営業売上に貢献する営業マンとは?

営業 売上

多くの企業では営業売上を獲得するために営業チームが組織され、営業マンが配備されています。営業マン一人ひとりの実績によって会社の業績は大きく変わります。営業マネージャーが、営業マンをマネジメントする際に難しい点が、営業売上に貢献できる「売れる営業マン」とそうではない「売れない営業マン」とがいることです。

営業チームとしての営業力を高め、企業の業績を向上させるためには、営業売上に貢献できていない営業マンを一人でも多く「売れる営業マン」へと変身させることです。そのためのポイントとなるのが、目標管理、行動設定、分析改善というマネジメントの流れです。

本記事では、営業売上とは何か、売れる営業マンと売れない営業マンの特徴とは何かを紹介したうえで、営業売上のマネジメント方法について解説します。

営業売上とは

営業売上とは、営業活動によって顧客に商品・サービスを提供することで獲得した代金のことです。企業の「収益」は、売上からコストや税金などを差し引いたものになるため「営業売上が高い=儲かっている」とまでは言い切れませんが、売上が上がらないことには企業は存続できません。

営業マンに営業活動を担ってもらい売上を拡大しようとする際に、営業組織は営業マン一人ひとりの力を引き出し、組織として売上を最大限に引き出せるようマネジメントしていく必要があります。

しかしながら、営業マン一人ひとりの売上実績にバラツキがあり、一人でチーム平均の3倍もの実績をあげている営業マンもいれば、その反対に平均の半分の売上もあげられない営業マンもいる場合もあるのではないでしょうか。

営業組織としての営業力を底上げするためには、売れる営業マンの特徴を知り、売れていない営業マンの営業力を底上げする必要があります。

売上に貢献する営業マンとそうでない営業マンの違い

売上に貢献できる営業マンとそうでない営業マンにはどのような違いがみられるのでしょうか?それぞれの営業マンの特徴やタイプを紹介します。

売上を上げる営業マンの特徴

では、まず売上を上げる営業マンの特徴について解説します。

売上をあげる営業マンの特徴

その1:営業活動の量をこなして営業の質を高めている

売上に貢献できる営業マンの1点目の特徴は、電話やメールなどの営業アプローチの「量」が多いことです。

営業量の多さが売上のアップにつながるには2つの理由があります。1点目は、営業売上は営業活動をしなければ上がらないという非常にシンプルな理由です。営業売上は「商談数×成約率」であらわせることからも、いかに営業活動の効率を高めたり、トークスキルを磨いたりしたとしても、そもそも活動せず商談までたどり着かなことには売上には繋がりません。

成果の上がらない営業マンほど「断られるのが怖い…」「訪問しても成約がとれないから無駄だ…」といった理由をつけて営業活動の量をこなせていないという現状があります。

あるいは、ニッチな業界などにより見込み顧客自体のリストが不足しているといった場合も考えられますが、このような場合では自社の商品・サービスを活用できる別の業界のリストを増やしたり、見込み顧客を増やすためのイベントや展示会を開催したりするなどの施策を検討してもよいでしょう。

2点目の理由は、営業活動を増やすことで営業の質を高めやすいことです。営業活動を行っていると、見込み顧客と対面して話す機会が増えます。すぐに成約が取れることが理想的ですが、取れなくても「競合他社に負けてしまった理由」や「顧客が求めているニーズ」など、日頃の営業活動に活用できる生の情報を営業マン自身に蓄積させることができます。

ポイントとしては、質を高める工夫をしながら量を増やすことが求められますが、「量」をこなさずに最初から高い質の営業活動ができる営業マンは滅多にいません。

その2:お客様に合わせたアプローチ、解決策を提示している

2点目の特徴は、それぞれの顧客の課題やニーズに合ったアプローチや解決策を提示できていることです。「提案型(ソリューション)営業」といわれるような、顧客が何を求めているかを把握して、自社の強みを価値のあるサービスとして提供するといった姿勢も大切です。

お客様に合わせたアプローチによって成果を出すためのポイントは3点あります。

① アプローチ
顧客の課題やニーズを知るためには、まず顧客とコミュニケーションができなくてはいけません。そのためには、電話やメール、SNSで繋がって会話をしたり、オンラインや訪問などで直接話す機会を得る必要があります。そのためには、営業マンが顧客にアプローチするタイミングを知ることができる環境が大切です。

② ヒアリング、情報収集能力
顧客が求めているものや感じている課題を正確に汲み取るスキルです。ここでのポイントは、顧客が自身の課題やニーズを把握している場合とそうでない場合があるということです。また、強い信頼関係が構築されていない場合は、顧客が課題を把握していても全て話してくれるとは限らないという点も挙げられます。

売上に貢献する営業マンは、顧客とのコミュニケーションの中で信頼関係を構築しながら顧客の反応をくみ取り、ニーズを探し出し、最終的に求められているニーズを探り出します。

③ 的確な提案
把握したニーズに対して、的確な提案をおこなえば成約に結びつく可能性は非常に高まります。商品・サービス、価格、タイミングなどの顧客のニーズに合わせた提案を行います。

提案の際に成果を出す営業マンが秀でている特徴は、顧客のニーズや要望を正確に理解して提案をすることです。顧客から聞いた要望や悩みに対して「自社の商品・サービスや自身の提案力を使って、いかに解決できるか」を成果を出す営業マンは的確に察知します。

その3:目標に対して徹底的に実行している

営業売上を上げるためには、やみくもに営業活動をしていてもなかなか成果を上げることができません。重要なカギとなるのが営業目標です。営業売上に貢献する営業マンほど、目標の売上金額必達の意識を強く持っています。営業目標は、一般的に経営者や営業部長などの管理職が売上予測に基づいて決定します。

また、目標必達のために業績を上げる営業マンが必ず実行していることは、数字で管理をすることです。月の目標売上を達成するためには「最低〇件の商談をおこなう。そのために電話営業を〇件行い、DMを〇件送付する」といったように行動目標を数値化します。

成果を上げるために何をどれだけやれば良いかが明確化されているため、しっかりと実績を残すことができます。

売上実績の上がらない営業マンの特徴

次に営業売上の上がらない営業マンの特徴を紹介します。

売上の上がらない営業マンの特徴

その1:お客様の話を聞かない

真面目に営業にとりくんでいて、お客様先に訪問しているにもかかわらず成果が上がらない営業マンが陥りがちなポイントがお客様の話を聞かない営業マンです。

せっかく商談の場についているにもかかわらず、自社の話ばかりをしてお客様の話を聞かない商談をしてしまうと以下のようなデメリットがあります。

  • 顧客に不快感を与えてしまう
  • 営業のヒントになる情報(顧客のニーズや課題など)をヒアリングできない

実績を上げる営業マンの特徴で紹介した通り、売上を上げるためには顧客目線に立って顧客のニーズを満たしたり、悩みを解決したりするための提案が必要です。どんなに優れた商品やサービスであっても、お客様の話をきかずに一方的な説明をしていたのでは成果につながりません。

その2:タイムマネジメントができていない

周囲から見れば忙しそうに仕事をしているように見えるにもかかわらず実績の上がっていない営業マンは、タイムマネジメントができていない可能性があります。

タイムマネジメントができていない営業マンは以下のような問題を抱えていることが多くあります。

  • 仕事の優先順位の付け方が間違っている(あるいは優先順位をつけるという意識がない)。急がなくても良い仕事を優先的にしてしまい、結果的に緊急度の高い仕事は納期ぎりぎりになってしまう
  • 自分の時間管理ができてないため、上司へ相談のための時間をとってもらうことが難しい
  • 納期ギリギリの対応により、食い違いやトラブルによる遅れが生じてしまった際に問題が大きくなってしまう
  • やりやすい仕事やすぐに終わる仕事から先に手を付けて、手のかかる案件が大量に残ってしまうことによりモチベーションがダウンしてしまう
  • 期日を守れないことで顧客からの信頼を失ってしまい、販売機会を失ってしまう

結果的に、営業効率が著しく悪くなってしまい、成果を上げることができなくなってしまいます。

その3:やるべきことを実行していない

組織では、売上目標達成のために行動指針や目標が定められている場合が一般的ですが、営業マンがチームの一員としてやるべきことをやらなければ目標の達成が困難になってしまいます。

営業マンが売上を上げるためにやるべき主なことは以下の通りです。

  • 営業目標の管理や把握(必要アプローチ件数、商談数、成約件数など)
  • 顧客の管理(顧客の基本情報の管理、現状のニーズの状況確認、担当者や決裁者の状況確認など)
  • 営業活動の実行(商談前の資料の準備や顧客に関する情報収集、提案内容の確認、商談、商談の際の問い合わせに対する返答)

以上のような作業を怠ってしまう(あるいは間に合わせられない)ことにより、結果的に売上目標の未達が続いてしまいます。

営業売上の管理方法

スタッフごとに生じてしまう営業実績のバラツキは、マネジメントによりある程度均一化させることができます。実績の出ない営業マンを売れる営業マンにするために3つの管理方法について紹介します。

目標設定

目標設定は、毎月の成果を図るうえでも重要ですが、売れない営業マンを売れる営業マンにするためという観点においても重要です。一緒に目標に対する進捗管理をおこなうことができます。そのため、目標設定をする際には、最終目標だけではなく進捗も管理できるような目標も設定する必要があります。

  • 目標達成のために必要な見込み案件数のリストアップ
  • 見込み顧客へのアプローチ件数
  • 必要な商談数(商談の成約率などを参考にできるだけ精度を高めて算出)
  • 商談やアプローチのスケジューリング

これらの作業は、売れる営業マンは月の最終目標を提示されると、自身の中で実行しています。しかしながら、売れない営業マンは月目標の金額からこれらの落とし込みができていないことが多いので、上司と一緒に目標設定をおこなう必要性があるのです。

行動設定

目標を設定した後には、行動管理をおこなうことで目標通りにチームの営業マンが行動しているか否かを確認することができます。行動設定をする際の注意点は以下の通りです。

  • 目標に設定した具体的な行動が実行されているか否か(「何を、いつまでに、どのように」といったように手順ややり方を5W1Hで管理する)
  • 進捗状況を把握できるようにデータなどで管理する
  • チーム内にて行動設定と進捗状況を共有して、メンバー全員が状況を把握できるようにする

分析と改善

目標管理と行動設定を作ったら、効果を高めていくために分析をおこなっていきます。そして、分析結果に基づいて改善を繰り返していきます。分析項目は、例えば以下の点があります。

  • メンバーそれぞれのできていることとできていないことを明確にする
    (例えば、見込み顧客は十分にあるが商談数が少ない、商談数は足りているにもかかわらず成約が不足しているなど)
  • 目標の基準値を設定し、メンバー間のバラツキを調整する
    (一人の営業マンだけ商談数が他のメンバーより少ない場合など)
  • メンバー全体の目標に対する達成状況をチェックして、目標設定が適正か否かをチェックする

このように、最終的な売上目標を管理するのではなく、目標達成のための行動やプロセスも管理していきましょう。

まとめ

営業売上を上げる営業マンと上げられない営業マンの特徴を比べると、売れる営業マンは顧客目線での対応を行っていることと、目標達成に関する管理を自分自身で徹底している点があげられます。反対に、売れない営業マンは自社目線での営業に陥りがちな点と、管理の徹底がされていない点が大きな特徴です。

売れない営業マンを売れる営業マンに引き上げるための方法の一つは、目標管理や行動設定などのプロセス管理を元に改善をおこなうKPIの評価手法を導入することです。スタッフ一人ひとりができていることと課題が明確になる他、メンバー間でのバラツキのチェックや成約のための課題になっている箇所を明確にすることができます。

本当に使える、意味のある営業活動KPI集」では成果を上げる営業チームを作ることのできるKPIを紹介しています。必要なチェックポイントが漏れなくチェックでき、行動すべきポイントを的確に共有することのできるツール内容になっておりますので、ぜひご覧ください。

    営業KPI

戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在、東京と海外を行き来しながら場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。

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