法人営業で購入決定に影響力が大きい部門は?

法人営業 購入決定 影響力

法人営業では購入決定にさまざまな部門が関与しているため、購入決定プロセスが複雑になります。
CEBがアメリカで法人向けビジネス(B2B)のステークホルダー5,000人以上を対象に行った調査によると、購入には平均で5.4人の承認が必要という実態が明らかになりました。
役職や所属部門も多岐にわたっているとのことです。
また、リンクトインが法人ビジネスの購入サイド企業に対して行った調査によると、購入に関わる部門やその数は業界によって違いがあることがわかりました。
この調査は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、インド、フランス、ドイツにて6,000人を対象に実施されました。
今回はこの調査の結果からポイントをご紹介します。

購入に関与する部門数が最も多いのは製造業

購入に関与する部門数が最も多いのは製造で、その数は4.6部門となっています。
次に多いのが、テクノロジー(クラウド系)で4.5部門、三番目はヘルスケア業で4.2部門です。

購入に関与する部門数が最も少ないのはサービス業

一方、購入に関与する部門数が最も少ないのはサービス業(情報サービス以外)で、その数は3.1部門となっています。
次に少ないのが金融サービス(銀行以外)で3.2部門、三番目は政府機関とテクノロジー(広告テクノロジー)が3.3部門となっています。
同じテクノロジーでも、クラウドは部門数が高く、広告テクノロジーは低いなど、同じ業界でも事業内容によって差が出ています。
金融サービスも銀行の場合は4.0部門と高い方になっています。

購入に関与する部門のトップはIT部門

全業界を対象にした場合は、購入に関与する率が高いのはIT部門で、32%でした。
続いて、財務部門(31%)、ビジネス開発部門(26%)、経理部門(23%)、オペレーション部門(22%)、総務部門(21%)となっています。
しかし、各業界の内訳は比率も部門もかなり異なる内容となっています。
ここから先は特徴的なものをいくつかご紹介します。

製造業では開発部門の影響が大きい

製造では上記の部門リストにない開発部門の影響が、最も大きいという回答が半数を超えています。
続けてオペレーション部門、購買部門、財務部門、製品管理部門となっています。
自動車でも開発部門がトップですが、重要であると回答した率は30%にとどまっています。
製造においては開発部門が重要であるため影響力も高いと考えられます。。
同じように事業の要となる部門の影響力が高い業界は、ヘルスケア、人事系サービス、広告・マーケティング、教育、金融サービスなどです。

小売業では購買部の影響が大きい

小売業では購買部がトップとなっています。
続けて営業部門、総務部門、オペレーション部門、ビジネス開発部門の順位です。

IT部門の影響力が高いのは一部のテクノロジー業

IT部門の影響力が高いのは、一部のテクノロジー業です。
具体的にはクラウドコンピューティング、コンピュータ・ネットワークセキュリティ、コンピュータソフトウェア、ITコンサルティングで、最も重要と回答した率が70%近い業界もあります。
同じテクノロジー業でも、広告テクノロジーは財務部門、オンラインメディアプラットフォームについてはメディア・コミュニケーション部門がそれぞれトップになっています。
テクノロジー以外でIT部門の影響率が高いのは情報サービス業です。
政府機関でも比較的高く、総務部門、ビジネス開発部門に続いて3番目となっています。

今回は、法人営業で購入決定に影響力が大きい部門についてお伝えしました。
業界によって購入に関与する部門の数だけでなく、部門や重要性も大きく異なります。
わかりにくい場合は、まずは事業の要となる部門をターゲットとするのが効果的のようです。
それから、その他の購入に関与する確率が高い、IT、財務、ビジネス開発、経理部、オペレーション、総務の担当者を探り、意思決定者へと少しでも早くアプローチできるようにしていきましょう。
手ごたえがない場合は、アプローチをした部門の数を振り返ってみましょう。
最低でも3部門が関わっており、多い場合は約5部門が関わっていることを頭において営業活動を行うことが大切です。
同じ部門で複数の連絡先を取得していても、不十分である可能性があります。

意思決定者については、「意思決定者が複数いる場合に考えるべき4つのポイント」「意思決定者の4つのタイプと対策」もご覧ください。

    営業スキルチェックシート

原誠

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