数字も一般に低めになり、大きな案件を獲得すると達成率が伸びやすいところがあります。

一方、既存顧客深耕がメインのチームは、売上高は大きくても達成率自体を伸ばすのは大変です。特性が同じであれば他チームと比べて数値を意識することも大切ですが、明らかに違う役割のチームならば、むしろ自チームの前年対比、達成率の推移を常に意識していきましょう。

営業管理指標を設定するためには

営業管理指標を設定する手順について解説します。

目標達成率を明確にして現状とのギャップを把握する

目標を達成するためには、現状把握から行うことがセオリーです。チームの目標数字と現状とギャップがどのくらいあるのかを押さえて、戦略を立て戦術を決めていきます。

例えばチームメンバーが4名で昨年売上が2億円。経営層から前年比120%の目標数字を要請されたとします。目標は2億5000万円となります。戦力も去年と同じの場合、単純に5000万円のギャップと見なせます。

しかし、景気はコロナの影響で悪化しています。アポイントはなかなか取れず、とっても訪問が難しくなりました。これまでと同じ戦力、同じアプローチでより行動量を増やすという戦術では成果が期待できないため、ギャップは5000万円よりかなり大きいと捉えるべきでしょう。

ギャップに基づきKGIを設定する

ギャップが明確になったら、ギャップに基づき特定期間のKGIを設定します。ここでは仮に、売上高をKGIとします。

例えば、各営業マンの実績が似たような数字であれば単純計算で1人あたり前年比120%の目標を持ってもらってよいのですが、A君の前年実績が1億円で、他3人のB君、C君、D君は3000万円前後の実績で3人で1億円だった場合、単純に120%で設定するとA君の負担が重くなります。

バランスをよくするために、A君には前年110%の1億1000万円を目標。他3人に高めのKGIを設定するなど調整が必要です。ミーティングを設け、チームメンバー全員が納得するような数値に設定しなければいけません。

KGIに向けて各営業メンバーのKPIを設定する

KGIを設定したらチームメンバーのKPI(中間指標)を設定します。

例えば、前述のA君の場合、新規開拓をする時間があまりないはずなのでKPIも「既存顧客の案件化率」「リピート受注金額」などにします。チームの数字を安定させるためにA君には優良顧客を徹底してフォローしてもらい、他のメンバーで新たな売上を持ってくるルートを開拓するなど、新しい施策を実行するほうが現実的です。

  • B君が新規開拓が得意であるならば、「新規売上げ」「大型見込み客開拓件数」「リピート受注件数」をKPI。
  • C君が既存顧客を大きくすることが得意そうであれば、「案件化率」「商談化」「アプローチ数」をKPI。
  • D君がSNSの活用に長けているのなら、SNS営業を許可してKPIの一つに「獲得リード数」を入れる。

といった感じで、営業マン個人の強みを伸ばすKPIを2件、弱みを改善するKPIを1件というバランスにすると良いかと思います。つい営業マンの弱みを強化するKPIにしたくなるかも知れませんが、あくまで目標達成のためのKPIです。苦手な領域を強化するKPIだけにして、モチベーションも売上も低下したら元も子もありません。

得意な領域をさらに伸ばすKPIを多めにして、気持ちの余裕がある状態で苦手領域のKPIに挑んでもらった方が、達成までの時間距離を縮めます。常に個人の成果、チームの成果に結びつくKPIという視点で設定していきましょう。

まとめ

目標を達成するために中間指標を設けることはとても重要です。営業管理の指標は営業マンの営業活動の状態を示すバロメーターです。営業マン自身が指標の意味を理解すると、「今月はアプローチ件数がスローペースだ」「契約率は順調」「アポイント率が低いので音源でトークをチェックしてみよう」といった感じで、自分の営業活動を常に調整できるようになります。

スポーツ選手のようにコンディションを整え、さまざまな指標を俯瞰して捉え、その日、その週、その月のパフォーマンスを最大化していくマインドを持つことが営業力向上につながります。指標の数値がよくなるとモチベーションが高まるだけでなく、追って売上げにも表れてくるでしょう。

こちらから「本当に使える、意味のある営業活動KPI集」がダウンロードできます。チームと個人に合う指標選びの参考にぜひお役立てください。

    営業KPI

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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