重要成功要因(CSF)とは?経営者が知るべき重要成功要因の分析方法

重要成功要因

みなさんは、経営戦略やプロジェクトの目標達成をする上で、どのような指標を設定されていますでしょうか?KGIやKPIを設定して、その目標に向かって営業活動やマーケティング活動を行っていくことは大切です。

しかし、ただ漠然とした指標を設定しているのでは、目標とする方向性も間違ってしまいますし、最終的に成果に結びつきません。そこで、成果に直結させる上で重要な指標が「重要成功要因(CSF)」です。

今回は、経営者が把握しておくべき重要成功要因(CSF)について、重要成功要因の設定の必要性や見極める方法などについて解説していきます。

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重要成功要因(CSF)とは

重要成功要因(CSF)とは「Critical Success Factor」の略のことを指します。目標を達成する上で最も影響がある要因のことです。自社にとって重要成功要因が何かはっきりしていなかったり、社員間で共通認識を持てていなかったりすると、目標達成から離れてしまいます。

また、似た言葉にKSF(Key Success Factor)があります。日本語にすると「カギとなる成功因子」となり、この言葉も重要成功要因とほぼ同じ意味を持っています。

重要成功要因(CSF)とKSFは、英語圏のビジネスの場でもよく使われる言葉であり、近年は日本でも使われる場面が増えています。同僚やプロジェクトメンバーに「そのプロジェクトのKSFは何だったのでしょうか?」などと物事の重要点を掘り下げたい時などに使えます。

重要成功要因(CSF)はなぜ大切なのか

現代の市場は、必要な商品・サービスがすぐ手に入ることが当たり前になっています。社会も市場も成熟してきているため、さまざまな顧客のニーズに合わせた柔軟な経営戦略が必要とされるようになりました。

また、インターネットやSNSなどの情報伝達技術が発達したことにより、情報がすぐに広まるようになり、差別化してもすぐに他社に追いつかれてしまう可能性があります。

このように、現代は経営戦略において「柔軟さ」と「早さ」が求められる時代と言えます。外部の環境が常に変化しているため、つい「デジタル化戦略を考えなくては……」「働き方の改革をしなくては……」など、さまざまな要素に目が行きがちです。

しかし、まずは重要成功要因に目を向けることが重要です。重要成功要因は目標達成を左右する重要な要素です。分析を行って重要成功要因を把握しましょう。

そうすれば、どのように最終目標(KGI)を達成していくのかや、目の前の小さな目標(KPI)も自ずと決まってきます。重要成功要因の把握こそが事業成功の近道と言えるのです。

重要成功要因(CSF)の分析方法

では、どのように重要成功要因を分析していけばよいのでしょうか?重要成功要因分析に有効なフレームワークをいくつか紹介します。

3C分析

3C分析は「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から情報収集を行い、自社を取り巻く環境を分析し、重要成功要因を導き出すためのフレームワークです。分析の手順は以下の通りです。

  • 市場・顧客(Customer)
    市場や顧客の分析を行い、市場の環境と顧客(顧客ニーズ)についての状況を把握。
  • 競合(Competitor)
    競合分析を行い、競合の強み弱みや顧客ニーズに対応するための動向を把握。
  • 自社(Company)
    自社分析を行って、自社の状況を把握。競合比較や自社の評価を行う。

3C分析を経て、市場や顧客のニーズを満たしつつ、競合との差別化を図り、自社ならではの強みを発揮できる重要成功要因を見出します。

バリュー・チェーン分析

バリュー・チェーンは、アメリカの経営学者マイケル・E・ポーター(Michael Eugene Porter)氏が1985年に提唱したフレームワークです。

自社や競合他社の、どの工程にどのくらいの付加価値が生まれているのか分析するためのものです。基本的に内部環境分析を行うために用いられます。競合他社の活動予測が可能になるほか、自社のどこに他社と差別化できる強みがあるかを調べることができます。

分析の手順は以下の通りです。

  1. 自社の主活動と支援活動をリストアップし、図式化します。
    ここでの主活動とは、原材料の仕入れの物流活動から販売やアフターサービスまでの一連の流れのことを指します。(業態・業種によってどこから始まるかは変わる可能性はあります。)一方、支援活動とは、主活動と関わり合う「主活動を支援する活動」のことを指します。
  2. 各活動内容のコストや強み、弱みについて分析を行い、自社の現状を把握。
  3. 「VRIO分析」のフレームワークを用いて「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣可能性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの視点から経営資源を分析し、各活動内容の競争優位性レベルを把握します。
バリューチェーンを図式化する

このように自社の強みについて把握することで、どこで一番バリュー(付加価値)を出しているのかを把握することができるのです。

5F分析

5F分析は「企業間競争」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」「新規参入の脅威」の5つの要因から分析を行うフレームワークです。こちらも、競争戦略論で知られるマイケル・ポーター氏が提唱した分析手法です。

分析を通して、5つの要因を掘り下げて自社がどのような戦略を打てばいいのかを把握することができます。それぞれの要因の項目について見ていきましょう。

  • 売り手の交渉力
    原材料など売り手(仕入れ元)が強い交渉力を持つほど、買い手(仕入れ先)の利益が低下する
  • 買い手の交渉力
    買い手(顧客)の交渉力が強いと、商品価格が低下して売り手(販売者)は利益を低下させる
  • 企業間競争
    同じ業界内に競合企業が存在する場合、競争が激化する
  • 新規参入の脅威
    自社の市場に新たに別の企業が参入しやすいと収益性が下がる
  • 代替品の脅威
    自社製品の代わりとなりうる新製品が登場すると収益性は低下する
企業間競争

(出典:Porter, M. E. 1979. How competitive forces shape strategy. Harvard Business Review, 57(2): 137-45, p. 141.)

5つの要因を確認することで、自社の業界内や外部の環境も全体を俯瞰的に捉えることができます。業界の構造がわかれば、競争の中でどのような点で優位に立てるのかも見つけることができるでしょう。

SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析は、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの観点から分析を行うフレームワークです。分析の手順は以下の通りです。

  • 外的環境による「機会」と「脅威」について分析を行い、自社にとって「優位に働く外部要因(=機会)は何か?」や不利に働く外部要因(=脅威)は何か?」について把握する。
  • 内部環境の「強み」「弱み」を分析し、競合と比較して自社の強みと弱みを把握する。

重要成功要因(CSF)を抽出するコツ

次に、これまで行ってきた分析から得た結果から、重要成功要因を抽出するために必要なポイントについて紹介していきます。

分析結果を整理する

さまざまな分析手法を行うと、分析手法ごとに結果がでてきます。そのため、整理をしなくては分析結果がバラバラに点在しているだけで、最終的な事実をまとめることができません。

そのため、まずは行った分析手法ごとの結果を整理してみましょう。そうすることで、分析結果間での共通点や矛盾点、関係性などを見つけることができます。

また、分析結果は「事実」である必要があります。分析ごとの結果をみることで事実かどうかの判断の手助けになります。

分析結果を掘り下げる

分析結果を出しただけで満足してしまうと、本質的な課題を見過ごす恐れがあります。そこで、「自社にとっての重要成功要因は何か?」「それはなぜ重要成功要因と言えるのか?」など、自分に対し問いを繰り返しましょう。

形式的な質問や回答を繰り返すのではなく、より具体的に質問して具体的に答えることを心掛けるのがポイントです。これ以上要素分解しきれない、という最小単位まで細かく質問を繰り返します。最終的に導き出した要素が、現状考えうる中での重要成功要因に最も近い可能性があります。

重要成功要因(CSF)の具体例

ここで、分析を通して重要成功要因を見る方法を具体例で解説します。

取り上げるのはある健康食品会社のA社。フィットネスクラブ市場に新規参入をはかる際にまずSWOT分析を行いました。その際の結果が以下の通りです。

<SWOT分析の結果>

  • 強み
    健康食品で培った身体づくりのノウハウや顧客情報がある。
  • 弱み
    接客ノウハウや知名度、信頼度がない。
  • 機会
    昨今、健康志向は高まりフィットネスクラブ市場は継続成長中傾向にあり、特にコンセプトやターゲットが明確に絞られたフィットネスクラブが成長している。
  • 脅威
    すでに大手企業が参入済み。また、参入しても手法を模倣される可能性も。

この分析結果を元に、A社は2つの重要成功要因を見出します。

① 強みと機会を活かした「サービス」

健康食品で特にヒットを生んだ「身体づくり」をコンセプトに掲げ、運動量が減る傾向がある中高年層をターゲットに高価格帯のサービスを提供する。

② 弱みをカバーし、脅威を避ける「広報・宣伝」

自社がこれまで蓄積してきた健康食品の購買者に向けてPRを行う。返金保証制度をPRし、信頼度を高める。

A社にとっての重要成功要因は、自社の持ち味を活かした「サービス設計」と「宣伝方法」にあります。このように、発見した重要成功要因は社員全員で共有し、現場の営業・マーケティング戦略に落とし込むことが大切です。

定期的に重要成功要因(CSF)を見直す意味

市場環境が急速に変化する現代。市場を取り巻く環境も刻一刻と変化しています。「これが重要成功要因だ」と思っていても、いつの間にか変化していることがあり得ます。

例えば、携帯電話が普及し始めた頃の重要成功要因は「販売店舗数の増加」にありました。出店すればするだけ成約数が増加していったのです。

しかし、しばらくして誰もが携帯電話を持ち始め飽和状態になると、重要成功要因を見直す必要が生まれます。このように、外部の環境が変わる可能性がありますので、定期的に分析を行っていく必要もあります。

あるいは、新規参入があるかもしれませんし、競合他社との価格競争が起きるかもしれません。「一度分析を行ったらそれで安心」というのではなく定期的に分析し、現在の市場環境や自社の強みを再確認していくことが大切です。

まとめ

重要成功要因を探ることは、現代のビジネスにおいて欠かせない重要な要素です。事実を細かく調べ、整理・分析し、重要成功要因を見極めましょう。

分析方法はいくつもありますが、その中には目的に合ったフレームワークを活用しましょう。定期的に行うことで、目標達成に向かうことができるでしょう。
しかし、重要成功要因を理解して戦略を立てたとしても現場に共有されなければ意味がありません。そこでセールスハックスでは、策定すべき戦略の策定方法から、実際に現場に落とし込むまでの流れを学べる「《中小企業経営層向け》デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック」を用意ています。目標を達成するための戦略の策定から実施までをぜひ取り入れてみてください。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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