SHOWROOM・前田裕二が予想!ポスト平成、市場価値が急上昇する“神シゴト”って?

SHOWROOM 前田裕二

from 20’s type ※この記事は2019/2/26に20’s typeに掲載された記事の転載です

AIに仕事が奪われる」。そんな悲観的な意見が多い昨今だが、果たして本当にそうだろうか? 確かに、一部の仕事はなくなっていくかもしれないが、時代の変化とともに新たに誕生し、価値が高まっていく仕事も存在するに違いない。

そこで、最先端のテクノロジーとビジネストレンドに詳しいSHOWROOM代表・前田裕二さんに、今後求められるようになるスキルと、市場価値が急上昇するオススメの仕事を聞いてみた!

AIを活用できる側にいれば、仕事を奪われることはない

AIが仕事を奪うと言われていますが、「AIに仕事を渡す」という発想を持つことが大事です。パソコンが誕生したことで失われた仕事もあれば、新たに生まれた仕事もある。AIも、雇用を奪う以上に新しい仕事を生むでしょう。

その際に必要なのは、AIを使いこなせる力です。パソコンやスマホが使えなければ仕事ができないのと同様、これは基本のスキルになると思います。

前田裕二

一緒に働きたい理由は「スキル」から「感情」へ変わっていく

こうした前提で、今後のビジネスパーソンに求められる要素は四つあります。

一つ目は「地頭」。単に豊富な知識を持っているだけでなく、物事を抽象化して他の事象に転用し、高いレベルの成果を出せる思考を指します。非常に高度な知的生産活動のため、人間の中でも得意・不得意の差が大きい分、他者との差別化がしやすい要素と言えるでしょう。

二つ目は「専門性」。知識量だけなら機械の方が優れていますが、経験を含めた専門性なら人間の方が上。ジェネラリストではなく、スペシャリストの価値が増すはずです。

この二つの力は、少なくとも5年はAIに代替されることはないでしょう。ただ、その先の鍵を握るのはヒューマンスキルだと思っています。

そういう意味で、三つ目の要素は「熱中できる力」。僕の知人に毎朝必ず、仕事前に釣りに行く人がいます。夜12時過ぎに帰宅しても、朝3時には起きて釣りに行く。一見非効率に見えることでもここまで熱中できるのが、人間の特徴であり、強みです。プログラミングなくして何かに熱中することは、AIにはできません。

そして四つ目は「愛される力」。自分が周りを愛すること、そして愛される弱さがあることが大切です。ドラえもんが愛されるのは、ネズミに耳をかじられて大泣きしてしまうような、ちょっと抜けているところがあるからですよね。そして仮にこれが、「プログラミングされた」弱さだったら、多分愛せないと思います。足りない部分があり、完璧でないからこそ惹かれ合うのが人間です。「ちくしょう!」と困難を乗り越えていく姿にこそ、人は魅力を感じるのではないでしょうか。

地頭や専門性がAIに代替されるにつれて、一緒に仕事をする動機は、「この人が好きだから」という感情に寄っていく。人間として魅力的であることが、これから先の一番の武器になっていくでしょう。

前田裕二

前田さんが予想する、これから伸びる仕事6選

【1】マネタイズ・ストラテジスト

新しい技術や発明に対して、キャッシュポイントを整理し、収益化できるビジネスモデルを企画・実行できる力を持つ専門家。言い換えれば「経営者としての力がある人」である。

「社会に役立つ技術や発明があったとしても、ビジネス化できなければ世の中にインパクトは与えられません。また、スケールさせるには大きな投資が必要で、資金調達の際にはビジネスプランが不可欠。ビジネスモデルを考えるのが苦手な発明家が多いため、『どうやっ
たら収益を上げられるか』は大きな課題となります。さまざまな技術が開発されていけばいくほど、それをマネタイズさせる能力へのニーズは高まるでしょう」

【2】データ・マーケター

ビッグデータやAIを活用し、人々の消費行動や需要を分析。その結果を用いてプロモーションなどの戦略を立てられるマーケティングのプロへの需要が高まっていくことが予測される。

「膨大なデータとAIの進歩によって、顧客のタイプや行動パターン、商材に興味を持つタイミングなどが分かるようになりつつあります。しかし、そこで得た情報を基に戦略を立てる作業は、まだまだ機械の苦手とするところ。顧客を拡大し、商品やサービスのファンになってもらうためには、どのような施策を打つべきなのか。テクノロジーをうまく活用しながら、精度の高い戦略を立てられる人材が必要となっていきます」

【3】特定領域に長けたスペシャリスト

金融・会計など、ある分野の専門知識を有しているのみならず、別の業界でその知見を発揮できる応用力を兼ね備えた専門家。

「すでにインターネットで大抵のことを調べることができ、人間の知的活動をAIがどんどん代替していく未来が待ち受けている今、ただ専門知識があるだけでは市場価値は上がりません。必要とされるのは、専門性と同時に応用力を持つ人材。経験や知識を抽象化し、別の何かに応用する力こそ、機械が持ち得ない重要な能力となるでしょう。中でも今、最も需要があるのはファイナンスの分野。ベンチャーではCFO(最高財務責任者)が売り手市場となっています」

【4】営業

対面で顧客に提案を行う営業職。提案力だけでなく、ずば抜けた対人折衝力、そして顧客から愛されるヒューマンスキルが必要とされる。

「顧客のニーズに合わせた商品やサービスの提案は、すでにAIでも実現可能。しかし、自身のライフストーリーを語り、共感を得て、相手から好感を持たれた上で提案を進める手法は、対面でコミュニケーションをとれる人間ならではの営業スタイルです。あらゆる物事がAIに代替されていく時代だからこそ、ヒューマンスキルを生かし、顧客から『この人を応援してあげたい』という気持ちを喚起させるスキルは、今以上に重要性を増していくに違いありません」

【5】エンターテイナー

マーケットを観察した上で、“遊び”を考えられる人。構成作家や企画職が含まれる。

「例えば、自動車の自動運転が実用化されたとき、運転から解放された僕たちは車内でどんな時間を過ごすのでしょうか。テクノロジーの進化と共に余剰時間が増えていく過程で、需要が高まるのがエンターテインメントだと思います。放送作家の秋元康さんや高須光聖さんは、人々を楽しませる企画を次々に生み出すアイデアマン。彼らは社会を観察し、道行く人の持ち物や行動から面白さを見出し、少し先の未来を予測しながら企画に昇華する能力に長けています。これは機械にはできない、人間の得意領域です」

【6】XR技術者

XRとは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの一連の3D技術を指す。バーチャル空間上で動くキャラクターや精緻な街を作る技術者が求められている。

「今はまだバーチャル空間での行動は限定的ですが、いずれオープンワールドが広がり自由に動けるようになります。演出やサービスにもVRが用いられるでしょう。バーチャル空間に現実の街が再現されれば、人々は長時間そこで過ごすようになるはずです。AR、XR技術によってそれが現実世界にも染み出して、現実がより豊かになる未来も近い。その世界を
生み出す技術者や、技術に付加価値を付けてサービス化する人の需要はますます高まっています」

取材・文/天野 夏海 撮影/赤松 洋太

————————————————– PROFILE ————————————————–

SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田 裕二さん

1987年生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、UBS証券株式会社に入社し、11年にUBS Securities LLC(ニューヨーク勤務)へ異動。13年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。“夢を叶える”ライブ配信プラットフォーム『SHOWROOM(ショールーム)』を立ち上げ、15年に当該事業をスピンオフさせSHOWROOM株式会社を設立。ソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受けて合弁会社化。著書に『人生の勝算』(幻冬舎)がある

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メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。
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(「序章『メモの魔力』を持てば世界に敵はいない」より)

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※こちらの記事は『20’s type』より転載しております >>元記事はこちら

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