営業日報を活用して営業マネージャーが行うべきマネジメントとは

営業日報 営業

日々の営業活動を客観的に見て振り返り、業務改善することで売上アップにつながる営業日報。手軽に実行できるので、多くの企業で積極的に導入されているのではないでしょうか。

ただ、営業マンの多くは「営業日報を書く時間がない……」と一度は悩んだことがあるでしょう。逆に部下の営業マンに営業日報を書くように指示をしている営業マネージャー側も、多忙のため営業日報をしっかりと確認できていないという人を少なくないはずです。

営業日報を実施している企業の中で営業日報の目的を理解し、組織全体で前のめりで取り組んでいる企業はどれくらいあるでしょうか。

売上アップや社員育成につなげることができる営業日報。今回は、営業日報の目的から行うべき施策まで紹介します。

営業日報を実施する目的

あなたのチームでは営業日報を実践していますか?実践している場合、目的は何でしょうか?営業日報はあくまでも目的を達成させるための手段です。「今までやっていたから続けている」では効果がないだけでなく、大切なチームの時間を無駄に消費することになってしまいかねません。

明確な目的をもってこそ意味を持つ営業日報。企業や組織によって、さまざまな目的がございますが、今回は2つ紹介します。

営業日報を実施する目的

① 施策に対しての進捗管理

まず一つ目はチームで取り組む施策の進捗管理です。チームで目標を達成するためには、共通認識のとれた施策を実行する必要があります。

例えば、「300名以下のIT企業をターゲットとしてAという提案を行っていく」という施策があったとします。そのターゲットの母数が500件あり、日々50件ずつアプローチしていくと決まりました。このアプローチの進捗を営業日報で管理していきます。

営業はチームで取り組んでいるとは言え、営業マンそれぞれがアポイントを獲得し、お客様先へ訪問をします。2、3名のチームであれば営業マネージャーもメンバーの進捗を管理しやすいですが、5名以上になると正確な進捗を把握することが出来にくくなります。進捗を正確に把握できていないと、正しい判断と行動が行えず、結果として目標未達成を招いてしまうかもしれません。

そのような事態を防ぐためにも、営業日報をメンバーに実施させましょう。「目標に対して順調に進捗しているのか?」「想定よりもどれくらいアポイント件数が不足しているか?」をすぐに把握でき、改善案を考えることに時間を割くことが可能になります。

② 営業マンの課題把握

「メンバーの現在の課題は何ですか?」と聞かれた場合、すぐに根拠と一緒に、現状の課題を回答できますでしょうか? 営業マネージャーは、短期的なチームの売上目標達成はもちろんですが、長期的な営業マンの育成も大きな役割の一つです。営業マンの成長を実現するためには、営業マンの抱えている現状を把握し、課題や弱みに対して適切なフィードバックを行っていくことが必要です。

優秀な営業マンが、必ずしも優秀な営業マネージャーになるとは限りません。それは「自分で実行すること」と「メンバーにやり方や理論(ロジック)を伝え、営業マン自身で実行できるようにすること」は同義ではなく、難易度も後者の方が高いためです。

では、なぜ優秀な営業マンは優秀な営業マネージャーに必ずしもなれるわけではないのでしょうか。それは、優秀な営業マンの中には持ち前の「感覚」で判断し、施策を実行しているからではないでしょうか。

どの営業マンでも理解できるように、「定量的」に行動を分析し、弱点や課題を抽出することが必要です。営業マンに説明するときにも、定量的なデータを根拠に課題を指摘できメンバーの納得感も高くなります。

その行動把握と分析に役立つのが、営業日報です。日常の営業活動を営業日報により数字管理することで、「今どこが課題となっているのか」を把握し、適切な改善策を考え実行することができます。

営業日報の抱える課題

このような価値のある効果をもたらす営業日報ですが、上手く活用ができている企業はどれほどあるのでしょうか。「営業日報は実施しているが、上手く活用ができていない」という企業は少なくないはずです。

では、上手く活用できないことには、どのような原因があるのでしょうか。営業マネージャー目線での課題と、営業マン目線での課題の二つの目線から課題を洗い出しましょう。

営業日報の課題:マネージャー目線

営業マネージャー目線での営業日報での課題を紹介します。

① 営業日報の記載内容がばらばら

営業マンに提出させる営業日報のフォーマットを決めていますか? 多くの企業で項目は設定しているが、記載する内容がバラバラで、営業マネージャーが内容を把握しづらいという事象も発生しているのではないでしょうか。

営業日報は本来、営業活動の進捗報告や躓いている点、次回の行動予定の報告を行い、営業マネージャーがアドバイスに使うものです。それが人によって日記のように営業マンの感想になっていたり、提案内容だけ記載されている場合もあるという声は少なくありません。

「◯◯という商材を提案しましたが、反応はイマイチでした。私のヒアリング不足が原因です」のような文章の場合、正確な事実と課題を把握できません。上記のような「ヒアリング不足」というのは営業マンの主観であって事実ではありません。

実際にどのような課題に対して、どのような提案をいくらで提案したのか。その際にお客様からどのような意見をいただいたのかという「事実」がなければ、営業マネージャーは、正確なアドバイスはできないでしょう。そのため提案時の事実と、営業マンの所感は分けて記載をすることが大切です。

② 過去訪問履歴が見えない

あなたがメンバーの営業日報を確認し、適切なアドバイスや改善を図ろうにも明確な指示が出せない時はありませんか?さまざまな原因があると思いますが、ひとつの原因として「過去訪問履歴が体系的に確認できない」ことが挙げられます。

営業は一回の商談で完結することは稀で、何度か商談を繰り返すことで受注に結びついたり、追加発注を頂くケースが多いかと思います。その際に訪問前の事前情報や、前回訪問時に提案した内容、その際にお客様から頂いた意見などがとても重要な情報になります。それを把握せず、その日の営業日報だけ見ても課題の特定や適切なアドバイスに行き詰ってしまいます。

例えば、同じAという商材の提案を失注した訪問が2件あったとします。1件目は、同じタイミングで提案をしている競合他社はなく、お客様の課題ヒアリングも前回の訪問ではできていました。そのようなケースでは提案内容に課題があると考えられます。

2件目は、前回の訪問で提案した方法により課題解決ができることはお客様にご納得頂いていました。ただ競合他社からも提案を受けており、その競合他社は自社よりも低価格で販売可能な企業であることが分かっている場合、失注理由は価格という推測が可能です。

いずれにしても、前回訪問での内容や担当者情報など、案件に紐づく情報を把握できるかどうかで案件の成約率に大きく関わります。メールや紙の報告書で営業日報を提出する手法ですと、前回までの訪問履歴を確認しづらくなってしまっています。

③ 日報を確認する時間がない

営業マンの営業日報はしっかりと確認し、アドバイスや教育に活かせていますか?正直なところ、営業日報を確認する時間が取れていない人も少なくないのではないでしょうか。

これは営業マネージャーがプレイヤーとして営業活動を行っている営業マネージャーによくある悩みなのではないでしょうか。営業マンの案件管理をしっかりと行わなければならないのはわかりつつ、営業マネージャーの営業活動が多忙で確認やアドバイスする時間が取れない。

営業マンとしては多忙の中、営業日報を提出しているにも関わらずアドバイスや案件にまつわる会話が一切ない場合、営業マネージャーへの不信感に繋がってしまうことは容易に想像できます。そのため営業マネージャーが忙しいのは重々承知ですが、業務の優先順位を見極めてフィードバックの時間を作ることも大切です。

営業日報の課題:営業マン目線

現場の営業マン目線での営業日報での課題を紹介します。

① 忙しくて営業日報を書くのが大変

営業マンの日々の業務は幅広く、とても多忙です。アポイント獲得のための電話やメール作成を行い、訪問前には事前準備のためリサーチや資料作成を行います。また、1日数件の商談を行った後に営業日報を作成し提出します。

紙の営業日報で提出が必要な場合は、どんなに遅い時間の商談でも終えたら営業日報を書くために、わざわざ会社に戻り営業日報を提出することもあるかもしれません。一見、商談時の出来事を記載する簡単な作業に感じられますが、営業マンにとっては労力がかかる業務の一つでもあります。

さらに、営業日報で報告していた内容を週報や営業会議で報告するために、別途計算したり内容をまとめたりする時間をかけていませんか? メールだと届いたタイミングで訪問内容の確認はできますが、「何件訪問したか」や「どのような案件の進み方をしているか」などは把握しづらくなってしまいます。

営業日報で提出したデータが一元管理され、営業マンの手を介さずとも数字管理・分析されることができれば、営業マンの労力を省くことが可能です。

② 時間をかけて提出したのに改善に活かされていない

多忙な中、せっかく時間をかけて提出した営業日報に対して、一言もアドバイスがなかった場合、営業日報自体の意味がわからなくなってしまいます。

または、アドバイスはもらっても、その内容が「クロージングが弱い」や「ヒアリングが不足している」など抽象度の高いアドバイスの場合、営業活動の改善に活かしづらく意味がないと感じてしまいます。

具体的なアドバイスが足りない1つの理由には「一件の商談」にフォーカスされ、一時的なアドバイスは可能だが、その営業マンのスキル向上のためのアドバイスができないことが考えられます。営業マンの課題を把握するためには「一件の商談」ではなく「数回から数十回の営業活動の傾向」を把握し、営業マンの課題を明確にする必要があります。

ただメールや紙の営業日報の場合、一見の商談にフォーカスされがちなため営業マンの課題を発見しづらく、結果として営業活動の改善に活かせていないことに繋がってしまいます。

営業日報を活用してマネジメント能力を向上させる方法

課題が山積みの営業日報の運用。どのように活用することで営業マネージャーのマネジメント能力向上につなげられるのでしょうか。さまざまな方法がありますが、今回は「営業日報の項目設定」と「SFAの導入」「営業マンへのフィードバック」の3点を紹介します。

マネジメント能力向上方法

営業日報の項目設定

形式は問わず自由に営業報告を行ってくださいと言われても、どの内容を伝えればよいか迷ってしまいます。実際に営業報告を自由に行ったところ、「◯◯については?」と追加質問を受けると、営業マンは「最初からその内容を含めて書いてと言ってほしい……」と思うものです。

営業日報を活用するためにはまず継続することが不可欠であり、営業マンの負担を減らし継続しやすい体制を作りましょう。まず営業マネージャーが聞きたい内容を項目を設定しましょう。回答に関してもできるだけ選択式にすることで、営業マンの負荷を下げられるはずです。

自由記述形式で記載する場合には営業マンによって感じ方が異なるため、正確に案件進捗を把握しにくくなります。そのため営業マンによる違いが出にくいよう、選択式や回答の幅を絞ることができる項目は、決められた項目にしましょう。

SFAの導入

1つ目の解決のヒントは、SFA(Sales Force Automation)を導入することです。SFAとは案件管理機能を搭載した営業支援ツールのことです。

SFAを導入をすることで得られるメリットとしては、「定量的な行動量の管理」と「前回訪問履歴を簡単に把握できること」の2つが挙げられます。

営業活動の履歴をSFAに入力することで、月間の訪問件数や案件の詳細情報、売上予測などが自動で集計され、ひと目で現状を把握できます。会議資料を作成するために今までの営業日報を見直し、訪問件数や売上予測などを計算する時間は不要です。貴重な時間を会議資料作成にあてるのではなく、訪問準備や顧客とのコミュニケーションのために使えるようになります。

また前回訪問履歴を簡単に把握できることも大きなメリットです。前回訪問時にお客様から頂いた声や1年以上前の商談履歴なども確認でき適切なアプローチ準備が可能になります。

営業マンへのフィードバック

営業日報を活用することで、営業マンの育成にも影響を与えることが可能です。営業がうまくいかない原因はひとつではありません。営業マンの営業スキルの課題点を把握し、改善していくことが必要です。

営業スキルには、アプローチ準備とコミュニケーション力、提案力の3つの要素に分けられます。この営業スキルの中で苦手なスキルを見つけましょう。そのためには営業日報も踏まえて、営業マンの苦手なスキルの傾向を見つけるといいでしょう。

その特定した課題点を営業マネージャーのみで認識するのではなく、本人にも伝え一緒に改善策を考えてみましょう。時間を割いて提出した営業日報をしっかり見てくれているという信頼と、一緒に改善策を考えているという信頼関係が構築できるはずです。

まとめ

日々の営業活動を客観的に見て振り返り、業務改善することで売上アップにつなげることできる営業日報。

実際に有効活用するにあたって決めるべきことは多いですが、この課題を解決ししっかりと運用することができれば業績アップや営業マンの育成、営業マネージャーのマネジメント能力向上に大きく貢献が見込めます。

まずは、この記事を通して、現在の営業日報の流れを振り返り、さらに効果的にできる方法や営業マンとの連携などを考えていただけますと幸いです。
営業マンの営業スキルの確認として、「営業スキルチェックシート」をご用意しています。約10分で現状の営業スキルを確認できますので、営業マネジャーと営業マン一緒に見てみてください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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