営業利益の算出方法とは?営業マネージャーが知るべき営業利益を解説

営業 利益 算出

営業マネージャーにはさまざまな能力が要求されますが、もっとも重要視されるのは売上げ、利益を上げる能力です。「大きな売上げを立てている」「会社を儲けさせている」「自分たちが会社を支えている」。これこそが営業マネジャーの自負でもあるでしょう。利益を出せているかどうかで社内での発言権も違ってきます。

しかし、会社の利益にはいろいろな種類があり決算書の数字だけを見ても、実際にどのくらい貢献できているかは掴みづらく、自分や自部門の利益をわかっていない新人営業マネージャーの方もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では、営業マネージャーが知るべき営業利益について解説します。

営業利益とは

営業利益とは簡単に言うと会社の事業活動(本業)の儲けです。

売上高から原価を差し引き、さらに経費である「販売費および一般管理費(以下、販管費)」を差し引いた残りが営業利益です。株や土地の売買による収入、借入金利息や税金の支払いなどは含まれません。あくまで事業活動の利益です。

会社の利益には以下の5種類があります。

会社の利益

どの利益も重要ですが、営業マネージャーの職責から考えれば、やはりもっとも強く意識すべきは営業利益でしょう。

営業利益は商品・サービスが市場に受け入れられているかどうか、つまり営業力を示す指標でもあるからです。銀行が中小企業に融資する際に一番重視するのも営業利益とよく言われます。

もちろん、会社の戦略によって営業利益より売上げを優先する段階もありますが、損益分岐点を超えたあとは、売上げだけでなく営業利益も重視しなければなりません。

営業利益を算出することがなぜ大切なのか

営業部門は商品・サービスの売上げや利益に直結する部門です。さらに、どれだけ付加価値をつけて売れるかという点でも重要な役割を担ってるので営業マネージャーは自分たちはいくら稼いでいるかを知っておかなければなりません。

営業利益をシビアに見ることで自分のチームの課題もわかります。営業マンが安易に割引きしていたり、忙しいからといって無計画に人材を増やしたりすると売上高が増えていても利益が伸びていないかもしれません。営業マネージャーはその部門の経営者として、営業利益をシビアにみる必要があるのです。

利益率よりも利益の絶対額を重視する企業が多い

営業利益率も指標として重要です。ただし、利益率がよくても分母である金額が小さい場合は、儲け自体は少ないことがあります。「率」よりも「額」を重視したほうが錯覚を起こさず利益を拡大していけるでしょう。

例えば、経済産業省の2017年の調査を見ても、グローバルに活躍する日系企業の経営方針は「売上高と利益を同程度重視」が33 %、「売上高や利益の『絶対額』を重視」が合計で58.4%と、とても現実的であることがわかります。

(第Ⅱ-3-1-2-3図)

グローバルに活躍する日系企業の経営方針

営業利益の算出方法

ここでは、営業利益の算出方法について解説します。

営業利益は、売上から売上原価と販管費を差し引くことで算出できます。

営業利益を出す計算式

営業利益を出す計算式

売上原価とは?

売上原価とは商品の仕入れや製造にかかった費用のことです。無形商材であれば取引企業に対する支払い、有形商材であれば商品の仕入れコストなどが相当します。あくまで「売れた商品」の原価であり、多数の在庫を抱えていたとしても、売れていなければ売上原価には含まれません。

販管費とは?

販売費および一般管理費のことをさします。いわゆる営業経費、消耗品費で数多くの種類がありますが、営業部門であればおもに以下の経費などが関係してくるでしょう。

  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 通信費
  • 運搬費
  • 旅費交通費
  • 接待交際費
  • 消耗品費

上記の計算式のように営業利益の出し方は割と単純です。

営業マネージャーの立場なら、「自分たちが販売した商品・サービスの利益の合計」とすぐイメージできるかと思います。要するに、売上げを伸ばして経費を抑えれば営業利益は増えていきます。

営業利益と他の利益との違い

前述のように、企業には営業利益以外にも経常利益、純利益などの利益があります。ここでは、営業利益と他の利益との違いについて解説します。

営業利益と売上総利益の違い

売上総利益(粗利益)とは俗にいう「粗利」です。単純に売上高から売上原価のみを差し引きます。営業マンの人件費などの販管費を引く前の儲けの金額であり、営業マン同士の会話でも「粗利は〇〇くらい」と軽く口に出すようにざっくりした儲けです。売上総利益でわかるのは原価に対してどれだけの「付加価値」をつけて商品を販売(提供)できたのかということです。

一方、営業利益とは売上総利益から営業マンの人件費、交通費、通信費などもすべて引いた利益です。そのため売上総利益(粗利)が少ない案件の場合、営業マンの人件費などを加味すると営業利益が赤字になることもあります。

「売上総利益」は売上高から商品の仕入れコスト、業者への支払いなどの売上原価を引いた利益。
その売上総利益からさらに販管費(人件費他の経費)を差し引いた利益が「営業利益」です。

売上総利益と営業利益

営業利益と経常利益の違い

営業利益とは会社が本業で稼いだ利益ですが、経常利益とはそれに加え本業以外で獲得あるいは損失した営業外損益が加算された利益です。例えば「借入利息の支払い」「配当収入」「為替差益、差損」などが反映されます。

借入金の多い中小企業の場合は、営業利益が黒字でも経常利益が赤字になる場合もあります。輸出入に携わる企業は円高、円安など為替レートにより経常利益が増減します。ちなみに日本の中小企業の経常利益の平均は、経済産業省の令和元年の中小企業実態基本調査によると659万円です。

中小企業の経常利益平均

  • 1企業当たりの売上高=1億5,557万円
  • 1企業当たりの経常利益=659万円
  • 1企業当たりの従業者数=8.8人

営業利益と経常利益を出す計算式は以下の通りです。こちらも、シンプルに経常利益とは「営業利益に営業外損益(利息、配当等)を加減した利益」とイメージするとわかりやすいでしょう。

営業利益は事業が健全に儲けられているかどうかを示す指標。

経常利益は企業の経営状態を表す指標。

と理解して、2種類ともすぐ算出できるようにしておきましょう。

営業利益と経常利益

営業利益と純利益の違い

純利益とは、経常利益からさらに一時的な特別損益(その期に特別に生じた土地や不動産の売買による損益)や税金などを差し引いた利益です。

つまり、その期の売上高からその期にかかったすべての費用を引いて最終的に残った「利益」のことであり、その期の純粋な「儲け」です。以下の計算式で算出できます。

純利益

売上高から以下の順番で計算していくと、5種類の利益が算出できます。

  • 売上高-売上原価=売上総利益(粗利益)
  • 売上高-売上原価-販管費=営業利益
  • 売上高-売上原価-販管費 ± 営業外損益経常利益
  • 売上高-売上原価-販管費 ± 営業外損益-特別損益税引前当期純利益
  • 売上高-売上原価-販管費 ± マイナス営業外損益 ± 特別損益-税金(法人税等)純利益

※「 ±」で記載しているように「損益」の場合は加減(儲かる場合、損する場合)それぞれあります。

営業利益を営業マネージャーが注目する意味

営業利益は営業部門でかなりコントロールができる利益です。また、営業利益を分析することで健全な部門運営ができているかどうかがわかります。

付加価値を付与して販売できているのか

営業マネージャーは営業利益を把握するすることで、営業部門がどれだけ付加価値をつけて売ることができているのかを知ることができます。薄利多売になっていれば、営業マンががんばっている感覚のわりに営業利益は積み上げられません。

また、営業利益に無頓着だと、利益が出ていないことを知らずに過剰な営業努力をしてしまったり、本来なら儲けられるところを見すごしてしまう可能性があります。

利益があまり出ていないと会社に貢献しているとはいいがたいですし、営業マネージャーや営業マンの成長にもつながりません。何より「これだけ売って利益がこれだけ……」となるとモチベーションにも影響します。新規事業などで戦略的に赤字先行でゆく場合は別ですが、平常の状態ならば営業利益を意識してマネジメントを行う必要があります。

適切なコストで販売ができているのか

営業活動や販促活動には必ずコストがかかります。いくら売上を上げていても、コストを上回る利益を出せていなければ、赤字になります。当たり前のことに聞こえますが、そもそも営業利益がどのくらいかわからなければ適切なコストに抑えることは難しいでしょう。

もちろん、成長するために人材を採用したり拠点を拡張したりすることも重要ですが、それも営業利益とのバランスを考慮しながら投資する必要があります。また、環境が変わったことで節約できるコストは都度見直していくことが大切です。

例:オフィス代は適正か

コロナ禍でオフィスを撤去したり小さくする動きが最近は増えています。これは今時点での感染対策だけでなく、アフターコロナでのテレワークの普及に伴いオフィスの役割が変わることを見越してでしょう。

週2~3日出社するテレワークと出勤のハイブリッド型ワークが増えたときに今と同じスペースは必要ないかもしれません。オフィス代はコストの中でも高額ですし、契約の関係で即移動はできないので早めに検討しておくことが大切です。

例:人件費は適正か

売上に対する人件費は以下の計算で算出できます。日本の企業の、売上高に対する人件費率の平均は近年は13~15%で推移しています(製造業は高めになります)。業界平均よりかなり数値が高いのであれば人件費を見直してよいでしょう(詳細は後述します)。

売上高に対する人件費率

ただし、今や日本の労働分配率は先進国の中では最低レベルです。営業マンはお客様の課題に一緒に取り組む仕事です。知識を増やすためには本を読んだり、ウェビナーに参加したりと費用もかかれば、信頼されるためにパリッとしたスーツも必要です。会社の利益を生み出す部署なので必要な投資はしていきましょう。

いわゆる販管費比率は業界やビジネスモデルによって適正値が異なります。やや古いデータですが経済産業省の出している業界別データなども参考にして上限を設定するとよいでしょう。一般家庭でも家賃なら収入の1/3までと使っていい費用の目安があるようにチーム運営においても適正値を意識しましょう。

営業マネージャーができる営業利益を高める3つの方法

営業マネージャーが管理できる範囲で営業利益を高めるためには、結局のところ、売上を高くして、売上原価と販管費を適正値に抑えることが基本です。

売上を上げる

売上自体を上げる。損益分岐点を超えていれば一件あたりの利益が多くなくても、売上を増やせば増やすほど比例して利益が積み上がります。今までの手法にプラスして以下を検討しましょう。

  • 商圏を広げる(エリア、対象市場、オンライン等)
  • 売りやすきを売る(自社の強い商品・サービスに集中する)
  • 新しい営業手法を取り入れる(ウェビナー、リファラル(紹介)、アフィリエイト、ビジネスマッチングサイト)
  • 営業ワークフローを作成し営業マンの能力のバラツキをなくす

単価を高める

付加価値を高めて単価を高めると効果的に利益率を上げることができます。そのため、商品・サービスによってはアップセルやクロスセルを行うことが大切です。もちろん、簡単ではないでしょう。

それでも既存顧客からの売上げは新規獲得営業の1/5しかコストがかからず(1:5の法則)、顧客維持率を5%改善できれば利益は25%伸びると言われます(5:25の法則)。既存顧客営業に力を入れることがまず重要です。また、そもそも初期の価格設定が低すぎる場合は値上げを検討する必要があります。

その上で新規開拓営業にも力を入れます。単価を高めるには最初から自社の商品・サービスにあう顧客を絞り込んでアプローチする必要があります。事前にターゲットを明確に設定し、ペルソナ(理想の顧客プロフィール)を作成しましょう。営業活動中はBANT条件を意識してもらうことを徹底します。

  • リピート受注(アップセル、クロスセル)
  • 値上げ交渉を検討する
  • 新規開拓営業の際はターゲットを絞り込む
  • 営業マンにBANT条件(予算が大きいか、決裁権者に会えているか、ニーズがあるか、いつ頃の時期を予定しているか)を常に意識してもらう

販管費を抑える

営業部門の主要な販管費は「人件費」「広告宣伝費」「旅費交通費」「通信費」「接待交際費」「賃借料」「消耗品費」などです。今はコロナ禍なので交通費、交際費は自然減していると思うので、抑えるとしたら以下のラインナップです。

  • 費用対効果の悪い広告宣伝手法を見直す(メールマガジンやブログなどを活用し低コストで宣伝する)
  • 営業支援ツールを活用し、営業活動の処理時間やコストを削減する
  • 活用できていないITツールを自社にあうITツール切り替える
  • テレアポはアウトソーシング企業に依頼(またはアルバイトに任せる)
  • 電話受付や事務処理もオンライン代行サービスを活用する
  • 営業マンを増やさずSNSやブログで集客する

販管費において「人件費」は大きなウェイトを占めるので適正な人件費を把握し、無計画に人を増やさず営業活動できる筋肉質な営業体制を構築しましょう。自社が不得手な領域はアウトソーシングしたほうがむしろ成果を出しやすいはずです。

効果が見込めないプロモーションを削減したり、ITツール(営業支援ツール)を活用し、営業効率を高めることもポイントです。また、使いこなせずに放置しているITツール、予想外に高くついたITツールは見直しを検討しましょう。

いずれも金額に見合った効果を生み出せるものを残し、その他は止める、代替する、コスト削減を試みる(価格交渉する)を選択することがポイントです。

自社の売上と利益、コストを把握しておくことが大事

自分の会社の今年度の売上と利益の状況をすぐ思い出せるでしょうか?

営業管理職は「経営職」なので、しっかり自社と自分のチームの売上と利益、コストを把握しておく必要があります。各営業マネージャーが営業利益に関心が薄いと会社の利益が積み上げられません。企業は利益が出ているからこそ人材に投資したり、新規事業に投資することができます。

新規事業部門の営業マネージャーの場合は、まず売上げを伸ばすことが優先順位となります。その役割を認識して、売上高と利益、コストのバランスを新規事業部門としての理想形にもっていきます。

一般的な営業チームであれば、売上げをできるだけ伸ばし、コストを適正範囲内に押さえて営業利益を確保していく必要があります。

自分の部署と他の営業チームに期待される役割を理解しておくと、社内コミュニケーションもスムーズになるでしょう。また、営業マネージャーだけでなく営業マンにも「自分たちの力で売り上げた利益がどのくらいか」を意識してもらえるように教育すると、各自が自覚ある行動をするようになり、営業利益を増やすことにつながります。

まとめ

営業部門にいると売上目標達成には真剣になります。しかし、会社の利益については営業部門の努力以外のことも影響するためか、あまり注視してこなかった営業マネージャーもいるかと思います。

企業にとっては売上げも利益も重要。特に「営業利益」は、まさしく営業マネージャーの実力や貢献度を表す指標なので常に意識するようにしましょう。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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