営業プロセス標準化で商談を2倍に、効率的な営業フローを作る方法

営業ワークフロー 営業力強化

2019年4月より働き方改革が施行されました。「労働時間の短縮が求められる一方で、売上げ目標は変わらない……」あるいは「さらに高い目標を求められる……」といった厳しい状況に置かれている営業マネージャーも多いのではないでしょうか。

さらに、中小企業では人手不足も大きな課題です。優秀な営業マンをどんどん採用できればいいですが、なかなか難しいでしょう。

では、このような状況の中でどのように営業部門は売上目標を達成していけば良いでしょうか?

本記事では、売上げ目標を常に達成するため解決策の1つとして「営業プロセス(ワークフロー)の標準化」をご紹介します。

数字が上がっているけれども個人管理で営業対応のばらつきが大きい営業チームでは、営業プロセスの標準化により特に大きな効果を発揮します。

また、営業マンの育成には時間と手間がかるという課題にも営業プロセスの標準化は有効です。

部門全体の底上げを図り、営業の生産性を向上することができます。

<営業部門の課題>

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営業プロセスの標準化とは?

では、営業プロセスの標準化とはどのようなものでしょうか? 営業プロセスとは、見込み客への初めてのアプローチや見込み客のフォロー、商談、休眠客の掘り起こしなど、営業マンが普段行っている営業活動の一連の流れのことを指します。

営業プロセス

営業プロセスの標準化では、現状の営業活動を見直し、その中で非効率的なものは可能な限り排除し、優れた営業手法を組織全体で取り入れて標準化します。

標準化というと「組織全体に落とし込むのに時間がかかり難しそう……」「抜本的に営業の仕組みを変えなくてはいけない……」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、営業プロセスの標準化は、全てのプロセスを一気に変える必要はありません。売上げ拡大に結び付く営業活動に絞って、営業プロセスを見直しを行い標準化することで、大きな効果を短期間に得ることができます。

例えば、セールスハックスの運営会社である株式会社コンベックスでは、標準化によって新規問い合わせ対応の時間を約63%削減し、効率を2.6倍に高めることで、商談を2倍に増やすことができました。

どのように営業プロセスの標準化をすすめ、効果を得ることができたのでしょうか? コンベックスが進めたやり方をご紹介します。

営業プロセス標準化の4つのSTEP

それでは、実際に営業プロセスを標準化するための手順を紹介していきます。

営業プロセス標準化の4つのSTEP

目的を明確にする

まず考えたいのが、どの営業プロセスを改善したいのかというところです。営業活動には、さまざまなシーンがあります。例えば、お問い合わせの対応からの営業フローであったり、新規の電話営業からの営業フローなどが考えられます。

自社の営業フローの中で、どの営業シーンからの営業プロセスを改善するのかの目的を明確にして、その営業活動に絞ることが大切です。目的を絞ることによって、営業シーンをよりイメージしやすくなります。

コンベックスの場合では、新規の電話営業からの営業アプローチや紹介、セミナー、展示会などのさまざまな営業シーンがありますが、その中でも新規のお問い合わせや小冊子からのアプローチのシーンに絞って標準化を行いました。

現状の営業活動を把握する

次に行ったことが、現状の営業活動の把握です。営業マンがどのような電話をしていて、どのようなメールを送っているのかを把握します。

もちろん電話のトークの内容やメールの内容を把握することも大切ですが、ここでは「営業マンの対応の流れ」と「お客様の反応」の2つの視点も含めてみていくといいでしょう。

例えば、対応の流れの視点では以下のようなところに注目してみると良いでしょう。

  • 営業マンが電話をして繋がらなかったら、留守電やフォローのメールを送っているか
  • 営業マンが電話して繋がった後、話した内容をまとめたメールを送っているか
  • 提案書や見積もりを送ったままにしていないか

営業マンの業務範囲では、見込み客の発掘から商談、フォローまで担わなくてはいけないことが多いため、非常に忙しいです。それゆえ、丁寧な管理ができずに対応が放置されてしまうことも少なくありません。

もちろん目の前に見込み客を追うことは大切です。しかし、場合によっては管理していなかったことにより、見込みがあったお客様を逃してしまうことにも繋がりかねません。標準化することで、対応の流れができますので漏れを防ぐことができます。

また、お客様の反応をみることも大切です。例えば、「電話で話した内容が正確に伝わっているのか」「メールを送った後そのメールが開かれているのか」というところを把握しておくことも大切です。

最近は、デジタル技術が普及してきており、メールの開封、リンクのクリック、ウェブの閲覧履歴の把握ができるような営業支援ツールも出てきています。

反応がないのにアプローチをし続けても、時間の無駄になってしまいます。ITツールを活用することで、どのようにもっとお客様に反応してもらえるのかについて考えるヒントにもなります。

無駄の削減と改善策の策定

ここまでで、現状の営業プロセスが明確になりました。

次に行うことは、現状の営業プロセスを見直し、「無駄を削減していくこと」と「効果の高いやり方を取り入れていくこと」です。

まずは、自身の営業活動の中で無駄だと思われるところを確認していきます。例えば、「繋がるまで電話を8回以上かけ続けていた……」「メールの返信が来るまで何もアプローチさせずに待っていた……」のような、効果に結びついていない非効率なところを明確にしましょう。

そして、その非効率なところを改善するためには、どのようにすれば良いのかを考えます。ここで大切なのは、組織全体でディスカッションをすることです。

一人で解決策を考えることも大切ですが、自分の視野の範囲内でしか解決策を見出すことができません。それよりも組織全体でどうしたら良いのか考えることによって、上司の過去の経験からの知見やチームのメンバーが実践している方法などを知ることができます。

そのように、組織内で知識を共有していくことができることが標準化の大きなメリットとなります。

小さい改善策から始める

改善策が明確になったら実践してみましょう。

ただ、おそらくディスカッションの中で多くの発見があったはずです。それを全て同時に実行しようとすると対応しきれなかったり、大きな負担がかかってしまいます。まずはもっとも効果のありそうなポイントに絞って実行していくことが大切です。

また、標準化の効果がでやすい「展示会のフォロー」や「Webから資料ダウンロードした見込み客の商談化」など小さい営業プロセスの範囲に絞って進めてみるのもお薦めです。

営業プロセスの標準化に合わせて営業ツールも標準化する

営業プロセスの標準化と合わせて改善したいのが営業ツールです。

営業ツールとは、電話・メール、カタログや小冊子、ITシステムまで幅広いものがありますが、標準化では、対象の営業プロセスの中で頻繁に利用する営業ツールに絞って、管理し改善を図ります。

その際に、見込み客とのコミュニケーションの大きな割合を占める電話やメールの標準化は直ぐに取り組めて大きな効果を生みますので、詳しく内容にも踏み込みましょう。

もっとも効果的な方法は、トークスクリプトとメールテンプレートを活用して標準化することです。コンベックスでは、優れた営業マンのメールのノウハウを取り込んだメールテンプレートを作成し標準化しました。

これにより、メールの作成時間を約50%削減し、見込み客からの反応も向上しました。電話についても同様に、トークスクリプトによって改善を図りました。

営業プロセス標準化により、組織としての最高の勝ちパターンを作る

営業プロセスの標準化によって、新人営業マンでも優秀な営業マンのノウハウを取り入れた営業活動を行うことができます。

ベテラン営業マンもメールテンプレートを利用するなど、営業効率をさらに改善することができます。組織全体の営業力の底上げを図り、見込み客の案件化や休眠顧客の活性化など売上げ向上を図ることができます。

そしてさらに、営業組織のチームワークを高め組織の関係性向上へ繋げることもできるのです。というのは、標準化によって、営業活動についての共通理解ができるため、上司にとっても営業活動の指導や管理がスムーズになり、部下のスキル向上へ導くことができるのです。

<標準化による営業部門の課題解決>

標準化による営業部門の課題解決

まとめ

今回は、営業プロセス標準化の方法について解説しました。標準化と聞くとこれまでのやり方を大きく変えなくてはいけないと印象を受けてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は小さな改善の積み重ねを落とし込んでいくことです。

自分の営業プロセスを見直していただき、さらに上司やチームのメンバーはどのように行っているかのディスカッションや意見交換を行うことで新たな発見があるはずです。ぜひ自身や組織の営業プロセスの標準化を実践してみてください。

営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》」では、コンベックスが実践した標準化の進め方をSTEPごとに説明しています。営業プロセスと営業ツールの標準化による営業組織の管理のヒントにしてみてください。

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

原誠

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