意思決定者が複数いる場合に考えるべき4つのポイント

意思決定者 複数 ポイント

意思決定者の4つのタイプと対策」でもご紹介したとおり、顧客側の意思決定者は1人ではないことが当たり前になってきています。
CEBがアメリカで法人向けビジネス(B2B)のステークホルダー5,000人以上を対象に行った調査によると、購入には平均で5.4人の承認が必要という実態が明らかになりました。
さらに、意思決定者が2人以上になると、購入の確率も大幅に下がることもわかっています。
このような状況の中では、戦略的に営業活動を行うことが大切です。
今回は、意思決定者が複数いる場合に考えるべき4つのポイントをご紹介します。

1. 役割を特定する

一言で意思決定者といっても役割はさまざまで、役割別にほぼ4つのタイプに分類されます。

a. 決裁者

役員や部門長など、意思決定者から薦められた提案を承認する立場にある人です。
関わり方はさまざまで、承認するだけの場合から、選定プロセス全体を監督している場合があります。

b. 選定者

購買対象となる、商品やサービスの選定の責任者です。
営業活動の早期から接触することが多く、多くの営業マンが選定者の説得をゴールにしがちです。
実際は、選定者の説得は最初のステップであることを忘れないようにしましょう。

c. インフルエンサー(影響力のある人)

購買の承認や決断には関わらないものの、購買へ影響を与えます。
例えば、技術的知識のある人、予算やROIを管理する立場にある人、商品やサービスのユーザーなど、社内の多様な意見や立場からの意見や考察を提供できる人です。

d. ゲートキーパー(門番)

意思決定者や決裁者、インフルエンサーが無駄な時間を取られないよう、守る立場にある人です。
例えば受付スタッフ、現場担当者などで、提案をする企業の商品やサービスが、自社の最低基準に達しているかを判断し、スクリーニング(ふるいわけ)を行います。
役割を特定したら、優先度の高い課題について考えましょう。
購入や成約に関して、一番関心のあることは何でしょうか?
大抵の場合、そのタイプ独自の関心事項があるものです。

2. 影響度を推測

役割と課題がわかったら、それぞれの意思決定者の購入における影響度を推測します。
高・中・低などとランク付けをするのも一案です。
選定者と同じ課題を持つインフルエンサーがいる場合は、彼らの社内での影響度は高くなる場合があります。
発言力があるなど、個人的な要素が影響度に関係する場合もあります。

3. 関係性を理解

社内政治の状況、組織体制、役割、個人的な結びつきなどから、意思決定者同志の関係性を理解しましょう。
簡単にわかることではありませんが、下記のポイントも参考にして情報収集をしましょう。
・意思決定者の上司や部下は?
・業務で関係が深いのは?利害関係があるのは?
・意思決定者にアドバイスをする立場の人は?
・社内で実績があるのは?昇進が早いのは?

4. 購入支持レベルを推測

次に、購入を支持してくれるかどうかを推測します。
あなたの商品やサービスへの好意度と、意思決定者の社内での提案に対する影響力を推測します。

a. 妨害者

好意度: 提案に対する影響力:
現状維持派や、他社の提案の支持者で、反対意見を公言します。一番対応が難しいタイプです。

b. 疑念者

好意度: 提案に対する影響力:
商品やサービスへの好意度は低いものの、ネガティブな影響力が低い人です。

c. サポーター

好意度: 提案に対する影響力:
好意度は高いものの、主体的に他の意思決定者を説得はしません。

d. パートナー

好意度: 提案に対する影響力:
好意度が高く、積極的に購入の後押しもしてくれる、あなたにとっては最高のパートナーと言える人です。

今回は、意思決定者が複数いる場合に考えるべきポイントについてお伝えしました。
意思決定者が多い場合の営業は、決して簡単ではありません。
しかし、営業の初期段階からこの4つのポイントを分析する習慣をつけておくと、最も重要なキーパーソンを特定しやすくなります。
その結果、効果的にアプローチや情報提供がしやすくなり、成約までの時間短縮など、効率化につながります。
行動や振り返りの結果を記録に残し、チームで共有することで、営業活動の最適化を行うこともできます。

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原誠