みなさんは適切な営業管理はできていますか?「そもそも営業管理とは何だろうか……?」「売上げは管理しているけど、どこまで管理したら良いのかわからない……」といった悩みも多いのではないでしょうか?
営業管理が適切にできていないと、営業マンごとに営業成果にばらつきが出てしまったり、営業マネージャーの営業予測の精度が上がらなかったりするなど、さまざまな課題が生じてくる可能性があります。
本記事では、営業管理とはどのようなものなのか、営業プロセスの管理方法、営業管理で有効なシステムについて解説していきます。

営業管理とは
営業管理とは、営業チームの売上げを最大化するために行う管理のことを指します。細かく言うと、営業管理の中には、売上げの管理や営業案件の管理、予算の管理などの営業活動に関わる管理事項を含みます。
特に近年では、個人の営業マンに売上げを依存するスタイルから、営業チーム全体で成果をあげていくことが重視されています。なぜなら、1人の営業マンが獲得できる売上げには限界があり、大きく売上げを拡大させるためには組織全体での営業力の向上が必要になってくるからです。組織力の向上のためにも、営業管理を重要視する企業が増えています。
営業管理における管理項目は具体的には以下のようになります。
これらの項目を正確かつリアルタイムに管理することにより、組織としての営業力を高める効果が期待できます。中でも近年重要性が高まっているのが、営業のプロセス管理です。
従来の営業に関する評価は、目標達成できたかどうかの管理に比重が置かれていました。しかし、プロセス管理は、営業スタッフが目標達成のためにどんな活動をどれだけ行ったのかを確認して評価します。一連の営業活動を分割して、段階ごとに管理・評価をするというのが大きな特徴です。
分割の方法やメリットについては後で詳しく解説しますが、ここで押さえておきたいのは「細分化して管理をすることにより、正確かつ効果的な営業管理が実施できる」ということです。
営業プロセスを分割して管理するには?
営業プロセスを分割するとは、最初のアプローチから受注までの工程を可視化し、段階ごとに分割可視化することです。そして、目標を達成するためにプロセスごとのアプローチ数や歩留まり率が足りているのかを確認することです。
従来の営業管理では、営業の工程が可視化されておらず、目標と成果、見込み顧客数のみの管理がされる場合が多かったかも知れません。
しかし、その状況を例えるならマニュアルを持たずに製品を作っているようなものです。誰も、製品が出来上がってくるまで、いつどれだけのどのような品質の製品が出来上がってくるか分からないという状態になってしまいます。
(営業プロセスの例)
- 見込み顧客のピックアップ
- 資料送付
- 電話、メールアプローチ
- 初回訪問
- 見積書送付
- 提案
プロセス管理を導入する際には、成約に至るまでの一連の営業活動をどのように分割するのかを定義しなければなりません。各プロセスの定義の設定の仕方は、以下のようになります。
- 自社で、具体的にどのような手順で営業活動が行われているのかをチェックする
- 最終的に営業目標を達成するためには、それぞれのプロセスでどれだけの母数が必要なのかを確認し、営業プロセスに落とし込む(場合によっては不足しているプロセスを追加する)
- 営業マン一人ひとりの営業活動の状況を、営業プロセスに反映して共有する
- 成績の出ていない営業マンは、工程のどの段階に問題があるのかを確認して、改善を図る
営業パイプラインの考え方とは?
営業のプロセス管理に似た考え方として、営業パイプラインがあります。営業パイプラインとは、案件が受注するまでの一連のプロセスのことです。
営業のプロセスを可視化するという点では、営業管理のプロセス管理と営業パイプラインの考え方は同じです。異なるのは、営業パイプラインが案件ごとの状況を可視化するものであるのに対して、営業管理は営業チームの組織全体を管理するものであるということです。
営業管理は、営業パイプラインをうまく活用するとさらに効果的です。例えば、商談の受注率が他の営業マンと比べて低い営業マンがいた場合、営業パイプラインによって営業活動を細分化することで、どこに問題があるのかを明確にすることができます。
なぜ営業管理が大事なのか?
営業管理を行うことで、営業組織全体の営業力の底上げにつながり、チームとしての営業成果の向上が期待できるからです。営業管理が組織の営業力の底上げにつながるポイントは3点あります。
① プロセス管理をすることで再現性を高められる
営業プロセスの管理を行うことで、「売れる」営業マンの営業手法をチーム全員で共有することができます。「売れない」営業マンも、「売れる」営業マンの手順やアプローチ法と同じ手法を取ることにより案件化率や成約率を高める効果が期待できます。
② 課題が具体的に分かる
結果のみの管理の場合、「売れない」営業マンは自身の営業のどこに問題があるのかがわかりづらいことが多くありました。しかし、プロセス管理をすれば、どこに問題にあるのかが明確に分かります。
「そもそものアプローチ数が少ない」や「メールの開封率が低い」「商談のクロージング率が低い」といった具体的な課題のポイントが分かることで、改善すべき点に意識を集中させることができます。また、客観的に評価することができるため、営業マネージャーが部下にフィードバックをする際にも有効です。
③ モチベーションを保ちやすい
営業営業マン一人ひとりのモチベーションを保ちやすいことも、大きなポイントの一つです。
アポイント数や売上げ数といった結果に基づいたの管理の場合には、受注時や目標達成時などモチベーションが上がるポイントが限られますが、プロセス管理の場合は行動ごとに目標が設定されます。「電話営業◯件」「メール送信数〇件」など、行動がそのまま目標達成につながります。
また、他のメンバーの行動も可視化されるので、行動量が少ない営業マンは自身の行動量が少ないことが把握できることや、結果のみの評価よりも公平な評価がされやすいといった点もモチベーションアップにつながります。
営業管理に欠かせないシステムのタイプ
営業管理を高い精度で行っていくためには、適切かつリアルタイムに情報を更新、蓄積していく必要があります。営業活動で蓄積されていく情報(営業マンの行動や見込み客の行動、会話の内容など)は膨大な量になり、手動で管理してくことはなかなか難しいということもあります。そのため、ITツールを活用することも有効です。
また、営業管理に欠かせないITツールは必ずしも一つという訳ではありません。用途や目的によって利用できるITツールには様々な種類があります。この章では、営業管理に主に用いられる4つのツールについて解説していきます。
顧客関係管理システム(CRM)
CRM(Customer Relationship Management)システムとは、顧客との関係を管理するためのITツールです。「顧客との関係」というと少し漠然としてしまいますが、具体的には以下の項目を管理します。
- 顧客の基本情報(名前、住所、電話番号、担当者名など)
- 取引、注文履歴
- クレームや要望の履歴
- 商談の履歴
CRMシステムを活用すると、これらの重要データをコンピューター上やネットワーク上で一元管理することができるようになります。
情報が蓄積されると、顧客がどのような人だったのかやどのような会話をしてきたのか、どのような取引実績があるのかが明確になるため、顧客と話す際に円滑にコミュニケーションを進めることができます。
また、CRMは次に紹介するSFAやMAと連携させることにより、さらに綿密なプロセス管理ができるようにもすることが可能です。
営業支援システム(SFA)
SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動に関する情報を支援するITツールのことです。CRMが顧客データベース管理であるのに対して、SFAは、営業活動のシーンを主眼に置いたシステムです。
SFAに搭載されている機能は、次のようなものです。
- 営業スタッフの行動履歴
- 日報管理
- 商談の情報
- 見込み案件管理、受注予測
- 営業活動分析
- 顧客情報の管理
商談情報や顧客情報の管理などCRMと重複・類似している機能もありますが、やはり営業の行動シーンに重きを置いている点が大きく異なります。
SFAには、プロセス管理機能が搭載されているため、SFAを利用すると営業マン一人ひとりがどのような行動をどれだけ起こしているのかを可視化することができます。また、可視化した情報を共有して、営業マンの指導や改善のために活用することも可能です。
多くのSFAでは行動ベースでの管理のみなので、過去の膨大な履歴や顧客ごとの情報を営業プロセスに生かしづらい面がありますが、上述の通りCRMと連携させることで顧客視点での定点的な管理も可能になります。
マーケティングオートメーション(MA)
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング自動化システムのことです。具体的にできるのは以下のような機能です。
- 見込み顧客の創出(Web広告の出稿管理など)
- 見込み顧客の育成(DMやメルマガの送信など)
- 見込み顧客の分類(見込み顧客を興味の度合いや地域・属性・規模などによって分類)
- 見込み顧客の管理(見込み顧客をテレアポリストなど営業活動に使いやすいようにデータベース化)
MAは名前の通りマーケティング活動を支援するツールですが、以下の2点から営業プロセスの管理にも効果を発揮します。
- 長期的に対応が必要な案件において、案件化する前から情報を細かく管理できる
- MAによって取得した顧客情報をCRMと連携することで、細かな顧客情報をデータベース化できる
Webサイト構築システム(CMS)
CMS(Contents Management System)は、Webサイトを構築するためのシステムです。CMSを使用すれば、専門的なWebの知識がなくてもウェブページの更新作業などを行うことができます。ブログ記事の更新・公開などのためによく用いられているシステムです。
CMSを営業管理にうまく活用している企業は、2020年の段階ではまだそれほど多くないかも知れません。しかし、CMSの選び方によっては、アクセス解析やSFAとの連携などのマーケティングや営業に効果的な機能を搭載したシステムもあります。
例えば、CMSで自社のWebサイトを閲覧したユーザーの興味を分析して、ユーザーの興味にマッチしたコンテンツの配信やメールマガジンの発行などをすることで、顧客のニーズにマッチした営業活動を行うことができます。
営業管理を活用するメリット
営業管理を活用した場合、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか? この章では、システムを導入して営業管理をおこなうメリットを3点紹介します。
売上予測が立ちやすい
システムを活用することにより、売上の予測を立てやすくなります。
- 情報が途中経過の段階でリアルタイムに共有されるため、進捗状況が把握しやすい。見込み度合いも管理されて入れば、大まかな見込みから着地点の予想も正確性が高まる
- 営業活動が標準化されることで、営業成績が安定して毎月安定した結果を残せるようになる。営業マン一人ひとりの成績が安定することでチームとしての成果も安定する
- システムによっては「売上げ予測」機能も搭載されており、システムで自動的に着地見込みを計算することができる
早めに的確な売上げ予測をすることで、今後の展開や軌道修正など「次の手」も打ちやすくなります。
属人性からの脱却
システムを利用しない場合、顧客情報や営業の進捗状況が属人化してしまいがちです。属人化してしまうと、些細なことでも各営業マンに確認をしなければならず、継続の注文状況などを他の営業マンが推測することが難しくなってしまいます。
また、営業活動が属人化していると、以下の問題点が生じる場合もあります。
- 顧客の問題やクレームを担当営業マンが一人で抱え込んでいる
- 「売れない」営業マンが、会社の営業方針に従わずに自身の「売れない」営業手法を繰り返している
- トップ営業マンが退職したり異動したりしてしまった際に、組織の売上が大幅に下がる
システム化した場合には、過去の履歴や行動状況がデータベース化されるため、属人的な営業からの脱却が容易になります。
トップ営業マンの手法を組織に浸透させる際にも、システムがない場合はトップ営業マンが自分自身の営業を言語化しなければならないため、知識やノウハウの引継ぎが難しいです。しかし、システムを利用すればフォーマットに沿って各自が入力事項を入力していけるので、スムーズに情報を共有することができます。
営業マンに正しい評価ができる
営業マンを結果のみで評価すると、不公平が生じてしまう場合があります。1件あたりの受注額が大きな商材の場合は、運によって業績が大きく左右されてしまったり、まじめに対応しているか否かに関わらず、効率よく受注が決まったりすることもあるためです。
システムを導入すれば、営業マン一人ひとりがどのような行動を取ったかということが可視化されるため、行動量と成果をバランスよく評価することが可能になります。
つまり、成果が出たからといって手を抜き気味な営業マンに対して高評価をしたり、地道にコツコツと顧客の育成を進めている営業マンを低く評価してしまったりすることが無くなる、と言うことです。正当な評価をすることにより、営業マン一人ひとりのモチベーション管理もしやすくなります
まとめ
営業管理の重要なポイントは、営業活動を分割してプロセスごとの行動や数値を管理することです。
そして、顧客関係管理システム(CRM)や営業支援ツール(SFA)、マーケティングオートメーション(MA)、Webサイト構築システム(CMS)などのシステムを用いることで、効率的かつ正確な営業プロセス管理が行えるようになります。システムを活用することで、営業ノウハウの属人化や営業成績のばらつきの改善や正確な営業予測につなげることができます。
とは言え、すぐにITツールを導入となると営業現場に落とし込むことが難しいこともあります。そのため、まずは現状の営業活動の流れを明確にした上で、自社に必要なツールを選ぶと円滑に導入を進めることができます。
営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》では、当社が営業マンの営業活動の管理をするためのノウハウをまとめた内容になっています。営業活動をどのように細分化するべきかを設定する際に参考にしてください。
また、セールスハックスの運営会社であるコンベックスでは、営業支援ソフト「Digima」を提供しています。クラウドの営業支援ソフトなので、場所を問わずお客様に電話やメールの営業アプローチが可能です。お客様と営業マンの行動が自動的に時系列で蓄積されていくので、文脈に合わせた個別の営業アプローチが実現できることが強みです。Digimaができることを詳細に解説した資料も用意しておりますので、ぜひご覧ください。