組織づくりで営業組織を強くするためには

組織づくり

「強い営業組織」と聞いて、何を思い浮かべますか?会社組織の話をする際に、野球チームを例にすることがありますが、全員がスタープレイヤーというチームはなかなかありません。それぞれに得意・不得意な分野があり、それぞれの弱点を他者の強みで補い合いつつプレーしているはずです。極端に言えば、全員が強打者のチームがよいとは限らないということです。

営業組織についても同じことが言えます。営業マンそれぞれに得意な「お客様のタイプ」「商材」「業務」「営業方法」があることでしょう。それぞれが同じ目標に向かって得意分野を活かしていくことが、営業組織を強くします。しかし、組織はさまざまな人の集合体。一つの目的を共有し、適切なマネジメントを行うことは難しいものです。

本記事では、組織づくりを行う際に立ちはだかる課題や、その課題を乗り越えるために必要なポイントについて解説します。

組織づくりとは

組織づくりとは、組織のあり方を見直し、組織が有用に機能するように改善することです。

経営学者のピーター・ドラッカー氏は「組織は目的ではなく手段」「問題は、その組織は何かではなく、その組織は何をなすべきかである」と述べました。営業組織における最大の目的は「売上拡大」です。そのため、営業組織は売上拡大のためにつくられている必要があります。

組織づくりを行う際には、組織のなすべきことを明確化し、それを達成するために必要な「能力」を把握する必要があります。次に、その能力に当てはまる人材に役割を分担し、それぞれが能力を発揮できる環境をつくります。

組織づくりを行う意味

ドラッカー氏は、組織づくりを行う意味について次のように述べています。

「組織とは、人が関わる集合体である。協働することで、強みを発揮させた上に相乗効果を生み、弱みを無意味なものにすることができる。結果、大きな成果を上げることを可能としている」

つまり、人間それぞれの持つ能力には限界があるものの、全員が強みを発揮することでお互いの弱点を補い、組織でしか実現しえない大きな成果が挙げられるということです。

実際、会社の中にはさまざまな人がいます。中堅社員からベテラン営業マン、新入社員、それぞれが大事な組織の一員です。互いに弱点を補うことで、継続した成果を出せます。もし組織づくりを行わなければ、それぞれが方向性を失い会社として成り立たなくなってしまいます。それぞれの社員が好き勝手に働き、成果が一定しない不安定な組織になるでしょう。

営業の組織づくりでよくある課題

営業の組織づくりを行う際によくぶつかる課題として代表的なものを紹介します。

営業の組織づくりでよくある課題

業務が属人化してしまう

営業組織では、営業が属人化してしまうことがあります。「一人のトップ営業マンにノウハウが蓄積され、優良顧客の情報もその営業マンしか知らない」となってしまうと、その人の退職後、誰も引き継ぎをおこなうことができず、さらには急激に売上げを落としてしまう可能性もあります。

営業ノウハウは、属人化してしまいやすい通り、短期間で急激に蓄積させることが難しい面もあります。営業のノウハウを蓄積し直すことになり、その間継続した成果を出せず、組織の生産性が下がってしまう可能性があります。

業務が忙しくて組織づくりまで出来ない

営業マネージャーの多くは、マネージャー業務とは別に自分自身も営業活動を行なう「プレイングマネージャー」である方も多いのではないでしょうか。そのため、マネージャーは自分の営業目標値を意識しながら、組織のマネジメントもしなくてはならず、組織づくりまで十分に時間を割けなくなってしまうことがあります。

後任を担える人材育成が出来ていない

より効率的に組織を動かしていくためには、自ら積極的に判断し、動ける人材を育てていくことが大切です。そのため部下の育成を通じて、後任を担えるようにしていく必要があります。しかし、営業マン全員が自分のノルマ達成や業務に追われ、人材育成が全くできていないことは多いものです。

人材の育成には、その担当者の失敗は付き物です。失敗をすることで学ぶことができるのですが、育成時にはその失敗の責任はその上司がとることが多くなるでしょう。そのため、「自分がやった方が早い」「トラブルになるより自分でやってしまった方がいい」と、部下に仕事を任せず自分で仕事を抱え込んでいる営業マンがいることもあります。

離職率が高い

組織の中では、メンバー間のコミュニケーションや信頼関係が重要です。仕事は、その信頼関係を土台として成り立つといっても過言ではありません。しかし、離職率の高い職場だと短期間で人が入れ替わってしまい、信頼関係構築が難しくなります。

営業の組織づくりで必要な6つのこと

営業の組織づくりで外せないポイントについてそれぞれ紹介します。

営業の組織づくりで必要な6つのこと

理念とビジョンを共有する

組織をつくる上で重要なのが、「会社の理念やビジョンを明確にし、全員と共有すること」です。理念やビジョンには「お客様にとってどういう存在でありたいか」「社会にとってどんな立場でありたいか」といったような経営者の根本的な思いが含まれているはずです。

明文化された理念やビジョンを共有できれば、組織が「どこに向かおうとしているのか」「どこに向かう必要があるのか」を把握できます。理念を具体的に把握できれば、「その理念を実現するためにはどういった行動が必要か」についても自然に明らかになるでしょう。

特に営業組織は、商品・サービスを売ることで、直接お客様の課題解決や社会貢献に結びつく重要な役割を果たしています。会社の理念やビジョンを理解しておくことが、会社のブランドづくりにも貢献することができます。

チーム内で目的と目標を共有する

会社が掲げる理念やビジョンに基づいた目的や目標をチーム内で共有することで、現場の目標達成に近づけます。共有するといっても、目的や目標をただ伝えるだけでは意味がありません。メンバーがその目的・目標に共感し、「目的に向かって行動したい」と思う必要があります。

そこで、共有する際は伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、相手が聞きたい内容に変換して伝えるようにしましょう。大事なのは目的や目標を共有し、メンバーの心の底からの共感を得ることです。

人材の育成(キャリアパス)

「どのような人材を育成するか」「どのようなスキルを身につければ一人前で、何ができる人がリーダーになれるのか」。そのような「キャリアパス」を明確にすることも、組織づくりにおいては非常に重要です。キャリアパスが明確になれば、組織の透明さは増し、部下のモチベーションや責任感が向上するでしょう。

人材の育成と聞くと教育や研修を思い浮かべるかもしれません。実際、営業マンと営業マネージャーでは求められるスキルは異なります。これらはキャリアパスを明確にした上で実施することで、役職に応じた能力を身につけることができます。

客観的な評価

評価を行う際は、評価の元となる「評価軸」を明確にする必要があります。公平な評価基準を設け、組織全体に開示することが大切です。

もし評価軸が明確でなければ、「評価は好き嫌いや主観的な判断によってされたものだ」と誤解されてしまい、部下のモチベーションややる気が削がれてしまいます。そのため誰が見ても公平性が保たれる客観的な評価軸を設定することが大切です。

採用にも力を入れる

採用に力を入れることも組織づくりには欠かせません。人間にはさまざまなタイプがいます。「文化的背景」「価値観」「性別・年齢」の違う人が交わるほど、アイデアや思考が多様化します。それぞれの強みが被らないほど、その組織は強いものになるでしょう。特に、さまざまなお客様とコミュニケーションをとる営業組織であれば、なおさら多様性が求められます。

社内制度を柔軟にする

社内制度を柔軟にし、働き方を多様化させることも組織づくりには欠かせません。テレワークなどの在宅勤務やフレックス制度の導入で働き方の選択肢を増やすと、組織の多様性も広がります。2018年の株式会社i-plugの調査では、新卒就活生39.2%は「多様な働き方の制度が整っていることに魅力を感じる」と答えています。のまた、働きやすい環境づくりは従業員の職場に対する安心感を生み、会社に対する信頼も強まるでしょう。

自身のチームの特性に合わせた組織づくりを行う

組織は人がいなくては成り立ちません。そのため、それぞれのメンバーに合ったマネジメントを行い、組織づくりを行う必要があります。

マネージャーは自分の想像した「こうあるべきだ」という鋳型に、メンバーを無理やりはめこんではいけません。必ず、それぞれのメンバーの持ち味を生かしたチームをつくるようにしましょう。「組織ありき」ではなく、まずは「人ありき」です。

働き方が多様化し、異なるキャリアや年齢、性別、国籍を持った人が同じ組織で働く時代になっています。所属する営業マンそれぞれの強み・弱みをよく観察した上で、チームとしての特性は何か考えてみましょう。

まとめ

営業組織を強くするために大切なことのひとつは、「マネジメントを行う側ができる限りチームメンバーに寄り添う」ということです。目的や目標の共有、人事評価も含め、メンバーそれぞれの立場に立って進めることが重要です。

「組織」と一言で言うと、「大きなかたまり」のようなイメージがありますが、実際のところは「個人の集合体」に過ぎません。そのため、個人に目を向けることが重要です。個人に目を向けることが、組織を考えることにつながるのです。

メンバー個人を観察する際は、多面的に観察することが大切です。ある一面だけでその人を判断するのではなく、さまざまな角度から観察し、総合的に見ることが欠かせません。例えば、個人を売上という評価基準だけで見てしまうと、他の一面を見過ごします。多面的に観察し、良い面は進んでチーム内で共有しましょう。

組織づくりには、トップ営業マンのノウハウを営業部門全体に取り込み、経験の浅い営業マンの商談化率を高めることも欠かせません。そんな営業組織強化の実践的方法を記した営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》をダウンロードできます。ぜひご活用ください。

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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