市場調査とは?効果的な営業戦略策定の土台となる市場調査の方法

市場調査

商品・サービスの販売戦略を考える際には、前もってターゲットに関する市場調査が不可欠です。市場調査を重視する企業は多いようで、一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会の推計によると、市場調査業界の市場規模は拡大傾向にあります。

あるいは、現在すでに販売を始めているが「現在のターゲット層は正しいのか?」「顧客の満足度はどうなっているか?」そのような疑問から、市場調査の実行を検討している方もいるのではないでしょうか。

本記事では、企業が効果的な営業戦略の策定を行うもとになる市場調査の方法について解説します。

市場調査とは

市場調査とは、自社が商品・サービスを売りたいと思っている市場に関する情報を収集・分析することです。調査ではアンケートやリサーチ会社が発表しているデータを用いて、市場の動向や自社商品の認知度、顧客のニーズを分析を行います。企業は調査結果をもとに商品開発や価格決定、販売促進活動を決定し、売上拡大を目指していきます。

なぜ市場調査が大切なのか

新しい商品・サービスを開発・販売しても、顧客に受け入れられなければ売れることはありません。そのため、事前の市場調査が必要になってきます。なぜなら、市場調査により、自社が参入してシェアをとっていく余地があるかや商品・サービスに対する顧客の反応についてある程度予測できるためです。特に、商品を大量生産する必要があったり、サービスの開発のコストが高い場合に重要性が高まるでしょう。

米Ford Motor Companyも、「フォード・モデルT」と呼ばれる大量生産車を1908年に発売する際に大々的な市場調査を行い、大きな売上を獲得しました。この「フォード・モデルT」の登場で、移動手段の主流は馬車から車に切り替わったほどです。これは、「市場調査」の効果を初めて世界に広げた例としてよく知られています。

また、市場調査は販売予測を立てられるだけでなく、商品開発にも役立ちます。調査結果をもとに、ターゲットとなる顧客を変更したり、価格設定を変更したりと、市場で商品・サービスが受け入れられるよう調整できるからです。

市場調査の調査対象例

市場調査ではどういったものを対象として調査するのでしょうか。ここでは、いくつかの例をご紹介します。

市場調査の調査対象例

市場価格

自社の商品・サービスの価格を設定するために、「市場価格」を調査します。例えば、ある商品がどんなに質の良いものであったとしても、顧客に「質と価格が見合っていない」と判断されれば、その商品は売れないでしょう。そこで競合他社の価格情報をもとに、市場の顧客が受け入れてくれる相場を調査します。

満足度

展開している商品・サービスに対して、顧客がどれだけ満足しているか調査します。商品・サービスの改善点を見つけたい場合に効果的です。また、新たな分野に新規参入する場合、競合他社の商品の満足度を調べ、商品開発などの参考とすることもあります。

顧客ニーズ

自社がターゲットとしている市場の顧客のニーズや課題を調査します。同じ市場で長年ビジネスをしていても、顧客ニーズは時代によって変化していくものです。そのため、「気がつくと商品・サービスと顧客のニーズがズレていた……」ということもあります。「顧客ニーズ」の調査により、そうしたズレを未然に防ぐこともできます。新商品の開発や、既存商品の改良にも役立ちます。

プロモーション

ターゲットに向けて広告を出す際、掲載する媒体やアプローチ方法は頭を悩ますところではないでしょうか。そこで、効果的な「プロモーション」は何か調査する必要があります。この調査では、広告やイベントなど、販売促進として何を行うと販売数が増加するか調べます。例えば、2パターンの広告デザイン案を用意し、顧客にどちらがいいか選んでもらう調査方法があります。

市場調査の調査区分

市場調査は大きく分けると「定量調査」と「定性調査」に分かれます。2つの違いについて解説します。

市場調査の調査区分

定量調査とは

定量調査とは、数量や割合など数値で測れるものを調査することです。そのため調査結果は表やグラフなどで表されることが多くあります。

例えば、「商品やサービスの認知度を調べる」「顧客の年齢層を調べる」場合にこの定量調査を行います。はっきりとした数値で結果が出るため、説得力があり、調査を行う際も対象のサンプルを集めやすく、素早くデータを回収できるでしょう。一方で、定量調査では顧客の購買行動に至るまでの情緒的な部分の可視化が困難という側面もあります。

定性調査とは

数値で測る定量調査に対し、数値で測れないヒトやモノの性質的な観点を分析することが定性調査です。この調査では、調査対象者のニーズや意見、行動などを探ることができます。

例えば「そのサービスをなぜ利用したいと思ったか」「その商品のどこが気に入っているのか」といった問いを調査対象者に投げかけることで、「調査対象者がなぜそう思ったのか」の理由を深く理解できます。

想定していなかった意見も聞けるので、お客様の潜在的なニーズを知るきっかけにもなり、商品・サービスの開発にも役立ちます。定性調査は1対1や少人数のグループ内で、質問を投げかけながら対話形式で行うと効果的です。

市場調査の手段

市場調査の手段にはどんなものがあるでしょうか。代表的な手段をいくつか見てみましょう。

Webアンケート

Webアンケート調査では、調査対象者に質問をメールで送ったり、ホームページの回答フォームを送ったりして、スマートフォンやパソコンで回答してもらいます。郵送やファクスに比べ、手間やコストがかからず実行できます。大規模な市場調査に適しているでしょう。

一方で、高齢者などパソコンに不慣れな人や、デジタルデバイスを持っていない人の回答を得るのは難しい可能性があるので、サンプル内に偏りができてしまいがちなため、対策が必要です。

郵送やファクス

記入式のアンケート用紙を顧客に郵送やファクスで送り、回答してもらう調査方法もあります。この調査方法では調査対象者が自分の好きな時に回答できるため、詳細かつ正確な回答を回収できる可能性が高いでしょう。

ただし、送る際にコストと手間が発生します。またファクスの場合、送信先がファクスに対応しておらず、回答を得ることができない可能性があるというデメリットもあります。

電話

電話を使えば、調査対象者と直接電話でやりとりしながら調査できます。郵送やファクスでの調査は返信を手間に感じる人もいますが、電話調査では素早く回答できます。ただ、調査対象者が忙しかったり、なかなか繋がらない可能性もあるため、繋がりやすくする対策は必要です。

インタビュー

調査員が調査対象者と対面し、インタビューする調査方法もあります。このインタビューは1対1で行ったり、数人のグループに対して行ったりします。調査対象者の回答に合わせて質問を変えることで、企業にとって必要な重要情報を聞き出せます。

深く価値のある回答が期待できる方法ではありますが、時間や労力のかかる方法でもあるため、サンプル量は少なくなる傾向があります。自社のペルソナであるような深く理解をしたいお客様に絞って実行することが大切です。

街頭インタビュー

街中で直接調査対象者に質問やアンケートを行う調査方法もあります。事前に準備された対象者に聞くのとは異なり、リアルな意見を聞けるメリットがあります。

しかし、調査員が声をかけるタイミングや回答してくれる方に依存するため、調査対象に偏りが生じがちです。また、場所や時間帯によって断られることも増えるため、回答数が少なくなる可能性もあります。

覆面調査

覆面調査は、調査員が一般の顧客を装って商品・サービスを購入し、調査する方法のことです。調査対象者には調査員が誰なのか、いつ調査を行うのか一切知らされないため、顧客目線でリアルな状況を調査できます。従業員の顧客に対する姿勢やサービスを評価する際にも活用されます。一方で、判断基準は調査員の主観によるため、評価が安定しないこともあります。

専門業者へのアウトソーシング

市場調査の目的が明確で、調査するためのリソースがない場合は、専門業者にアウトソーシングしましょう。調査のノウハウを持った専門業者に依頼を行うことで、効率的な調査ができます。

また、業者によっては自社の状況に合わせたマーケティングのアドバイスを受けられるほか、ネット上で簡単にWeb調査できるサービスもあります。

市場調査で分析した内容を戦略と現場に落としむためには

さまざまな調査手段や方法について解説してきましたが、調査はあくまでその後の戦略に役立てるためのものです。調査結果を踏まえて、商品・サービス開発や営業戦略の打ち手など、現場レベルの具体的な行動が大切です。調査を行い、戦略を立てたことで満足してしまったら、調査した意味がありません。

現場にプロジェクトの責任者をたて、指示系統を明確にし、戦略が実行されているか定期的に監視していく仕組みづくりが必要です。ここで、市場調査を上手く現場に落とし込み、売上拡大につながった2つの商品についてご紹介します。

株式会社セブン&アイ・ホールディングスの「金の食パン」

セブン&アイ・ホールディングスは市場調査を行い、既存メーカーに「絶対売れない」と言われていた高級食パン「金の食パン」を大ヒットさせました。

同社が成功した鍵となったのは「綿密な市場調査」です。まず、野村総研の「生活者1万人アンケート調査」を詳しく分析。消費者ニーズが「安さ」から「高くても美味しいもの」へ変化していることを発見しました。

そこから高品質・高価格帯の商品開発を行った後、実店舗でテストマーケティングを実行。価格設定や競合他社との差別化を進め、ヒットにつなげました。

アサヒビール株式会社の「ダブルゼロ」

アサヒビールが2010年にノンアルコールビール「ダブルゼロ」を販売した当初のノンアルコールビール市場でのシェアはわずか2~3%でした。

普及に至った理由は、同社による徹底した市場調査。5,000人以上を対象にインターネット調査とグループインタビューを行い、「カロリーゼロ」という機能性よりも「ビールに近い味」を消費者が求めていることを突き止めました。2年後、味を変えて発売した「ドライゼロ」は大ヒット商品となりました。

ヒットの要因は、「徹底した調査主導の商品開発」です。「商品の味」「パッケージ」など、全て調査に基づいて判断したことで、「ドライゼロ」はヒット商品となりました。調査結果をもとに現場が動くことで結果につながった好例だと言えます。

まとめ

市場調査の方法について見てきましたが、まず調査を行う目的をはっきりさせましょう。目的を明確にすることで、調査方法を決める際に判断しやすくなります。また仮説を立て、その検証のために調査・分析するのもおすすめです。調査範囲を広げず、スピーディーかつ効率的に分析が進むでしょう。

調査結果が出たら、その結果をもとに戦略を立て、実行することが欠かせません。戦略を実行に結び付けるための具体的な方法を記した《中小企業経営層向け》デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブックをダウンロードできます。ぜひ、戦略実行の徹底のためご活用ください。

    売上げ拡大戦略と実行ガイドブック

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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