営業力とは?できる営業マンから学ぶ営業力強化の方法

営業力 強化

どんな営業マンでも常日頃から、自らの営業目標を達成するために「営業力」を強化しようと努められていると思います。営業マンにとって営業力は一番大切な能力と言っても過言ではありません。

会社全体で売上げを上げるためには、個人の営業力を向上させるだけではなく、組織全体の営業力を向上させる必要があります。

今回は、営業活動で求められる営業力をお伝えした上で、どのように個人の営業力を強化していくか、そして、その営業力をいかに組織に標準化させていくかについてのヒントをお伝えします。

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営業力とは?

営業力とは、営業マンが見込み客から契約を獲得するための営業活動全体を通して必要な総合的な力のことです。営業活動は一連の流れであるため、1つの営業アプローチにおける営業力が高くても契約には結びつきづらいことがあります。各営業プロセスで、必要な営業力を一定以上身につける必要があるのです。

例えば、

  • お客様の心を動かすトーク力やプレゼン力
  • お客様の潜在的なニーズを引き出すヒアリング力
  • お客様の悩みに素早く、適切に解決する提案力

これら全て営業力の一部ということができます。これらの力は営業マンが契約に結びつけていくために重要な力です。しかし、これらのうち1つだけを持ち合わせていても、契約に結びつけることは難しいことがあります。

例えば、素晴らしいプレゼン力を持っていても、お客様のニーズをヒアリングせずにプレゼンを行っても契約には当然結びつきません。逆に、ヒアリング力に長けていても、そのニーズに応える提案力やプレゼン力が不十分では契約を獲得することはできません。営業アプローチ全体で必要な力のことです。

営業力のある営業マンと営業力の乏しい営業マンとの違い

常に高い成績を上げる「営業力のある営業マン」がいる一方で、なかなか成果につながらない、あるいは成績に波がある「営業力の乏しい営業マン」もいるかもしれません。では、その違いは何なのでしょうか?

  • 見込み客とつながっているか?
  • 文脈をつかめているか?
  • 長期的なフォローができているか?

の3つの観点でお伝えします。

見込み客とつながっているか?

見込み客は日々忙しく、インターネットを使って自主的に情報収集ができるようになっています。そのため、営業マンからの情報収集の優先順位が下がり、電話やメールがつながりにくくなるのです。一方で、営業マンとしては、WebサイトやSNSが発達したことにより、営業マンが知ることができる見込み客(企業)の情報や見込み客とつながることができる連絡手段の範囲が増えてきていることも事実です。

また、年齢や世代によって連絡の取りやすい手段が変わってきている傾向もあります。そのため、複数の連絡手段を使い分け、その見込み客に合った手段でアプローチします。それにより、見込み客とつながる確率が上がるのです。

さらに効果を上げるためには、連絡した際に「なぜ連絡をしたのか」を伝えることが有効です。例えば、電話をかけたもののつながらなかった場合は、留守電に「なぜ(あなたに)連絡したのか」を一言添えることによって、どのような要件で連絡があったのかを把握することができるため、見込み客の優先順位を上げることができます。

文脈をつかめているか?

営業において「文脈」は非常に重要です。文脈とは、物事の一連の流れのつながりや背景のことです。ここでは見込み客の「購買活動の一連の流れ」とその「背景」を表ます。見込み客にとって購買活動は一連の活動の流れであり体験だからです。

検索で欲しい情報を容易に獲得することができるようになってきた現在では、見込み客が欲しいタイミングで本当に欲しい情報を提供し、快適に購買していただくことが大切になってきています。

例えば、見込み客がまだ日常生活や業務で漠然とした課題を感じ始めた段階であるのに、営業マンが商品の具体的な機能の情報を提供しても関心を持ってもらうのは難しいでしょう。このような場合は、まず漠然とした課題を明確化するために、他の見込み客に共通する課題を提示してあげて顕在化のお手伝いをすることが有効です。

見込み客の購買の段階によって提供する情報を変えることが大切です。

長期的なフォローをしているか?

見込み客のタイミングや優先順位により、どんなできる営業マンでもすべての案件を受注につなげることは困難です。どうしても途中で停滞、失注してしまう案件があるものです。みなさんは、停滞・失注案件の次回のフォロータイミングは把握していますか?

受注した案件のうち約80%は商談後5回以上の営業マンのフォローがあったという調査がある一方で、44%の営業マンは1回しかフォローをしていないという調査もあります。つまり、現在は購買するタイミングではなくても将来的には購買につながる可能性は大いにあるのです。

営業マンはどうしても直近の数字が求められるため、目の前の確度の高そうな見込み客を追ってしまいがちです。しかし、長期案件のフォローもしっかり行って契約に結びつけられれば、さらに売上げを上げることができるはずです。そのためには、見込み客とコミュニケーションをとった際に、次回フォローのタイミングを把握し、リマインダーでフォローのタイミングを見落とさないことが大切です。

営業力のタイプと営業プロセスの関係性

営業プロセスの進捗度合いによっても求められる営業力のタイプが異なってきます。なぜなら、各営業プロセスによって見込み客が求めていることが異なってくるからです。そのため、営業マンも見込み客が求めていることに満足してもらえるような対応が必要です。

営業プロセスとは、営業マンが営業活動を行っていく上でのアプローチのステージのことです。例えば、以下の6つのステップが考えられます。営業ステップについての詳細は、6つの営業プロセスについて解説している記事がありますので、是非ご覧ください。

「きっかけ」で必要な営業力のタイプ

このプロセスでは、今後営業活動を行っていく際に必要な見込み客の情報を獲得するステップになります。そのため、顧客から紹介を受けたり、展示会などのイベントで名刺を数多く獲得するなど、常に見込み客となりうる層の顧客情報を収集するためのアンテナを張っている必要があります。そのためには、自社の商品・サービスがお役に立てるターゲットをしっかり把握しておくことが大切です。

インターネットの普及により、営業マンが能動的に収集できる情報が増加してきました。どのような層が将来的に顧客になりうるのかをしっかりと見極め、そのための情報収集が自主的に行える力が必要です

「コンタクト」で必要な営業力のタイプ

スマートフォンの普及により見込み客は自ら検索する力をもち、情報収集できるようになりました。調査では、営業マンに接触する段階では、購買プロセスの約60%が完了している(英語)とのデータもあります。そのため、顧客情報を獲得したもののメールや電話をしてもなかなか繋がらないという課題も出てきました。

電話やメール、SMS、SNSなど複数の連絡手段を文脈に沿って活用して、いかにして見込み客との会話へとつなげるかを工夫できる力が求めれます。

「商談」で必要な営業力のタイプ

商談は、営業活動の中で契約に直結する重要なプロセスです。商談の段階では、見込み客はある程度興味や関心は持っているはずです。そのため、もう一歩踏み込み、見込み客が自社の商品・サービスを活用したシーンやどのように活用できるのかをイメージさせる必要があります。

自社の商品・サービスの機能と効用を見込み客の個別のシーンに合わせて正確に伝える力や、実際に使ってみたいと思わせるようなプレゼンテーション力も必要になります。

「受注」で必要な営業力のタイプ

契約をしてもらう際には、やはりその企業や担当者が信頼できるかというところも重要になってきます。また、受注後の社内での手続きなどあるかもしれません。せっかく受注をもらったのに、不手際があったのでは、長期的に良好な関係を築くことが難しくなってしまいます。たとえ、契約後であっても、ひとつひとつ丁寧に対応していく力が必要です。

「アフターフォロー」で必要な営業力のタイプ

どんな営業マンでも、どのお客様にも快く商品・サービスを活用していただき、お役に立ちたいと思っているはずです。そのためには、お客様が何も不便なくしっかり活用しているのか、どのように活用しているかを把握しておく力も重要です。場合によっては、アップセルや紹介案件につなげられる可能性もあります。

ただ、あまりアフターフォローに力を入れてしまうと本来の新規の営業活動に割くための時間がなくなってしまう恐れがあります。そのような場合は、サポートチームに定期的に状況確認をしてもうらうなど、社内で連携して顧客との関係構築に勤めていく必要があります。

「育成」で必要な営業力のタイプ

営業活動をしていると、すぐに受注につながらなかった見込み客も多く出てきます。そのような見込み客には、「欲しい情報を適切なタイミング」で提供していくことが大切です。その際には、過去の経緯や見込み客の興味・関心に合わせて文脈に沿ったコンテンツを提供することができる力が求められます。

そのためには、デジタルツールなどを活用して、自社HPへの来訪や過去やりとりしていたメールの再開封などのデジタル上の行動を把握し、お客様の再検討のサインを見逃さないことも大切になります。

営業力を強化させる要素

営業力を強化するための方法として、「情報収集」「実行」「検証」の3つのステップをご紹介します。ここでお伝えしたいのは、インプットも大切ですが実際の営業活動にアウトプットし、継続して検証していくことが大切だということです。

① 情報収集

どんな営業マンでも、自らの営業力を高めていくためには勉強材料となる情報を探し、それを自分にインプットすることが大切です。インプットをすることで、自分の営業力を高める伸びしろを広げることができます。

書籍や新聞、Webから情報を収集する

見込み客の業界の知識や競合の知識などを増やすことで、見込み客とのコミュニケーションをより円滑にし、提案力の強化にもつながります。取得した情報に対して、自社の商品・サービスがどのようにお役立てできるのかを考えましょう。例えば、Googleアラートで定期的に情報収集するなどが挙げられます。

同僚や上司から情報を収集する

同じターゲットにアプローチしていることが多いため、より見込み客に沿った情報を収集することができます。特に、ベテランの営業マンであれば経験があるからゆえ、気づく情報であったり、その情報をどのように営業活動に落とし込んでいくのかも学ぶことができるはずです。

② 実行

次のステップでは、実際の営業活動の中で自ら「その情報が正しいのか、間違っているのか」「自社の業態や商品・サービスに合っているのか」の仮説を実行してみる必要があります。これは、収集した情報を実際に使ってみて、その仮説が正しかったかを確認するためです。さらに、試してみて反応がよかった情報を自分のものにするためでもあります。

営業活動では、情報を頭の中で持っているだけでは、営業力も上がらず、契約にも結びつきません。成果と結びつけるためには、実際に言葉としてお客様に伝えることが大切です。定期的に知識や思考を言語化させることで、よりお客様に有益な情報を与えることができたり、価値のある提案ができるようになります。

営業活動では、言語化を鍛えることができる多くの場があります。以下のようなシーンを有効活用して、営業力を高めていきましょう。

  • ロープレを実施する
  • 訪問営業や電話営業
  • 提案書の作成
  • 商談

③ 検証

最後のステップは、実際に実行してみてその情報が結果に結びついているのかを確認します。PDCAサイクルという言葉はよく聞かれると思いますが、そこでも言われているように、成長をするためには、実行だけで終わらせず、その実行がどうだったのかを評価・検証し、次のアクションに繋げていかなくてはいけません。

例えば、情報収集で得た情報を取り入れた新しいトークスクリプトによって、「アポイントや契約が増えているのか?」「変更前とでお客様の反応は変わったか?」など確認します。

結果に結びついていた場合は、定着させつつ、さらに改善できるところがあるかを考えます。一方、上手くいかなかった場合は、何が問題であったのか、改善するとしたら次に何を行うべきかを考えます。

このようなプロセスを常に考えることによって自らの営業力を継続的に磨き上げていくことができます。さらに、プロセスを早く回すことによって短期間で大きく営業力を向上させることができます。

強力な営業力を社内で標準化するには?

各営業マンが、自分の営業力を上げることはもちろん大切です。しかし、個人の営業力だけを高めていくだけでは、売上げは頭打ちになってしまい、持続的な成長には限界がきてしまいます。そこで、個人の強力な営業力をノウハウとして部下や組織に落とし込むことが必要になります。では、素晴らしい営業力を組織に落とし込むためにはどのようにしたらよいでしょうか?

私たちは、組織的な営業力の標準化には、「営業導線」の構築をおすすめしています。営業導線とは、見込み客の情報の獲得から、契約までの一連の流れのことをいいます。

一見当たり前な営業活動の流れ図ですが、この営業導線を部下や組織に落とし込むことによって、以下のようなメリットがあります。

  • 視覚的に営業活動の流れを把握することができるようになる
  • 経験の浅い営業マンでも次に打つべき一手がわかる
  • チームでの共通認識をもつことができる

目に見えないベテラン営業マンの経験知を伝えることは非常に大変です。しかし、視覚的に落としこめるように流れを示すことで他者からわかりやすくなります。また、作成するにあたって自らの営業フローを振り返り、内省することができるので、さらに良い営業の打ち手が見つかるかもしれません。

まとめ

「営業力」というと、一見とてもシンプルに聞こえます。しかし、一歩深く考えてみると営業プロセスごとで必要とされる力が異なっており、適切な営業力を身につけて各プロセスを進めていくことが大切になります。

そのためには、効率的に営業力を習得し、継続的に磨き上げていく必要があります。また、個人の営業力向上は当然大切ですが、組織全体での売上げ拡大を考えた落とし込み方法も考えていく必要があるのです。

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