クロージングの重要性とは?営業のクロージングで契約率をあげる方法

クロージング とは

営業のクロージングは得意でしょうか?営業経験が浅い方だと、まだお客様が商品の価値を感じる前にクロージングをかけてしまい「えっ?」という顔をされてしまったことがあるかもしれません。営業経験の長い方でも、お客様に白黒つけるクロージングが苦手という方は少なくないかと思います。

一方、クロージングの場で「決められない理由はなんでしょうか?」と相手が迷う理由を一つずつ解決していくような強気の営業マンもいれば、「決めるのはお客様で自分は選択肢を提供するだけ」という感じであっさりクロージングする営業マンもいます。「押しの営業」「引きの営業」と言われるように、得意なクロージングのパターンも営業マンによって異なります。

クロージングは提案の最後の意思確認ですが、綺麗に決まると相手の心を動かす効果があります。アメリカの学者が提唱する「ピーク・エンドの法則」によると、物事は終わりの印象で全体が印象付けられるそうです。

今回は、クロージングの重要性、クロージングで契約率をあげる方法を解説します。

クロージングとは

商談では契約を獲得するまでに、「ヒアリング」→「課題把握」→「提案」→「クロージング」→「契約」というプロセスを踏みます。クロージングは、このなかでお客様に「契約する」という決断をしてもらう最も重要な工程です。

「即決でクロージング!」というようなタイトルの本もありますが、クロージングもBtoCかBtoBか、2~3万円の低価格商材かあるいは何百万円、何千万円単位の商材かで、難易度や決まるまでの期間は異なります。もちろん会社や商品のブランド力も影響します。

BtoCで低価格な商材なら即決はありえます。高額でも車などの嗜好品なら即決する方もいると思います。住宅のように高価な買い物となると、その場で結論を出せない方が多くなるでしょう。

一方、BtoBでは担当者がどれだけ提案に前向きでも、稟議書をあげて承認を得るプロセスが必要です。即決は担当者が決済できる金額の範囲内、もしくは口約束になることが多いと言えます。営業マンは事例豊富で論理的な提案書を用意し、クロージングをしてから結果が出るまで一定期間待つ必要があります。

もっとも、BtoB、BtoC問わずオーナー経営者に直接営業している場合は、即決してもらえることが多くなります。特にトップダウンな社風の中小企業オーナー経営者は本人だけで決済できる権限を持っています。

ところが、経営者でも企業規模が大きくなると、即決できない場合が増えます。社員の頭越しに決めると現場のモチベーションが下がるからです。実質的なキーマンは、むしろ現場にいることが多くなるでしょう。

営業する相手の属性によってクロージング時の判断基準、結果が出るまでの時間が違うことを覚えておきましょう。

クロージング時の判断基準

クロージングの重要性

営業活動の目的は契約を得ることです。きちんとお客様にアプローチをし商材の価値を伝え、適切な段階で契約を獲得するためのクロージングを行なうことは、営業の基本です。

しかし、前述のように営業マンにはクロージングが苦手な人も少なくありません。 実は営業マンは誤解しがちなのですが、お客様は多くの企業と取引しているので営業マンにクロージングされることには慣れており、それほど抵抗はないものです。あせってタイミングを間違えたり、強引なセールストークさえしなければ、ビジネス上で必要な意思確認なので、クロージング自体に不快感を持たれることはありません。

クロージングは商機を逃さないために必要なことです。クロージングをしないで何となくあいまいにしたままでいると、営業マンがお客様にとって良いと思った提案が日の目を見ることがなくなったり、お客様にとってベストタイミングを逸することもあるでしょう。例えお客様が乗り気でない場合も、その本当の理由を知ることはできません。

一見、良好な人間関係が継続しているように見えるものの、実はお互い一緒に仕事をできるほどの信頼関係が築けないままになってしまうのです。勇気を出してお客様の本音を聞けるようになりましょう。

もし、クロージングで断られた場合でも、以下のような理由が聞けるので次の提案に活かすことができます。間に合う場合は内容を修正し再提案をするチャンスも出てきます。

  • お客様に商材の価値があまり伝わっていなかった
  • 関心は強いがまだ時期が速い(1~2年後のイメージ)
  • 同業他社の企画が優れていたので受注できなかった
  • 稟議がとおらなかった(予算、ニーズ、受け入れ体制等の理由)
  • 企業理解が足りず表面的な提案しかできていなかった

クロージングで契約率をあげる方法

ここでは、クロージングを行う際に契約率を上げるポイントを紹介します。

クロージング前に必須条件を確認する

BANT条件というお客様の見込み度会いを把握するための条件があります。

一般に購買担当者は勉強熱心なので、単なる情報収集で営業マンと会っている場合があります。営業するに当たって、キーマン(決裁権のある人)と会っていないと契約に結びつく可能性が限りなく低くなります。

また、関心があっても導入が再来年という場合、しばらくは情報提供中心にセールスしていく必要があります。

クロージング前に以下のBANT条件をしっかり確認しましょう。

BANT条件

もちろん、実際の現場は理論通りにいかないこともあります。

再来年と言っていたのに、社長が急に導入したいと言い出して今年になる場合もあれば、「上司が決めるので」と言っていた若い社員が、実は決裁権のある上司に大きな影響力を持っている隠れキーマンのこともあります。BtoC営業でも住宅を販売するときにご主人だけに視線を注ぐと、傍でニコニコしている出資者のお祖父様の心象が悪くなり受注に結びつかないかもしれません。

BANT条件を目安としながらも自分の勘や嗅覚もフルに働かせながらお客様を判断しましょう。特に「予算がない」「今ではない」「ニーズがない」などは営業マンへの表面的な断りである可能性もあります。

テストクロージングをしてみる

商談をしていても、果たしてお客様がどのくらい商品に関心があり検討しているのか分からない時があります。その際は、契約についての本気度合いを掴めるテストクロージングが有効です。

お客様側もアポイントを了承したものの説明途中で「まったく必要ないし、これは時間のムダになりそうだ」「必要になる可能性はあるがまだかなり先になる」など、話を聞いて初めてわかることがあります。

テストクロージングで感触を確かめると、その後の説明時間を調整できお互いにとって効率的です。注意点は、お客様は初めて知る商品・サービスの特徴をすぐ理解できないことも多いということです。そのためテストクロージングは軽めのトークがのぞましいでしょう。

(例)

  • 「ここまでの説明で、何か不明点や懸念される点などはありますでしょうか?」
  • 「御社の課題解決に役立てそうな機能はございましたでしょうか?」
  • 「ご質問がなければこのまま説明を継続したいと思いますが、よろしいですか?」

クロージング後のステップについても説明する

クロージング後のステップについて説明すると、この後どのように仕事が進んでいくのか、どのような効果が見込めるのかといった方向性が明確になります。契約することを前提で話すと、お客様も購入後のイメージがわきますし営業マンの本気度が伝わるため、意思表示をはっきりしなければいけないと思うようになります。

(例)

  • 「ご契約後は、まず現状確認ミーティングを行い、これまでの業務プロセスを再検証していただきます。その後、現状に基づいてどの程度コストを削減できるかをディスカッションしていければと思います」
  • 「ご契約後は、社内で部署横断型のリファラル採用プロジェクトチームを組んでいただくことになります」
  • 「今ご契約されると工事は来月スタートしますので、春先にはご新居にご入居いただけます」

(ニーズがない場合の返答パターン)

  • 「既存のツールでもコスト削減はできる機能はあるからあまり必要ないかな」
  • 「うちの社員たちそこまで余裕がないから難しいね」
  • 「そんなに早くとは考えていなかったな」

(興味がある場合の返答パターン)

  • 「 大体〇%削減できると思う? コスト削減以外のメリットは何かある?」
  • 「それで年間どのくらい採用できると思う?」
  • 「支払い方法はどんな種類があるの?」「工事の進捗は見ることができる?」

検討の時間を与える

契約直前になるとどうしても受注したくなり、早く決めたいという気持ちになるかもしれません。その焦りがお客様に伝わると、自分の成績のために売りたいだけかと疑われ提案内容の魅力まで薄れてしまいます。

押し売りではないので、最終的な契約の意思決定はお客様にしていただくという姿勢が大切です。じっくり考えて判断したいお客様もいますので営業マンはどっしり構えていましょう。お客様に迷いがみられる場合は意思決定の手助けになる情報を積極的に提供するとよいでしょう。

(例)

  • 「今決めなくて結構です。ご自宅にもどってしっかり検討されてください。来週お電話します」
  • 「以上の理由で当社サービスはお役に立てるかと考えております。ぜひ同業他社様の提案と比較検討の上ご判断ください。改めてご連絡させていただきます」
  • 「ご検討されるなかほかに必要なデータや事例などが出てきましたら、いつでもご連絡ください」

お客様に気持ちの余裕を感じさせるためには、本当に営業マンに余裕があることが必要です。

一番よいのは、見込み客がたくさんあり数字に困っておらず、本当に余裕があることですが、そうでない場合は、クロージング案件の後に他のアポイントを入れることがおすすめです。次のアポイントの時間が無意識に気になり、必要以上に粘らず立ち去ることができるため、余裕ある営業マンに見えるでしょう。

 相手にあったクロージングを行う

営業アプローチと同じように、クロージングもお客様に合わせて行う必要があります。ヒアリングしてきた内容をもとにお客様の現状、課題、目標などの文脈を踏まえて適切なクロージングを行いましょう。

(例)

  • 「中途採用の応募のピークは2~3月や夏のボーナス時期ですが、今は第ニ新卒市場が活発なので、若手のポテンシャルの高い層を採用したい場合は通年採用をおすすめします。特に5月の連休明けから大手企業に入社してミスマッチと気付いた若者が一定数転職市場に出てきますので、来月が一回目の掲載時期としてベストです」
  • 「こちらの物件は大学や大使館などが多い文教地区にあります、少し内側に入ると緑が豊富で下町情緒もあふれています。自然に向学心を刺激される環境ですので、気にされているお子様の教育環境について申し分ありません」

また、言葉の受けとめ方は人によって反応が異なるため、日頃から相手の個性を理解しておくことが大切です。

(例)

  • 「ご安心ください」「絶対大丈夫です」
    背中を押してもらいたいタイプのお客様には有効なものの、事実ベースで物事を考えるお客様には「何を根拠に言い切っているのだろう?」と思われる可能性があります。
  • 「当社のサービスがベストです」「当社の商材でなければお客様の課題解決は難しいと思います」
    自信を感じさせるため安心感を持ってくれる可能性はあります。しかし、営業マンが他社商品・サービスをすべて把握していない場合も想定できるので、相手によってはまったく刺さらない場合もあります。

 選択肢を提示する

お客様は何かを購入するときに比較対象できる別な案があると自分の希望がイメージしやすくなります。選択肢を用意するのも有効です。携帯電話の価格プランのようにあまりに選択肢が多くなるとかえって選べなくなりますので、営業マンが2~3案にしぼりこむと親切だと言えます。

BtoBにおいても稟議書を関連各部署の管理職や役員が見たときに「価格が高いのでは?」「機能が不足しているのでは(無駄に機能が多いのでは)?」などの指摘が出る場合があります。そのようなときにも複数のプランが提示されていると担当者が説明しやすいメリットがあります。

クロージングのトークを決めておく

企業によって商品・サービスのソリューションや価値は、ある程度決まっているはずです。軸となるクロージングのトークを決めておくと便利です。

(例)

  • 「導入によりお客様の課題に対して〇〇のような効果が見込めると予測しています。同業他社よりも価格は高いのですが生み出す価値を考えればコストパフォーマンスに優れています」
  • 「このサービスのリピート率が〇〇%以上です。2週間の無料お試し期間でまずお試しください。使っていただければ効率性を実感いただけるかと思います」
  • 「単機能に特化した商品ですがご購入いただいた方の満足度は〇%です。たくさんの機能があっても使わなければメリットはありません。この商品はシンプルで使いやすいところが人気です」
  • 「〇〇までお申し込みいただくと早期割引が適用されます。お早めにご検討ください」
  • 「このようなサービスは購入しても使いこなせない方が〇割です。当社はそのためサポートに力を入れております。ご購入いただいてからのフォロー体制が強みです」

ほかにもクロージングのテクニックには「最初に高額の提案をして徐々に下げていく」「最初に簡単なYESを引き出し人間の一貫性の法則を利用して大きいYESを引き出す」などの方法もよく知られています。トークは会話の流れや自分の個性に合うものが望ましいと言えます。何よりも自然にさらりと言えることが大切なので、何度もロールプレイングするなど気負いなく言えるようになるまで練習しましょう。

まとめ

クロージングとは、営業マンがお客様の話をヒアリングして課題を発見し、真剣に対策を考えて提案した内容についてのお客様の評価をきくことです。営業マンのこれまでの努力の集大成の場面でもあります。もっとも伝えるべきは「この提案はお客様の役に立つ」というプロとしての自信と「一緒にぜひ仕事がしたい」という熱意だと言えるでしょう。

自信を持ってクロージングをするためには、自信を持てる提案ができているかが大切です。営業の各工程をきちんとこなせているか、大事なポイントが抜けていないか提案前に営業スキルチェックシートで確認してみましょう。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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