本当に使える、意味のある営業活動KPI 11つと設定方法を紹介

営業活動KPI 営業KPI

どの様な業態業種にせよ営業マンであれば、売上目標や営業ノルマを持っていることが大半です。マネージャーなどの管理職であれば、部下の営業マンの数字を管理しながら、チームの売上目標達成に日々力を注ぐ、その様な日々を送っているのではないでしょうか。

一方で、売上目標を達成するための正しい数字の測り方や、振り返り方などを自社内で定義づけし、その定義に合わせて営業活動をしている企業はまだまだ少数です。ダイエットもそうですが、数字目標を改善するには、測るべき指標が設定されていることが必要で、設定されていることによって改善活動内容の絞り込みが可能になります。

メールの本数、電話の本数、お問い合わせに素早く対応するにしても、目標を設定し振り返りをするには正しい指標とその定義が欠かせません。本記事では、これから営業KPIを設定しなくてはいけない方に向け、特に営業組織が必ず保有すべき指標とその仕組みについてお伝えします。

営業活動KPI集

KPIとは何?KPI設定が大切な理由

企業に勤めている方であれば、KPIという単語を耳にしたことがあるかもしれません。KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字の略語のことで、直訳すると”鍵となる活動指標”の略です。営業活動やマーケティング活動などの企業活動で用いられることがありますが、どの様なことに対してもKPIという単語を使うことがあります。

ダイエットの場合を例にとってみましょう。一般的なダイエットの最終目標は体重の減少。体重を減らすためにする活動として定番なのが、食事制限、運動の増加、睡眠時間の増加etc。これらが一般的なダイエットにおけるKPIになります。

営業活動も同様に、訪問の回数や、電話の回数、商談設定の数、様々な活動要素の最終的な形が売上となります。これらのKPIとなる指標が何なのか、前後関係の構造を理解することによって、ダイエット同様に活動の方向性を絞り込むことができます。逆に、明確なゴールとKPIが存在していないと、営業マン各自が好き気ままに活動を行い、営業活動に再現性を持たせることが大変難しくなってしまいます。

KPIとKGIの違い

前述の通り、KPIは活動方針の指標であり、言い換えると目的達成の手段を測るための指標ともいうことができます。ただし、KPI設定に慣れていない方が、体重5KG減少という目標をKPIと勘違いしてしまうことが多々あります。KPIが浸透するにつれ目標と手段が入れ替わってしまう勘違いが多くなり、対照的な言葉としてKGIという言葉が広く使われる様になってきました。

先ほどのダイエットの例を表すと、KGIとKPIの関係はこの様な図で表現することができます。

(一般的なKPIとKGIのツリー図)

しかし、鋭い方であれば想像がつく様に、企業間でのKGIとKPIはダイエットの構造よりは複雑です。企業であれば役職の階級によって、部下の職務上のKGIが上司のKPIとなっており、上司のKGIはその上司のKPIとなる様に、異なる職位でKGIとKPIが異なります。

(職位とKPIとKGIの図)

この様に、KGIとKPIは目標と活動指標と捉えることができること、企業であれば職位によって異なってくることを理解しておくことが大切です。

KPI設定のメリット

KPIとKGIの異なる視点は先ほどお伝えし、企業であれば上司と部下によってはKGIとKPIが異なることがあるということもお伝えしました。では実際に、営業組織におけるKPIを持たせた場合、どの様なメリットがあるかをKGIとKPIの関係性の図から見ていきましょう。

(一般的なKPIやKGIのツリー図)

営業チームの目標は売上の達成で、目標達成のための営業マンの活動には、テレアポ、提案、商談、受注などが存在しています。

こちらの「定期的に営業プロセスを改善する4つのステップ」記事で紹介をしていますが、テレアポ起点の営業プロセスで活動目標を作り上げます。このプロセスを構成する要素の数値的な指標を持たせることがKPI作成の一歩です。

(テレアポ起点の営業プロセスの一例)

例えば、テレアポが活動目標なのであれば、テレアポから発生した初回訪問数、初回訪問の後に商談に進んだ数、商談に進んだ後に受注した数、これらが売上というKGIにつながるKPIと捉えることができます。活動をさらに細かくブレイクダウンすると、テレアポから初回訪問数につなげるために行った電話の回数なども二次的なKPIということもできます。

これらのKPIを自社内で言語化することにより、様々なメリットが享受できます。ではマネージャーと現場の営業マンにはどの様なメリットがあるのでしょうか。

マネージャーの場合

メンバーの活動の解像度向上

営業管理職であるマネージャーの職責(KGI)は一般的にはチームの総売上です。月間売上目標が1,000万円で、同じ能力の部下の営業メンバーが5人いれば1人あたりの売上目標は200万円となります。営業プロセスでの活動目標を作り、部下のKPIを設定することによって、メンバーの活動の解像度が向上します。

このことにより、月末目標に対して本日現在どれくらいの売上で、目標達成までどれくらいの各KPI、例えば総テレアポ数、訪問数、商談数etcがチームとして必要なのか一目瞭然になります。また、どの営業メンバーを重点的にフォローすれば良いかも明確になり、チームとしての歩調を揃え、売上目標達成の確率を高めることができます。

最高売上責任者(社長)や隣部門への情報共有の精度向上

法人向け事業を展開している企業などであれば、営業部門が隣部門のマーケティング部門や、営業部門をさらに束ねる部門長(中小企業などであれば社長など)に対して、月次の売上報告がついて回ります。KPIやKGIを設定、可視化することによって、報告の際に当月の実績がどれほどなのか、今度後の様なアクションを現場のメンバーが行うかを明確に伝えることができます。

このメリットは大きく、マーケティング活動と協調性を持っている営業部門であれば、当月の売上が厳し目の場合、即座にマーケティング部門に助けを求めることができます。逆も然りで、当月売上の予測が非常に高い場合は、来月再来月のマーケティング活動により力を入れてもらう、などの協力を依頼することができます。

そのことにより、売上を安定的に事業目標に近づけることができ、事業全体としての収益構造の健全化にも繋がります。

担当者の場合

自身の活動精度の向上

営業マンが享受する最も大きなメリットは、営業活動の精度を定量的に知ることができ、営業活動の改善が行いやすくなることです。KPIから次のKPIへの転換数、例えばテレアポから商談への数が少ない場合、考えられることは、お客様との関係性を作るための電話の量と質を向上させる、商談設定をするための連絡方法を工夫する、などの行動するポイントを明確にしやすくなります。

また、他の売れている営業マンとの各プロセスのKPIと比較して、どのプロセスのKPIにいかほどの数値の乖離があるのかなども知ることができ、自ら改善活動の方向性を絞ることができます。

マネージャーへの情報共有の精度向上

営業マンにとってスランプに陥っている時ほど上司への報告は辛いもの。さらに辛いのが、スランプに陥っている時ほど、具体的なアクションプランを提示しないといけません。これはかなり辛いものです。しかし、営業プロセスが明確でKPI設定が存在していると、その辛さを少しは軽減することができます。

営業プロセスに沿ってKPIが設定されていると、数字が明らかに起きているプロセスを可視化しやすくなり、該当プロセスへのアクションプランを明確に作ることができます。それゆえ、上司自身も課題を理解しやすく、自身のアクションプランも作りやすくなるなどのメリットがあります。

営業活動KPI11つ

では、ここからは営業活動で具体的に用いられる代表的なKPIを見ていきましょう。

(一般的な営業のKPI構造)

新規リード獲得数

新規リード獲得数とは、営業努力で獲得したリードナーチャリング数ではなく、広告や、各種販売活動やマーケティング活動により獲得し、営業チームに話渡される新規のリード数のことです。新規リード数の獲得は、総数と獲得経路(チャネル)を判別することにより、より効果的に新規獲得リード数を増加させることができます。

例えば、広告よりもオウンドメディアなどからの獲得数の方が多く、さらには質が良いという場合は、間違いなく力を入れるべきチャネルはオウンドメディアとなります。

売上などが上がりきらない時は、新規リード獲得数及び質に問題がある可能性が非常に高いです。その様な場合は、営業強化策や営業メンバー数の増員をするのと同じくらい、効果的なチャネルを発見し、新規リード数を増加させることが重要な検討事項になります。

設定の方法

設定の方法は企業によって異なるのですが、一般的には新規リード獲得には、氏名、企業名、電話番号、メール、企業URLなどを含めることが多いです。これらの情報を獲得するための非営業活動を行います。

有望見込み客化転換率

見込み客転換率とは、新規リード数から有望見込み客数への転換率のことです。非営業活動によって獲得された新規リードに対して、電話やメールなどで営業活動をかけ、ヒアリングを進め、確度が高いと思われる人たちへの転換する確率のことです。

設定の方法

計算の仕方は明確で、有望見込み客化転換率[%]=(有望見込み客数/新規リード数)*100 として計算します。

例えば、新規リード数が100、有望見込み客数が20であれば、有望見込み客化コンバーkジョン率は20%という具合です。

有望見込み客数(見込み度合いが高い見込み客数)

有望見込み客とは、非営業活動によって獲得した新規リードに対して営業活動を行い、確度が高いとみなすことができる見込み客のことを指します。一般的には、営業マンが電話やメールなどのアプローチをし、ヒアリングをかけ、特定の基準を満たした人などを指すことが多いです。

設定の方法

新規リードとは異なり、有望見込み客はBANT情報が明確になり、特定の水準を満たしている場合が一般的です。BANT情報とは、Budget(予算)、Authority(権限)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入時期)の頭文字をつなげた造語です。これらの情報が明確な場合、商談などに進む理由が明確とみなすことができます。

有望営業機会化転換率

営業機会化転換率とは、有望見込み客数から有望営業機会数への転換率のことです。営業活動によって発掘された有望新規見込み客に対して、電話やメールなどでヒアリングをかけ、商談へと転換する確率のことです。

設定の方法

計算の仕方は明確で、有望営業機会化転換率[%]=(有望営業機会数/有望見込み客数)*100 として計算します。

例えば、有望見込み客数が100、有望営業機会数が20であれば、有望営業機会化転換率は20%という具合です。

有望営業機会数(見込み度合いが高い営業機会数)

有望営業機会数は、有望見込み客が実際の営業につながった件数を指します。有望見込み客の中にも、ソリューションとマッチしていなかったり、競合に掠め取られてしまったり、様々な理由で失注指定しまうケースがあります。失注してしまったケースを除き、純粋に営業機会に繋がった人たちのことを有望営業機会数といいます。

設定の方法

有望営業機会数は、実際の商談のことを指すことがあるため、行われた営業商談数で数値を管理することになります。

新規顧客化転換率

顧客化転換率とは、有望利行基回数から顧客巣への転換率のことです。

計算の仕方は、他の転換率と同様で、顧客化転換率[%]=(新規顧客数/有望営業機会数)*100として計算します。

新規顧客数

新規込み客数は、最終的に獲得した新しい顧客の数です。営業マンにとって、最も重要なKPIの一つであり、このKPIを逃すことはできません。

平均顧客単価

意外と抜け漏れになるのが、平均顧客単価です。獲得した新規顧客から発生した平均顧客単価で、平均単価ともいうことができます。当然ですが、平均単価を高く保てる営業マンであれあればあるほど、売上目標達成への距離が近づきます。一方で、過去の平均取引額よりも極端に金額が大きい案件などは転換率が高くないなどの傾向があります。

新規売上

新規売上は、総売上ではなく、新規顧客からのみの売上です。総売上には、契約更新時のアプセルやクロスセルなどが含まれますが、新規売上は総売上からそれらの売上を引いた金額になります。新規顧客数と平均取引額の掛け算で新規売上を計算することが可能です。

セールスサイクル

セールスサイクルは、営業担当者がリードに初めて接触した日付から顧客化までに要した日数のことです。上の図には記載がありませんが、全体の日数であるセールスサイクルを測ること、各プロセスでの平均日数を測ること、により営業活動が十分行われているかを測る指標にもまります。また、セールスサイクルを把握することによって、特定の月にいくらの売り上げが計上できるかの予測を立てることが可能になり、予測値の正確性を担保することも可能です。

まとめ

ここまで営業活動におけるKPIの意味と、大切なKPIの設定の仕方をお伝えしてきました。KPIの設定は全体像を把握している営業マンにとってはわかりやすいのですが、経験が足りずに全体の俯瞰ができない営業マンには理解が難しいものです。

営業マネージャーや、将来的に昇進が近い様な営業マンであれば必ず押さえ、自身のチームがシステマチックに売上に貢献できる様にするためには理解を欠かせません。

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    営業KPI

原誠

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