営業リストを管理する上で整理しておくべきこと

営業 リスト 管理

「営業リストを管理しているのに、営業の効率も精度もなかなか上がらないのはなぜ?」「手間をかけて営業リストを作成することにメリットはあるの?」このようなお悩みを抱える営業マネージャーの方や営業マンの方は多いかも知れません。

営業活動は、営業マンの個人プレーではなく組織として行っていくべきものであるという考え方が一般的にも認知され始めており、組織としてどの見込み顧客層にアプローチするかという点で、営業リスト管理の重要性も高まっています。

本記事では、営業リストの管理重要性について紹介した上で、具体的に営業リストを管理する手順について解説します。

営業リストの管理とは

営業リストの管理とは、アプローチすべき見込み顧客の情報をリスト化して適切に管理・活用することです。営業活動を行う上で、営業先の情報をきれいに管理しておくことは大切です。見込み顧客の属性情報やコンタクト情報(電話番号やメールアドレスなど)を案件ごとに管理します。

具体的にどのような情報・項目を管理するのかについては、企業や営業組織ごとに営業手法は異なります。そのため自社の営業手法に合わせてどのような情報を管理するのかについて考えると良いでしょう。

例えば、電話営業をするのであれば、電話番号が必須になります。メールアドレスや住所等の情報を持っていても、電話営業をすることはできません。

営業リストの管理がなぜ大切なのか?

では、なぜ営業リストを管理することが大切なのでしょうか?ここでは、営業リストの管理が大切である理由について3点紹介していきます。

売上に直結するため

適切に営業リストの管理することは、売上のアップに直結します。なぜなら、営業担当者が、どの見込み顧客に対してアプローチをすべきかがリストによって明確化され、見込み顧客に適したアクションが起こせるようになるためです。

さらに、営業リスト化されていれば、その都度顧客の電話場号や担当者名などを記録していかなくてもよいため、効率的に営業活動を行うことができます。

情報共有や引継ぎがスムーズになるため

営業リストを丁寧に管理していると、情報共有や引継ぎをスムーズに行う際にも効果的です。例えば、人事異動や新入社員の入社などチーム内に新たなメンバーが加わった時に、営業リストが適切に管理されていれば、新メンバーが円滑にチームの業務に馴染むことができます。

また、インターネットに公開されている情報などを元に新たに顧客リストを作成する際にも、既存の見込み顧客リストと情報が重複してしまうことを避けることができます。

社員のモチベーションがアップする

営業リストを効果的に活用し、売上のアップと業務効率化に成功すれば、モチベーションアップにもつながります。

一方で、営業リストの作成や精査に時間が取られていると、営業マンはリストの作成の作業に時間を取られてしまうことになります。また、それらの作業に時間を取られてしまうことにより、結果的に売上目標に到達せずに、自信を失ってしまう恐れもあります。

営業リストを管理する上での課題

営業リスト管理については、しばしば以下のようなことも指摘されます。

  • 営業リストを管理しているのに、なかなか効率的な管理ができない…
  • 営業リストを管理しているのに、売上がアップしていない…

このようなケースでは、いったいどのような課題が生じているのでしょうか?

営業リスト管理をおこなう上での課題

課題①:リストの精度が低い

営業リストの精度が低いと、そもそも管理をする意味がありません。精度が低い営業リストの具体例としては、以下の例が挙げられます。

  • 必要な情報が抜けている
  • 記載されている情報が誤っている
  • 内容が更新されていない
  • 売上につながる見込みの低い顧客リストが多い

上記のような「情報の不備」があると、アプローチを試みたい顧客がいてもメールアドレスや電話番号が分からなかったり、相手方の担当者が既に別の担当者に変更になってしまったりするなどの問題が生じます。(そこで情報の更新をしているとさらに時間がかかってしまう。)

営業リストの中には、情報収集のためだけに資料をダウンロードした顧客や、交流会で名刺交換のみをした相手など、自社の商品・サービスの売上につながる見込みが低い見込み顧客も存在するかも知れません。これらのターゲットがリストの多くを占め、可能性の高い見込み顧客リストと混在してしまうと、データの精度が下がってしまいます。

課題②:リアルタイムでの情報共有がされていない

Excelでの情報管理を行っているチームで起こりがちな問題が、リアルタイムでの情報共有がされていないことです。

例えば、大元になるデータベースをせっかく作成し、個々の営業マンが情報を切り抜いて使用したり、個人のPCで情報管理をし、定期的にまとめて報告をしたりするような体制を取っていたりするケースです。

このような管理方法の場合には、最新の情報が共有されないため、結局営業リスト管理が、属人的になってしまい、業務の効率化が実現できません。最悪の場合、情報の報告や共有がされず、そのまま社員一人ひとりに管理が依存してしまっているケースもあるでしょう。

課題③:情報が重複している

情報が重複してしまうケースもあります。営業リスト上で見込み顧客の情報が重複してしまうと、同じ見込み顧客に対して複数の営業マンがアプローチをしてしまい、相手方に迷惑をかけてしまうことになります。そして、その結果、見込み顧客からネガティブな印象を持たれてしまう可能性も高くなります。

課題④:管理業務自体に負荷がかかっている

営業リスト管理そのものに大きな業務負荷がかかってしまうと、管理業務の継続が困難になってしまい、最終的に管理が行われなくなってしまうことがあります。

  • 管理項目が多すぎる
  • 管理のために使用するシステムが使いづらい
  • 紙媒体として保存するための印刷やファイリング、エクセルで情報共有するための情報共有業務など、作業工程が多い

このように管理業務に大きな負荷がかかってしまうと、メリットよりも負担の方が重くなってしまいます。営業リスト管理そのものは、利益を生み出す業務ではないという事情も踏まえ、効率的に管理ができる手法を意識しましょう。

営業リストの何を管理するべきか?

続いて、営業リスト管理で何を管理すべきかについて解説します。

重要営業リスト管理項目

営業リスト管理で具体的に管理するべき項目は、企業や営業組織ごとに異なります。また、大きな括りで言えば、自社がBtoBなのかBtoCなのかによっても押さえるべきポイントが変わります。営業リスト管理を行う上で管理するべきそれぞれの項目について、ポイントを見ていきましょう。

属性情報

属性情報とは、見込み顧客の詳細情報のことです。BtoBとBtoCにて管理すべき重要項目は、以下の通りです。

《BtoBの属性情報例》

  • 社名
  • 業態
  • 企業規模(資本金・従業員規模など)
  • 住所
  • 電話番号
  • ホームページのURL
  • 担当者情報(部署/役職/氏名) など

《BtoCの属性情報例》

  • 氏名
  • 性別
  • 住所
  • 年収/職業/学歴
  • 家族構成 など

一般的には、BtoBの顧客リストの方がBtoCのリストよりも集めやすい傾向があります。なぜなら、元々法人は情報を公開している場合が多いことが挙げられます。また、個人の場合には、個人情報保護の意識が近年はより強くなっており、気軽に情報を得ることはできないためです。

コンタクト情報

コンタクト情報とは、自社と見込み顧客と接触するために必要な情報のことです。具体的には、以下の例があります。

  • 電話番号
  • メールアドレス
  • SNSのアカウント情報

上記のような、営業アプローチをする際に必要な連絡手段についての情報です。電話連絡をする際には、都合がつきやすい時間を管理しておくと、連絡時繋がらない課題を軽減できます。

特記事項

営業アクションの進捗状況や見込み顧客からの要望・クレームなどの情報を入力しておくと、顧客からの問い合わせや受注が入った際の対応がスムーズになります。

また、見込み顧客に対してのアプローチをおこなう際にも、DMの送信やテレアポ、無料セミナーへの招待などを適切なタイミングで行うことで反響が高まります。そのため、顧客と自社との関係性や過去のやり取りが具体的にわかるように明確にすると効果的です。

デジタル上の情報も取得しておく

ITツールの普及や利用の一般化により、見込み顧客のデジタル上の動きを管理することの重要性についても高まっています。

《メールの管理》

  • 送付したメールが開封されたか否か?
  • メール内のリンクがクリックされたかどうか?
  • メールの結果、資料請求や商品の購入やセミナー申し込みなどにつながったかどうか?

《SNSの管理》

  • SNSでどのようにやり取りをおこなったか?
  • SNS上で送付したメッセージ内のURLがクリックされたかどうか?

新型コロナウイルス対策により、企業活動全般が対面型からオンラインにシフトしつつある状況の中で、オンライン化に対応する動きは特に重要です。こうした状況下で、効果的なタイミングで営業メールを送ったり、ウェブ広告の反響を高めたりするには、デジタル上の情報取得が大切です。なお、デジタル上の管理は、ツールを導入することで比較的手軽にできます。

営業リストを管理するためのポイント

ここでは、営業リストを管理をするためのポイントについて解説します。

目標と営業戦略を明確にする

営業リストを管理するためには、そもそも自社の売上目標を達成するために必要な営業リストを集めることが必要です。そのために重要なことは、目標と営業戦略の設定です。

「自社に必要な売上金額・顧客数は何件か?」「売上見込みを達成するためには何件の見込み顧客が必要か?」「そのためには、どのように営業リストを集めれば良いのか?」という観点で考えます。

営業リストの集め方としては、以下の方法があります。

  • テレアポ
  • 展示会や無料セミナーの開催
  • キャンペーンの実施(BtoBの場合はお試し利用キャンペーンやホワイトペーパー、紹介制度など/BtoCの場合は、モニターキャンペーンやお試し利用キャンペーンなど)
  • インターネット広告やSNS広告

上記のように、目標達成と営業リスト管理を紐づけ、照らし合わせながら管理することが大切です。

営業活動で必要な情報の漏れがないようにする

営業活動で必要な情報の漏れがないように、あらかじめ管理すべき項目をリスト化しておきましょう。この時、「必ず必要な項目(顧客の氏名・電話番号・連絡先など)」と「アプローチの中で取得できれば望ましい項目(BtoBなら商品購入時期、SNSの情報、ニーズ・課題など/BtoCなら年収や家族構成、商品購入見込みの時期など)」に分け、必ず必要な項目はリストアップ漏れが起こらないように工夫します。

例えば、ExcelやITツールを使って情報を管理している際、必要最低限の項目に入力がないと注意喚起が表示されるようにしたり、必須の入力項目にして保存できないように設定したりするなどの対策を取ることができます。

情報の更新を徹底する

営業リストで管理する情報は、常に最新であるべきであり、営業マン一人ひとりに情報の更新を徹底するように意識づけしましょう。

例えば、営業活動を行っていると、情報を新たに更新すべき場面に遭遇します。

  • 電話をした電話番号が利用されていない電話番号だった
  • 相手方の担当者が変更になっていた
  • 商談などのアクションをおこなった
  • お問い合わせや資料請求など見込み顧客から何らかのアクションがあった

この時、場所や状況に関わらず情報を更新できるように仕組みを整えておくと便利です。いつでも、場所を問わずに情報更新できるようにしておくと、商談の合間の空き時間や移動時間などに情報更新できるためです。

また、Withコロナ・Afterコロナの状況下においては、自社の社員が在宅勤務制度を利用しているときには、自宅やカフェなどのスペースからでも情報更新できるようにしておくことが大切です。

営業チーム全体が見られるようにする

情報共有のため、必ず営業チーム全員が情報を閲覧できるようにしましょう。営業リストを個々の営業マン一人ひとりが管理している状態になると、次の問題が発生してしまいます。

チームとして案件が把握できない
→ 結果的に、営業活動が属人的になってしまい、顧客から問い合わせがあったときに担当以外のスタッフは適切な案内が出来なくなってしまったり、チームとしての営業目標が管理しづらくなってしまったりするなどのトラブルが発生します。

同じ顧客に複数の社員がアプローチしてしまう
→ 情報共有がされていないことから、同僚がアタックした顧客に対してアプローチしてしまうという問題が生じます。

せっかく営業リストを管理しても、情報が共有されていないとメリットがほとんどなくなってしまいます。

ITツールを活用する

営業リストを効率よく確実に管理するには、ITツールの活用が理想的です。一般的には、営業リストの管理は、Excelで管理されることも少なくありませんが、近年では使い勝手の良いITツールが数多く登場しています。さらに、以下の点からITツールでの管理はExcelでの管理よりも効率的です。

  • 必要な管理項目があらかじめリスト化されていて、画面が見やすく設計されているため、誤入力や漏れが生じにくい(デジタル機器が苦手なユーザーでも使いやすい)
  • クラウド型のツールを利用すると、簡単に情報を共有することができ、社外からでも情報の閲覧や更新が手軽にできる
  • アクセス権限の設定ができるため、機密情報については担当者以外アクセスが出来ないようにするなど、細かな設定が手軽にできる
  • グループウェアや販売管理、地図アプリ、名刺管理アプリなど、さまざまなツールと連携しやすく、情報の入力や活用が手軽にできる

これらの利便性の高さにも関わらず、クラウド型ツールであれば安い月額で利用できるものが大半です。

従来であれば、自社のサーバーに高額な販売管理ソフトや顧客管理ソフトを導入しなくてはなりませんでしたが、イニシャルコストをほとんどかけずに導入できます。また、導入するITツールにもよりますが、既存のExcelの情報をツールにそのままインポートできるツールもあります。

情報のインポートが可能なITツールを選べば、以下の問題が解決できます。

  • ツールを導入したものの、導入したツールに情報を入力するために多大な負荷がかかってしまう
  • 情報が膨大過ぎて、旧管理ツール(Excel)と新管理ツールを併用しなくてはならず、手間がかかる

従って、自社にマッチしたITツールを導入することで、まとまった費用をかけることなく、スムーズに最適な営業リストの管理が行えます。

継続的に活用できる営業リストを作るためには

営業リストを効果的に活用するには、いかに顧客の課題を解決できるかを念頭に、営業リストを作り上げていくという姿勢が重要です。

単に、アプローチできる顧客のリストを集めることに意識が集中してしまうと、どうしても営業リストは精度の低いものになってしまいます。また、リストの作成や更新の意味合いが単純作業として認識されがちになってしまいます。そして、リストの精度が低いことにより、営業マンのモチベーションが上がりにくいという悪循環にも陥ってしまいます。

このような問題を発生させないためには、チーム全員で営業リストを作り上げるという姿勢が求められます。そのために、以下の視点が必要です。

  1. マーケティグンの視点から自社商品やサービスの特徴や強みを洗い出す
  2. 見込み顧客のターゲット像を選定して、解決しうる悩みや課題を選定する
  3. アプローチするターゲットをセグメントする(BtoB企業なら業態・業種・企業規模など/BtoC企業ならエリア・年収・家族構成など)
  4. 効率的にターゲットにアプローチできる方法にて見込み顧客にアプローチをする
  5. アプローチをおこなった後に、反響やアポの成功率などをデータ化し、営業リストの精度を高めていく

上記の一連の流れを繰り返すことにより、営業リストは継続的に活用できるものになります。

まとめ

 営業リストの管理は、営業活動の効率化・精度向上のために大きな効果を発揮します。ただし、だからこそ漏れや不備があるとせっかく営業リストを作成しても台無しになってしまいます。また、情報がリアルタイムに更新されていなかったり、チーム内で共有できていなかったりする際には、情報共有が上手くいかず、営業リストを管理する意味が薄れてしまいます。

効率的かつ確実に情報管理をするための方法の一つとして、ITツールの活用があげられます。ITツールを活用すれば、情報の共有がスムーズにリアルタイムで行えます。場所を選ばず、スマートフォンからの入力も可能であることから、営業マンの作業負担を最小限に抑えるという点でも効果的です。

営業スキルチェックシート」では、営業マンが身に着けておくべき営業力について紹介しています。営業リストを整理したあとの実際の営業アプローチでは営業力が必要になります。自身や自身の組織の営業力の確認にご活用ください。

    営業スキルチェックシート

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