紹介営業で効率よく案件を獲得する極意とは

紹介 営業

社会情勢等によりオンラインでの営業が増えてきて、訪問での対面営業がしにくい時代になってきました。打ち合わせや商談がオンラインだと、コミュニケーションの取り方や資料の見せ方・説明の仕方などが難しく、お客様との信頼関係も構築しにくくなっているかも知れません。

これを読んでいる方の中には「今までのような営業手法が通用しなくなってきており、新しい時代に即した手法を考えなければいけない」とお悩みの方も多いかと思います。

そんな方は、以前からある手法ではありますが「紹介営業(リファラル営業)」というものを今一度考えてみてはいかがでしょうか。飛び込みやテレアポからアプローチするよりも信頼関係が構築しやすく成約まで繋がりやすい紹介営業は、オンライン営業の時代でも活躍し得る手法の一つとして見直されています。

本記事では、紹介営業のメリットや課題をまとめ、これから紹介営業を始めていく際の手順についてご紹介していきます。

紹介営業(リファラル営業)とは

紹介営業(リファラル営業)とは、既存顧客から見込み客を紹介してもらう営業手法のことです。飛び込み営業やテレアポからアプローチする営業手法では、アプローチ先にニーズがあるかどうか不明な状態から手探りで関係を作り上げていくことが必要で、成約に至るまでに多くの労力や時間、心理的な負担がかかりがちです。

その点紹介営業は、既に自社の商品やサービスを使って満足していただいてる顧客から見込み客を紹介してもらうため、初めから「知り合いが使って満足している」という信頼がある状態で関係をスタートすることができます。

そのため、オンライン等の営業手法でも話がスムーズに進み成約まで繋がりやすく、既存顧客の様子がわかることで成約前と後のギャップも少ないため、長期に渡ってお付き合いできる可能性も高い傾向にあります。

紹介営業は、既存顧客と丁寧に作り上げる信頼関係の賜物でもあり、紹介営業を成功させるには飛び込みやテレアポ等の新規アプローチとは異なる営業活動が必要です。

紹介営業がなぜ重要なのか

お客様から知り合いを紹介していただけるということは、その営業マンがお客様の役に立っている何よりの証拠です。基本的に、役に立たない営業マンを知り合いに紹介したいと思うお客様はいません。

この点を踏まえると、紹介営業の本質は「お客様のお役に立つこと」と同義であると言えます。

「お客様のお役に立つ」ことを追求することが紹介営業の成果に繋がるので、結果がどうであれ「誰かに紹介してもらえるような営業活動を行う」ということは営業マンとして理想的な活動に繋がるとても重要なことなのです。

紹介営業に取り組むことは、新規獲得の成果だけでなく営業マンの質を向上させ顧客満足度に繋がり得る活動です。新規獲得が伸び悩んでいたり壁を感じたりしている営業マンやその上司の方が紹介営業に目を向けてみることで、全体的な営業力アップにも繋がるのです。

紹介営業を行うメリットとは

紹介営業には、最終的に新規顧客を獲得できるだけでなく普段の営業活動にも良い影響を及ぼす多くのメリットがあります。

対面での新規アプローチが難しく、オンラインなどの非対面での営業にはそれに合わせた設備や新たな人材教育が必要な昨今、「知り合いに薦められた」というのはとてもスムーズなアプローチ経路です。顧客獲得コストを大幅に減らせることができ、アプローチ初期段階から信頼性も高く、(非対面での営業に営業マンが慣れていない場合でも)クロージングもしやすい特徴があります。

紹介営業が多くなれば、営業マンの労力を最小限にして高い効果を生み出すことが可能です。

身体的にも精神的にも営業マンの労力を減らすことができ、勤続年数の向上や労働環境の改善にも繋がるかも知れません。

しかも、紹介営業が多いということは顧客満足度が高いという状態とも言え、営業マンが顧客の課題やニーズをしっかり把握しながらフォローできているという証明とも言えるでしょう。つまり、紹介営業を成功させるために行動することで営業スキルの向上も見込めるし、顧客満足度を高めることにも繋がるのです。

上記のように、間接的にもさまざまな効果に繋がる紹介営業の直接的なメリットについて具体的に見ていきましょう。

紹介営業のメリット

獲得コストがかからない

一般的な新規開拓営業の手法としては、広告を打ったりセミナーやイベントを行ったり、営業マン一人ひとりがテレアポや飛び込みなどを行ったりすることが挙げられます。

そこでしか開拓できない顧客もいるかもしれませんが、上記の手法は金銭的・人的コストが多く必要となる割に、上手く計画しないと成果が見えなかったりコストパフォーマンスが悪かったりといった結果になることも多いのが実情です。

一方で、紹介営業を成功させるためのコストは突き詰めて言うと「お客様のお役に立つこと」だけです。日頃から行うべき営業活動を充実させるだけなので、博打のような大きなコストもかからず、顧客満足度を上げながら見込み客を獲得していけるのでコストパフォーマンスの良い施策と言えるでしょう。

クロージングに労力がかからない

お客様から紹介された見込み客は、クロージングまで繋がりやすいことも魅力です。

新規開拓では課題を感じていない人から課題を感じている人まで、幅広い見込み度合いのお客様に対して、その場で課題感を見極めながら営業活動をしていくことになります。

まだ課題を感じていないお客様を成約に繋げるには、高度な営業スキルやある程度の時間が必要にもなり、一人の見込み客を顧客にするまでにかなりの労力が必要となります。

紹介営業であれば、ある程度紹介元から話を聞いていたり、そもそも課題感を感じている場合も多いです。紹介元が既にお付き合いいただいていることでアプローチ初期から信頼関係も築きやすく、通常よりも格段に成約に繋がる確率が上がるでしょう。

長く取引できる可能性がある

成約前と成約後のギャップが少ないと、成約後も長くお付き合いいただける確率が高まります。

紹介営業の場合、成約後の状況を紹介元から直接聞いて紹介されているため、成約前と成約後のギャップを少なくすることに繋がります。

ある商品・サービス導入の成果を直接聞ける機会はそうそうありません。紹介営業は商品・サービスがどのようなものなのかをしっかりイメージした上で契約してもらえる可能性が高いため、購入後のミスマッチも少なく、長くお取り引きできる可能性が高いのです。売上の安定化に繋がる大きなメリットの一つです。

さらに紹介を広げることができる

紹介でご契約いただいたお客様は、自分も紹介されているので紹介のハードルが低く、さらに周りにも紹介してもらえる可能性があります。

紹介営業からのお客様が増えていくと、紹介してもらいやすい状況をつくることにも繋がり、紹介による顧客獲得の良いサイクルが生まれてくるでしょう。

紹介営業のサイクルが軌道に乗れば、営業マンは顧客満足度向上に注力しながら新規顧客を獲得することができるようになります。心理的負担が大きく効率もそれほど良くない飛び込み営業やテレアポ営業などより成果に結びつきやすく、労働環境が改善して勤続年数の向上にも結びつくかも知れません。

営業マン個人でも紹介営業に取り組むことはもちろんですが、組織としても紹介営業の強化に取り組むとメリットがより大きくなるでしょう。

紹介営業の課題

多くのメリットがある紹介営業ですが、実際にそれを成功させるまでには課題もあります。まずはその課題を認識することが紹介営業を成功させるためのヒントとなるでしょう。

紹介営業の課題

紹介してもらえない

紹介営業を成功させるために避けては通れない課題が「紹介してもらえない」ということです。

安易に「どなたか紹介してください」と言っても、お客様との信頼関係がしっかりと構築されていなければ新たな見込み客を紹介していただくことはできません。

また、お客様に満足していただいており信頼関係が構築されていても、きっかけ等をこちらから作らなければ紹介してもらえないのが実情です。

自分に置き換えてみても、普通に自社の商品・サービスを案内するだけの営業マンを知り合いに紹介したいと思うでしょうか。

紹介していただくためには、「知り合いに紹介したい」「紹介しても恥ずかしくない」「紹介したら感謝されるだろう」と思わせるプラスアルファのお客様とのやり取りを考えていくことが必要です。

悪い口コミも広まりやすい

何も考えずに紹介営業に取り組むと、口コミで認知度を上げられるかも知れませんが、悪い口コミが広がってしまう可能性もあります。

あまりに「紹介してください」と言いすぎると、「あの営業マンは紹介を狙っている」という印象を持たれてしまい、お客様のお役に立とうと行動したとしても「下心があるのでは」と思われ悪印象を招きかねません。

また、それが引き金となり、少しの欠点も「使えない」「不親切」「効果がない」などの悪い評判として広がるおそれもあり得ます。そのような事態になってしまえば、紹介してもらうことができないだけでなく、商品・サービスの信頼性にも影響が出てきます。

紹介営業は慎重に行わないと重篤な影響をも及ぼし得ることは認識しておきましょう。

“与える”ことができるか

「紹介してもらえない」「悪い口コミが広がってしまう」、そんな事態に陥らずに紹介してもらうためには、紹介をもらうだけでなく、自らもお客様のために何かをする必要があります。その“与えること”が何も思いつかないという営業マンは多いようです。この課題がもしかしたら紹介営業を阻害する一番の要因なのかも知れません。

お客様のお役に立つためにできることは考えればたくさんあります。お客様の課題やニーズをしっかり把握できていれば、喜んでいただける情報を探して提供することも簡単ですし、提案力が備わっていれば集めた情報を元に「こうしてみるのはどうですか?」とお客様の状況に合わせて提案に落とし込むことも可能です。

それができるかどうかは営業マンとしての基礎的なスキルが備わっているかどうかということにも関わります。紹介営業を成功させるためには、営業マンの根本的な営業スキルを見直し研修等を行う必要がある場合もあるでしょう。

営業力の底上げにも繋がるため、組織として「紹介営業できる営業マンがどれくらいいるか」というのは一度整理してみると良いかも知れません。

紹介営業を始める際の極意とは

それでは、いよいよ紹介営業を始める際に考えるべきポイントについてまとめます。覚えておきたいのは、紹介営業を成功させるための鍵は営業活動の本質である「お客様のお役に立つこと」です。そのため、営業マンに必須のスキルを備えさせることは大前提となります。その上で、ここに挙げるポイントを考えるようにしていただければと思います。

自分なら、どんな営業マンを知り合いに紹介したいか考えてみる

まずは自分が「どんな営業マンを知り合いに紹介したくなるか」を考えてみましょう。どのような話ぶりか、どんな情報を与えてくれるか、どんなサービスをしてくれるか等々、思いつくことを書き出し、優先順位を付けて自らの営業活動の行動指針に落とし込みましょう。

紹介してもらいたい一心で、御用聞きのようにお客様から言われたままのサービスや過度なサービスを行うことは避けなければなりません。そうなってしまっては良質な見込み客を紹介していただくこともできず、悪循環が続くことになりかねません。

お客様と対等な立場で信頼関係を強められる理想的な営業活動とは何かを洗い出し、優先順位をつけて行動していくことが、最小の努力で最大の効果を生み出すことに繋がります。また、「紹介したくなるときはどんなときか」ということを考えることも重要です。

「この営業マンはとても良いな」と思ってもそれが自然と「誰かに紹介したいな」という想いに繋がることはなかなかありません。どうしたら紹介のきっかけをつくれるか、「紹介狙いだ」と思われないようにするためにどうしたら良いか、そのようなことを考えて行動していくことも効果的です。

どんなお客様を紹介してもらうか明確にする

どんなお客様を紹介してもらいたいか、明確にすることは重要です。

例えば、あなたが漠然と「出会いが欲しいから誰か紹介してくれない?」と誰かに頼まれたとしても「どんな人を紹介すればいいのかな? この人に合いそうな人はどんな人だろう?」と悩んでしまい、紹介するまでに至らなかったり時間がかかったりするでしょう。

「自分はキャンプが好きだから、アウトドアに興味のある人がいたら紹介してくれないかな?」と具体的に頼まれた方が、対象が明確になり「ああ、そしたら一人いるから紹介するよ!」と話が進みやすいはずです。

紹介営業もそれと同じです。

  • こんな課題を持っている
  • こんなことに取り組んでいる
  • こんな立場の人
  • こんな業種の人

など、どんなお客様を紹介してもらいたいかできるだけ具体化しておくと、お客様もパッと思いつきやすく、紹介してもらいやすくなります。

その際には紹介をお願いするお客様への配慮も必要で、競合となり得る相手を紹介してもらいたいなどと言ってしまうとトラブルになりかねません。紹介をお願いする商材やお客様の考えや性格も把握した上で、どのお客様にどんな方を紹介してもらいたいかを明確にしていきましょう。

紹介してくれそうなお客様を明確にする

そして、紹介してくれそうなお客様=「パートナー」がどのようなお客様なのかも明確にします。

明確にせず顧客全てに「紹介してください」と言うこともできますが、そうしてしまうと「あの営業マンは紹介狙いだ」と、「紹介営業の課題」で挙げた悪い口コミも広まってしまう可能性があるので要注意です。

例えば、

  • 商品・サービスに満足している
  • お客様の方から営業マンに相談してくれる
  • 成約したて
  • 友好関係が広そう
  • 他業界に知り合いが多そう

など、慣れないうちはどのようなお客様が紹介してくれそうかをしっかり定義し、狙いを定めてアプローチしていきましょう。

該当する顧客をリスト化する

どのようなお客様が紹介してくれそうかを定義できたら、実際に自身の顧客の中でどのお客様が当てはまるのかを明確にリスト化していきます。

今ある情報だけで判断できない場合、打ち合わせの中で「このお客様はパートナーになり得るかどうか」を見極めるための質問を投げかける等のアプローチをする必要もあるでしょう。

例えば、人脈を知りたい場合は

  • 休日はどのように過ごしてるんですか?
  • 学生時代にスポーツとかされていたんですか?

など、さまざまな切り口から探ることが可能です。自分が一番話しやすい話題から相手の人脈を探れるようにしておくと便利です。

必要な情報、過去の経緯の情報を入手する

パートナーとなり得るお客様をリストアップしたら、アプローチするために情報整理を行いましょう。これまでのコミュニケーション履歴やどのような経緯でお客様になったのかなどを調べ、お客様の現在の状況や過去の経緯について理解します。

その上で、あらためて課題やニーズについて整理してお客様の満足度向上に勤めながら、どのような流れでどのような方を紹介してもらうか、上記で明確にしてきたことをまとめて、お客様一人ひとりに合わせて計画を練りましょう。

このような時のために、顧客情報をすぐ検索できるように社内でまとめておくことは、とても重要です。日頃からの顧客情報の整理の質によって計画の精度が変わってくることもあるため、どのような情報を蓄積しておくか組織的に見直すことも視野に入れておくと良いでしょう。

実際にアプローチする

ここまでをまとめると、紹介営業を成功させるための手順としては以下の通りとなります。

  1. 「紹介したくなる営業マン」の振る舞いを具体化する
  2. 紹介してもらいたいお客様を具体化する
  3. 紹介をお願いするお客様(=パートナー)をリストアップする
  4. パートナーの情報をまとめて紹介までのプランを立てる

ここまでの段階を踏んだら、あとは行動するのみです。立てたプランに基づいてアプローチしていき、上手くいったことやいかなかったことを整理しながら他のお客様にも応用させていきましょう。

成果をより確実にするために、事前に社内で「紹介営業のロープレ」を行うのも有効でしょう。下手に行っては悪い印象をも与えかねないため、自分の話しぶりが他者からどのような印象を持たれるかというのは確認しておくとベターです。

紹介営業のアプローチまでの手順

紹介を獲得していくためには

紹介を獲得していくためには、お客様の課題やニーズに基づいてお客様のお役に立つという、営業マンとしての基本スキルをしっかりと身につけておくことが大前提です。そうした中で築いていくお客様との信頼関係がなければ、紹介してもらうまでの関係に辿り着くことができないからです。

紹介営業をするために営業マンがどこまでスキルを身につけているのか、確認してみるともしかしたら初歩的なスキルアップから取り掛からなければならない場合もあるかも知れません。しかし、それに気づき改善することはそもそもの営業力アップにも繋がります。

顧客との信頼関係を築いていくために、サポート部門があるのであれば、上手く連携して顧客満足度を向上させていくのも効果的です。紹介営業を一営業マンの手に委ねるだけでなく、組織的に協力して長期継続的に顧客のエンゲージメントを獲得していくことはとても大切なポイントです。

営業マンの営業力アップと組織的な顧客サポートの強化を両輪ですすめていくことができれば、紹介営業へのステップも短縮することが可能となるでしょう。

まとめ

これまで繰り返し述べてきたように、紹介営業の強化に取り組むことは基本的な営業力アップにも繋がります。営業マン個人の範囲でももちろんですが、組織として取り組むとより良い効果が全体に波及していくことでしょう。

まずは営業マンに基本の営業スキルが備わっているか確認し、紹介営業を行うために自分又は自分の組織がどこから取り組めば良いのかということを把握してみるのはいかがでしょうか。

営業マンに必須の営業スキルが備わっているか確認するための「営業スキルチェックシート」はこちらからダウンロード可能です。ぜひご覧ください。

    営業スキルチェックシート

kondo

関連記事

  • 営業スキル

    飛び込み営業をやめて取り入れるべき営業スタイルとは

  • 効率化

    いそがしい営業マンにこそ必要な、仕事の優先順位のつけ方

  • 商談の進め方

    疑似客と見込み客を見分ける方法