経営者が知るべき「新規顧客開拓」の術

新規 顧客 開拓

売上げを上げるために、顧客獲得は大きな役割を果たします。

経営者と営業責任者がどのターゲットに対してアプローチをかけていくべきかを常に議論し、そのターゲットに対して現場が営業活動を行なっていくのではないでしょうか。

一見、新規顧客開拓については営業組織が考えるべきことかと思われがちですが、企業の成長や事業の方向性を考える上では、経営者にも重要な要素となります。また、 中小企業の経営者であれば 、自ら商品・サービスの提案に行かれることがあるかもしれません。

今回は、経営者が知っておくべき新規顧客開拓の概要と具体的な施策について紹介していきます。

新規顧客開拓とは?

新規顧客開拓とは、これまでに取引のなかったお客様に対し、訪問営業や電話、メールといった営業手法を活用して新たにお客様を獲得していくことをいいます。多くの場合、自社との関係性がないため、「自社がどのような企業なのか」「自社の商品・サービスはどのようなものなのか」から提案を行なっていく必要があります。

新規顧客開拓が必要な理由

新規顧客開拓が必要な理由には、新規売上げの強化やキャッシュフローの安定化、競争力の強化があげられます。それぞれの理由について詳しく解説していきます。

新規売上の強化

資本主義の元では、企業は売上げを上げて利益を出していくことが求められます。売上げをあげるためには、2つの方法が考えられます。

第一に、既存顧客の満足度を高めることで、アップセルやクロスセルを通して客単価を上げていくことです。この方法は、新規顧客開拓よりも営業コストをかけずに成果を出すことができますが、商品・サービスによっては合わない場合もあります。(売り切りの商品など)

もう一方が、新規顧客開拓になります。新規顧客開拓は営業コストはかかるものの、顧客数を増やすことができるため、売り切りの商品・サービスの場合は短期間で大きな売上げを獲得することができます。また、サブスクリプション型の商品・サービスは、長期的に売上げを獲得することができ、顧客数も積み上げることができます。

キャッシュフローの安定化

経営者にとって気になる指標の1つに「キャッシュフロー」があるのではないでしょうか?キャッシュフローとは、自社の現金の流れを表し、企業活動から得られた収入から支出を引き手元に残った資金のことをいいます。キャッシュインをできるだけ増やしてキャッシュフローを安定させることで、経営を安定させることができます。

景気の変動や市場の縮小などの環境の要因により、既存顧客がいつ解約してもおかしくないのが事実です。既存顧客の対応ばかりを行なっていると、顧客の解約数が増えてしまった場合、十分に資金を確保できなくなり、事業を継続することができなくなってしまいます。

そこで、新規顧客開拓を行なっていれば、新しく売上げを確保することができるため、解約によるキャッシュフロー減少のリスクを低減することができます。キャッシュインを増やしていくことがキャッシュフローの安定化に影響を与えます。

競争力の強化

新規顧客開拓を行うことで、自社の営業マンの営業力向上が見込めます。なぜなら、新規顧客開拓は、自社と十分な関係性を構築できていないため、営業マンがお客様に商品・サービスの機能の説明から、価値や活用のシーンなどを伝えなくてはいけません。1人ひとりの見込み客への営業活動が、営業力を向上させる機会になります。

また、お客様と直接接することで、顕在的なニーズから潜在的なニーズまでお客様の声を聞くことができます。お客様のニーズを捉えず、商品・サービスの表面的な説明をしていては、価値を感じてもらえないどころか、競合他者に顧客を奪われてしまう可能性もあります。

毎回の営業活動の中で、お客様のニーズをくみ取り、自らの営業提案に取り込むことにより、競合他社の提案との差別化を行うことができます。

新規顧客開拓の方法

新規顧客開拓の方法には、アウトバウンド型とインバウンド型の2種類があります。ここではそれぞれの方法を紹介します。

アウトバウンド型

アウトバウンド型とは、お客様に対して自社から商品・サービスの情報を届けたり、営業マンから直接アプローチしたりすることで案件化につなげる方法のことです。代表的なものとしては、テレアポや飛び込み営業などが挙げられます。

企業主導のアプローチ方法であるため、多くのお客様に短期間でアプローチすることができます。一方で、お客様の興味・関心度合いや見込み度合いは考慮されることは少ないため、顕在的なニーズのあるお客様を主に獲得していけることが特徴となります。

インバウンド型

インバウンド型とは、自社のメディア上で企業の考え方やノウハウなどのコンテンツを発信することで、検索やソーシャルメディア経由でリードを獲得する手法です。コンテンツの出し方としては、自社サイトやブログ、eBookなどが挙げられます。

お客様の検討段階に合わせて、必要とされる情報をお客様のタイミングで提供することができるため、アウトバウンドと比べて見込み度合いの高いお客様を獲得することが可能となります。

アウトバウンドとインバウンド

アウトバウンド型新規開拓の方法

アウトバウンド型営業では、自社の商品・サービスが活用できる市場であれば、企業が決めた市場に自由に営業をかけることができます。そのため、競合が少ない市場を見極めてアプローチすることも可能です。

また、多くの場合は顕在的なニーズを持ったお客様を見つけ、案件化へと結びつけることが特徴ですが、営業トークの質を高めることで、まだニーズを感じていないお客様でもニーズに気付かせることができる場合もあります。

ここでは、アウトバウンド型の新規顧客開拓の具体的な手法について紹介していきます。

アウトバウンド型の新規顧客開拓手法

飛び込み営業

飛び込み営業とは、訪問先にアポを取らずに訪問し、自社の商品・サービスの価値を伝える営業手法です。商品・サービスによって方法は異なりますが、飛び込み先を絞って、決められたお客様にピンポイントで一件ずつまわっていく飛び込み営業もあれば、地域でターゲットを絞って手当たり次第に飛び込むを行う方法もあります。

飛び込み営業には、営業マンの人件費やお客様先までの移動にかかる交通費、移動時間などの時間のコストが生じますが、CMやデジタル広告などの宣伝広告費やマーケティング費を抑えることはできます。

また、メールや電話とは異なり、お客様と対面でコミュニケーションをとることができるため、信頼関係を築きやすいという特徴もあります。ただ、その成果は飛び込む先(リスト)の質や営業マンの営業スキルに大きく左右されます。

テレアポ営業

テレアポ営業は、自社で扱っている商品・サービスを認知していないお客様に電話でアプローチして、アポイントを獲得していく営業手法です。限られた時間の中で商品・サービスの持つ機能や価値を伝えなくてはなりません。

飛び込み営業でのアプローチと比べて、移動時間や交通費もかからないため費用を抑えることができる上に、電話を効率的にかけるシステムを活用することで、一日のアプローチ数も格段に上がり費用対効果が高くなります。

テレアポは電話に出てもらう、あるいは目的としているお客様(キーマン)と話せなくては、営業活動が行いません。お客様も忙しいため、依然として通話率は低いです。今後は、お客様のタイミングに合わせたアプローチが必要になってくるでしょう。

ダイレクトメール

ダイレクトメールとは、まだ自社の商材を認知していないお客様に向けて資料を送る営業手法です。DMやハガキ、手紙などが挙げられます。ダイレクトメールは、資料内で興味をそそることができたり、多くの情報の伝達ができるため、読んでもらうことによる効果は大きいと言えるでしょう。

しかし、読んでもらえないことには意味がありません。一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2018」によると、ダイレクトメールの開封率は66%です。透明なフィルム封筒に資料を入れる、開封しなくても読むことができるハガキタイプにするなど、ダイレクトメールの開封率を上げる努力は欠かせません。

DMを受取った後どんな行動をとったか

(出典:DMメディア実態調査2018

なお、ダイレクトメールを送った後に、テレアポや飛び込み営業を行うことで、営業アプローチのきっかけとすることもできます。「受付突破が難しい……」「キーマンと話せない……」とお困りの方は実践してみてはいかがでしょうか。

企業情報購入

新規顧客開拓営業の場合、顧客と接触するまでにさまざまな障壁があります。
例えば、

  • ダイレクトメール:読んでもらえるか
  • テレアポ:キーマンが電話に出てくれるか
  • 飛び込み営業:適切な担当者と面会して話せるか

などが挙げられます。
いかに優れた商品・サービスであっても、お客様が必要としないのであれば、単なる迷惑となってしまいかねません。

このような悩みを解決するうえで、企業情報の購入は効果が期待できます。自社の商品・サービスのターゲットに合った層のリストを購入することによって、やみくもに営業をしかけるのではなく、確度が高いと思われるターゲットに向けて直接アプローチすることが可能となるのです。

リスト販売業者ではキーワード、業種、地域や企業規模などを指定して希望のリストを抽出できるのはもちろんのこと、使用しているネット回線や携帯電話のキャリアでセグメントできるところもあります。

インバウンド型新規開拓の方法

企業からアプローチするアウトバウンド型の営業に対して、インバウンド型の営業は見込み客から企業や商品・サービスを発見してもらう営業手法です。ブログやeBookなどの1つの施策で長期的にお客様を集めることができることが特徴です。

ここではインバウンド型の営業手法について具体的に紹介します。

インバウンド型の営業手法

デジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、SEOやSNS広告などインターネット上のあらゆる施策やチャネルを活用して、自社のターゲットに合った見込み客と繋がることを目指すマーケティング手法です。

自社の商品・サービスに関連した語句で検索をかけたユーザーに対し広告を表示する「検索連動型広告(リスティング広告)」や、複数のメディアに広告を一斉に掲載する「アドネットワーク」といった手法を使い分けていく必要があります。

デジタルマーケティングでは、どのような相手に向けてどのようなメッセージを伝えるか、ゴールはどこに置くかなど設計をしっかりと行い、効果測定を行いながら試行錯誤を繰り返していくことによって、効果的にお客様を獲得することができるようになります。

Webサイト

今や、インターネットを通じてすぐに企業の情報を調べることができる時代になりました。株式会社トライベック・ブランド戦略研究所による2017年の調査によると、BtoB(企業間取引)における情報収集を行う手段として、圧倒的にWebサイトが活用されていることが分かります。

お客様から信頼性を得るためには、しっかりとしたWebサイトが必要です。パソコンやスマートフォンなど、異なったデバイスで閲覧しても見やすいレイアウトは欠かせませんし、サイト内の導線が一目でわかるデザインも重要です。

資料請求や問い合わせがどこにあるか分かりにくかったり、個人情報の入力項目が多すぎたりすると、その瞬間Webサイトを閉じられてしまうかもしれません。せっかく興味を持ち、行動に移そうとしているのに取りこぼしてしまうことはもったいないです。お客様にわかりやすいWebサイトの設計にしましょう。

ソーシャルメディア

近年、インバウンド型営業で注目を集めるのがソーシャルメディアの活用です。扱う商品・サービスによって向き・不向きはありますが、コンテンツの発信手段としてはほとんどの企業が活用できるメディアと言えます。

ソーシャルメディアの一番の強みは情報の発信が双方向であることです。企業に興味・関心があるつながりを持ったお客様に情報を発信するだけでなく、興味を持った人が企業に対してアクションを起こすことも期待できます。

もし企業が発信した情報が多くの人にとって有益な情報であれば、その情報はソーシャルメディア内で拡散され、普段リーチしない層にも認知されるでしょう。閲覧者に興味を持ってもらえるような内容を更新することによって、自社と見込み客との距離は縮まります。

紹介/引き合い

インバウンド型の新規顧客開拓として見過ごせないのが、既存の顧客からの紹介による新規顧客開拓です。既存顧客からの紹介となると、新規顧客としても深い結びつきが得られます。何より、自社に対する信頼度が最初から高いという点は魅力的です。

既存顧客は、すでに自社の商品・サービスを利用しています。そのため、顧客からの目線で商品・サービスの価値を周りに伝えることができます。商品・サービスの質の向上や受注後のアフターフォローを徹底するなど既存顧客の満足度をあげることで、新規顧客の紹介は増えていくでしょう。

新規顧客開拓戦略の作り方

新規顧客開拓を行う理由やその方法について見てきました。ここでは、これまでの内容を踏まえた上で、自社にあった新規顧客開拓戦略の作り方について紹介します。

売上げ比率の把握

まず、自社の売上げがどの営業手法で創出しているのかを分析しましょう。
例えば、

  • アウトバウンド型が多いのか、それともインバウンドが多いのか?
  • アウトバウンド型の中でも、飛び込み営業が多いのか、テレアポが多いのか?

のような考え方が挙げられます。

なぜ、売上げの割合から考えるのかというと、自社に合った営業手法を明確にするためです。現在でも大きく安定して売上げを挙げている営業手法であれば、多くの場合自社の商品・サービスに合った営業手法だと考えられます。

売上げ比率

費用対効果の最適化

各営業手法の売り上げ比率を算出したら、実際にどの営業手法に注力していくのかを検討しましょう。例えば、デジタルマーケティングを活用して営業活動を行なった方が効果が出てるのに、売上げを生んでいない飛び込み営業を続けていた……など、課題点が見えてきます。

中小企業の場合は、特に新規顧客開拓に割くことができる人的リソースも金銭的リソースも限られているはずです。費用対効果を考え、現状の方法で開拓を続けるべきか、それとも手法を変えるべきかを吟味していきましょう。

現状の方法で開拓を続けるべきか

売上げ目標設定と実行

費用対効果を元に新規顧客開拓の具体的な方向性が決定したら、設定した売上げ目標に向けて施策を実行していきましょう。

具体的な目標を設定することは、新規顧客開拓を行う上で欠かせません。目標がなければ効果測定もできませんし、どこに問題があったのかの検証も難しくなるからです。適切な目標を設定し、もし進捗が芳しくない、あるいは予想と大きくはずれた方向に進んでいると思われる場合は、戦略の見直しも検討すべきです。

まとめ

新規顧客の獲得は、売上げ増加のためだけでなく、キャッシュフローの安定化や競争力の強化といった企業活動において大切なものです。経営者としてはこうした価値を認識しておく必要があります。

また、今後はインバウンドとアウトバウンドをいかに使い分けていくか、あるいは、いかに織り交ぜた営業を行っていくかが課題となっていくでしょう。そこに明確な答えはなく、商品・サービスや企業文化も大きく関わってきます。実行と検証を繰り返し、自社に最も合った方法を見つけましょう。
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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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