営業マネージャーが知っておくべき売上高営業利益率とは?

売上高 営業利益率

営業マネージャーは、マネジメントするチームについて可能な限り把握する必要があります。その中でも、必ず把握しておきたい情報の一つとして「売上高営業利益率」があります。

売上高営業利益率を知ることは、自社の本業での収益力の高さを客観的に把握するために不可欠だからです。さらに、営業マネージャーが売上高営業利益率を把握することは、営業部門としての売上目標の計算、チームの営業マンの目標管理、部門の採用計画の3点を考える上でも大切です。

今回は、売上高営業利益率について、経理的な予備知識がなくてもイメージできるように噛み砕いて解説していきます。

現在、売上高営業利益率を管理されていないマネージャーの方、これからマネージャーになる方は、マネージャーとしてのレベルを一段階アップできるよう、ぜひ参考にしてください。

売上高営業利益率とは

売上高営業利益率とは、本業(の事業活動)で稼いだ利益の割合を表す指標です。具体的には、企業の売上に対して営業利益が占める割合のことを指します。
※営業利益については、後ほど説明します。

売上高営業利益率によって、企業が通常の事業活動からあげられる利益の高さ、つまり本業での収益力の高さが分かります。

売上高利益率の数値は、絶対的な尺度があるわけではありません。日本国内企業の平均値としては5~6%ほどと言われています。しかし、中には20%を超えるような「優良企業」も存在します(最も利益率が高いといわれるキーエンス社の営業利益率は50%を超えています)。

株式会社キーエンスの業績ハイライト

株式会社キーエンスの業績ハイライト

売上高営業利益率は、高ければ高いほど経営状況は優良であるのは間違いありません。ただ、業界平均や企業規模、会社の状況などによっても異なるため、自社の過去の数値や競合他社、業界平均などを参考にして比較分析をおこなうのがよいでしょう。

売上高営業利益率の計算式

売上高営業利益率は難しそうに聞こえますが、とてもシンプルな式で計算できます。

売上高営業利益率の計算式

営業利益とは、その会社が主として行う事業から生み出される利益のことです。売上から売上原価と販売費および一般管理費(以下、販管費)を差し引くことで算出される利益のことです。なお、売上高営業利益率には、資本調達コストや税金などの費用は反映されません。

  • 売上原価商品を仕入れたり製造したりする時にかかる費用
    例)仕入れ値や製造コストなど
  • 販売費製品を販売するために直接かかる費用
    例)広告費用、販売手数料など
  • 一般管理費会社全般の業務の管理活動にかかる費用
    例)間接部門の人件費、減価償却費、交際費など 

売上高とは

売上高とは、本業で得た収益の合計額のことを指します。例えば、化粧品販売を本業としている会社は、化粧品を販売して得た収益の合計が売上高です。保有している株や金融商品などで得た利益については売上高には含みません。

営業マネージャーであれば、営業実績を常に分析する必要があるかと思います。「売上高」についてもも正確に把握して適切に分析することができるようにしておきましょう。

売上高の計算式

売上高は以下の計算式で表すことができます。

売上高の計算式

見てお分かりですが、売上高も非常にシンプルな式で計算することができます。さらに、客数と客単価を細かくしていくと以下のようになります。

客数と客単価

新規顧客は、初めて自社のサービスを利用した顧客のことをいいます。その後、自社商品・サービスを気に入ってもらいリピートしてくれることにより既存顧客になります。

新規顧客を増やし、他社に奪われる顧客(流出顧客)を減らすために、BtoCではチラシやDMなどの広告戦略を展開します。

また、カスタマーサポート部隊による顧客に寄り添った不安解消のサポートや、企業側からお客様が不安を発信してくる前にサポートをするカスタマーサクセス部隊などの体制を整えることにより、お客様との関係性の構築や維持をすることができ、顧客の流出を食い止めることができます。

次に、客単価です。

客単価

客単価とは、1人のお客様が購入する金額のことです。客単価を向上させるためには、

  • 頻繁に購入してもらうこと(=リピート)
  • 一度に複数の商品・サービスを買ってもらうこと(=クロスセル)
  • 単価の高い商品・サービスを購入してもらうこと(=アップセル)

が挙げられます。

具体的な有効策は業態などによって異なりますが、高付加価値の商品・サービスにするためのブランディングや関連する商品・サービスの整備など、会社をあげたマーケティング戦略や営業力の強化などが必要とされます。

営業マネージャーが数字の定義を知っておくべき理由

売上高営業利益率は、どうしても経理や経営分析で用いる指標というイメージを持たれるかもしれません。しかし、営業マネージャーは、売上高営業利益率を用いてさまざまな営業戦略に応用することができます。

ここでは、どのようなシーンで活用できるのか、その理由を3つの視点で紹介します。

理由① 部門の売上目標計算のため

営業マネージャーが売上目標を設定、管理する際には、売上高営業利益率は参考になる指標になります。なぜなら、売上高営業利益率は、営業活動を中長期的に継続していく上で重要な指標となる「競争力」を表しているからです。言い換えれば、自社の「健全性」や「競争力」を表す指標とも言えます。

どれだけのコストがかかったかが確認できない「売上高」や、本業以外での利益も含まれている「売上総利益」を分析しても、営業マネージャーは自分の部署でどれだけの利益が上がっているのか、利益貢献ができているのか否かといったことを確認することはできません。

売上高営業利益率がどうしても目標に達成しない時には、以下の業務の見直しが必要になります。

  • 余分なコストや不明な費用が掛かっていないか?

売上高営業利益率が低い多くのケースで原因となっているのが管理されていないコストです。例えば、商品管理が悪く機会損失が生じていたり、棚卸の仕方が悪く商品ロスが生じたりしてしまっていたりするケースです。

  • 経費が高くないか?

事業活動で必要な経費を必要以上に消費しているケースです。例えば、必要以上の人件費や高額な商品・サービスの仕入れ値が挙げられます。また、費用対効果の悪いプロモーションや販売費などがあると利益を圧迫する原因なります。必要な経費かどうかをしっかり見極めましょう。

  • 生産性が低くないか?

従業員一人当たりの売上高や売上効率、業務のやり方などに問題があると、コストに対して売上が伸びにくくなってしまいます。多くの場合、売上の獲得が低迷してしまうと、利益率も下がります。

  • 売上総利益(粗利)が低くはないか?

売上総利益(粗利)の見込みに誤算があるなど、そもそも価格設定が誤っているケース。あるいは、想定よりも仕入れコストが高額になってしまっているケースなど、粗利が低くなってしまい結果的に売上高営業利益率を押し下げてしまうことがあります。

理由② 個人の売上目標計算のため

売上高営業利益率は、個人売上目標を計算する際にも役に立ちます。売上目標を設定する際に一つの目安になるのが「損益分岐点(=黒字と赤字の分かれ目=売上と費用がちょうど同額の状態)」です。

損益分岐点を基準に売り上げ目標を設定することにより、赤字にならず利益を生むために営業マンがどれだけの売上をあげなければならないかの目標を立てる際の基準額になります。

目標を設定する際には、当然企業が黒字になり、スタッフの賃金に加えて将来のための設備投資や在庫、資材などの購入費用を踏まえた利益計算をする必要があります。

それらの計算を、おおざっぱにどんぶり勘定で計算してしまったり、勘や思い込みで算出したりしてしまうと大きな計算違いをしてしまう可能性もあり、営業マンからも不満が噴出する可能性があります。

そうした事態に陥らないようにするため、売上高営業利益率から損益分岐点を明らかにしておく必要があります。

理由③ 採用目標の計算のため

売上高営業利益率は、採用目標を計算する際にも参考にしなければならない数値です。なぜなら、人材を雇用するためにはコストがかかり、採用の際には必ず費用対効果を考えなければならないためです。

売上を伸ばすため、販路を拡大するために、人材を採用して増員することはよくあることですが、意外とこの時に採算をチェックしていないケースがあります。

売上高営業利益率を無視して採用の際に人材を増やしてしまうと「売上が増えても利益が上がらない」といった事態に陥ってしまいます。

人材を採用した際のコスト増や売上見込みなどをシミュレーションし、最適な必要人員を導き出した上で採用目標を計算すると効果的です。場合によっては、売上を増やすことを諦めて、採用計画を見送るなどの対処が必要なケースも考えられます。

中期的な視野を踏まえたリスクと利益の最大化を考える上で、採用目標計画は非常に重要です。

まとめ

売上高営業利益率は「営業利益÷売上高×100」の式で計算することができます。

計算式としては非常に単純ですが、営業マネージャーにとっては営業成績を把握するためにも必要な数値です。また、チームとしての営業目標、一人ひとりの目標管理、採用計画といった、マネージャーとして最も重要な3つの仕事に直接関連する数値でもあります。

売上高営業利益率を知ることにより、営業マネージャーは直感ではなくデータ・数字に基づいたマネジメントが行えるようになります。

そして、営業マネージャーには結果の管理だけではなく過程の管理も求められます。

例えば、成約には至ってはいないものの案内メールを送付した顧客の件数とメールの開封率、営業電話のコール数と本人通話数、アポの獲得数と獲得率、顧客獲得コスト、新人営業マンの育成までにかかった費用などその項目は多岐にわたります。

こうした指標のことをKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)といい、効果的なKPIを設定し管理することで営業活動がシステム化され営業マンの育成やチームの最適化につながります。

とは言え、どのようにKPIを設定し管理すればよいのか……という点は非常に難しい部分だと思います。そのような営業マネージャーの方にお薦めしたいのが「本当に使える、意味のある営業活動KPI集」です。

ぜひ気軽にダウンロードして、KPI管理に活用してください。

    営業KPI

戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在、東京と海外を行き来しながら場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。

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