課題解決とは?営業マンも知っておくべき課題解決スキルの身につけ方

課題解決

現代はインターネットの普及やAI(人工知能)の台頭、少子高齢化、ニーズの細分化など市場の変化が目まぐるしい時代です。以前より予期しえぬ問題に直面しやすくなったとも言えます。こうした状況下において「課題を見つけ解決していく力」がより求められるようになりました。

実際、文部科学省は社会が求める人材像の一つに「課題発見・解決力」を持った人材を挙げています。しかしながら、課題を発見して解決すると言っても、具体的にどのように進めればよいのでしょうか。

本記事では、課題解決に必要なフレームワークや流れについてご説明します。現代の営業マンにも不可欠な課題解決スキルを身に付けたい方は参考にしてください。

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課題解決とは

課題解決とは、物事の「理想の状態」と「現在の状態」の間にある差を解決することを指します。例えば、営業現場では当月の目標売上げに現状の売上げ目標が下回っていた場合、アプローチ数を増やすことや営業トークの磨き上げなど、売上げの差を埋めるために解決策を考えると思います。

課題解決を行うにあたっては、本質的な課題の分析を行い、解決策を考えることが大切です。課題が複雑な場合は、さらに課題を細分化して、どの課題がもっとも大きな影響を与えているのかを見極めます。

もちろん頭で考えることも大切ですが、大まかな仮説が出来上がったら、実際に解決に向けて具体的な解決策の策定や実行することも大切です。想定していたことと異なる現象が起こった場合、すぐに別の仮説を考えることができます。逆に、一見難しそうな課題であっても解決の糸口が見えることもあります。

課題解決がなぜ大切なのか

仕事の現場では、日々何らかの課題が発生するものです。特に営業マンは何らかの課題を常に意識している人が多いのではないでしょうか。

例えば、

  • 自分の売上げ目標を達成するためにはどうしたらいいのか……
  • 効率よく新規顧客を獲得するためにはどうしたらいいのか……
  • チーム全体で売上げをあげるためにはどうしたらいいのか……

など、さまざまな課題があることでしょう。

また、営業とはお客様の課題を解決する仕事とも言えます。お客様の抱えている課題を解決するために、自社の商品・サービスを提供しているはずです。そのため、営業マンは常にお客様がどのような課題を抱えているのかを把握して、解決策も見つけていく考え方が必要です。

課題解決策を考える前に全ての課題を明確化する

課題解決を行う際に、すぐに解決策を考えることだけに集中してしまいがちです。しかし、最初から「解決策」を考える前に、まずはどのような課題が存在しているか可能な限り明確化しておく必要があります。

フレームワーク例:MECE

本質的な課題を見極めるにあたり、課題を全てあぶり出す必要があります。そのために効果的なフレームワークが「MECE」です。

MECEとは「Mutually(互いに)」「Exclusive(重複せず)」「Collectively(全体に)」「Exhaustive(漏れがない)」の略で、これらをまとめると「モレなく、ダブりなく」といった意味合いとなります。MECEを活用することで、自らが「正しく全体像を捉えているか」という点を確認することができます。

例を元にMECEについて考えていきましょう。ある旅行会社が市場調査として、利用者の分類を行っていました。こちらはMECEになっていない分類です。

モレもダブりもある例

この分類では、市場を「海外旅行」「個人旅行」「法人出張」の3つに分けて考えていますが、これではモレもダブりもあります。

なぜなら、まず個人旅行として海外へ旅行する人がいるため「海外旅行」と「個人旅行」は重複してしまいます。似た理由で「海外旅行」と「法人出張」も重複しています。さらに海外旅行は考慮されているのに「国内旅行」はモレてしまっています。このようにダブりやモレがあると全体を把握できず、部分的な議論になってしまうのです。

次に、MECEになっている例を見てみましょう。

MECEになっている例

こちらも同じく旅行会社による利用者の分類ですが、旅行先を「国内」と「海外」に分けて、さらにそれを「法人」と「個人」で分けました。結果として4分割されており、先ほどのようなモレもダブりもありません。これで市場全体を捉えることができます。

ここでは市場調査を例に挙げましたが、課題解決の場合も同様のことが言えます。課題を全て洗い出さなければ、考えるための材料も偏ったものとなり、解決策を誤ってしまう可能性があるのです。

営業マンも身につけるべきクリティカルシンキングとは?」の記事の中では、MECEに使える他のフレームワークについてもご紹介していますので、こちらもよろしければご覧ください。

課題解決に向けたフロー

課題解決に向けたフローとは、どういったものなのでしょうか。一段階ずつ見ていきましょう。

真の課題を見極める

考えうる課題を抽出したら、続いては「どれが真の課題か?」を見極めることが必要になります。つい焦って解決策を闇雲に考えてしまいがちですが、一度冷静に考えることが大切です。一度に全ての課題を解決することは難しいかもしれませんし、焦って間違った課題設定をしてしまうと、本質的な課題解決とならず効果を見込めなくなってしまうからです。

例えば、ある企業が「商品単価が高いため十分な売上げに繋がらない」という問題を抱えていたと仮定します。まず売上げに繋がらない理由は「商品単価が高いから」ということはわかっているのですが、実際にどのようなことが商品単価を高めているのかを考える必要があります。

課題を出していくと

  • 原材料が高い
  • 販売にかかる販促費用が高い
  • 営業マンの人件費が高い
  • 商品開発にあたっての開発費用や人件費が高い

ということが、挙げられました。

次に、これらの課題の中でもっとも必要以上に費用を用している課題は何になるのかを見極めます。もし「商品開発にあたっての開発費用や人件費が高い」ことであれば、「現状の開発の工程を見直す」や「人間に代わって機械を活用した開発方法に切り替える」などの方法を考えるための土台となります。

真の課題を見極める方法は、課題を客観視することです。思い込みや先入観を外して、中立的な姿勢で課題と向き合いましょう。課題解決への道筋に無駄がなくなり、解決までの時間が早くなるはずです。

課題に対する解決策を出す

真の課題を見極めたら、次は解決策をできるだけ多く出すことが必要です。解決策について考える際は関連部署に所属する人に参加してもらい、複数人で取り組むことも効果的です。さまざまな角度から意見が出れば出るほど、幅広い解決策を出すことができます。

また、解決策を考える際には解決策の方向性や、具体的な解決策になる前段階のアイデア、どんな小さなアイデアもとにかく洗い出してみましょう。その解決策を分析したり検証したりするのは次の段階です。この段階ではアイデアを出し切ることが先決だと言えるでしょう。

チームで解決策を練る場合は、他人の意見を批判しないなど全員が意見を出しやすい環境を作ることも、良いアイデアをだす上で欠かせない点も覚えておきましょう。

解決策を分析する

課題に対する解決策を一通り抽出することができたら、次にその解決策を一つずつ分析、評価していきましょう。解決策を実行する前に、解決策そのものを精査・検証しておくことは重要です。解決策によればコストが掛かるものもあるかもしれません。実行して成果が得られないと、大きな損失を生んでしまいます。事前に検証しておくことで失敗の回避、損失の最小化をすることができます。

分析する際には、解決策そのものを評価するための評価軸を定義します。例えば以下の3つの観点から評価を行うことができるでしょう。

  • どのくらい効果が見込めるのか? (ex. 成長、売上げ)
  • どのくらいのコストが見込まれるのか? (ex . 時間、労力、お金)
  • 別の新たな課題を生まないか?

また、評価する際にはコストや期限といった定量的な視点はもちろんのこと、慣習や心理といった定性的な面も考慮する必要があります。組織の文化や慣習は、良くも悪くも深く根付いているものです。保守的な組織の場合、解決策として新しいことを始めるとなると、すぐに実行に移せない場合もあり、施策自体が頓挫してしまいかねません。

解決策の選択

分析・評価を行い、解決策を精査できたら最後は解決策を選びます。できれば少ない労力で、効果が最も大きい解決策を優先的に実行しましょう。

また、課題に対する解決策は1つとは限りません。無理に1つに絞らず、課題に応じて複数の解決策を選ぶことが重要です。解決策を選択したら業務を分担し、それぞれ期限を設けます。それぞれの業務が完了していけば課題も解決へ向かっていくはずです。

課題が解決されたか検証する

解決策を実行したら、課題が解決されたかどうか検証する必要があります。検証を行わなければ、課題解決がどの程度達成されたかわからないことがあるからです。また、検証を行うと課題が解決していないことが判明する場合もあります。

そんな時は、今まで辿ってきたフローを見直してみましょう。課題を全て洗い出しきれていなかったのかも知れませんし、解決策を分析できていなかったのかも知れません。

フロー以外にも、解決策が「どの部門で」「なぜ」課題解決に結びつかなかったのかを明らかにすることも重要です。その際大事なのは、課題解決策が機能しなかった「原因の追求」です。今後さらなる改善として、どのようなことができるかという観点で原因の追求を行う必要があります。

また、課題は解決したと思っていても、検証を行うと別の新たな課題が二次的に発生していることが判明する場合もあります。この場合は、これまで行ってきた課題解決フローを再度分析することで解決することができるでしょう。

まとめ

課題解決を続ける上で大切なことは、必ずチームで取り組むことです。複数の意見が交われば、アイデアの抜けが少なくなり、生まれる解決策の質も向上します。

一方で、モチベーションを維持し続けることも重要です。課題解決の成果はすぐに出ないことが多いからです。前述した通り課題解決フローは4つの段階に分かれており、どの段階も外せないため、時間もかかります。議論が必要な場合もあるでしょう。その途中段階でモチベーションを保てなくなってしまっては、課題解決はあり得ません。

そのため、リーダーや当事者はチームメンバーのモチベーションをコントロールする必要があります。課題解決に関わるメンバーが当事者意識を持って業務にかかることができれば、きっと解決は早まるはずです。

営業組織にとっては、多くの場合「売上げの拡大」が課題の一つではないでしょうか。しかし、解決のための戦略を立てても、現場に徹底させることは難しい場合も少なくありません。そこで「《中小企業経営層向け》デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック」では、売上げ拡大戦略を実行に移すまでのポイントをまとめております。ぜひ、自社の売上げ拡大のために役立ててください。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。