部下育成で営業マネージャーが評価するためのポイントとステップ

部下育成 評価

営業マネージャーにとって、部下を成果の出せる営業マンに育成することは、会社やチームの営業目標を管理することと同じくらい重要な役割と言えます。なぜなら成果を出せる営業マンを複数人育成することができれば、その分現在よりも売上げを何倍も拡大していくことができるからです。

部下を育成・強化する上で「評価」は欠かせない要素です。日頃の営業活動への頑張りや営業成績の数字など部下を正しく評価するためには、多角的な視点で評価する必要があります。

今回は、部下育成の際に営業マネージャーが行うべき部下の評価のポイントと、そのステップについてお伝えします。

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部下育成の現状と課題

まず、営業現場における部下育成の現状や営業マネージャーが抱える課題と、その解決のポイントについて解説します。

部下とのコミュニケーション

コミュニケーションは人間関係構築の基本です。当然、営業マネージャーと部下の間でも重要なものです。コミュニケーションが取れることによって、仕事の目標や目的を一緒に目指すことができます。それにより、会社やチーム内での居心地も構築できます。

しかし、「忙しくて、時間がない…」といった理由で部下の話を途中で遮ってしまったり、「マネージャーとしてアドバイスしてあげる」という姿勢で部下の意見を聞かずに自分の意見を伝えてしまう。そうすると、部下は「話しても仕方がない」という気持ちになってしまい、上司とコミュニケーションを取りたくないと感じてしまいます。

まずは、営業マネージャーが部下の意見や気持ちをしっかり受け止めましょう。部下のことをよく知ることで、得意・不得意や好み、価値観、本人も気付いていない才能などを見つけ出すことができます。

例えば、その部下にあった営業先の提案や新規開拓をしていくような営業が向いているのか、それとも信頼関係を構築していくような既存顧客への営業が向いているのかの判断など、部下の特性を自らのチームの役割分担に活かすこともできます。

目標設定

営業活動上の目標が明確でなかったり、部下の性格やスキルに合っていなかったりすると、その後の成長に大きく影響します。最初から高過ぎる目標設定をしてしまうと、当然目標達成ができず、目標達成ができなかったことで自信やモチベーションを下げてしまう可能性もあります。

部下との日頃のコミュニケーションを通して、部下の得意・不得意や仕事への姿勢を理解した上で、本人の業務スキルに沿った目標設定を行いましょう。

例えば、資料作成が得意であれば「よりお客様に沿った内容を考えて組み込んでみよう」といった高いレベルを要求してみます。一方、テレアポが苦手であれば「まずは一日50件を毎日継続してかけてみよう」のような小さな目標設定からスタートさせてみることも有効です。ここでは、本人の得意分野を伸ばすこと、苦手を克服することの双方を意識すべきです。

また、近い将来マネージャーとして活躍できそうな部下であれば、ある程度営業スキルが身についた後に、担当の後輩のトレーナーとして担当させるなど、将来求められるスキルが身につくように目標設定することで、さらなる成長につながります。

褒める・叱る

褒めることと叱ることは、営業マネージャーの極めて重要な役割です。

部下は営業マネージャーに褒められると、自分の努力が認められたと感じることができます。ただでさえ営業職は、お客様に断られたり、達成しなくてはならない予算を持っていてストレスやプレッシャーを抱える職種です。努力している営業マンほど、営業マネージャーから褒められるとモチベーション向上につながるでしょう。

一方、感情にまかせたような理不尽な叱り方をしてしまうと、部下は自分を理解されていないと感じてしまい、信頼関係を失いかねません。実際にどのシーンでどのようなことが適切ではなかったのか、どのようなことが足りなかったのかを提示してあげて、本人ができる限り納得して改善してもらうように気遣うことも大切です。

部下の評価の手法とその例

営業マネージャーにとって、部下への適正な評価は、チームや会社全体を良好な状態に保つ上で非常に重要です。ここではいくつかの評価手法を活用事例とともに紹介します。

評価手法

業績評価

業績評価とは、企業の営業組織や営業マンが達成した営業成果に対する評価のことを指します。

業績の評価の基準としては、「仕事の質」と「仕事の大きさ」を基に考えます。仕事の質とは、仕事の出来栄えの良さや丁寧さのことを表します。一方、仕事の大きさとは、難易度や重要度、利益の大きさが挙げれらます。業績を上げるためには、このどちらか一方あるいは両方を向上させる必要があります。

一例として営業活動の場合、仕事の質は「営業スキル」や「対応力」と考えられます。仕事の質を高めるということは、高い営業力を身につける、あるいは丁寧な対応を行うことだと言えるでしょう。仕事の大きさは「案件の難易度」であったり、受注の際に見込まれる「利益の大きさ」と考えられます。大きな案件だと契約までに必要とされる難易度は高くなりますし、得られる利益も大きくなっていきます。

つまり、高い仕事の質と大きな仕事を営業組織や営業マンが、追求して成果をだしていく必要があります。その成果に対して評価を行うことが業績評価になります。

プロセス評価

プロセス評価とは、最終的な結果だけを評価するだけではなく、その結果に至るまでの過程を評価することです。

営業マンは、予算達成のために目の前の数字を追ってしまいがちです。例えば、検討段階のお客様を数ヶ月にわたって追客するよりも、直近で反響として入ってきたお客様を優先する傾向があるかと思います。これは正しい優先順位づけではありますが、そのまま中長期のお客様を放置していては契約の機会を逃してしまいかねません。

そのため、成果の数字だけではなく、どのように営業マンがアプローチしているのか、案件を管理しているのかといった営業活動のプロセスも評価の対象とする方法も有効です。

特に、経験の浅い営業マンだと、すぐに数字としての成果は見えてこないこともあります。そもそもどのような流れで営業活動を行っていくのか掴めていない営業マンもいるかもしれません。その場合は、「正しい方向性で営業活動を進められているか」といったプロセスも評価の視点としてみてもよいでしょう。

情意評価

情意評価とは、成果や仕事内容に対するものではなく、企業や営業組織の中での仕事に向かう姿勢や、やる気についての評価になります。

企業は、組織で同じ目標、方向性を向いて進んでいくものです。そのため、共に働く同僚は一緒に目標達成を目指す仲間となるはずです。それなのに、組織の中で仕事が雑であったり、やる気のないメンバーがいると組織全体のモチベーション低下に繋がってしまいます。

そのため、企業や組織の目標達成を目指した姿勢ややる気が大切になってきます。情意評価では通常、規律性や積極性、責任性、協調性の4つの項目を使って評価を行います。どの企業であっても、働くすべての人に期待している素質と言えるでしょう。

規律性

組織には一定のルールが必要です。組織は人によって成り立つものなので、各営業マンがそれぞれ勝手なことをしてしまうと、まとまらず成果を最大化させることができません。

また、各会社ならではの営業文化や最適な手法もあると思います。そのため、自社で決まっているルールを尊重して成果に貢献できるような姿勢を評価するべきと言えます。

積極性

自ら仕事を見つけて取り組む姿勢を評価します。例えば、

  • 自ら自社の商品・サービスが当てはまるであろう見込み客の情報を収集してアプローチを行なっている
  • 業務外でも本やセミナーなどを通して、営業スキルを磨く努力をしている

など、上司から言われたこと以外でも大切だと思うことを見つけ実行に移しているのか、新しいことにも率先して挑戦しているのかが評価の着目点になります。

責任性

責任性は、その営業マンの持つ役職や仕事に責任を持ち取り組む、やり遂げる姿勢に対する評価になります。営業マンは予算といった目に見える職責を持っているはずです。安定して予算を達成しているかどうかが大切になってくるでしょう。

自らの職責は何なのかを理解し、その目標を達成しているかどうかが評価のポイントになります。

協調性

営業活動は、個人での仕事であると同時に、会社やチームで売上げを最大化させていくためにはメンバーとの連携も大切になってくる仕事です。

例えば、各営業マンが「自分で実践して効果のあったメールを共有する」とか、電話営業を行なっていて「お客様からよく聞く悩みに対してどのような対応をするのかを議論する」などが挙げられます。

ちょっとした情報でも、自分だけのものと考えずに組織全体で共有したり連携を行なっていくことが大切です。

情意評価は、人間の気持ちからくる行動に対して評価するものであり、業績評価やプロセス評価に比べると基準が曖昧になってしまいがちです。評価者によって評価の視点や評価値に違いが出てしまうという欠点があります。

評価実行の5つのステップ

評価実行の5つのステップ

では、実際に部下の評価を実行するためにはどのようにしたらよいでしょうか。ここでは、適切な部下の評価方法を5つのステップに分解して解説します。

(1)目標設定

まずは、部下が目指す最終的な目標を設定するところから始めます。この目標は、営業マネージャー側が決定して指示するのではなく、部下本人が定めた目標を上司と相談した上で決定しましょう。目標は、会社の方針や本人の能力などに合ったものである必要があります。

たとえば、先月の売上げ実績が100万円だった営業マンに対して、今月の目標予算を500万に設定するなど、本人の能力に合わない目標では、部下は目標に対してモチベーションが上がらず、結果的に達成することができません。さらには、その後の営業活動に対してもモチベーションを下げてしまいかねません。

設定する際には、「契約件数20件以上、売上100万円以上」など、できる限り定量的に設定することが望ましいでしょう。営業スキルなどの定量的な評価が難しい場合には、できる限り具体的に評価基準を細分化して目標を設定することや、代わりとなる数値と置き換えて評価基準とするのもよいでしょう。達成に向け実行しやすくなり、正しい評価へとつながります。

(2)評価基準の設定

次に何を評価するのか(評価基準)の設定が必要となります。部下と相談しながら細かく決定していくことが重要です。ここでは、先述しました評価の方法を参考にすると有効です。

例えば、

  • 毎日目標設定をして、目標達成に向かって取り組めているか(責任性)
  • 業務内外で、自らの営業力をあげるためにさまざまな経験や知識の習得を心がけているか(積極性)
  • 身につけたスキルや知識を実際の営業活動で実行しているか(積極性)
  • 成績の伸び悩んでいる後輩に率先的に声をかけて、客観的なアドバイスをしているか(協調性)

など、日々の営業活動で意識することができる。また客観的に営業マネージャーも評価しやすい基準を設けることが大切になります。

(3)評価対象期間の設定

次に設定するのが、評価対象期間です。評価をするためには、いつからいつまでの期間を評価するのかを決めておかないと、どの時点を評価したらよいのかがわかりません。

評価の期間については、企業の昇給や賞与、決算なども考慮に入れて考えてもよいでしょう。例えば、評価を反映させた上で昇給や賞与を決定したいというのであれば、6ヶ月を評価期間として設定するとよいですし、四半期ごとの締めに各営業マンの売上げをまとめるのであれば、3ヶ月を評価期間と設定してもよいと思います。

評価の期間を明確にしておくことで、部下にとってどの期間評価されているのかがわかり、最終的な評価への納得感に繋がります。

(4)進捗の確認

目標に対しての進捗状況を定期的に確認しましょう。評価期間は、数ヶ月にわたることも多くあると思います。部下の実行の期間だからといって何も進捗を確認しないのは少々危険でもあります。

特に、営業経験が浅い営業マンですと、営業マネージャーとのやりとりの中では頭の中では理解できていても、実際に実行することが難しく、困惑して先に進めていない、あるいは想定外の方向に向かって努力してしまっている可能性もあります。

日々の営業日報による報告のタイミングや週に一回は個別のミーティングの時間を取るなど、目標に向かって正しい方向を向いて、仕事ができているのかを細かく確認していくことも大切です。

(5)最終的な評価

部下と決めた評価基準を元に評価を行います。達成できた基準やできなかった基準、できなかったとしたらどの程度まで達成できたのかを評価していきます。それぞれの評価に対して、なぜそのような評価をしたのかしっかりと理由づけできると、部下に評価を納得してもらいやすくなります。

部下に正確にフィードバックする方法

営業マネージャーの元で評価を行なったら、最終的な評価結果を部下にフィードバックすることが必要です。必ずミーティングの時間を設け、評価の理由や根拠をしっかりと説明することで、結果に対する部下の納得度を上げます。

ミーティングの流れとしては、まずは部下本人に「実際に目標に対してどうだったのか」「実行してみてどうだったか」といった、自己評価を聞くことから始めましょう。営業マネージャーが、先に意見をいってしまうと部下も率直な意見を言いづらくなってしまうものです。時として、部下の思い込みや言い訳に口を挟みたくなりますが、遮らず最後まで聞きましょう。

自己評価の後、評価の結果を伝えますが、まずは部下の評価の中でよかった点から伝えましょう。よかった点から伝えることにより、部下自身が営業マネージャーからのフィードバックを受け入れやすい心理状態となります。

その後、改善するべき点を伝える際には、実際の具体的な事実や事例を提示して、どのように解釈して評価に繋げたのかを説明します。また、部下がなぜそのような対応をしたのかを理解する上でのよい機会にもなり、実際はどのように対応すればよかったのかを話し合って気づかせることもできます。結果的に、部下の成長に繋がるでしょう。

部下評価での成功・失敗事例

部下評価を行う上で、当然上手くいくものといかないものがあります。最後に、これまで紹介した方法以外で効果的な評価の手法の例や、評価制度が頓挫してしまう例を紹介します。

成功事例

成功事例として「多面評価(360度評価)」があります。直属の上司だけでなく、同部門の同僚や後輩、他部門の社員、取引先などさまざまな角度から営業マンを評価することができます。

直属の上司は、一番密接に部下とコミュニケーションをとっているかと思いますが、全てを見ることができているとは限りません。もしかしたら、上司が会議や外出している間に積極的に部下にアドバイスを行なっていたり、商談先で丁寧な対応をしてお客様に喜んでもらえていたり、見えていないところで積極的に努力している場合もあります。

目で見えないところで努力している営業マンは多いものです。「360度評価」では、さまざまな立場からの評価を考慮することができるので、先入観にとらわれず公平な評価を行うことができるのです。

失敗事例

一方で、失敗事例としてよくあるものが、営業マネージャー自身の不満による評価制度の頓挫です。評価者である営業マネージャーが、プレイングマネージャーとして個人の達成するべき予算目標を持っている場合、「売上を優先するか」それとも「マネージャー(評価者)としての立場を優先するか」というジレンマに陥りがちです。

できる営業マン(営業マネージャー)が個人で売上げを上げていくことも大切ですが、企業としては組織全体で一人でも多くの「できる営業マン」を育てていくことが大切です。そうすることで、さらに売上げの規模を高めていくことができます。さらに、今育成している部下が成長して、部下を持つようになると営業組織としても成長します。

目の前の数字を追うことは当然重要ですが、長期的に会社の成長を視野に入れて部下の育成に力を入れることも同時に大切なことなのです。

まとめ

日々の営業活動を行なっていく中で、部下の育成や評価も行なっていくことは業務量的にもかなり大変なことだと思います。

しかし、部下の育成や評価は、部下の成長を助けると同時に、会社やチームの成長につなげていくという重要な役割を担っています。部下の正しい努力を正しく評価して、会社やチームに売上げという形で貢献すること、それが成長できる営業組織ではないでしょうか。
セールスハックスでは、営業マンが身につけておくべき営業スキルを把握できる「営業スキルチェックシート」を用意しています。部下を評価する際の参考として利用いただき、部下の営業スキル育成にもお役立てください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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