営業同行後の報告書(レポート)の書き方とは

営業 同行 報告書

上司の商談や提案に同行した際に営業同行報告書(レポート)を提出するよう求められる営業マンは多いのではないでしょうか。

ProFuture株式会社の「営業報告に関するアンケート」調査によると、営業担当者は商談ごとに報告書を作成し、その都度提出するよう指示があるケースが最も多いという調査もあります。

営業報告に関するアンケート

出典:「アンケートメディア営業・マーケPRO-Q(ProFuture株式会社)」

営業マンとしても上司から多くのことを学んだからこそ、このモチベーションが続くうちに報告書を書き上げたいという気持ちはあるにも関わらず、いざ書こうとするとなかなか手が進まないというのが現実ではないでしょうか?

本記事では、営業同行後の報告書は「何を書いたら良いのか?」「どう書いたら良いのか?」という疑問に対する答えやノウハウをご紹介します。

営業同行後の報告書(レポート)とは

営業同行後の報告書とは、上司の営業に同行した際の状況、結果、勉強になったことなどを営業マンが詳細にまとめて提出する書類のことです。

例えば、訪問での営業同行であった場合には、会った時の印象や雰囲気、商談開始後のアイスブレイク、お客様へのヒアリング、提案内容、お客様の反応、クロージングなどの流れに沿って記載していきましょう。加えて、訪問後に上司に聞きたい自分の気付きも書いてもよいかも知れません。

また、オンラインでの営業同行であった場合には、訪問での営業とは違ってお客様の反応がわかりづらいケースがあります。その部分は自己判断で書くのではなくあらかじめ上司に相談するようにしましょう。

また、もしオンラインの商談にそこまで慣れていない場合だと、商談中に中断してしまったり上手くいかなかった部分があるかも知れません。そのように、オンライン商談ならではの気付きがあった場合は必ず記載しましょう。特に、接続が切れてしまうとお客様の心象にも悪いので、次回以降起きないように改善することが重要です。

営業同行後の報告書(レポート)の目的

ここでは報告書を書く意義、目的について紹介します。目的は大きく4点あり、商談内容の記録、まとめる力を養うこと、商談の振り返り、上司の商談から学ぶという目的が考えられます。ひとつずつ詳しく紹介していきます。

商談内容の記録

商談は「生き物」と言われることがあります。いくら社内で上司が行う商談のロールプレイングを見ていたとしても、上司の商談中の言葉選び、商談運びから雰囲気まで確実に自分のものにしていけると、営業マンの成長スピードは加速します。練習よりも本番が一番伸びるということです。

同じ商談は二度とありません。そのため、その時の記憶を蘇らせるためにも、議事録のように商談の内容を詳細に記録として残す必要があります。

まとめる力を養う

まず、報告書を書くには今回の商談の一連の流れをまとる必要があります。例えば、「どのような目的を持ってこの商談を行ったのか?」「その目的に向かってどのような手順・流れで提案を行ったのか?」といった全体の流れを把握しましょう。

例えば、商談の目的や手順、提案内容、顧客の反応など商談中のそれぞれの項目を、まずは100字くらいにまとめてみましょう。その際、上司の提案の意図や顧客の反応を詳細に汲み取りまとめるようにしましょう。100字というのはあくまで目安ではありますが、短すぎて意図を反映できていなかったり、長すぎると文章のテンポが悪くなり伝わりにくいものとなってしまいます。

短すぎず長すぎない範囲で物事を言語化する作業は、自身が商談で話す際にも活きてきます。また、自身の頭の中も整理され、上司が見る際もわかりやすく、今後の顧客のフォローのために報告書を見返す際にも、このまとめが役立つでしょう。その後、各項目について掘り下げて詳細を記載していきましょう。

この物事をまとめて相手にわかりやすく伝えるという力は、営業マンにとっては必須の能力です。上司の商談を客観的にまとめて、読む人がわかりやすいように言語化する過程は、自分自身で商談を行う際にも役に立つでしょう。

商談の振り返り

商談の振り返りがなぜ必要なのかというと、一つ目は自分自身の営業活動に活かすためです。もう1つの目的は、今後お客様をフォローしていくにあたって前回の経緯を踏まえて話すためで、特に2つ目の目的は非常に重要です。

前回の振り返りもなく本題に入っていくと、お客様は忘れてしまっていることもあるため、混乱してしまう場合があります。場合によっては、その営業マンを信頼しづらくなることもあります。

そのため、次回の商談の導入にて「前回の商談では〇〇のような課題をお持ちでしたが…」や「前回の商談の最後で〇〇について考えていただくという流れでしたが…」「前回の商談で〇〇の部分は新たな提案が欲しいとおっしゃっていましたが…」といったように、前回の経緯を振り返ることは重要です。

上司の商談から学ぶ

社内でのロープレや研修は大変重要ではあるものの、学べることに限界があります。実際の上司の商談を見るからこそ学べることとは、言葉選びや提案の表現方法、さらにはアイスブレイクやクロージングの仕方、所作、商談が脱線した際の戻し方、わからないことを質問された際の対応、お客様に対する相槌の打ち方、提案に対して厳しい指摘があった際の対応方法など多岐に渡ります。

このように上司がどのような言葉で提案を行っていたか、お客様への対応方法などを記録することで、自分自身が現場に出て商談する際に参考になると同時に、事前にシミュレーションができるため営業マンの心の余裕にも繋がります。

営業同行後の報告書(レポート)で記載するポイント

営業同行後の報告書(レポート)を書く目的、意義がわかったところで、では実際にどのような内容を記載するとわかりやすいのかをご紹介します。

営業同行後の報告書(レポート)で記載するポイント

日時と参加者

まず営業同行を行った日時と参加者名を正確に記載します。先方の参加者だけでなく自社の参加者も記載しましょう。

上司とのフィードバックの際やお客様と再度商談がある場合に、「いつ」「どこで」「誰と」話をしたかという正確な情報は重要なポイントとなります。また、社内の事務スタッフも連携して業務を行う場合などは、上司や営業マンだけでなく事務スタッフの方もその報告書を見るケースがあるので、誰が見てもすぐに内容を把握できるように正確に記載しましょう。

商談の目的

日時と参加者が記載できたら、次に今回の商談の目的を明確に記載しておきます。どのような内容の提案を行うために、今回の訪問を行ったのかをわかりやすく記載しましょう。将来的に今回の顧客に対してフォローを行う際に目的がぶれてしまうと商談全体がぶれてしまいます。

また、社内で商談の進捗状況を共有する際にも、商談の目的をはっきりと記載しておくと伝わりやすので、きちんと記載しましょう。

見込み客の現状と発言

今回の商談の目的を記載した後は、見込み客の現状を記載していきます。営業マンとしては今回の商談の目的がきちんとあり、提案したい内容も事前に準備していると思います。

しかし、それらの提案はあくまで見込み客の現状をヒアリングして、見込み客の現在の立ち位置を明確にしてから行うはずです。よって見込み客の現状を把握するために、ヒアリングの内容を元に見込み客の状況や発言についてありのままを正確に記載しましょう。

主観ではなく事実を書く

ここまで日時と参加者、商談の目的、見込み客の現状と発言について、まず初めに記載しましょうと述べてきましたが、この後は実際の上司の提案内容や見込み客の感触など実際の商談の中身について記載していくことになります。

ここでひとつ課題となることが、どうしても自分が思ったこと、つまり「主観」を報告書に書いてしまいそうになるということがあります。営業マンが自分はこう思ったこう感じたということ自体は悪いことではありません。それはひとつの感情として思うこと自体は当然です。

しかし、営業報告書はそういった主観を書く日記ではなく、あくまで報告書です。その報告書は社内でのフィードバックや今後のお客様のフォローに活用するため、また自身の今後の営業活動に活かすためのものなので、主観ではなく事実に基づいて書くことが重要です。

ただし、どうしても大切だと感じたことがある場合は、上司と個別にミーティングの場を持ち、まずは自分の意見を伝えましょう。商談の帰り道で話ができる状況であればその際でも構いません。上司も自分と同じ感覚、意見かも知れませんし、上司はもっと細かく緻密な状況判断をしている可能性もあります。

自分のその主観を報告書に書くべきかどうかはこういった擦り合わせの作業が必要となってきます。主観はあくまで自分が感じたことであり正しいとも限らないので、必ずこういった確認作業を経てから報告書に記載しましょう。

上司の提案内容

その後、上司の提案内容について詳しく記載していきます。提案内容の中で上司が一番伝えたかった部分、アピールしたい部分はどこなのかを意識して記載するようにしましょう。

例えば、「提案のこの部分は自社が他社と最も差別化できる部分である」といったことであったり、「提案のこの部分は今までなかった新サービスなのでアピールしたい」また、「自社の中でも自分ただから提案できる内容である」というような点を箇条書きにして書き出すとわかりやすいです。そして、その書き出したポイントに対して補足説明を記載していきましょう。

ただし、ここでも先ほど述べた「主観ではなく事実を書く」というポイントが重要になってきます。また、この上司の提案内容はより詳しく、できるだけ細かく記載するようにしましょう。今後の見込み客へのフォローや案件受注後の展開、顧客とのその後の関わり方へのヒントとなるからです。

見込み客の感触

また、この上司の提案内容を聞いた後の見込み客は最終的に受注したいと思ったのか、検討したいと思ったのか、今すぐではないと思ったのか、もしくは今後もないと思ったのかなどの「見込み客がどのように感じたのか」「どのような反応であったか」も詳しく記載していきましょう。

この際も「自分はこのように感じた」などという主観ではなく、上司と意見をすり合わせながらできる限り正確に記載しましょう。相手の感触というのは受け手によって感じ方が違うケースも多々あるため、慎重に確認をとって記載することが大切になってきます。

次回のアクション

ここまで商談の最中の内容を報告書に記載してきましたが、最後は商談が最後どのようにクローズしたのか、次回はどのように展開していくこととなったのかを記載していきます。

「次回はもう少し詳しい資料を見せて欲しいと言われた」「追加の提案をして欲しい」「もう少し期間を空けてから再度提案を聞きたい」など、商談ごとに次回に向けたアクションが細かく変わってきます。そのため、次回はいつ、どこで、誰が、何を提案するのかについて詳細を明確にしておく必要があります。

この部分が曖昧になっていることによって、対応漏れにつながってしまうことも考えられます。見込み客にご迷惑をかけないように、次回のアクションについて忘れず記載しましょう。また、この記載があるおかげで対応漏れを防ぐだけでなく、次回のアポイントに向けた準備に素早く取り掛かることができます。

営業同行後の報告書(レポート)で役立つ「録音・録画」

ここまで営業同行報告書に盛り込むとよい項目をあげてきました。それらを記載するために、自身の記憶を辿って、また、場合によってはノートにメモを取っておいて報告書に落とし込むことが多いかと思います。

ですが、商談では現場の雰囲気や温度、空気感がとても大切な要素であるということは営業マンの皆さん自身が感じることであると思います。

この現場の臨場感を記録しておく際に活用できるのが、録音と録画です。商談相手の見込み客に許可を得てからにはなりますが、商談の間にレコーダーで録音することで、会社に帰ってから上司の提案内容や手法をじっくり振り返りながら学ぶことができます。また、録音を聞くことで書き漏れていた内容があったと気付くこともあります。

また、このコロナ禍でのリモートが広く浸透した2020年現在では、オンライン商談も急速に普及してきています。「Zoom」や「ベルフェイス」などオンライン商談ツールにはさまざまなサービスがありますが、多くのツールで録画をすることができます。録画となると録音以上に臨場感たっぷりに記録として残すことができるため、よりリアルに振り返ることができます。

オンライン商談同行

(オンライン商談同行、録画の例)

また、上司の提案の様子だけでなく、見込み客の様子も動画として残すことができます。商談中には感じ取ることができなかった微妙な表情の変化や、雰囲気に気づくこともあるでしょう。自身の記憶とノートへのメモを頼りに報告書を作りあげるよりも、録音、録画ができるツールを活用することでより深く一歩踏み込んだ振り返りが可能となり、より精度の高い報告書を仕上げることができます。

営業同行後の報告書(レポート)を今後の営業活動につなげるためには

これまで営業同行報告書の具体的な記載内容、記載する際のポイントをお伝えしてきました。こうしたポイントをおさえて、上司や同僚が見やすくわかりやすい、主観ではなく事実が書かれた営業同行報告書を仕上げることはとても大切です。

しかし、最も大切なことはその後の営業活動にいかにつなげるかということです。営業同行報告書を書くことが目的ではありません。もちろんわかりやすい報告書は必要ですが、報告書を仕上げて満足してはいけません。

そもそも上司の営業に同行するということは、社内でのロールプレイングなどではなく生きた商談を間近で見ることで、ご自身の営業マンとしてのスキルアップのヒントを掴んだり、営業マンとしての立ち振る舞いを学ぶ機会であると思います。

その点を踏まえて、この営業同行報告書を書くことでいかに今後の営業活動につなげていくかを解説していきます。

商談の流れをつかむ

営業同行報告書を記載する際に、最後にまとめの項目を必ず用意するようにしましょう。今まで自分が書いた各項目について、改めて頭の中で振り返りながらまとめてみましょう。上手くまとめることができない項目があれば、その部分の振り返りが足りていない可能性があるので、一度立ち止まって報告書を訂正しましょう。

そうやって報告書の全体をまとめることで、今回の商談を俯瞰することができ、全体像を見ることができます。

上司がどのような言葉で説明しているかは、社内でのロールプレイングでも学ぶことができるでしょう。また、上司の提案内容についても事前に準備した資料を見れば学ぶこともできると思います。

ただ、実際の現場での商談の流れであったり、上司がどのように商談を進めているのか、見込み客の反応はどのようなものか、それに対する上司の反応はどのようなものかは、実際に商談の場にいないと学べないことです。

また、可能であれば上司に今回の商談はどのように進めようと考えているのか、また見込み客からこのような反応があった場合はどのように対応するつもりか、クロージングはどのようにするつもりか、などいくつかのパターンのシナリオを事前に聞いておくこともお薦めです。

事前の想定する流れを聞いておくことで、「実際の商談の現場ではどのようになったか」「こういう展開になった場合は想定とは違うが、こう対応したら良いのか」など、より実践的な営業マンとしての学びを得ることができます。また、商談後に社内に帰ってからも上司に生きた質問ができるのではないでしょうか。

上司の提案を営業に落とし込む

こうして報告書を書くことで、上司の商談の進め方・流れを理解し、また同行して報告書を書いてということを繰り返しているうちに、商談の進め方・流れを自然に覚えていきます。

また、記録として残すことで耳で聞くだけでなく文字に起こせるので頭に情景が浮かびやすく、また言語化して記憶に定着させやすくなります。そうすることで、自身の営業活動に落とし込むことが簡単になります。

また、上司の商談を情景として頭にスッと浮かべられるレベルにまで記録として落とし込めていると、かなり精度の高い営業同行報告書であると思います。こうした商談の流れをひとつの型として覚えて、その型を営業マンは真似ることが自分で商談する際の第一歩となるでしょう。

案件管理表や顧客管理ツールに情報を残す

営業同行活動報告書を自身の営業活動に落とし込むために、報告書の内容を自身の案件管理表や顧客管理ツールに情報を残すことが大切です。

報告書は書いて終わりではなく、活用するから意味があります。それらの自身のツールにも記録を残すことによって、次回のアプローチの際に前回の経緯を振り返ることができ、商談に向けた適切な準備を行うことが出来ます。

また自身のツールに記録を残しておかないと、自身でその都度見返すことが出来ないので、最悪のケースですと対応漏れをしてしまう可能性も考えられます。そうなるとせっかく築いてきた見込み客との信頼関係も崩れてしまいかねません。そうならないためにも、すぐに参照できるように自身のツールでも保管しておき、アプローチが必要な際に漏れがないように対応しましょう。

報告書を上司に提出して満足するのではなく、自身の案件管理表や顧客管理ツールに情報を残すことで自身の営業活動の糧にしていきましょう。

まとめ

上司の営業に同行する際は、上司の生きた商談を間近で見れるので勉強になると感じている営業マンも多いのではないでしょうか。一方で、営業同行報告書となると何を書いて良いのかわからなくなる営業マンも多いと思います。

今回の記事を参考にしていただき、「上司の報告書を提出しないと……」という少し後ろ向きな姿勢で報告書を書くのではなく、あくまで自身の営業活動のステップアップのために頭の中を整理するために、報告書を活用しようという姿勢で書くと筆も進むのではないでしょうか。

それが結果的に対応漏れなども防ぐことができ、お客様のためにもなり、何より自身の営業のスキルアップに繋がります。

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