投資対効果(ROI)とは?営業マンが知るべき投資対効果の考え方

投資対効果

企業のイベントや広告、営業活動の施策や人件費など、企業の行う多くの活動には投資が必要とされています。投資は企業の資金で行う必要があり、ただただ資金を投下してしまうと、結果的に赤字になってしまう可能性があります。そのため、投資する上では、投資に対する効果を測定するための「投資対効果(ROI)」について考えることが重要です。

投資対効果の計算によって、「これは有意義な投資が行われている施策なのか、十分な効果を見込めない投資が行われている施策なのか」が一目瞭然となります。そのため「営業努力を行なっているのに、今一つ成果があがらない……」「いろんな施策を行っているけれど、良い結果を出せているかはっきりしない……」といった課題をかけている際には、欠かせない指標だと言えるでしょう。

本記事では営業マンに必要な投資対効果の考え方や、その計算方法について解説します。

投資対効果(ROI)とは

投資対効果とは、投資に対してどれだけ利益をあげたのかを示す指標のことです。投資対効果を意味する言葉「Return On Investment」の頭文字をとって「ROI(アールオーアイ)」と呼ばれます。他にも「投資収益率」「投資利益率」と呼ばれることもあります。収益額を投資額で割る計算になるので、この数値が高いほど、投資あたりの成果が出ていると言えるでしょう。

投資対効果と費用対効果の違い

投資対効果と費用対効果は計算対象が異なります。まず、費用対効果は「費用の投入を止めるとすぐ効果が切れるもの」を対象として計算されます。これは短期的なものだと言えるでしょう。一方、投資対効果は「費用の投入を止めても、将来効果が見込めるもの」を対象として計算され、長期的な効果が見込めます。

実例を基に両者の考え方の違いについて見てみましょう。例えば一年間、看板広告を出稿したとします。出稿期間内での「自社の商品・サービスの新規利用者を獲得」が目的ならば、費用対効果として見るべきでしょう。

しかし、広告は多くの潜在見込み客の目にも触れるため、長期的な視点で見れば、看板により企業のことを知り将来的にお客様になる可能性はあります。「自社の認知度を上げていくこと」が目的であれば、投資対効果として見るべきです。

投資対効果と費用対効果の違い

投資対効果(ROI)を考えることがなぜ大切なのか

ヒト・モノ・カネといった経営資源はどの企業にとっても有限です。特に中小企業では大手企業と比べてはるかに経営資源は限られ、事業を行う上でも大きな課題となります。特にヒトの場合は、2018年の一般財団法人日本能率協会の調査では、人材の強化(採用・育成・多様化への対応)に課題を持っている中小企業は39.5%と第二位に位置しています。限られた経営資源の投資先をどうするかよって、企業の経営は大きく影響を受けます。

もし効果のないものに費やし、大きな損失を生んだ場合、企業の存続が危ぶまれる事態となりかねません。逆に効果が高いものに投資すれば、さらに売上げが拡大できるでしょう。従って、その投資が効果的なものか判断するために投資対効果を想定することは、非常に大切なことだと言えます。

投資対効果(ROI)の計算方法

投資対効果は下記のように、利益を投資額で割ることで算出できます。利益が投資額を下回っている場合、損失が生じていると言えます。

(売上−売上原価-投資額)÷ 投資額×100(%)

この式をもとに、実際に投資対効果の計算をしてみましょう。例えばA社は100万円の投資をして、200万円の利益をあげました。一方、B社は10万円の投資をして50万円の利益をあげたとします。それぞれの投資対効果を見てみましょう。

【A社】200万÷100万×100=200(%)

【B社】50万÷10万×100=500(%)

A社の利益額は200万円と大きいですが投資にもコストがかかっており、投資対効果は200%です。一方、B社はA社より利益額が少ないですが、投資対効果は500%です。このように投資対効果を計算すると、B社の方が良い投資ができたと分かります。

営業が投資対効果(ROI)を考えるべきシーン

営業マンは投資対効果をどんな場面で考えるべきでしょうか。ここでは、投資対効果を考えるべき3つのシーンについて解説します。

営業が投資対効果(ROI)を考えるべきシーン

イベント・展示会

イベントや展示会は、開催する際に告知・宣伝費や会場レンタル費の投資が必要になります。そのため、投資対効果を考えるべきでしょう。この場合、投資対効果を上げるため、できるだけ会場で多くのお客様と接点を持つことが大切です。

イベントや展示会の利点は、自社に興味を持っているお客様と直接話ができること。相手の記憶に自社を印象付けることで、自社の認知拡大につながるでしょう。うまく印象付けられれば、イベント終了直後ではなくとも数ヶ月後、数年後には顧客になってくれるかも知れません。

集客・広告

集客・広告に投資する際には「どれだけお客様の情報を獲得できたか」という投資対効果の分析が大切です。TVCMなどは企業のイメージを印象付けることができるため、一度に多くのお客様に認知してもらえるでしょう。

また、近年ではインターネット上の検索キーワードに関連した広告を表示する「リスティング型広告」や、ユーザーの興味・関心に合わせて広告を表示できる「ディスプレイ型広告」がさまざまな場面で活用されています。どちらも、ユーザー層を絞って広告を表示できるため、自社に興味がありそうな層に効果的にアプローチできます。

また、Facebook広告Twitter広告などのSNS広告も普及しています。SNS広告でもユーザーをセグメントし、自社にあったお客様にのみ広告を表示できます。

営業活動自体

日々の営業活動自体も、投資対効果を考える必要があります。なぜなら営業活動を行うにあたり、人件費や交通費、通信費などの「投資」行為が発生しているためです。投資が発生している以上、効果を出さなければなりません。

営業活動はイベントと同様、お客様と直接話ができる重要な機会です。自社のことをお客様に知ってもらい、良い印象を抱いてもらうことで効果につながるでしょう。営業活動は、いわば営業マン自身が広告になるようなもの。営業マン自身の会話や態度が全て自社のPRになると意識し、営業活動を行う必要があります。

投資対効果(ROI)を高めていくためには

投資対効果を高めるためには、効果測定が欠かせません。効果測定によって「どの施策が最も効果が高く、どの施策が効果を出していないか」が分かります。その結果をもとに施策の継続や改善、もしくは中止の判断を行えるでしょう。

一方で、投資の効果は数値として表れないものもあります。例えば、広告に投資を行った場合、「認知の拡大」や「企業イメージの向上」など、数値で表せない効果が出ている可能性があります。効果測定を行う際には、そうした情報も組み合わせて、多面的に測定する必要があります。

効果測定により「なぜ効果が出たか/出なかったか」の理由を明らかにし、以降の施策に反映することで投資対効果を高められます。

まとめ

投資対効果を計算すると、投資の効果を冷静に分析できます。利益だけをベースに見ていると、利益の大小で施策を評価してしまいがちで、「実は費用や投資の方が利益を上回ってしまっていた……」といった自体に陥ってしまう可能性があります。一方、投資対効果を計算すると、投資に対する効果で施策を評価できます。本当に重要な施策が何か明確になり、無駄なコストを省けるでしょう。

また、営業活動にも少なからず投資は発生しているため、冷静な分析は欠かせません。売上目標や利益といった最終目標だけでなく、「KPI(重要業績評価指標)」を正しく設定し、営業活動が効果的に行われているか見極める必要があります。

こちらから営業活動における31種類のKPIを紹介している「本当に使える、意味のある営業活動KPI集」をダウンロードできます。営業活動の見直しにぜひ役立ててください。

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