ジョブディスクリプション(職務記述書)が必要な理由と記載するべき内容

ジョブディスクリプション 職務記述書 記載

ジョブディスクリプションという言葉を聞いたことがありますか?
職務記述書と訳され、一つのポジションの職務内容を明確化したものです。
日本企業では用意されていない場合も多いですが、欧米企業では採用時だけでなく、日々の業務でも活用されています。
営業の仕事は幅広いので、あえて定義しないでなんでもやるべきという意見もありますが、営業職についてもジョブディスクリプションを作成するメリットが多くあります。
今回は、ジョブディスクリプションが必要な理由と、ジョブディスクリプションに記載するべき内容についてご紹介します。

ジョブディスクリプション(職務記述書)が必要な理由

先ずは、ジョブディスクリプションが必要な8つの理由をご説明します。

1. 最適な人材を採用できる

採用を急ぐあまり、できるだけ幅広い候補から選びたい、と募集要項も広く曖昧にしてしまいたくなるかもしれません。
しかし、具体的なジョブディスクリプションがあると、職務に適さない応募を防ぐことができます。
採用業務の効率化につながるだけでなく、結果的に最適な人材を採用できます。
また、応募者の期待値も適切に管理でき、「思っていた仕事と違う」といったような、入社後のギャップや不満のリスクを大幅に減らすことができます。

2. 選考基準を明確にできる

最終的に一人に絞らなくてはいけない時、明確なジョブディスクリプションがないと、印象論や感情論で採用を決めてしまいかねません。
ジョブディスクリプションがあれば、迷った際、一つひとつの項目を振り返り、判断することができます。
採用の理由、不採用の理由も明確になります。

3. 研修がしやすくなる

ジョブディスクリプションに記載されたスキル通りの人が採用できるとは限りません。
その場合はジョブディスクリプションを必要に応じ変更し、不足しているスキルについては研修を行う必要も出てくるでしょう。
また、異なるポジションに配置転換となる場合も、どんな研修が必要なのかを見極めやすくなります。
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4. 人事評価がやりやすくなる

職務に期待される成果が明確になっているため、実際の結果と比較し、人事評価がやりやすくなります。
人事評価も意識し、数値目標がある場合は、必ず明記するようにします。

5. 法的リスクが軽減できる

ジョブディスクリプションは、給与の設定、昇進、降格、解雇について、客観的に判断する基準となります。
そのため、万が一、社員が不服とした場合にも、論理的に明確な基準を持って判断をしたという証拠となり、法的リスクを軽減することができます。

6. 他部門からも会社での役割と貢献度がわかる

組織図があっても、他部門から見ると、何をしているのかがわからないという場合もあるでしょう。
ジョブディスクリプションがあれば、他部門からでも会社での役割と会社への貢献度がわかりやすくなり、透明性の高い、風通しのよい企業であることができます。

7. 職務の責任範囲が明確になる

責任範囲が不明確だと、手が空いていると思われている人や、仕事を多くこなせる人、頼みやすい人、断れない人などに仕事が集中してしまうことがあります。
ジョブディスクリプションにより、職務の責任範囲が明確になると、社員が守られ、安心してやるべきことに専念できるようになります。

8. キャリア目標を設定しやすくなる

今後目指すべきポジションのジョブディスクリプションを見れば、役割や必要なスキルもわかるので、具体的なキャリア目標を設定しやすくなります。
スキルの取得などの準備もやりやすくなります。

ジョブディスクリプション(職務記述書)に記載するべき内容

続いて、ジョブディスクリプションに記載するべき内容についてご紹介します。
自社の営業活動のために最適な人材を採用、育成、維持していくためには、ポジションごとに詳細に記載することが理想的です。

1. 職位名(肩書き)

職位(ポジション)、肩書き、職位のランクやレベルを明確に記載します。
具体的な方が好ましいですが、同じ業界の似たような仕事と大きく乖離しないよう、ある程度一般的である必要もあります。

2. 概要

2~3文で職位の目的や業務の概要をまとめます。

3. 業務内容

責任範囲、日々の業務で行うことを箇条書きで出来るだけ具体的に書きます。
記載する順番も大切で、重要度の高いもの、頻度の高いものから列挙します。
複数の業務がある場合は、勤務時間のどのぐらいの割合をその業務に費やすかについても明記しましょう。
具体的な数値目標についても記載しましょう。
業務内容が変更になる可能性が多い場合は、「その他割り当てられた業務」という項目を入れてもよいでしょう。
ただし、これによって、職務ランク以上の責任や業務が与えられるなど、不当に仕事が振られることがないよう、何に関する業務なのか、業務のレベル、どのような場合に割り振られるのかについても触れることが必要です。

4. 報告経路

レポートライン(指揮命令や情報共有の経路)も記載します。
管理監督責任がある場合はその対象や範囲も書きましょう。
業務で関連する他の職位や部門がある場合は、その情報も入れましょう。

5. 必要な経験とスキル

業務を行うにあたって必要なスキルや資格を詳しく書きます。
例えばコンピュータのスキルであれば、ソフトウェアやハードウェアを明記します。
業務経験については年数で表現するのが適切です。

6. 理想的な候補者

変化の多い環境で働くことができる、プロアクティブに動くことができる、チームプレイヤーである、など、理想的な候補者に備わっていてほしい、質的な資質もジョブディスクリプションでは重要です。
社風や組織の個性が出る部分でもあります。

7. 給与・待遇

給与の目安はもちろん、待遇や福利厚生で特筆すべきことがあればそれらも記載します。

8. 評価基準

職位の評価や査定基準についても触れることができたら完璧です。
評価の頻度や何を持って評価されるのかをできる限り明確にしましょう。

9. 勤務地と勤務時間

業務を行う場所、転勤の可能性の有無や候補地を明記します。
出張が多い場合は、頻度や場所も書きましょう。
勤務時間も入れるようにします。

今回は、ジョブディスクリプションが必要な理由と、記載するべき内容についてお伝えしました。
人材難の日本では、いかに優秀な人材を採用し、育成していくかが営業現場の最大の課題となっています。
長く会社に残り、活躍してもらうためには、社員を守り、モチベーションを保ちながらキャリア構築してもらえる体制にすることが大切です。
そういった人材獲得や育成の面だけでなく、組織の透明性や企業として法的リスク軽減にもジョブディスクリプションは役立ちます。
外資系企業ではジョブディスクリプションがあることが当たり前なので、外資系企業のジョブディスクリプションを検索して参考にすることから始めるのもお薦めです。
最後に、一番大切なことは、常に最新の状態にしておくことです。
これからの営業現場では、役割、業務内容、必要なツール、スキルも変化していきます。
業務内容の変化に合わせて更新するようにしましょう。

    営業スキルチェックシート

原誠

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