営業同行の際に心がける基本マナーとは

営業 同行 マナー

新入社員や年数が浅い営業マンの中には、上司や先輩の営業に同行する機会があるという方も多いのではないでしょうか。上司や先輩の営業に同行できることは、自身の営業スキルを向上させる絶好のチャンスです。

せっかくの機会だとはわかっていても、上司や先輩の同行となると何故か緊張してしまったり、あるいは「同行だから自分はただ座っていればよい」と手ぶらで参加しようとする方もいるかも知れません。

上司の営業に同行する際には、この基本マナーを身につけた上で取り組むようにしましょう。

営業同行の際には、ビジネスマナーに加えて、同行する際のマナーが必要です。お客様のみならず、上司に対しても気配りする必要があります。本記事では、営業マンが営業同行に取り組む中で、少しでも自身の成長につなげるために、心がけると良い基本マナーについて説明していきます。

営業同行のマナーとは

営業同行とは、上司が行う訪問・オンライン商談に営業マンが同行することです。上司とお客様との商談に自身も参加するので、学ばせていただくという謙虚な姿勢や、上司やお客様に迷惑をかけないように振舞うことが必要です。

営業マンにとっては上司の現場での振る舞いを学ぶ絶好の場であると思いますが、上司にとってはお客様に提案する大事な商談ですし、お客様にとっては、例え同行者であったとしても取引先の一人の営業マンとして見ます。

決して見習いのような目では見てくれないでしょう。それゆえに、例え自身は提案せずに同行する立場であったとしても、マナーはとても重要になってきます。ただ、営業同行のマナーと言っても多種多様なマナーがあります。ここから詳しく説明していきます。

営業同行のマナーの大切さ

営業同行とは上司から営業スキルを学ぶために行うことです。社内研修やロールプレイングでは学びきれないことを実戦形式で学べるので、営業マンにとっては絶好の機会です。せっかく学ばせてもらうのですから、受け身ではなく自ら学びとろうとする前のめりな姿勢が大切になってきます。

また同行させてもらう上司に対して失礼があったり、上司に恥をかかせるようなことがあってはいけません。無礼な振る舞いをしてしまうことで、せっかくの学びの機会を活かしきれていないだけでなく、上司やお客様に迷惑をかけてしまい、信頼を失いかねません。

上司とお客様の両方のことを考え、マナーを身につけて行動することが大切です。営業同行という学びの機会を最大限活かすためにも、営業同行におけるマナーは非常に大切です。

営業同行時に心がける基本マナー

営業同行時に心がける基本マナーは、大きく4つに分類できます。「営業同行事前準備マナー」「同行移動時のマナー」「提案時のマナー」「提案終了後のマナー」の4つです。それぞれの項目については、後ほど詳しく記載していきます。

どの場面でも共通する基本のマナーは「積極的な姿勢」と「上司やお客様に迷惑がかからないように気を配る」ということです。

リクナビNEXT『Tech総研』の「好き&嫌いな上司部下ベスト10」という調査では、仕事に対する積極性と意欲のある部下が高く評価され、嘘をつくことや遅刻などの周りに迷惑をかける言動がある部下の評価が低いと言われています。

この調査からもわかるように、積極的な姿勢と迷惑をかけない心がけを持つことが基本的な姿勢になります。営業同行の場合も同様に、積極性を見せることで自分の成長にも繋がる上に、上司からも一目をおかれるでしょう。場合によっては、雑用はすべて自身が行うくらいの心構えで同行することも大切かも知れません。

嫌いな部下ワースト10
好きな部下ベスト10

出典:「好き&嫌いな上司部下ベスト10(リクナビNEXT『Tech総研』)

営業同行事前準備のマナー

営業同行時に心がける基本マナーの中の1つ目、営業同行事前準備のマナーについて説明していきます。DIAMOND onlineの『優秀な営業とダメな営業は「商談前」から見破られている』では、「結果を出し続ける営業は事前準備の時点ですでに、結果を出せない営業とは異なる取り組みをしている。結果を出し続けるためには事前準備は極めて重要である」と言われています。

このように営業マンにとって事前準備とは欠かせないことであり、それは自分が行う商談の前だけではなく、営業同行の際でも同じように大切なことです。

営業同行する前日までに準備しておくことは大きく5つあります。自身で商談を行う際も事前準備はされると思いますが、準備は同行の際にも必ず行ってください。自身が提案するわけじゃない、同行だからと気を抜いて準備を怠ると、お客様に迷惑をかけて上司に恥をかかせしまう可能性もあります。

実際の商談では、何が起こるかはわかりません。お客様から急に「あなたはどう思うか」と自身の意見を聞かれる場合もあります。また商談が始まる前に、機材の準備を頼まれたり、商談の間に少し休憩時間がある場合に上司から「過去の商談の議事録を見せて」と言われる場合もあります。

その際に、「わかりません、できません」では上司やお客様に失礼です。そのようなことにならないようこれから記載する事前準備のマナーを理解し、実践していきましょう。

営業同行事前準備のマナー

提案先についての情報を理解しておく

「今回伺う提案先がどのようなお客様なのか」について調べて理解しておきましょう。特にBtoBであればHPやSNS、IR情報などから詳細に情報収集ができます。これらを調べて、経営理念やビジネスモデル、社員数や直近の業績から現在力を入れている商品・サービスなどについて理解しておきましょう。

BtoBに関しては、お客様を知るための情報は公開されていることが多いので、「知りませんでした」とならないように公開されている情報には目を通し、理解しておく。また調べている際に、わからないことがあれば事前に文献などをあたって自身で調べることも大切です。それでもわからなければ上司に質問して、わからないまま商談に臨むことのないようにしましょう。

提案資料や道具の準備

実際に提案を行う際には、提案資料に加えてプロジェクターやプレゼンターなど、提案内容に応じて必要な道具があると思います。それらが必要かについて上司に事前に確認し、漏れがないように自身で準備しましょう。

また、準備は自身に任せてくださいと同行する上司に伝えることで、上司は雑務が減り、提案内容の準備に専念できるので助かるでしょう。

もし実際の商談場所がはじめて訪問する場所である場合は、自身が持ち込む道具が使えるかどうかもお客様に事前に問合せしておくとより安心です。また遠方の場合は、事前に訪問先に送っておくことをお薦めします。

過去の提案の記録を用意する

過去に商談を行っていた場合は、議事録の内容を確認しておきましょう。また初めての訪問であれば、アポイントを取得した際の電話やメールでのコミュニケーションがあれば、それらの情報も用意しておきましょう。

これらのお客様とのコミュニケーションの情報から、今までどのような話をしてきたのか、お客様の反応はどうだったのかなど状況を振り返ることができます。それらを踏まえて提案できることで、お客様が前回の内容を思い出すことができ、本題にスムーズに入っていくことができるメリットがあります。

お客様が前回の内容を細かくは覚えていないことがあるため、いきなり本題に入るのではなく、商談の導入にて前回の内容を振り返ることもありますす。

もし自身が過去の記録を確認していないと、上司が「前回の商談では、こちらの提案に概ね了承いただけましたが、〇〇の点が課題だとおっしゃっていましたが……」や「〇〇の部分は他部署に確認しいると、お客様から「この人は事前に確認してこないのか?」と思われてしまう可能性もあります。そうならないためにも、過去の提案の記録を用意して確認しておきましょう。

目的を明確にしておく

提案をするのは上司だからと、目的もわからない状態で同行すると上司の提案内容についてもわからなくなり、学びも半減してしまいます。「今回の目的は〇〇だから、上司は〇〇のような提案を行ったんだな」ということが理解できているからこそ、商談後に振り返りを行う際に上司に質問ができると思います。

営業同行の際には、学びとろうという積極的な姿勢が必要です。上司へ積極的に質問できるように、まずは目的を明確にし、理解しておきましょう。

事前に提案の流れについて聞いておく

上司には事前にどのような流れでどのような提案を行うのかをヒアリングしておきましょう。そうすることで、後述しますが提案中に上司のサポートもできます。

また流れを理解していないと、提案中にふとお客様から「〇〇さんはこう仰っているが、あなたはどう思うか?」など営業マンに意見を求められるケースがあります。その際に、上司があとで話そうとしていたことを、自身が先に言ってしまいネタバラシのようなことになってしまったり、上司のこれからの流れとは反対のことを言ってしまい矛盾を生んでしまうケースもありえます。

そうなってしまってはお客様のみならず上司にも迷惑をかけてしまい、上司も提案の軌道修正をしなければならなくなります。営業同行では上司に迷惑をかけることは避けるべきなので、必ず提案の流れは理解しておきましょう。

同行移動時のマナー

続いては営業同行で、訪問先に移動する際のマナーについてです。同行の際の移動に関しての準備は自身が率先して責任を持って行い、上司には提案の準備に専念してもらいましょう。細かい準備ですが欠かせない事項です。

目的地の場所を調べておく

当日きちんと約束の時間に到着できるように、お客様先の場所を必ず事前に調べておきましょう。毎回調べるべきですが、初めて訪問する場所の場合は念入りに調べておきましょう。万が一、遅刻をしてしまうとそれだけで信頼を失ってしまうことになりかねません。せっかく頑張ってアポイントを取って、提案内容を練り上げて準備した苦労が水の泡となってしまいます。

今後の営業に求められる重要な力に「人間力」があります。営業とは商品やサービスを提案ことはもちろん大切ですが、それらを提案するのは人間です。その営業マンの人間性もお客様からは当然見られていますので、遅刻というような初歩的なミスを犯さないよう注意しましょう。

移動手段を調べておく

目的地の場所を調べたあとは、その目的地までの移動手段を調べておきましょう。移動手段と言っても、車や電車、タクシー、飛行機などさまざまな手段があります。

今回はどの手段を使って、何時にどのように乗り継いで行くのか。電車や飛行機で向かう場合は、駅や空港から訪問先までの移動手段はどうするのか。徒歩なのかタクシーなのか、それらで何分くらいかかり、またタクシーの場合はタクシー乗り場がありすぐに乗れる場所なのか、予約をしなければならない場所なのか。そういった細かい部分まで調べて準備するようにしましょう。

また徒歩で行く場合は、夏の猛暑の中だと汗だくになるケースも考えられます。汗だくのままお客様に訪問するのは、清潔感にかけているように見られてしまう可能性があります。その場合は、少し早く現地について訪問先の近くで涼めるカフェなどがあるのかもチェックしておくと更に良いでしょう。

天候にも注意する必要があります。特に飛行機を使う場合は天候に左右されるので、事前に別の移動手段も念のため調べておくと安心です。

また車で移動する場合は、駐車場の有無を必ず確認しておくこと。訪問先に停められない場合は、近く駐車場があるかどうか調べておきましょう。もしお客様先に駐車する場合は、入り口から一番遠くに駐車するようにしましょう。「自分達はお客様ではない」、「貴重な時間をいただいている」という謙虚な姿勢で、こういった小さなことにも拘って取り組んでいきましょう。

提案時のマナー

次は提案時のマナーについてです。実際に提案をするのは上司ですが、お客様からすれば、上司もあなたも同じように見るので、同行する営業マンにもマナーは必要となってきます。

提案を行う際に、提案の内容はもちろん重要です。しかし東洋経済ONLINE「仕事がパッとしない人は礼儀礼節がなっていない」でも紹介されているように、聞き手は話し手の話の内容以上に、視覚、聴覚情報で判断するというメラビアンの法則というものがあります。つまり礼儀や表情など、提案中の態度が大変重要になってきます。

挨拶やお礼を丁寧にする

訪問した際に、まずは先方のお客様はもちろん受付の方、社内ですれ違う社員の方にも挨拶をしましょう。そして「貴重な時間を作ってくださったこと」に対して丁寧にお礼を述べましょう。商談の時間を作っていただいたことは当たり前ではありません。この感謝の気持ちを常に持って提案に入りましょう。

議事録をとる

営業同行が終わると、営業同行報告書を作成するよう上司から指示される場合があると思います。もし指示がなくても、せっかくの同行で学んだことを身につけるために自身で報告書にまとめましょう。

報告書を書くためには、議事録が必要です。議事録には、上司の提案内容やお客様へのヒアリング内容、またお客様の発言と感触、お客様からの要望や次回までの宿題などをメモするようにしましょう。

提案中は頷く

お客様が話される際には、例え上司に対して話していたとしても自身もしっかりと頷いて、聞いていることを相手が目で見てわかるように表現しましょう。

自身は同行しているだけだからと気を抜いていると、お客様が話している際にとりあえず何でも頷いてみたり、PCの画面や資料を眺めて下を向いたままであったり、「本当に聞いているの?」とお客様に疑問を持たれてしまいかねません。

お客様に失礼に当たるだけでなく、商談の席でのマナーがしっかり教えられていないとお客様に思われてしまい、上司にも恥をかかせてしまいます。

ただ、あまりにしつこく頷きすぎると逆効果なので適度に行いましょう。議事録を取るために話はきちんと聞いているはずなので、その際にメモを取ることに必死になり過ぎず、頷くようにしましょう。

上司の行動の先を読んで準備する

先に、上司の提案内容の流れを事前に理解しておくことが大切だと述べました。それは、提案中に上司の行動の先を読んでサポートすることに繋がります。上司が話すことに集中できるように、補足資料があれば配布したり、プレゼン資料の画面を表示させて上司の提案の流れを止めないように気配りをしましょう。

このような全体の流れの中で自身は「このタイミングで資料配りますね」、「この後にデモンストレーションの準備をしますね」などと、事前に上司に伝えておくとよりスムーズに当日は進められます。

また上司も時には流れが止まってしまったり、飛ばしてしまうこともあるでしょう。その際に、少し難しいですが、お客様に気付かれないようにそっと上司に戻って話してほしい箇所の資料を見せたり、「〇〇さんが質問があるとのことで・・・」などと一度流れをわざと切って、流れを戻すようなサポートができればなおよいでしょう。

提案終了後のマナー

最後は、提案が終わって帰社した後のマナーについてです。

東洋経済ONLINEの「営業で伸び悩む人と頭角現す人の決定的な差」では、地味な1日の繰り返しが大きな結果を生むと書かれています。営業マンは事前準備から始まり、帰社してからの作業を終えて1日が終わります。最後の仕上げとなる帰社後の振る舞いについて見ていきましょう。

お客様にお礼のメールを送る

忙しい中にも関わらず、貴重な時間を作ってくださったことに対してお礼のメールをお客様に送りましょう。この際にお礼に加えて、議事録を見ながら今日の商談の内容や次回の議題に関してまとめて記載しましょう。

そうすると、メール自体を議事録としてお客様に見ていただけて、お客様の頭の中も整理され、再検討してもらえるかも知れません。お礼のメールは必ず当日に送るようにしましょう。

このような雑務を上司に代わって引き受けることで上司も助かります。雑務かも知れませんが、こういったきめ細やかなフォローが受注の決め手になることもあるので忘れず行いましょう。

上司にお礼を伝える

同行させてもらった上司に必ずお礼を伝えましょう。提案内容はもちろん、それ以外での立ち振る舞いなどから学ばせてもらったことを伝え、もし理解できなかったところや質問したい事柄があれば当日中に質問しましょう。

それらを踏まえて、学んだことはできるだけ早く自身の営業現場でアウトプットしてみることで、新たな疑問点がででくるはずです。その際に、再度上司に質問してみましょう。積極的な姿勢は上司も歓迎して教えてくれるはずです。このようにして自身の営業スキルアップを加速させていきましょう。

報告書や議事録を提出・管理する

提案中のメモをもとに報告書や議事録にまとめましょう。それらは上司に報告しチェックしてもらうと同時に、自身の案件管理表や顧客管理ツールに記録として残しておきましょう。そうすることで自身でも振り返ることができ、顧客のフォローもれを防ぐことにも繋がります。

営業同行のマナーを身につけるために

ここまで営業同行のマナーについて記載してきましたが、マナーは数多くあります。一度にすべてを身に付けることはできませんが、数をこなしていく中で徐々に身に付けていきましょう。自身で行えるようになって初めて「できる」ということになります。

「わかる」と「できる」は違います。「わかる」とは、研修や同行の際に上司の振る舞いを見て、「頭の中では理解した」「勉強になった」というあくまで「知れた」という段階です。

一方で、「できる」ということは、理解したマナーやスキルを「使う」ことができる、「身につけている」状態のことを言います。「できる」状態にもっていくまでには繰り返し練習が必要です。

先程の記事にもあるように、数をこなしてさまざまなパターンに慣れて、アウトプットを繰り返して簡単にこなせるようになりましょう。そうなって初めて自身の提案に集中できるようになります。

まとめ

営業同行のマナーと一言でいっても多種多様なマナーがあります。数をこなしていく中で自分のやり方が見えてくると思いますが、その際でもこういった基本マナーは自身の礎となります。いつでもこの基本マナーに立ち返れるよう、まずは繰り返し行っていきましょう。

社内研修のみで終わりというような組織もある中、上司の営業に同行し間近で上司の営業、提案を見られることは若手の営業マンにとっては絶好のチャンスです。そのせっかくのチャンスを、基本のマナーができていないことで潰してしまうことはあまりに勿体ないことです。上司の営業に同行する際には、この基本マナーを身に付けた上で取り組むようにしましょう。

マナーを習得するにはセンスも特別なスキルも要りません。必要なのは、基本的なマナーにはどういうことがあるのかを学び、愚直に実戦するのみです。後は、学びとろうという積極的な姿勢です。どのようなマナーが必要かを知れば、どの営業マンも実戦に移せる内容ばかりだと思います。明日からの行動に活かしていきましょう。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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