お客様に愛されるセンスある営業マンの特徴

営業 センス

営業マンがお客様に愛されるため、さらには売上実績を上げるためには、営業スキルは大切ですが「営業センス」も重要になります。

売上の伸び悩みが見られる企業や、営業マンの成績がなかなか上がらない営業チームでは、営業成績の向上のために、営業スキルや営業センスをいかに伸ばすかをテーマにされていることも多いのではないでしょうか。

今回は、営業センスとは何か、営業センスのある営業マンの特徴などを明らかにした上で、実際にどのように営業センスを磨くかについて解説しています。

自身のチームの営業マンの成績を底上げをしたい管理職、個人成績を伸ばしたい営業マンにとっても、営業力強化のために活用していただける内容として解説します。

日々の営業活動で活用できる営業スキルのチェックシートはこちら

営業センスとは

営業センスがある営業マンが、高い営業成績を出すことができることに反対する人はいないでしょう。実際に、営業マン1,000人を対象とした意識調査では、全体の88%もの営業マンが「営業センスが重要」であると回答しています。

意識調査

(出典:https://president.jp/articles/-/3203)

しかし、センス(感覚、感性)というと、限られた営業マンしか持っていない能力として考えてしまいがちかもしれません。もちろん、生まれ持った性向として営業に向いているや、これまで暮らしていた中で無意識で身についてきた感覚というのもあるかもしれません。一方で、意識して努力することで身につけることもできます。

まずは、営業センスとは何かについて具体的に考えてみましょう。

営業センスと営業スキルの違い

営業センスと営業スキルは似たものと感じるかもしれませんが、別のものになります。

営業スキルとは、営業活動において必要となる能力のことを言います。例えば、お客様との信頼関係を生み出す「コミュニケーション能力」や会話の中でお客様がどのような課題を持っているかを見つける「課題発見能力」や「ヒアリング力」などが挙げられます。みなさんもイメージし易いのではないでしょうか?

営業職1,500人を対象に行われたリクナビNEXTのアンケート調査によると、営業マンが最も必要だと感じているスキルとしても「課題発見力」が挙げられています(全体の11.44%)。次いで、ヒアリング力(11.40%)、対人コミュニケーション能力(8.71%)、情報収集能力(8.44%)、ロジカルシンキング力(7.21%)と続きます。

営業マンが最も必要だと感じているスキル

(出典:https://next.rikunabi.com/01/closeup_1233/index.html

一方で、営業センスは少々イメージしづらいかもしれません。なぜなら、「感覚、感性」であるため、はっきりとどのようなものなのかと捉えることができないからです。

そのような中でも営業センスとは何かというと、「このお客様には、この話をすると興味をもってくれるかも」や「〇〇のことを気にしているということは、△△の課題を持っているのではないか」など、お客様にお役立てできることを感覚に基づいて察知できることではないでしょうか。

営業センスについて、さらに天才型と努力型に分けることができます。

天才型

優秀な営業マンの中には、お客様の課題を感覚的に感じ取ったり、事前と信頼関係を構築できるコミュケーション力など、その営業マンが生まれ持った性向や生い立ちの環境によって、自然と営業センスが構築されている場合があります。

このような場合を「天才型」と言えます。

天才型の営業マンは、持ち前の感性やコミュニケーション能力の高さ、提案力などを活かして、どんな状況であっても顧客のニーズを聞き出したり、何らかの成果を持ち帰ったりすることができます。

天才型営業マンの課題としては、チームや部下にノウハウの共有が難しいことです。理論ではなく、営業マン個人の感覚や特性、性格に基づく要素が多いため、同僚や部下が同じやり方を試みても、同じ通りに再現することはなかなか難しいでしょう。

努力型

一方、努力型の営業マンは、営業スキルを学び実践することにより、営業センスを磨いていきます。

例えば、結果の出ている上司や先輩の営業手法を真似る、セミナーに参加する、本を買って読むなどの学習方法があります。そして、そこで学んだ知識やスキルを実際の営業活動の場で実践してみて、どのように使いこなせるのか、どのような反応があるのかを丁寧に分析していきます。

そのように、現場でお客様の反応を分析していくことによって、「このような場合は、〇〇の話を伝えると興味を示してくれやすい」や「以前も、△△をいっていたお客様がいたな……、そのときは〇〇のような課題を抱えていた。今回もそのような課題がありそうだな」といった、経験から感性を磨いていくことができます。

努力型の営業マンは、天才型と比較すると感性やコミュニケーション能力が目立つとは限りませんが、継続的に実行して改善していくことで確実な結果を出すことができます。また、自分自身が論理的に考え、営業センスを身に着けているため、チームや部下への教育や手法のマニュアル化がしやすいというメリットがあります。

営業センスがある人と営業センスがない人との特徴

それでは、営業センスがある人とない人との具体的な特徴の違いについて紹介します。

「営業センス」と一口にいっても、上述の通り営業センスはさまざまなスキルや経験が土台となっているので、営業センスがある人、ない人の特徴はさまざまではあります。その中でも、代表的な要素を紹介していきます。

営業センスがある人の特徴

営業センスのある人の特徴を4点紹介します。営業センスのある営業マンは、これらの要素を感覚的に行えるようになっていることが多いです。

特徴1. お客様のニーズを捉えることができる

お客様のニーズを正確に感じ取ることは、営業実績を上げるために重要なポイントのひとつです。

上述のリクナビNEXT「営業マンに最も必要なアンケートスキル」においても、1位「課題発見能力」、2位「ヒアリング力」となっており、営業マンが顧客ニーズを捉えようと常に意識していると言えます。

感覚的にお客様のニーズを感じ取ることは決して簡単ではありません。多くの場合、お客様は直接的に自身のニーズを話してくれるとは限らないので、営業マンが質問などによって引き出していかなければなりません。

また、お客様がニーズを語ってくれない時やお客様自身がニーズに気が付いていない時には、顧客を分析してニーズを予測、推測し、仮説に基づいた提案をするなどのテクニックも必要です。

ただ、お客様のニーズは顧客層に合わせて、ある程度分類することができます。そのため、「どのような顧客層では、どのようなニーズがあるのか」を分析していくことによって、お客様のニーズを捉える営業センスは磨くことができるでしょう。

特徴2. 伝えたい内容を正確に伝えることができる

お客様のニーズをつかんだら、適切な表現と内容で解決策を示す必要があります。

「正確に伝える」といえば、コミュニケーション力も重要ですが、必要なものはそれだけではありません。コミュニケーションをする前の土台として以下のような知識が必要となります。

  • 商品・サービスに関する知識
  • 競合他社の知識
  • お客様の状況
  • 業界の動向
  • 社会情勢や経済事情

これらの知識が必要な理由としましては、お客様に合った内容を伝えるためにも、必要最低限の知識や情報を持っていないくては、お役に立てる情報を伝えることができないからです。

自社の商品・サービスの知識を理解しておくことは当然ですが、競合他社やお客様に関係する市場や業界の動向など、幅広い情報を取り込めるように意識しておきましょう。

営業センスのある営業マンは、Webから効率よく情報収集する仕組みや、営業先のお客様から聞いた情報を、提案の中で上手く組み込んでいます。

また、お客様の理解度に合わせて営業トークを変えたり、専門的で難しい箇所をわかりやすく説明する工夫もしています。

特徴3. 信頼関係を構築できる

顧客の懐に潜り込むために重要となるのが、信頼関係の構築です。信頼関係が構築されていなければ、商談の場を設けてもらうことも難しいでしょう。

信頼関係の構築方法としては以下の手法があります。

  • 顧客から好印象を持たれる身だしなみとマナーを意識する
    例)服装、髪型、表情、しぐさ
  • 営業トークのテクニックを活用する
    例)ミラーリング(意図的に同じタイミングで同じ動作をするなどお客様と動作を合わせる)、ペーシング(顧客の話し方や状態などにペースを合わせる)
  • 親近感を抱いてもらう話題でアイスブレイクをする
    例)天気、趣味、出身地
  • お客様との約束を厳守すること
    例)納期、アポの時間、問い合わせの返答など

営業センスのある営業マンは、これらのことを常に無意識でできるようになっています。

お客様の心を動かすことができる

お客様に自社の商品・サービスを購入してもらうためには、メリットを感じてもらうだけでは不十分で、お客様の心を動かす必要があります。お客様の心を動かすことは、成約率に直結します。

お客様の心を動かせるか動かせないかの違いの最も大きなポイントは、商品・サービスを導入した際にどのようなメリットがあるのかを具体的にイメージさせられるか否かです。

メリットを数値化したり(コスト〇〇%削減など)、事例を紹介したりするなどして具体的なイメージを抱いてもらえるように働きかけます。視覚的に分かりやすい営業ツールやデモ機の貸し出しなども効果的です。

営業センスがない人の特徴

続いて、営業センスがない人の特徴について紹介します。

特徴1. 自分の伝えたい内容を伝えてしまう

営業はコミュニケーション能力が求められる仕事ですが、伝えたいことを一方的に話すのは逆効果です。

優れたトークスクリプトであっても、顧客のニーズにマッチしていなければお客様は無駄な時間を過ごすことになり、大きなストレスを感じさせてしまいます。

営業マンの目標は「売上を上げること」ですが、まずお客様のニーズを的確につかみ、ニーズを満たすためのコミュニケーションが必要であるという観点から商談を始めましょう。

特徴2. 話が遠回しで何を伝えたいのかわからない

論点が分かりにくく結論が見えない話は、聞く側にとって大きなストレスを感じるものです。ましてや「働き方改革関連法案」が施行されるなど、生産性向上の重要性が叫ばれている今、顧客の担当者も無駄な時間は1分たりとも過ごしたくないというのが本音です。

論点がズレてしまう理由としては、以下の原因が考えられます。

  • 事前準備が整っておらず、考えがまとまっていない
  • 知識やスキルに自信がない
  • お客様から質問をされると焦ってしまって、伝えるべきことを忘れてしまう

伝えるべきことがわからない営業を続けていると、信頼関係の構築が難しく、最終的には商談の場を設けてもらえなくなってしまう可能性もあります。

特徴3. お客様の話を聞かない

お客様の話を聞かない営業マンが、売上実績を上げるのは難しいでしょう。

特に注意をしたいのが、お客様と効果的な雑談ができているか否かです。商品を売りたいという思いが強いと、本題ばかりに意識が傾いてしまいがちですが、お客様からニーズや現状を聞き出すには雑談によって打ち解けて話しやすい関係性を構築したほうが効果的です。

また、お客様から要望や問い合わせがあった時にきちんと回答を示さないケースも、お客様から「話を聞いてもらえなかった」とみなされることがあります。

ビジネスにおけるコミュニケーションの基本は、「話す」よりも「聞く」ことであることの意識が低い営業マンは、営業センスがないとみなされてしまいがちです。

今すぐできる営業センスを磨く方法

営業センスは、磨いていくことが可能です。上に述べた天才型の営業センスについては、生まれ持った性向や生い立ちの環境が関わってくるため、簡単には身に付けることが難しいスキルですが、努力型の方法では誰でも身に付けることができます。

ここでは、今すぐできる営業センスを磨く方法を紹介します。

営業センスのある営業マンに学ぶ

最も手っ取り早いのは、身近にいる営業センスのある営業マンから学ぶ方法です。

学び方としては、以下の方法があります。

  • 上司や先輩の営業に同行する / 同行してもらう
  • 同行時の先輩や上司のトークをメモしたり録音して、トークスクリプトとして活用する
  • 仲のよい社外の営業マンと情報交換をする

このように、営業センスを既に身に付けている人といることで、営業センスを持っている人は「どのような点に注目しているのか」や「どのように分析や改善を行ってるのか」を間近で学ぶことができます。 

営業センスのある営業マンから学ぶ方法

(出典:http://www.eigyoukun.com/questionnaire/

本を読む

読書のメリットはさまざまなところで語られていますが、営業マンが営業センスを磨く上でも大きなメリットがあります。

読む本の種類によってさまざまなメリットがあるので、隙間時間や眠る前の時間などを上手く活用して、情報のインプットを心がけると良いでしょう。

  • ビジネス書
    営業手法や業務効率化、モチベーションの上げ方など、営業センスを磨くために必要なさまざまなノウハウを学ぶことができます。
  • 雑誌
    ビジネスや科学、医療などの最新のトレンドを知るのに適しています。営業の際の雑談の幅を広げる際にも役立ちます。業界としてどのような状況なのか、どのような課題があるのかを感じ取りやすくなります。

セミナー、研修

営業セミナー・研修で営業スキルの習得や、営業センスを磨く方法もあります。

営業セミナー・研修では実践的なプログラムが組まれていることが多く、普段の営業トークを客観的に指導してもらったり、他社の営業マンのトークを見たりするなどにより自身の営業を客観的に見直すことができます。

セミナーの効果を高めるために重要なことは、セミナーの内容を自分に当てはめてアレンジすることです。ただ、講師の先生の言うことをうのみにしたり、「自分には当てはまらない」として受け入れなかったりすると、セミナーはただの情報収集の場に留まってしまいます。

セミナーを受講した際に最も重要なことは、学んだことをすぐに実践することです。実際に行動してみることで、学んだ知識を定着させることができます。

自分に合った営業センスを磨く

営業センスを持っている「売れる」営業マンの中にもさまざまなタイプの営業マンがいます。従って、営業センスについても唯一の正解というものはありません。

上司や同僚、本、セミナーなど営業センスを学ぶ方法はさまざまで、これが「正解」という絶対の方法がある訳ではありません。

営業センスを磨くために最も重要なことは、どのような形であれ「学ぶ」という姿勢を持ち続けることです。そして、自分の性格、スキル、特性に合いそうな方法を営業活動の中で実践して、自分のものにしていくことです。

まとめ

営業成績を上げるためには、営業センスも重要な要素になります。営業センスのある営業マンは、顧客の課題を発見し、的確に伝え、信頼関係を築くなどの特徴を持っています。

センスというと、自分にはないなと感じてしまう場合もありますが、実践と改善によって誰でも磨き上げることができます。

営業センスを身に着ける方法や、どのようなスタイルの営業が合っているのかは人それぞれ異なるので、ひとつの方法に執着するのではなく、さまざまなスタイルを試しながら自分に合った方法を試していくことが重要です。「営業スキルチェックシート」を活用していただくと、営業活動を行う上で重要なポイントをしっかりと押さえることができます。また、チームで共有することで、スタッフ間のスキルや質問事項のバラツキも均一化できます。是非ご活用ください。

    営業スキルチェックシート

戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在、東京と海外を行き来しながら場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。

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