営業の掘り起こしとは?コストがかからない見込み客案件化の方法

営業 掘り起こし

「新規営業のアプローチが難しい状況のため、休眠顧客の掘り起こしを強化したい…」「休眠顧客の掘り起こしを強化できれば、収益性を高めることができるが、人員が足りておらず、ノウハウも構築されていない…」といったお悩みを抱える営業管理職の方も多いかも知れません。

新規顧客開拓の営業活動には注力を入れている一方で、休眠顧客の掘り起しまで十分に対応ができている企業は少ないのではないでしょうか。しかし、休眠顧客を含む既存顧客への営業は、新規顧客よりも低コストでアプローチできるという特性もあり、放置しておくことはもったいないことです。

本記事では、営業の掘り起こしの重要性について解説し、掘り起こしの手段についても紹介します。また、セールスオートメーションを利用したWebアンケートの活用法についてもあわせて解説します。

営業の掘り起こしとは

営業を大きく2種類に分類すると、「新規開拓営業」と「掘り起こし営業」に分けることができます。

掘り起こし営業とは、以前自社との間でやり取りがあったものの現在は取引をしていない企業(=休眠顧客)、あるいは受注にはなっていないが、営業マンがアプローチしている間に連絡が取れなくなってしまった見込み客に対して営業活動を行うことを言います。

継続的に収益を上げる体制づくりのためには、多くの顧客に自社商品・サービスを継続して使用してもらうことが重要であり、休眠状態の顧客をそのままにしておくことは機会損失になってしまう可能性もあります。

株式会社イノベーションの「法人営業に関するアンケート」では、法人営業において営業マンが最も重視している営業活動は、以下のような結果になっています。

  • 1位:既存顧客へのルート営業(33.5%)
  • 2位:見込み顧客との定期的なコミュニケーション(27.5%):新規顧客開拓
  • 3位:新規見込み顧客への飛び込み営業(12.0%):新規顧客開拓
  • 4位:新規見込み顧客へのテレアポ(10.5%):新規顧客開拓
  • 5位:既存顧客からの紹介(9.6%):新規顧客開拓
  • 6位:休眠顧客の掘り起こし(5.1%)

この調査でもわかるように、1位こそ既存顧客に対するルート営業ですが、2位~5位までがすべて新規開拓のためのアプローチで占められています。これらを合計すると59.6%にのぼり、約6割もの営業マンが新規開拓を強く意識して営業活動を行っていることが確認できます。

法人営業に関するアンケート

(出典:法人営業に関するアンケート

同時に、掘り起こしに関してを重視しているのは、わずか5.1%のみです。営業マンは売上げ実績を作らなくてはならないため、目の前の新規案件を対応して数字を作らなくてはならないのは当然のことです。ただ、長期的に売上げを上げていくためには、掘り起こしは重要は要素を担っています。

なぜ営業の掘り起こしが大切なのか

では、なぜ営業の掘り起こしが大切なのか。その理由について、「働き方の変化」と「コスト」の2点に基づいて解説したいと思います。

まず、1点目は、新型コロナウイルスの感染拡大の対策や働き方改革の導入などによりテレワークの導入率が高まっていることです。

2020年5月に株式会社パーソル総合研究所が行った「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、日本全国におけるテレワーク導入率が2020年3月から4月の1か月間の間に13.2%から27.9%にまで増加しています。しかも、緊急事態宣言の発令された7都府県については、38.8%、さらに東京都に絞れば49.1%という高い割合になっています。

新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

 (出典:新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

これらのうち、全ての企業がテレワークを全面的に導入しているわけではありませんが、「コロナ前」よりも対面での営業が難しい状況になっています。そして、この傾向は「コロナ後」も継続すると予想されます。

これまで、当たり前であった飛び込み営業や来場型のセミナー開催など、新規顧客獲得のための対面でのアプローチが大きく制限されるため、社内や在宅で営業活動を行う必要が出てきます。

そのため、既に過去にやり取りしたことがある休眠顧客や電話番号やメールアドレスなどの連絡手段を持っている見込み客に向けたアプローチ方法として、掘り起しが大切になってきます。

2点目は、掘り起しのような既存顧客に対するアプローチは、新規顧客よりもコストを抑えてアプローチできるという点です。マーケティングの世界では、「1対5の法則」として、一般的に新規顧客を獲得するためには、既存顧客の維持と比較して5倍のコストがかかると言われています。そのくらい新規顧客の獲得にはコストがかかるのです。

既存顧客の方がコストを抑えられる要因は、既存顧客に対しては「広告の費用」や「リードの育成費用」「見込み客の連絡先の入手」などが削減できるためです。

営業の掘り起こしがなぜ必要になってしまうのか

顧客が常に満足する商品・サービスを提供することができていれば、顧客が離れていく心配をする必要はありません。しかし、現実的には、お客様の状況や課題感によって、ある程度の割合で顧客であっても離反してしまったり、見込み客であれば受注に至らないまま停滞してしまったりするものです。

このように、営業の掘り起しが必要な事態、つまり顧客の「休眠状態」を招いてしまう理由を顧客側の事情と営業側の事情からそれぞれ紹介します。

営業側の事情による休眠状態

休眠状態になってしまっている営業側の要因としては、以下の例があります。

  • 営業マンが商談化に持ち込めなかった案件

お客様が情報収集の目的で「お問い合わせ」や「資料請求」をしたが、その当時はまだ具体的な検討段階に至っていなかった場合です。その後、長期的にフォローを続けることができていれば、再検討のタイミングで受注に繋げることができますが、優先順位が下がり漏れてしまうとそのまま休眠状態になってしまうことがあります。

  • 優先順位の変化

定期的に営業のアプローチやフォローを行っていたものの、会社の方針として別のキャンペーンを行ったり、他の商材に力を入れることになることがある。それらに営業努力を注力するために、時間が割くことができなかったり、優先順位が下がり結果的に休眠状態になってしまう。

顧客側の事情による休眠状態

一方、顧客側の事情によって休眠状態に陥ることもあります。

  • 商品・サービスの検討段階が続いている

特にBtoBの案件においては、決裁者や関係部署への合意を得る必要があるため、半年~数年に渡り導入を検討する場合も少なくありません。(BtoCであっても商品・サービスの金額が高額になるほど検討期間は長くなります。)

検討期間の間に、他の緊急を要する課題が出てきたり、検討の熱量も下がってくることによって、次第に優先順位が低くなり休眠顧客化してしまうことがあります。

  • 顧客側の環境や状況が変わってしまった場合

お客様の事情により、業務の拡大や縮小や予算の変更、事務所の移転、社内環境の変化などが起こることがあります。その際に、従来の自社の商品・サービスが顧客にとって最適なものではなくなってしまった場合も休眠顧客化してしまうことがあります。

営業掘り起こしの手段一覧

では、実際に掘り起こしを行う際に活用できる具体的な手段としては、どのような方法があるのでしょうか?冒頭に紹介したように営業マンは新規獲得の数字も追いかけなくてはならないという事情を踏まえた上で、効率的に掘り起こしができるような方法を考える必要があります。

メール

過去に一度は営業アプローチを行っている段階で、そのうちの多くの顧客のメールアドレスは分かる状態になっていることがあります。そのため、メールでのアプローチは簡単に行うことができる方法の1つです。

さらに、一斉送信の機能で一度に多くの見込み客に対してメールを送ることができること、メールの開封率やメール内のURLのクリック率を確認することができることがメリットです。

ただし、休眠顧客を掘り起こすためには、顧客の行動を促す内容のメールを送ることができることが理想です。具体的には以下のような内容です。

  • 新商品、新サービスの案内(お試し購入制度など、新商品導入のメリットを同時に案内)
  • キャンペーンの案内
  • 無料セミナーやWeb資料の案内

さらに、テンプレートを使用することで、効率を向上させることができます。メールは顧客が開封してくれなければ意味がありませんが、メールタイトルの文面の工夫により開封率を上げることができます。

DM

DMは、自社の商品・サービスのパンフレット(カタログ)や営業資料、商品サンプルなどをお客様に送付する手法です。顧客リストを用いて一斉に送付するという点では、手法としてはメールでの掘り起しによく似ています。

DMならではの特徴としては、以下の点があります。

  • 相手方のメールアドレスが分からなくても送付できること
  • 商品・サービスによってはサンプルやノベルティなどを同封できること
  • セミナーや展示会など告知・募集としても利用できること

電話

電話での掘り起こしは、お客様と直接会話ができることが大きな特徴です。

通話に応じてもらうことができれば、見込み顧客の現状をヒアリングしたり、またニーズとの合う場合によっては、そのまま商品・サービスの詳しい提案に入りやすくなります。

また、メールやDMの場合には、担当者が退職していたり異動していたりすると、届いたかどうかもが分からないままになってしまうことがあります。しかし、電話の場合には直接確認することができるので、もし担当者が退職や異動をしていても、後任の担当者に改めてアプローチできる場合もあります。

確かに、電話でのアプローチは手間がかかる手法ではあるものの、顧客単価の高い案件や、一度利用してもらったら長期的な利用が見込める商品・サービスでは非常に効果的な営業手法です。

アンケート

休眠顧客に対して適切なアプローチを行っていくためには、見込み客の現状を正確にヒアリングすることも大切です。ただし、注意したいのはお客様にとって負担にならないよう最大限の配慮をすることです。

アンケートの形式は、デジタルでも紙面でもどちらでも実施することはできますが、デジタルの場合はメールにURLを記載してWebアンケートとすることで、お客様にとってもスマホで時間のある際に回答することができたり、集計作業も簡単に行うことができます。

Webアンケート

掘り起こし先の選定

休眠顧客へのアプローチは効果的な施策ではありますが、全ての顧客情報に一斉にアプローチすればいいという訳ではありません。見込みの薄い休眠顧客に対してアプローチをしていると、逆に非効率な営業になってしまう恐れがあります。

ここでは、効率的かつ効果的に営業の掘り起こしを行うための手法について紹介します。

条件に見合う見込み客にアプローチ

まず掘り起こしを行うにあたって、アプローチする先を決めなくてはいけません。BtoBであれば、企業規模や役職、業界など、BtoCであれば、年齢や性別、エリアなどをもとにどのような属性情報のお客様にアプローチをするべきかを明確にしましょう。

例えば、

  • 100~500名規模での用途を想定した商品・サービスの場合
    → 従業員数100名以上・担当者が課長クラス以上の企業に絞ってアプローチを行う
  • 自社の商品・サービスの中で、特に注力している商品・サービスを売りたい
    → 顧客情報の中で、その商品・サービスのセミナーに参加したことのある顧客に絞ってアプローチする

アクティブな見込み客にアプローチ

実際に何かしらのアクションを起こしたお客様に絞って、アプローチする方法もあります。ここでのアクションとは、お問い合わせや資料請求のような目に見えるアクションだけではなく、送付したメールの開封やメール内に記載したURLのクリック、自社HPへの訪問などの行動です。これらを確認するためには、営業支援ツールなどを利用すると効率的です。

顧客がアクティブであることが確認できることで、以下のことを知ることができます。

  • 送付したメールや案内が見込み顧客に届いていること
  • 担当者が在職していること(担当者個人のアカウントにメールを送信した場合)
  • 顧客が送付した情報に興味を持っている可能性があること

状況によっては、休眠顧客が商材に対して全く興味を失っていたり、提案のできない状況に陥っていたりすることもありますが、そのような顧客へアプローチしてしまう非効率を排除することができます。

また、顧客の行動の内容によってアプローチ方法を変更したり、興味の度合いをセグメントしたりすることで、より細やかな対応をすることができます。

営業の掘り起こしをリソースを割かずに行うためには

休眠顧客は、「埋もれた宝」とも言われるように、少しアプローチの方法を工夫するだけで、効率的に案件化できる場合があります。また、新規顧客とは異なり、対面での営業が制限される中でも提案のチャンスが制限されにくいという特徴もあります。

だからこそ、新規獲得と同じように掘り起し案件にも力を入れたいところですが、新規獲得が増えなければ営業の成績が上がりにくいことも確かです。そして、新規案件の獲得にはどうしても時間と労力がかかってしまうものです。

以上を踏まえると、営業の掘り起しについては、できるだけリソース(人員・予算)を使用せずに効率よく行うべきです。そこで活用できるのが「セールスオートメーション」です。

セールスオートメーションとは、ITツールなどを用いて営業活動を自動化することです。セールスオートメーションを利用すると、例えば次の作業が自動化できます。

  • 見込みの高い案件のみを自動的に抽出して顧客リストを作成する
  • メールの開封率やメール内のリンクのクリック率などのデータをもとに、自動で最適なタイミングでアプローチをおこなう
  • メールのテンプレート機能を活用して、効率的にフォローメールの文面を作成する

これらの作業を自動化できることで、営業マンは休眠顧客の状況を細かくチェックしたり、一件一件手動で個別対応をしたりする必要がなくなります。見込み顧客からの具体的なアクションがあったときだけ、対応すればよくなるということです。

セールスオートメーションを用いて営業活動を自動化することにより、営業マンは休眠顧客対応に時間を取られず、効果を出しながら新規案件の獲得に時間を費やすことができるようになります。新型コロナウイルス対策により対面でのアプローチが困難な状況であっても、オンラインでのアプローチや、Webでの問い合わせを増やせるための仕組み作りなどが大切です。

【付録】営業の掘り起こしで効果的なWebアンケートメール例

営業の掘り起しの際に、効果的なWebアンケートメールの例を紹介します。

効果的なWebアンケートメールの例

上記のようなWebアンケートメールを自動的に送信する仕組みを作ることで、購入意欲のある見込み顧客のフォロー漏れのリスクを軽減することができます。また、条件設定を細かく設定し、条件によってメールの文面を調整したり、特典を付けたりすることで、見込み顧客からの反響を高める効果を期待できます。

まとめ

営業案件の掘り起しは、顧客リストの作成が不要であることや広告費がかからないことなどから、新規案件のアプローチよりも効率的に予算をかけずに行うことができます。そして、掘り起し営業をさらに効果的に実行するために重要な点は、どこまで自動化できるかという点です。

セールスオートメーションなどを用いて、セグメントの条件ごとに理想的なタイミングと内容でメールを送信することができれば、休眠顧客に対して効果的にアプローチをすることができます。

営業マンの営業活動をより楽にする 営業シーン別 営業自動化のヒント」では、営業活動で感じるお悩みに合わせて営業の自動化の方法について解説しています。自動化の仕組み作りのヒントになりましたら幸いです。

    営業シーン別 営業自動化のヒント

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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