営業活動でAIができること、できないこと

営業 AI

第3次AIブームと言われる現在、AI(人工知能)によるビジネスソリューションやAI搭載の電化製品も増え、AIの存在は私たちの生活に身近なものになりました。
野村総合研究所(NRI)の未来創発センターは、10~20年後には、日本の労働人口の49%の仕事が人工知能やロボットで代替可能になるというデータを2015年に発表しました。
営業の仕事も無くなるのではないかという、漠然とした不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、営業の仕事はなくなりませんが、仕事のやり方や内容は変わっていきます。
今回は、営業活動でAIができることとできないことを整理し、さらに将来を見据えてするべきことをご紹介します。

AIができること

AIができることは、顧客体験の向上、営業マンの時間を作ることの2つにまとめられます。

1. 顧客体験の向上

まず、AIにより格段に充実するのがカスタマーサポートです。
チャットボットなどにより、顧客対応の効率がアップし、顧客満足度も向上します。
人間とやりとりすることなく、購入プロセスを進めることも可能になり、顧客にとっては購入体験がスムーズで快適なものとなります。
また、行動や好みの分析により、顧客ごとにパーソナライズされた体験や提案が提供されます。

2. 営業マンの時間を作る

従来の営業スタイルでは、営業マンの時間の多くは見込み客を探し出すことや見込み度の精査に使われ、クロージングに使われるのはわずかと言われています。
しかし、AIを活用すれば、次にフォローアップするべき見込み客について、精度の高いものから優先的にAIに提案してもらうこともできるようになりました。
また、スケジュール調整、データ入力、見込み度が不明な大量の見込み客リストへの初回の営業メール送信など、単調で手間がかかるタスクをAIにまかせることもできます。
つまり、AIは営業マンの仕事を減らし、重要なことのために割く時間を作ってくれるのです。

AIができないこと

1. データ化されていない複数の情報の活用

大量のデータを分析することにより、新たな可能性を生み出すのがAIです。
しかし、すべてのデータがコンピュータに蓄積されているわけではありません。現在AIが活用されているデータは営業活動のほんの一部で、顧客とのやりとりや取引きに関連する情報をすべて記録できるにはまだ至っていません。
営業活動に必要なデータは人の頭の中を含め、複数の場所に多様な形で存在をしています。
例えば、感情、ボディーランゲージ、表情なども営業活動では重要な要素ですが、それらを読み取り判断するのは人間の方が優れています。
優秀な営業マンであれば場の空気を読んだり、さまざまな情報をつなぎ合わせて仮説を立てたりして、複雑な状況を紐解き、高度な判断を下すことができます。期待値のコントロール、あいまいな状況のハンドリングも人間が得意とするところです。
また、データの量が少ない場合や新しい現象についても、AIはまだ苦手としています。
そのため、新商品やサービスについての営業活動については、初期段階では人間が柔軟に対応をしていく方が望ましいと言えます。

2. アイディアや人間との関わりが必要なこと

購入を決断するには、売り手への信頼と共感が必要になります。
金額が大きな購入の場合はなおさらです。
AIの感情を解釈する能力はどんどん上がっていくでしょうが、それでも完全に人にとってかわることはないはずです。
大量のデータや計算が必要なものはAIに任せることができても、洞察力、アイディア、人との繋がりについては、やはり営業マンが必要です。

これからの営業マンが考えるべきこと

現在のAI技術活用したソリューションは、企業が保有するデータのごくわずかを使っているにすぎません。
AIをより広範囲に営業活動で活用するには、関わる人々の関係性、情報、時間、行動、結果など、さまざまな要素の関係をさらに理解していく必要があります。技術だけでなく、消費者や市場などが変化し続けていることも忘れてはいけません。
AIによるソリューションを導入したとしても、消費者の行動や市場を取り巻く環境の変化を把握しながら、修正していくことが必要です。
AIができること、できないことを理解した上で、現状をどう変えていくべきなのか、仮説を持って考える力を伸ばすことも大切です。
まとめると、これからの営業マンは現状の把握力、技術への理解、仮説立案力をこれまでに以上に必要となります。
また、他の営業マンもAIのソリューションを活用しながら、営業活動を行なっていくことになるため、他の人よりもよい成績を残すには、発想力も磨き、新たな成功法則を自ら探し出していく努力も必要でしょう。

今回は、AIができる営業活動についてお伝えしました。
AIはあくまでも営業マンのアシスタントです。どう使いこなすかは営業マン次第。
AIの活用による可能性を最大に引き出すのがこれからのトップセールスマンであるとも言えるでしょう。
楽しみながら新たな営業スタイルを探し出していきましょう。
営業スキルについては「営業の未来予測と今のうちに身につけるべき6つのスキル」も参考にしてみてください。

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原誠

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