管理職が知っておくべき業務効率化の目的と手法とは

業務 効率化

「この業務は本当に必要なのか……」「この業務をもっと早く進められたら、他の仕事も進められるのに……」。仕事中にこんなフレーズが頭に浮かんだら、業務効率化が必要とされているかも知れません。

業務効率化には、労働時間を短縮したり生産性向上につながったりと、さまざまなメリットがあります。特に近年は「働き方改革」の影響を受け、業務効率化への注目度が高まってきていると言えるでしょう。一方で、なかなか業務効率化を現場に落とし込めていない企業も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では業務効率化の目的とその方法、そして具体的に組織に落とし込む方法を説明します。特に管理職の方で業務効率化を検討しているものの、なかなか進められないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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業務効率化とは

業務効率化とは、業務のプロセスから無駄なものを省き、より円滑に業務が進むように促すことを言います。業務効率化の目的は、企業の売上げ拡大や従業員のパフォーマンスを向上させるためです。

長年続けてきた業務スタイルには、思いのほかムダな業務が潜んでいるものです。チームのメンバーの残業や休日出勤の要因は、現在の業務効率の悪さから来ることもあります。

業務効率化の基本は、業務の「ムリ」「ムダ」「ムラ」、3つの「M」を省くことが大切です。それぞれ見ていきましょう。

ムリムダムラ

ムリ

  • 業務が特定の担当者に偏ってしまっている
  • 人員に対して作業量が見合っていない
  • 実践不可能なスケジュール

ムダ

  • 一つの業務に対して必要以上に時間をかけている
  • 不要な業務がある
  • 効率の悪い動きがある

ムラ

  • 繁忙期と閑散期があり、成果が安定しない
  • 業務の雑さやミスなどによりやり直しが多い

この3点を改善していけば、業務の質は強化され生産性も向上するはずです。

業務効率化と働き方改革の関係

2019年4月から施行された働き方改革は、「一億総活躍社会を実現するための改革」と言われています。誰もが働きやすい社会をつくることで、労働者を増やし出生率や生産性を向上させようというものです。

働き方改革の要点の一つが「長時間労働の解消」です。労働時間を調整することができるようになれば、高齢者や育児をしている女性なども働きやすくなります。そのためには、短時間で企業が期待するパフォーマンスを出していくことが求められます。その解決策の1つとして、業務効率化も大切な要素になってくるでしょう。

業務効率化はなぜ必要なのか

企業活動を行っていくためには、従業員一人ひとりが限られた資源と時間の中で、売上げ向上につながる成果を出さなければいけません。組織として生産性を上げるために、業務効率化は大切なものです。

また、業務効率化はコスト削減や売上げ拡大だけでなく、従業員のモチベーション向上にも影響を与えます。業務効率化によって生産性が向上し利益率が高まれば、福利厚生の整備やボーナス・給与の増加が期待できます。業務に見合った給与が支払われれば企業への満足度が高まり、仕事に対するモチベーションも上がります。

また、ムダなコストが削減されれば、最新のITツールを導入するなどと、毎日の仕事を快適にするための環境への投資が可能となります。業務効率化で仕事を円滑に進めることができれば、残業をすることなく帰ることができるため、働きやすい職場環境も実現できるのではないでしょうか。さらには、従業員にとって働きやすい職場になると、離職防止にもつながります。

業務効率化するための手法

業務効率化を実際に行おうと考えていても、どのようなことに注意した方がいいのか分からないという人も多いと思います。ここではその手法について解説します。

業務効率化するための手法

業務の目的と目標を確認する

業務効率化をする上で大事なことは、まず従業員全員が業務の目的と目標を確認することにあります。当たり前のように感じるかもしれませんが、意外と明確になっていない場合も多くあります。業務の目的や目標は、どの従業員に尋ねても分かりやすい簡潔な内容で返ってくるものである必要があります。

あやふやな目的や抽象的な目標だと、従業員それぞれが個人的に解釈してしまいます。個人的に解釈が異なってしまうと、何が本当に必要な業務か判断がつかなくなってしまいかねません。まずは「どのような目的で進めていくのか」「何を目標として進めていくのか」を明確にしましょう。その目的や目標から逆算し、すべきことや不要なものを明確にしていくとよいでしょう。

自分の最大のパフォーマンスを出せるリズムを把握する

ある調査では、起きてからの2時間が特に集中力が高まる時間帯だと言われています。個人差はあるかと思いますが、人にはそれぞれ1日の中で最も仕事がはかどる時間帯があるはずです。同時に、どう頑張っても集中力が途切れてしまう時間帯もあるのではないでしょうか。

従業員それぞれが、自分のもっとも効果の出せる時間帯や体内のリズムを把握することで、ここぞという場面でパフォーマンスを発揮することができます。スポーツ選手がその実力を発揮し続けている状態をよく「ゾーンに入っている」と表現しますが、まさにこの「ゾーン」状態がビジネスシーンでも必要です。「ゾーン」に入るためのタイミングを把握しておくことは業務効率化につながるといえます。

仕事の優先順位を決定する

一つひとつ仕事の優先順位をはっきりさせることは、業務効率化の重要なポイントです。

まず、優先順位を決める場合は、「コスト」と「効果」の2つの軸で業務を分類してみましょう。コストとは、その業務を実行するにあたって必要な時間や労力、お金などをいいます。一方、効果はその業務を行うことで見込まれる売上げや成長のことを指します。

そのように分類すると、業務で一番優先順位が高くなるのは「コストが少なく、効果が高い(下図の「すぐに行うこと」の部分)業務を行うべき」という優先順位が見えきます。

仕事の優先順位を決定する

全体の業務が見えてきたら、スケジュール表や進行表を確認しながら、時間単位で行う作業を決めてみましょう。その際「この1時間内に○○の作業を完了させよう」と細かく設定しておくことが肝心です。慣れてくると、1つの業務にかかる時間がだんだん読めてくるようになり、上手にスケジュールを組むことができるでしょう。

ITツールを活用する

近年、営業支援ツールや業務(タスク)管理ツールなどのさまざまなツールが増えてきています。ITツールを導入することによって課題を解決できるのであれば、活用しない手はありません。

例えば、業務報告を効率化したい営業マンは多いのではないでしょうか。一日の終わりに業務日報を書いたり……、上司に電話で報告や相談を行ったり……。どちらも大切な業務ではありますが、必要以上に時間をかけてしまってる場合も多いかもしれません。

電話で連絡しても相手に連絡が取れない場合がありますし、社内メールを送っていても相手がお休みで読んでくれているかどうか分からないこともあるでしょう。

この悩みを取り除いてくれるのがコミュニケーションツールです。例えば、「Chatwork」や「Slack」が挙げられます。これらはスマートフォンアプリでも配信されているため、場所や時間を問わずどこでも確認可能。さらに、やり取り自体がメッセージとして残っていくため、重要な内容も後からすぐに確認できます。

この他にも、かさばる名刺をデータ化して管理できる「名刺管理ツール」や、オンライン上で商談が可能な「WEB会議システム」など様々なITツールが存在しています。無料で導入できるものも多いため、コストをかけることなく業務を効率化することができるでしょう。

組織内で役割を明確にする

業務を効率化するためには、組織内での各従業員の役割を明確にしなければなりません。自分の役割が明確でなければ、どの業務が重要でどの業務が重要でないかといった判断がつかず、結果として目標に直結しないムダな業務を行ってしまう可能性があるためです。かと言って、個人個人に仕事を割り振ってしまうと特定の従業員にのみ負担がかかり、効率が悪くなってしまいます。

従って、一つの業務に向かうチームを作り、その中で役割分担をすることが最善であると言えます。チームという括りがあるために仕事もバランスよく振ることができますし、進捗状況を見てスケジュールを調整することもできます。

チームのメンバーは互いの役割を把握しているためフォローを行うこともできます。さらに他のメンバーに迷惑をかけないよう努めることができるため、効率的に業務を遂行できます。

ただ、どんな業務でも役割分担をできるわけではありません。業務の中には資格を持っている人しかできない業務などもあります。チーム内で負担がかからない業務配分を最適化してくことが大切です。

会議の時間を短縮する

議題が特にない場合でも、定例会議を開いてしまったりはしていないでしょうか。会議は決まった人数の決まった時間を拘束するため、価値のあるものにしなくては業務時間を浪費してしまっていることもになりかねません。

一種の「慣行」のようになってしまって、無意識のうちに会議に時間を多く割いている場合は要注意です。一度見直すことが必要かもしれません。会議を行う回数を必要最低限に留めることができれば、業務は効率化されます。

会議の準備にも時間はかかります。場合によっては資料を作成するための多くの時間をかけてしまっている場合もあるでしょう。メールやチャットツールなどですむ内容であれば、極力会議の時間は減らすようにしましょう。

業務効率化を組織全体に落とし込むためには

個人が業務効率化を行うことは大切なことですが、組織全体で行わなければ成果は生まれません。そのため、トップから現場に至るまで、全員が意識して落とし込んでいくことが必要です。組織が一丸とならなければ、ムダはどこかに残ったままになってしまうでしょう。

また、組織全体に業務効率化を落とし込む際に気を付けることがあります。例えば、いきなり思いついたアイデアをすべて実行するのは非常に危険です。いくらいいアイデアだったとしても、一度に実行してしまうと従業員がついていくことができず、すべて中途半端となるといった事態にもなりかねないからです。大切なのは従業員のキャパシティに合わせた現実的なプランを立て、確実に実行できるようにすることです。

さらに、PDCAサイクルを行い、定期的に効率化がなされているか見直すことも大切です。全体に効率化が行き届いているか確認しましょう。

まとめ

「働き方改革」が示している通り、現代は深刻な働き手不足の時代。限られた働き手と限られた時間の中で生産性を向上させるために、業務効率化は欠かせません。

効率化できていない状況下では、何が必要な業務で何が不必要な業務か、理解できていないことが多いと言えます。一度、業務全体を俯瞰して、冷静に業務を見直す必要があるでしょう。長年続けてきた方法をやめて、新しい方法を採用することは組織にとって大きな挑戦になるかも知れませんが、試すことによって良い結果が生まれたり、新たな発見があるはずです。

業務プロセスを簡略化させたら、次は空いた時間やコストをどう使うか考える必要もあります。空いた時間に新たな営業方法を試したり、部下のマネジメントに割く時間にあてることもできるはずです。

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