営業力強化の課題を解決するための方法

営業 力 強化 課題

「自身やチームの営業力を強化したい」。営業マネージャーであれば、誰しもがこのような想いを持っていることでしょう。しかし、営業力強化のためには何が必要なのか。営業力強化の課題はどこにあるのかなど明確にできていますでしょうか。

そもそも営業力強化の課題が明確になっていなければ、営業力を強化できません。さらに、もし営業目標が達成できたとしても、営業組織は常に課題を持って営業力の強化に励まなければなりません。

本記事では、営業力強化が大切な理由を含め、営業組織および営業マンが抱える課題とその解決のステップを紹介します。ぜひ、自身やチームの営業力強化の課題を見つけ、解決するための参考としてください。

営業力とは

営業力とは、お客様に価値を感じてもらい、契約してもらうための総合的な力です。営業力が高ければお客様から契約をもらいやすく、低ければ契約してもらいにくいのは当然のことでしょう。この定義は、時代が変わっても変わらない普遍的な定義と言えます。

しかし、営業組織および営業マンに求められる営業力は、お客様の価値観や行動の変化に伴って少しずつ変化してきています。営業マンがお客様と会った段階では、競合他社との比較検討を含めた情報収集が完了している場合もあります。

さらに、お客様の購買行動に営業マンという人が必要ない場合ですらあるのです。これはEC市場規模およびEC化率の推移からも推察できるでしょう。経済産業省が取りまとめた資料によると、EC化率は2019年時点で31.7%(BtoB)とあります。

EC市場規模およびEC化率の推移

(出典:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf#page=10

近年、BtoB企業においても、およそ30%が訪問営業を介さずに契約を結ぶことができており、そこで台頭したのが「インサイトセールス」の概念です。お客様がまだ気づいていない課題やニーズを見つけ、インサイト(洞察)を提示する営業力が求められていると言われています。

顕在化しているニーズはお客様がインターネットの情報およびECによって情報収集から購買を完了できる現在、営業組織に求められる営業力は、お客様ですら気づいていないインサイトを提供し、潜在ニーズに応えることだと定義できるのではないでしょうか。

なお、内勤型の営業スタイルである「インサイド・セールス」とは別物であることに注意しましょう。あくまでもお客様に気づき(洞察)を提供する「インサイト・セールス」です。

なぜ営業力強化が大切なのか

なぜ営業力の強化が大切なのか、今一度考えてみましょう。本記事では、企業視点とお客様視点の双方から営業力強化の重要性について考えていきます。

企業視点で営業力強化が大切な理由

まず企業視点ですが、営業力強化は企業の売上に直結するため大切です。前述のとおり、営業力はお客様から価値を感じてもらい、契約してもらうための総合的な力ですので、いくら製品・サービスが良くても営業力が低ければなかなか契約は取れません。

具体的に言えば、同じ商品・サービスを売るにしても営業力の高い組織では年間売上1億円を達成するが、営業力の低い組織では年間売上2,000万円にとどまってしまいます。

つまり、企業は営業組織の営業力によって業績が左右してしまうのです。これこそ、企業にとって営業力の強化が大切な理由です。

お客様視点で営業力強化が大切な理由

次に、お客様視点で営業力強化が大切な理由を考察します。

先ほど「営業力とは」の章で、BtoBビジネスにおいても約30%が営業マンを介在せず商品やサービスを契約していると紹介しました。極端ですが、これはつまり商品・サービスの契約に30%のお客様が営業マンは不要だったことを示しているのです。

もちろん、高額商材の場合にはお客様のニーズを聞いて営業マンが提案をする必要性が多くあります。しかしEC化率の推移を見ると、営業マンへの直接の問い合わせは不要で購入できるものも増えているのが推測できます。

例えば、Web会議システムのZoomですが、中小法人向けのものでも「今すぐ購入」が可能で、営業担当者への問い合わせは不要です。

Zoom金額表

(出典:https://zoom.us/pricing

このようなEC化が進んでいる背景として考えられるのが、やはりインターネットの情報だけで購買行動が進んでしまうという理由です。

しかし、ここで言いたいのは営業マンが不要ということではなく、ますますお客様の潜在的な悩みや課題を引き出す力が求められているということです。インターネットだけで購買を完了できる時代だからこそ、営業マンが介在することでしか与えられない価値提供の必要性が高くなってくるでしょう。

営業組織が抱える営業力強化の課題

お客様に気づきを提供し最適なソリューション(解決策)を提供するのが営業力と考えられますが、それができていない課題にはどのようなものがあるでしょうか。まずは、営業マンではなく営業組織の視点で考察していきます。

営業メンバーの営業力にバラツキが出てしまう

営業力のある組織を目指すには、営業メンバーが同じ水準で営業力を身につけている必要があります。理想を言えば営業メンバー全員が100%の営業力を発揮することが望ましく、Aが100で%もBが20%の営業力である状態は望ましくありません。

しかし、現実的には営業メンバーの営業力にバラツキが出てしまうことも多いでしょう。トップセールスが1ヶ月に10件成約している間、1件も契約を獲得できない営業マンがいることもあるかもしれません。

すると、企業の業績は図らずともトップセールスに依存してしまい、トップセールスの調子が悪ければ企業の業績は低迷してしまうのです。つまり、営業力にバラツキがあれば売上が安定しなかったり、一部のメンバーに大きな負荷がかかってしまったりする可能性があるのです。

2014年1月にリクルートマネジメントソリューションズがまとめた営業部長実態調査によると、営業部長が抱える課題で「営業担当の能力のばらつき是正」が挙げられています。営業力のバラツキは、多くの営業組織が抱える顕在化された課題と言えるでしょう。

営業経験が少ないメンバーが多い

長期的な営業力強化のために、新卒や未経験でも積極的に採用した結果、営業経験に乏しいメンバーが多くなってしまうこともあります。

長期的な教育によって組織全体の営業力強化を目指していきますが、未経験の人材は即戦力としては期待できません。即戦力として期待できないどころか、すでに即戦力として活躍している営業メンバーが教育のために時間を割くケースもあるでしょう。

営業経験が少ないメンバーが多いこと自体は悪いことではありませんが、即戦力化が長期化するのは営業組織として注意すべき課題です。経験の浅い人材を少しでも早く即戦力化するためには、後ほど紹介する「営業力強化を行う手段」を参考にしてみてください。

属人的な営業アプローチになっている

前述した営業力のバラツキなどが起因して、営業メンバーが自分のやり方で営業活動を行ってしまっている組織も少なくありません。

確かに営業活動はケースバイケースで対応しなければならない面も多々ありますが、例えば、お問い合わせからの対応は電話なのか、メールなのか。電話に出なかった場合はSMSやメールを送るのかどうかなど、結果を出している営業マンの行動を共有できることもあるでしょう。

営業メンバーそれぞれが自分のやり方でやってしまうと、組織として安定した営業力を発揮できず、営業成績も人次第になってしまうのです。また、次で紹介しますが、人材の流動性が高くなっている昨今では、属人的な営業活動は危険でもあります。

営業マンの異動が流動的になり定着がしない

営業組織が抱える営業力強化の課題には、人事的なものもあります。具体的には営業マンの転職、退職、異動などのことを指します。

せっかく即戦力として期待できる人材になったのに、スキルをつけてから転職してしまう若手人材、本人の希望による部署異動など、営業組織における人材の流動性問題は深刻です。

大手転職サービスを展開するパーソルキャリアの調査結果によると、転職者の平均年齢は32.0歳で、特に30歳以下では営業職者の転職割合が高くなっています。このように、営業組織における若手人材の流動性の高さは顕著です。

流動性が高いことにより新しい文化を取り入れやすくなる良い面もありますが、営業メンバーが定着せず、せっかく教育して営業力が向上したにもかかわらず離職してしまうのは、営業力強化を目指す組織にとっては好ましい傾向ではありません。

営業マンが抱える営業力強化の課題

営業組織が抱える営業力強化の課題を考察してきましたが、以降では営業マン個人が抱える営業力強化の課題について考察していきます。

なかなか提案力が上がらない

提案型営業であろうがインサイト型営業であろうが、営業マンがお客様に適切な提案をするのが重要であることに変わりありません。提案型はそのままお客様に課題解決策を提案する営業ですが、インサイト型であってもお客様に気づきを与える提案が必要だからです。

しかし、実際に提案力を上げたくても、具体的な提案力向上方法がわからないという営業マンも少なくありません。提案力という言葉自体が曖昧であるため無理もないでしょう。

さらに、なかなかお客様に提案できない、提案できたとしてもお客様から良い反応を得られないなどの経験から、自分には提案力がないとネガティブな意識を持ってしまう営業マンも多いようです。

戦略や役割が明確になっていない

組織の営業戦略や自身に求められている役割が明確になっていれば、戦略と役割に沿って自身がやるべきことはある程度明確になります。また、先ほど紹介した「提案力」についても具体性が出てくるでしょう。

しかし、組織の営業戦略と役割が明確でない場合、営業マン自身が目標を設定し営業力を向上していかなければなりません。とは言え、営業マンは忙しいことが多いため、目先の業務に追われて自己のキャリアアップを考える時間もないことも多いでしょう。

このような場合でも、営業マン自身がお客様にどのような価値を提供するのか、その価値を提供するためにはどのようにすれば良いのかを考え続けなければ、営業力の強化はできないと考えられます。

先ほども挙げましたが、リクルートマネジメントソリューションズがまとめた営業部長実態調査でも、お客様に与える価値が明確であるかどうかが業績向上と深く関係があるとされています。

実践する機会が設けられていない

営業力を強化するためには、営業に関する本やセミナーで学ぶことも重要です。しかし、学んだことを実践する機会がなければ営業力を強化できません。営業力は実際にお客様と対峙して身についていくものだからです。いくら営業に関する知識やノウハウをインプットしたとしても、すぐにベテラン営業マンより良い成績が出せるはずがありません。

しかし、営業マネージャーが営業担当者に対して「まだ未熟でお客様には出せない」という厳しい判断により実践ができない場合もあります。これは先輩営業マンとの同行だけで、お客様と実際に折衝をしないケースも含みます。社内でいわゆるロープレだけやっていても、実践的な営業力の強化は図れないことも多くあります。

商品・サービスの差別化が伝えられない

前提として、お客様は必ず自社の商品・サービスを選ばないといけないという義務はありません。当然のことですが、お客様は自社にとって競合他社となる商品・サービスを含めて自由に契約先を選べるのです。

そのような状況下でお客様から自社を選んでもらうためには、競合他社の商品・サービスとの差別化ポイントを伝えなければなりません。

お客様に購入を促す以上、どのような点が他社よりも優れているのかを理解していなければ、お客様が自社の商品・サービスを選ぶ理由は与えられません。つまり、よく自社商品を理解しろと言われますが、実は他社商品も理解しなければならないのです。

もし営業マンが自社の商品・サービスを十分に理解していないようであれば、営業力強化はかないません。

営業力強化の課題解決4つのステップ

営業力強化の課題を考察してきましたが、以降では課題を解決する基本的なステップを紹介していきます。

現状の営業力強化を妨げているものは何かを分析する

営業活動に限りませんが、何事も課題解決の基本は原因を分析することから始まります。A社にとっての課題とB社にとっての課題はそれぞれ異なるのです。そこで、営業組織および個人が抱える課題を明確にしなければなりません。また、課題を分析する際は定量的な評価が望まれます。

例えば案件化率は高いが受注率が低いのなら、受注率を向上することが営業力向上の課題となるでしょう。定量的な評価ができてない場合、営業活動においてどこがボトルネックとなっているのかわかりません。

また、営業力を向上するなら営業組織の定量評価でなく、個人単位にまで落として定量評価を進めましょう。個人単位で定量評価をすることにより、前述した営業メンバー個人のバラツキなどが見える化できます。

その課題を営業メンバーに共有する

営業力向上を妨げている課題が明確になれば、営業メンバーを交えて全体で共有しましょう。ここでのポイントは、営業部長などの営業マネージャーだけで共有しないことです。実は営業マネージャーが気づいていなくても、営業担当者はすでに気づいている場合もあるためです。

これまで営業組織全体で課題を共有しあう風潮がなかったのなら、なおさら営業担当者が個々に感じている意見を抽出する機会になります。

営業力強化の目標とその手段を共有する

課題を共有してメンバーに共有すると、具体的な目標も浮き上がってくるはずです。営業担当者を交えて共有すれば、営業活動の負けパターンや勝ちパターンを発見できるかもしれません。

勝ちパターンを営業組織全体にシェアすること、および負けパターンをどのように改善していくのかを議論し、具体的な手段を共有しましょう。

決めたプランに合わせて定期確認を行う

プランが立っても、実際に実行して定期的に確認しなければ営業力強化の課題は解決できません。PDCAサイクルにならえばCheckのフェーズです。一度目標を立てても思い通りに行くことは少ないのが現実であり、その時々のリアルな状況を踏まえて改善点も見えてきます。

営業力強化を行う手段とは

最後に、営業力強化の具体的な手段を紹介いたします。

社内での営業研修

営業活動は属人的なものになりやすく、営業メンバーのスキルやノウハウも共有しにくい場合もあります。そこで、社内での営業研修体制を整えることをお薦めします。

社内で営業研修を実施すれば、すでに良い成績を出している営業マンや営業マネージャーがノウハウを共有できる場になるからです。勝ちパターンを共有しあうことで、営業組織全体の営業力強化を図れます。

社外での営業研修

社内だけでなく、社外での営業研修を検討しても良いでしょう。

営業活動はお客様の課題を解決するコンサルティングのようなものですから、常々勉強が欠かせません。必要なスキルや知識を常にアップデートしておかなければ、お客様のニーズに対応できないことになってしまうのです。

その際、社内だけで対応できないことや外部研修を利用するよりも時間や手間がかかってしまうこともあります。このような場合、社内で研修を実施するより外部の研修を利用したほうが良いでしょう。

個別でのロープレ

課題が個別の営業マンにある場合、個別にロープレを行っても良いでしょう。ロープレを行うと、営業担当者が実際にどのようにお客様と接しているのかがわかり、営業マネージャーにとってもマネジメントの参考になるはずです。

セミナーや書籍

営業マンはお客様にとってコンサルタントです。常に最新の知識や情報をインプットしなければなりませんが、研修だけに頼るのは良くありません。インターネットニュースくらいは見ている営業マンも多いですが、セミナーや書籍にまで幅を広げると体系的かつ専門的な知識を身につけられます。

また、知識のインプットだけでなく実践しなければ営業力向上は果たせません。営業マンとして引き出しを増やすことはもちろんできますが、学んだ知識をどのように活かしていくのかアウトプットを前提としたインプットを意識すべきでしょう。

まとめ

営業力強化の課題について解説してきました。営業活動を取り巻く環境は急激に変化しており、もはや営業マン不要という考え方も一部で見られます。しかし、それでこそ営業マンにしかできないお客様の潜在的な悩みや課題を見つけて、解決の提案をすることの重要性は高まっています。

営業マンとしてお客様と信頼関係を築き、お客様に喜んでもらえる提案をしていくためには、コミュニケーション力や提案力が重要です。

営業スキルチェックシートは、営業マンが身につけておくべきスキルを1枚のシートにまとめたものです。ぜひ営業組織および営業マン個人として、営業力向上の課題解決にお役立てください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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