飛び込み営業をやめて取り入れるべき営業スタイルとは

飛び込み営業

長きにわたり一般的な営業スタイルとされてきた飛び込み営業。しかしながら、営業マンが精神的に追い詰められてしまったり、突然の訪問のためお客様に迷惑がられることもよくあります。

このように消極的なイメージの強い飛び込み営業ですが、まだ成果をあげている企業も多いかもしれません。

今回は、飛び込み営業を行う上でのコツをお伝えした上で、さらに飛び込み営業から脱却した効率的で生産性の高い営業手法について解説します。

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飛び込み営業とは?

飛び込み営業とは、企業や個人宅へアポイントメントを取らずに訪問し、面識のない人たちに対して営業活動を行うことを言います。当然、訪問先の状況が分からないわけですから、企業など法人向けの営業方法としてはあまり効率的ではないと言われています。

また、営業研修の一環として新入社員に飛び込み営業をさせることにより、実践しながら営業の基礎を学べるというメリットもあります。飛び込み営業は、新人・ベテラン問わず営業を学ぶ機会のひとつとも言えるのです。

飛び込み営業が一般的だった背景

かつて、飛び込み営業は一般的な営業スタイルで、幅広い業界で行われる営業手法のひとつでした。10~20年前までは、消費者側が知りたい情報を取得するために営業マンと話をするということが一般的で、企業が商品・サービスに関する情報を持ち企業側が情報提供に優位性を持っていました。

その理由に、当時は現在のようにインターネットが普及しておらず、消費者個人が自由に情報を取得することができませんでした。当然ながら、スマートフォンやパソコンも普及しておらず、20年前はパソコンはひとつの課に1台のみといった状況でした。

このように、消費者の情報取得の手段には限りがありました。当時から飛び込み営業は歓迎されるような手法ではなかったものの、情報の優位性を持った営業マンが新しい情報を伝えてくれることは、情報獲得のために重要なチャネルでした。

それゆえ、企業は入手したリストで知れる限りの情報を元に、住所があれば飛び込み営業を行い、電話番号があれば電話営業を行うことがあまり歓迎されていないにも関わらず可能だったのです。

飛び込み営業が迷惑になった背景

しかしながら、現在ではメールやSNSでいつでもどこでも連絡が取れるようになり、営業方法も多様化しました。このように営業の手法が広がった反面、企業や個人のセキュリティが厳しくなり、企業や個人宅の入り口まで関係者以外入れないなど、飛び込み営業で成果を出しづらくなったという現状もあります。

また、セールスハックスのアンケートによると、「アポイントを取らずに押しかけてくるのは嫌だ」というコメントが多く見受けられました。下記が回答結果の一部です。

  • 約束もしていないのにいきなり訪ねてきて、不在を伝えるととても不機嫌になった営業マン。(20代/女性)
  • アポイントなしで来たにも関わらず、静かに待てない態度に嫌気がさしました。(20代/女性)
  • アポイントもなく名刺だけを置いていくというのを何度もされて迷惑だった。(30代/女性)
  • 飛び込みの営業で入ってきて、ろくに挨拶もなく説明もせずに、自分は偉いんだみたいな上からの態度で、担当者を呼び出してくれと言われたときは、すごく腹が立ったし、嫌だなと思った。(30代/女性)

このように知らず知らずのうちに、強引な商談要求や営業をしてしまっているケースが少なくありません。飛び込み営業ではいつも以上にマナーに気を付けなければならないのです。

一般的な飛び込み営業のコツとテクニック

ここまで述べてきたように、飛び込み営業は悪印象を与えてしまうこともあります。とはいえ、営業マンが新規顧客開拓する際に、お客様本人のメールアドレスや電話番号を獲得できていないことも多くあります。そのような場合には、BtoBの企業ではWebサイトで企業名と住所を確認して飛び込み営業を行うことも手段のひとつだといえます。

また、飛び込み営業の場合は、お客様が会話に応じてくれれば直接対面で商品・サービスの説明やヒアリングを行うことができます。電話営業とは異なり、アイコンタクトや表情などの非言語的な好印象を与えることができることは、飛び込み営業のメリットとなります。

そこで、飛び込み営業を行こなる上で事前に心得たいコツを紹介します。

訪問数と成約率

営業活動を行うからには、売上げを向上させなくてはいけません。飛び込み営業の売上は、「訪問数」と「成約率」によって決まります。

計算式で表すと、「飛び込み営業の売上 = 訪問数 × 成約率」になります。

飛び込み営業からの売上げを最大化するには、訪問数と成約率のいずれか、あるいは両方向上させる必要があり、訪問数をあげるためには、一日にいかに多くのお客様に訪問できるかを考えていく必要があります。例えば、訪問するエリアを絞り込んで、狭い範囲で多くのお客様に訪問ができるように、事前に決めておくことなどを挙げることができます。

飛び込み営業は、どうしても電車や自動車での移動時間が長くなってしまいがちです。範囲を絞り込むことによって、移動時間を短縮し、その分一件でも多くのお客様の元に訪問し、会話できる機会を作ることが大切です。

一方、飛び込み営業の成約率は、各営業マンの営業力に左右されてしまうこともあります。しかし、訪問回数を重ねるごとに、自分自身の強みや持ち味がわかってくるようになります。そこを磨きつつ営業を繰り返せば、成約率の向上にもつながるでしょう。

また、お客様がどのようなことに興味・関心を示す傾向があるのかも見えてくることもあります。興味・関心ごとをつかめれば、突然の訪問でも話を聞いてもらえる機会も増えてくるでしょう。

罵倒を気にしない

飛び込み営業は、アポイントメントを取っていないので、当然、訪問先が不在の場合もあります。また、あっさりと断られたり、場合によっては叱られることも少なくありません。一般的に営業職がつらいと言われる多くの部分は、これらの点を指します。

しかし、どんなに優秀なトップセールスマンでも、訪問すれば必ず成約となるわけではありません。自身が営業する商品・サービスのニーズがお客様になければ、そもそも断られて当たり前です。断られた理由を見極めた上で、時には自分の責任ではないとポジティブに開き直ることも大切です。

トーク力

飛び込み営業に限らず営業全般に言えることですが、トーク力を養うことが何より重要となります。定期的にロールプレイングやシミュレーションを行い、自分自身の営業スタイルを見直すことを心掛けましょう。

特に、飛び込み営業の場合は、興味・関心もあるかわからないお客様に対してアポイントも取らず訪問することになります。そのため、お客様がその時に取り組んでいる仕事や作業を止めてまでも、話を聞く姿勢にできるトーク力が必要です。

可能な限り事前にお客様の情報を入手して、どのようなことに課題や悩みを感じている可能性があるのか、その課題や悩みに対して自社商品・サービスでどのように解決することができるのかを端的に伝える必要があると言えます。

営業スタイルの変化と種類

営業手法は時代とともに大きく変化し、多様化してきました。そして現在、営業の形は大きく2つのスタイルに分類することができます。

アウトバウンド型

アウトバウンドとは「内から外に」という意味。アウトバウンド型とは、その名の通り、企業側からアプローチしていく営業スタイルのことを指します。プッシュ型営業とも呼ばれ、飛び込み営業やテレアポ、展示会開催やダイレクトメール発送などがこのスタイルになります。アウトバウンド型は、昔から使われてきた手法と言えます。

インバウンド型

アウトバウンドとは逆に、インバウンドとは「外から内に」という意味です。したがって、インバウンド型とは、企業側からのコンテンツ発信により、ニーズのある見込み顧客を引きつける営業スタイルを指します。プル型営業とも呼ばれ、CMやWeb広告、ソーシャルメディアなどで反応のあった見込み客に対し、アプローチするという流れとなります。インバウンド型は、関心の高い見込み客が流入する可能性が高いと言えるのです。

アウトバウンド型とインバウンド型

飛び込み営業から脱却するには?

先述の通り、飛び込み営業は訪問先に悪印象を与えかねません。また、成果が出しづらいきつい仕事となる部分があります。この飛び込み営業から脱却し、効率的かつ成果の出やすい方法をご紹介します。

社内業務のIT化

IT技術の急速な発展により、営業活動をサポートするさまざまなITツールが登場しました。これらのツールを活用することにより、オペレーション部分を効率化・自動化することができます。MA、SFA、CRMといったツールが代表的なものです。

オンラインストレージ

オンラインストレージとは、これまで紙で管理していた書類や文書をインターネット上でデータとして管理することができる保管場所のことです。

営業マンがこれまで紙で持ち歩いていた注文書や提案書も、紙を使わずにデータとして管理することができるようになりました(ペーパーレス化)。紙で管理すると印刷のコストがかかったり、必要な際に実際に「資料そのもの」が手元になくては確認することもできません。

一方、資料をデータ化しインターネット上の専用の保管場所に入れておくことで、スマートフォンやパソコンがあれば、いつでもどこでも資料を確認することができます。営業チームに資料を共有したい場合もメンバーが、オンラインストレージを確認することで資料を共有することができます。

MA(マーケティングオートメーション)

見込み客自身の属性情報や見込み客から収集した情報の一元管理、育成、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み顧客)の絞り込みまでの活動を、効率的・自動的に行う役割を果たします。見込み度合いの高い見込み客をあぶり出せるため、商談創出活動の生産性を高めるツールです。

SFA(セールス・フォース・オートメーション)

営業支援システムのことで、既存顧客・見込み客への営業活動に関する情報を記録・管理することができ、過去の商談の記録や進行中案件の進捗状況、営業活動で得た有益情報、アポイントメントや納期などのスケジュールなど多くの情報を管理・編集できるツールです。

これまでの営業活動の記録が一箇所に管理されているため、営業マンはこれまでの営業活動の流れを把握することができ、商談の決定率を上げることができます。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)

顧客関係を管理するツールで、自社と顧客との接点を軸にあらゆる情報を管理することで、顧客とのつながりの強さを高めてリピーターを増やしたり、ロイヤルカスタマー(忠誠心の強い優良顧客)を育成したりするために用いられます。

このように、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化することは、生産性の向上に大きく寄与します。しかしながら、限られたコストや時間の中でこれらを活用するには、自社の営業活動のどこを効率化したいかを明確にして、ITツールの活用を検討することが大切となります。

MA/SFA/CRM

Web集客の強化

営業の生産性を高めるために必要となってくるのが、Web集客です。例えば、先に触れたインバウンド型営業を行うためには、Web集客の強化が必須となります。自社Webサイトの見直しには、自社の商品やサービスを分かりやすく紹介するWebサイトや、自社のノウハウを伝えられるようなeBookの作成・掲載が挙げられます。

さらには、SNSでの特設ページやオウンドメディアの立ち上げなど、ユーザーが求めているコンテンツ発信を行うためのメディアづくりが必須となります。

SNSは、フォロワー数が重要となることから、長期的な施策が必要です。同時に、ただ更新しているだけではユーザーが増えにくくなるため、世の中の興味・関心の傾向を把握したり、拡散されやすい投稿をしたりする必要があります。

場合によっては、有料のWeb広告・SNS広告を利用することも必要となるかもしれません。そうすることで、短期間でターゲットとなる見込み客を獲得することが可能になります。

  • Web広告:指定した検索キーワードを調べた人に自分のサイトを表示させる検索型広告や、指定したサイトの広告枠に自分の広告を表示させるディスプレイ広告などがある
  • SNS広告:Twitter、Facebook、Instagramなどさまざまなプラットフォームが存在し、自社の提供する商品・サービスの特性やターゲットに合わせて選択する

最近では、インフルエンサーに自社の商品・サービスを実際に使用させてブログやSNSなどでPRしてもらう、インフルエンサー・マーケティングという手法もあります。

営業部隊の分割

営業活動の効率化を考えたときに、新たなツールの導入や今までの営業手法の見直しの他に「営業活動の分業」が挙げられます。一連の営業プロセスを分業して適切な人員を配置することで、業務の効率化のみならず営業生産性の向上が図れるのです。

一般的な分業方法に、インサイドセールスとフィールドセールスがあります。インサイドセールスは内勤営業、フィールドセールスは外勤営業のことを指し、多くの企業では、この2つの手法を組み合わせた営業活動をする場合が多いと言われています。

インサイドセールスは、訪問せずに電話やメールなどオンライン上でコミュニケーションを進め、見込み客関係の強化・維持を行いながら商談機会を創出することが主な目的となります。

例えば、自社のAという商品を掲載しているWebページを閲覧していた人に対し、Aの内容に合わせた補足情報を電話やメールなどで提供するなど、インサイドセールスは見込み客の状況に合わせたアプローチをする必要があります。

インサイドセールスとフィールドセールス

インサイドセールスでクロージングまで行うパターンもありますが、商品・サービスや業種によって異なります。フィールドセールスがインサイドセールスから共有された見込み客に訪問し、提案・クロージングを行うのが一般的です。

まとめ

飛び込み営業は、限られた情報の中で新規顧客開拓を行う上では、有効な営業手法でした。一方で、現在はデジタル技術の普及により、さらに営業手法が多様化しています

最新テクノロジーの活用により、より効率的な見込み客の獲得が実現します。また、営業活動の分業を実施することで、生産性の高い営業活動を実現させることができるのです。

迷惑がられがちな飛び込み営業から脱却し、こうした新たな営業手法が取り入れてみてはいかがでしょうか?
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