ルート営業とは?ルート営業の重要性と求められる営業スキル

ルート営業 とは

企業が成長するためには新規のお客様を獲得するだけでなく、既存のお客様からの売上げを拡大していくことも大切です。

米国コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニー社のフレデリック・F・ライクヘルド氏が提唱する「1:5の法則」によると、新規開拓は既存顧客と比較して売上げをあげるためのコストが5倍もかかるそうです。営業マンなら体験的に納得できる比率ではないでしょうか。一度取引を始めたお客様を大切にすることが、いかに重要なことかが改めてわかる数字です。

ルート営業とは、既存のお客様のみを担当する営業です。与えられる目標数字は大きく、企業の中でも安定的な売上げを期待される屋台骨のような存在だと言えるでしょう。

本記事では、ルート営業の重要性とルート営業に求められる営業スキルを紹介します。

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ルート営業とは

ルート営業とは、既に取引のある既存のお客様のみを定期的に訪問する営業のことです。企業の方針によってエリアの全ての企業を担当する場合もあれば、大口顧客のみを担当する場合もあります。大口顧客のみを担当する営業は「既存顧客深耕営業」と表現される場合もあります。

ルート営業というと広く浅い営業の印象がありますが、企業によって仕事の領域も求められるスキルの幅や深さ、社内での位置付けもさまざまです。

(例)

  • 流通系のルート営業
    スーパー、ドラッグストアなどの店舗に自社商品を置いてもらう交渉を行います。営業だけでなくイベントを企画したり、ときに自ら店舗に立って応援販売を行ったりすることもあります。
  • 技術系のルート営業
    メーカーの開発部門、製造部門などに対するルート営業では技術的な知識が必要です。既存商品の販売はもちろんお客様のニーズをもとに商品を改良するように、自社の技術部門とお客様の開発部門のコーディネーターのような役割も果たします。
  • 大型顧客担当のルート営業
    自社の売上げに大きな割合を占めるような大型顧客担当のルート営業です。1社だけで数社分の売上げに相当する企業であることが多く、営業マンも専任もしくは少数の大型顧客のみを担当します。
  • エリア担当のルート営業
    コピー機や求人広告など、どのような業界の企業にも一定程度ニーズがある商品の場合は、一つのエリアにかなりの取り引き企業数がある場合も多いため、地域担当のルート営業マンがいると効率的です。
  • 納品兼ルート営業
    オフィス用品、工場の資材など継続的に注文がある商品は営業マンが納品も担当し、担当者や現場担当者と会話をしながらリピート注文を獲得します。商品の不具合や要望などもヒアリングし担当部署にフィードバックします。

上記以外にも他種多様なルート営業のスタイルがあります。

ルート営業の重要性

企業の売上げの内、かなりの割合が既存顧客の売上げで占められている企業も多いのではないでしょうか。企業は既存顧客の安定した売上げがあるからこそ、アプローチから受注まで長期間かかる新規開拓営業に人材やコストを投資できる企業もあります。

また、既存顧客の売上げが伸びているということは企業への信頼の証です。

新規取引のときから大きな予算を出してくれる企業はそう多くありません。一度取引して満足したからこそリピート発注やより大きな発注につながります。既存顧客の売上げ拡大は、それだけ担当の営業マンがお客様を満足させ続けたということであり、顧客満足度の表れと言ってもよいかもしれません。

新規開拓より売上げを上げやすいとはいえ、既存顧客を担当するルート営業は非常に大きな責任を担っておりプレッシャーはかなりのものです。

一般にルート営業は多数のお客様を担当しますが、その中の大型クライアントは営業マンだけでなく企業にとって大事な財産に相当します。予算が多い企業には競合他社が熱心に営業を仕掛けてきます。気を緩めているとシェアを奪われてしまうため、営業マンは常にお客様に役に立つような提案やフォローする必要があります。

競合企業の斬新な提案に負けないような「進取の姿勢」やお客様に対する「深い理解」が必要です。万が一お客様が他社に切りかえてしまったり、自分が担当する年度に売上げが大きく落ちてしまうと、営業部門だけでなく会社全体に大きな損失を与えます。営業マンにとっても痛恨の事態となるでしょう。

新規開拓営業が攻めのセールスであるのに対し、ルート営業は売上げを拡大する攻めの部分と守りの部分がある難易度の高い仕事です。そのため企業にとって重要なポジションであり、大型クライアントの担当には優秀な営業マンが選ばれるのが常です。

ルート営業と新規開拓営業の違い

ルート営業と新規開拓営業はおもに以下のような違いがあります。同じ営業なのですが力の配分が異なるイメージです。

ルート営業:

  • すでに取引があるお客様を担当して売上げを維持拡大していく
  • 担当社数が多くさまざまな個性のお客様に対応できるコミュニケーション能力が必要
  • 営業目標は前年ベース(成長率10%~20%等)で設定される  
  • 多数のお客様をフォローするため営業力+管理能力も必要

新規開拓営業:

  • 取り引きのない企業にアプローチし商品を販売する継続的な努力やコストが必要
    アウトバウンド手法:テレアポ営業、飛び込み営業、メール営業
    インバウンド手法:DMや展示会、Web広告などの反響に対する営業
  • 自分と相性が合う業界や社風の企業担当者と新規取引が始まることが多い
  • 営業目標は一般にルート営業よりは低い
  • 伸びる業界・企業を見つけ出す嗅覚やマーケティング力が必要

企業によっては一人の営業マンが新規開拓も契約後のフォローも継続して行いますが、顧客数があまりに増えると営業マンが既存のお客様をフォローをする時間的余裕がなくなります。

そのため企業によっては営業を分業し、既存顧客のみを担当するルート営業部門を設けたり専任の担当を付けたりします。どちらがよいということではなく、その企業の規模や顧客数、営業マンの人数によって効率的な体制は違ってきます。

ルート営業で求められるスキル

ここでは、ルート営業に求められる6つのスキルを紹介します。

ヒアリング力

ルート営業での提案の起点は、お客様の現状や悩みを聞くことです。ルート営業の場合は新規開拓営業と異なり、ある程度信頼関係ができているのでヒアリングの質問に対して答えてもらいやすい立場です。

逆に言えば、お客様は長く取引しているから自社のことをよく理解しているという前提で営業マンを見ます。新規開拓営業に比べて深い質問をしなくては、役に立つことはできません。深い質問をするためには、お客様の業界全体や競合他社の情報などにも詳しくなる必要があります。ヒアリングの精度が今後の提案に繋がってきます。

共感力

ヒアリングと同時に共感することも大切です。取引が既に行われているということは、お客様の事情を営業マンはよく理解しているはずです。ビジネス上の課題にそうそう簡単に解決できるものはありません。お客様の現状の課題や悩み、目標などに共感し、どのようにお客様のお役に立てるのかを考えることが大切です。

一方、親しくなるとお客様から会社についての愚痴などをこぼされることもあります。多少は聞くべきですが、共感しすぎると仕事の相談相手というより愚痴の聞き役というポジションになってしまう可能性もあります。ネガティブな面には共感しすぎないように気を付けることも大切です。

課題発見力

お客様は自社についての知識、情報は豊富ですが自社の課題には気付いていない場合があります。人は意外に自社の長所も短所も会社の中にいると気付きにくいのです。

営業マンが、客観的な立場からお客様が気付かないような課題に気付くことがあります。その場合は、課題と思われる箇所を営業マンから上手に指摘してあげる必要があります。もちろんお客様が課題に気付いている場合は、その課題に対してどのようにお役に立てるのかを考えて提案します。

また、お客様によっては問題がたくさんあることはわかっていても、何が原因でどうすればよいかわからないという曖昧な気持ちを抱えて悶々としている場合もあります。企業内の問題はいろいろな要因が複雑に絡んでいることが多いからです。だからこそお客様は、外部の営業マンに話をふってくれるとも言えます。その場合は、お客様と一緒に根本的な課題は何か発見する力が大切になります。

営業マンとしては、似たような課題の解決事例を提示して意見を求めてみるなど、何かお客様のヒントになるような情報を提供することが大切です。

提案力

課題がわかったらその課題に対して自社から解決策を提示する必要があります。ルート営業はお客様との付き合いが長いため、提案に対するお客様の期待は高くなります。「うちのことをわかってくれているはず」という思いが前提にあるのです。そのため付け焼刃ではない、十分お客様を理解した適切な解決策を提示する必要があります。

常にお客様の業界情報をチェックし変化を速めに察知し、お客差様の業界での立ち位置を理解し、現在抱えている課題に対して解決策を提案しなければならないので、営業マンには情報収集力をベースとしたソリューション営業、インサイト営業などができるスキルがあることが望ましいでしょう。

もちろん、企業の問題は突き詰めると経営方針の問題に帰結しがちです。しかし、例え対処療法であっても、成功すれば違う部署に波及し、ボトムアップで企業全体が向上する可能性はあります。営業担当者として最大限できることをすれば、それが次の展開につながっていく可能性は十分あります。

情報処理能力

ルート営業は数多くの企業を担当します。新商品がリリースされたり、新しい資料が出たりしたら、ニーズのありそうなお客様に速やかに案内する必要があります。また、定期的に顔を出しているルート営業には、お客様からさまざまな依頼があります。中にはすぐに売上げにならないような相談もあります。

すべてのお客様をフォローするためには、高い情報処理能力や実行力が必要です。案内の手法は訪問でもメールでもSNSでも何でもよいのですが、素早く判断し適宜対応しなければなりません。

大量のお客様を持っていると、連絡業務だけでも相当な時間がかかってしまいます。提案書やメール文章のテンプレート化、訪問すべき案件とメールや電話で済む案件の仕訳など、自分の時間の使い方や業務の進め方を効率化していくスキルも必要です。

マナーや気配り、コミュニケーション力

長年取引している企業は、当然のことながら自社に良い印象を持ってくれています。そこでもし、ルート営業の営業マンが失礼な態度をとってしまうと、企業のこれまでの信頼感やイメージを損なってしまいますので、常に基本的なマナー、気配りを徹底することが必要です。

担当する社数が多いと相性の合わない担当者も出てくる可能性が高いため、ルート営業はさまざまなタイプの担当者に合わせる必要があります。コミュニケーション力がかなり必要だと言えるでしょう。

コミュニケーション力

ルート営業の効果を上げる営業管理とは

ルート営業は各取引先企業の課題、悩み、ビジョンはもちろん、担当者の社内の立場、担当者以外のキーマンの把握ほか押えておくべき情報が非常に多いことも特徴です。

人脈相関図の把握

長く取引があるお客様の場合、担当者だけでなく担当者の上司の方や現場の方、役員とも面識ができることがあります。前任者が上司や自社の社長を同行していれば、上層部同士の関係も強固な場合があるでしょうし、自分がゼロから人脈を構築することもあると思います。

BtoB営業の場合はキーマンは複数いる場合が多いため、この人脈の相関をわかるように営業日報やSFAに記録しておく必要があります。訪問した際に他の部署の方がこぼしていた悩みや課題なども、細かく記録しておくことが大切です。

現場の方の話はお客様の課題を把握するときに役立ちますし、役員の方と話す機会が増えれば、今後の事業戦略を理解しやすくなります。このような人脈はきちんと管理し、担当を離れるときも後任者に引継ぐことが大切です。

パレートの法則(80対20の法則)の理解

企業の売上げの80%は、全体の20%である主要なお客様の売上げ数字であると言われます。ルート営業としてきちんと売上げを上げるためには、上位2割のお客様に注力することは最優先だと言えるでしょう。

担当する企業が多いルート営業の場合、取引額は小さくても古くから取引を継続しているお客様も大切にしなければなりませんが、優先順位を明確にしてたくさんの案件を管理していくスキルが必要です。

まとめ

ルート営業を担当していると「大手顧客を持っているから売上げが上がるのは当然」「新規開拓しないですむから楽」と思われがちです。

しかし、実際のルート営業は高い目標数字を背負い、競合他社に入り込まれないように知識と能力と行動力をフル回転させながらお客様の役に立ち続けなければならない大変な仕事です。何らかの理由で大口企業1社の数字を落としてしまうと、数字を達成することは難しくなります。決して楽ではありません。

ルート営業には情報処理能力、課題把握力、提案力、予定管理力など営業マンとして必要なスキルのすべてが必要です。

一方、長年の取引があり信頼関係ができているお客様が対象なので、大規模な仕事に取り組め、営業としての醍醐味を味わえるチャンスは多くなります。信頼関係がベースにあるので、日々の営みがお客様の役に立っていると実感できるのもルート営業の魅力だと言えるでしょう。

定期的に会うお客様だからこそ、気を緩めず日々基本に立ち返ることが大切です。セールスハックスでは「営業スキルチェックシート」を無料提供しております。ダウンロードしてお気軽にご活用ください。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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