競合他社を分析し差別化して勝ち抜く方法

競合他社 分析

営業戦略やマーケティング戦略を考える上で行っておきたいのが、競合他社の分析です。顧客に自社商品・サービスを選んでもらうためには、顧客に対して自社の商品・サービスの独自性や優位性を訴求することが重要になります。

競合他社と差別化できないことで、価格競争に陥ってしまい、体力勝負を強いられないためにも、独自性・優位性の訴求が売上げ向上のカギになります。

本記事では、競合他社との分析とは何かを明らかにした上で、単にフレームワークを紹介するだけではなく、具体的な競合他社分析の手順や現場への落とし込みについて解説します。競合他社分析を実行する際の参考になれば幸いです。

競合他社分析とは

競合他社分析とは、競合他社がどのような企業なのかを明らかにし、客観的に評価をすることです。それにより、競合他社と比べた自社の強みや弱みを明確にすることができ、今後の戦略の方向性を考えることができます。競合他社分析は、マーケティングで使われると思われがちですが、商品・サービスの開発や営業戦略などにも重要になってくることです。

競合他社分析は、大きく以下の4つの手順で進めていきます。

①「競合他社」がどの企業なのかを明確にする

一番わかりやすいのは、同様な商品・サービスを扱っている同業他社が競合になります。しかし、将来競合になりうる企業や違う商品・サービスであっても顧客が自社と比較検討をする可能性がある商品・サービスを扱っている企業も「競合他社」になり得ます。

例えば、ビジネスフォンの販売をしている会社の場合、同じくビジネスフォンを販売している同業他社だけではなく、PCのブラウザで使える音声通話ソフトやスマホで使える音声通話アプリも競合他社となりうる可能性があります。

②ツールやフレームワークを用いて競合他社を分析する

競合他社を特定したら、次はツールやフレームワークを用いて、その競合他社について分析を行います。フレームワークとは「枠組み」のことで、分析を効率よく進めるために利用できる「考え方の型」のようなものです。

具体的には、競合他社分析には「3C分析」や「ファイブフォース分析」などのさまざまなフレームワークが存在します。分析したい内容によって使い分けていくことが大切です。(記事の後半で、フレームワーク例を紹介しています)

なお、競合他社分析をする際のポイントとしては、次の4点が挙げられます。

  • 競合他社が、どのような顧客層をターゲットとしているか?
  • 競合他社の商品やサービスはどのような物か?
  • 競合他社の経営者やリーダーのリーダーシップ・資源はどのようなものか?
  • 競合他社はどのような戦略でビジネスをしているか?

③自社と比較する

競合他社と比較して自社が優れているところ、劣っているところを明確にしていきます。その際には、②で分析した方法を自社に置き換えて考えてみると他社と自社を比較しやすくなります。

また、自社サービスの中で他社が行っていないことなどがあれば、強みとなる可能性があるので、そのような要素がないかも確認してみましょう。

④自社の展開を検討する

競合他社分析を行ったうで、自社の商品・サービスの価値や価格設定、販売チャネル、販売戦略など、具体的にどのような方向性で事業を展開していくのかを検討します。

競合他社分析を全く行っていない企業はほとんど存在しないかもしれませんが、同時にしっかりと競合他社分析をしている企業も多くはありません。この記事が競合他社分析のきっかけになれば幸いです。

差別化を行う利点

競合他社分析を行う理由は、ただただ他社について詳しくなるためではなく、自社と比較をして他社と差別化を行うためです。では、なぜ自社と他社を差別化する必要があるのでしょうか?競合他社分析を用いて、自社の差別化を行うメリットについて解説します。

相性の良い顧客と出会える

最初に利点として挙げられるのは、自社の特徴や強みに合った顧客にアプローチをすることで、自社と相性の良い顧客と出会えることです。ここでいう「相性」というのは、自社の提供する商品・サービスにより顧客の課題を解決することができ、価値を感じてもらえるということです。

似たような商品・サービスであっても、価格帯や品質、アフターフォローや保証の有無、営業体制など顧客の求める価値のポイントはさまざまあります。そのため差別化して自社が価値を提供することができるポイントを明確にすることで、どの顧客にアプローチすれば良いかがわかります。

例えば、自社商品が他社のどの商品よりも高品質の場合は「高品質」を訴求することで、高品質を求めている顧客に強く訴えることができます。

  • 自社のみ、導入時に顧客に対して導入支援研修を実施している
  • 他社にはないカスタマイズ機能が搭載されている
  • 専用のコールセンターを設けて、アフターフォロー対応を充実させている

など、独自性の部分を強く訴求することで「独自性」に魅力を感じた顧客の興味を引くことができます。

USPが明確になる

USP(Unique Selling Proposition)とは、直訳すると「独自の販売提案」を指します。マーケティングにおいて用いられている意味としては「自社独自の強みを伝えるメッセージ」となります。

USPが明確になることで、マーケティングはかなり有利になります。なぜなら、USPは顧客が商品やサービスを選ぶときの「理由」になるからです。

他社がマネできない(マネしにくい)自社の強みを打ち出すことで、他社と同じ土俵で戦わなくてもよくなり、商品・サービスなどによってはマスコミやインターネット記事などでも取り上げられやすくなります。そして、その土台になるのが、他社分析と自社の分析であるということです。

この時、注意したいのが価格の安さなどについては、圧倒的な物でない限りはなかなかUSPとして機能しづらい点です。例えば、スマートフォン電話機能に対してLINEの「通話料無料」は明確な差別化となっておりUSPとなります。他にも、株式会社稲葉製作所の「100人乗っても大丈夫!」というキャッチフレーズも丈夫さを訴求する上でわかりやすいUSPと言えます。

しかし、同業他社よりも数%価格が安い「業界最安値」は、価格競争を強いられ、同業他社との体力勝負になってしまう可能性があります。

競合他社の分析を行う方法

次に、競合他社の分析を行う手法について紹介します。冒頭でもお伝えしましたが、競合他社分析をする際は、フレームワークを用いると便利です。この時、いくつかのフレームワークを効果的な順序で組み合わせて使用すると効果的です。逆に言えば、不適切な順序でフレームワークを用いても、十分に効果を発揮しない可能性もあります。また、分析をしたい目的によってもフレームワークを使い分ける必要があります。

《フレームワーク活用例》

①環境の分析(市場における自社の強みと弱みの把握)を行う:
 例)PEST分析/ファイブフォース分析/3C分析/SWOT分析

②セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの分析を行う:
 例)STP分析

③競合他社分析と自社製品とを比較する:
 例)4P分析

この章では、競合他社分析の効果的な手順に沿って7つのフレームワークを紹介します。

PEST分析

PEST分析は、自社のビジネスに対する外部要因をマクロの視点で分析する際に便利なフレームワークです。「市場の景気はどうなっているのか?」「自社商品関連の技術開発の状況はどうなのか?」などの環境は、商品・サービスの売上げやニーズに大きな影響を与えます。

PEST分析は、外的要因となる項目の頭文字を取ったものです。

Polytics(政治):法改正(規制緩和など)、消費税増税、国際的な緊張、政権交代など
Economy(経済):為替の変動、景況感、金融政策など
Society(社会):少子高齢化、消費者のトレンドなど
Technology(技術):最新技術の開発など

PEST分析

PEST分析を活用することで、市場がどのような環境に置かれているのかを知り、ビジネスへの外部要因の影響を把握できます。直接的に競合他社分析をするためのフレームワークではありませんが、競合他社分析の出発点となる分析です。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析(5F分析)とは、ハーバード大学経営大学院教授のマイケルポーター氏により提唱されたフレームワークです。現在の自社を取り巻く環境を知り、業界の収益構造やリスクをミクロ視点で分析することができます。

「フォース」とは「圧力、脅威」という意味であり、競争の際に企業にかかる力を明らかにすることを目的としています。5つの競争要因とは、以下の通りです。

売り手の交渉力:

原材料など売り手(仕入れ元)が強い交渉力を持つほど、買い手(仕入れ先)の利益が低下する

買い手の交渉力:

買い手(顧客)の交渉力が強いと、商品価格が低下して売り手(販売者)は利益を低下させる

企業間競争:

同じ業界内に競合企業が存在する場合、競争が激化する

新規参入の脅威:

自社の市場に新たに別の企業が参入しやすいと収益性が下がる

代替品の脅威:

自社製品の代わりとなり得る新製品が登場すると収益性は低下する

ファイブフォース分析

(出典:Porter, M. E. 1979. How competitive forces shape strategy. Harvard Business Review, 57(2): 137-45, p. 141.)

これらの5つの脅威の分析を通じて、以下の点を明確にしていきます。

・自社の競合企業と将来競合となる企業が登場するリスク
・自社のサービスの拡大or縮小(撤退)の判断
・自社商品の価格設定が適正であるか否か

ファイブフォース分析により「競合他社はどこか?」「自社に対して競合他社が脅威になりうるか?」といった視点での分析を行えます。

SWOT分析

SWOT分析は、自社のビジネスや商品のプラス要因とマイナス要因を、内的・外的な側面からそれぞれ分析することです。SWOT分析を行うことで、競合他社に対する自社の強みや弱みを確認することができます。SWOT分析の項目は以下の通りです。

Strength:他社に対する自社の強み
Weakness:他社に対する自社の弱み
Opportunity:商品やサービスを提供する機会。ポジティブな外的要因
Threat:自社の商品を販売する際に脅威となる要因。競合他社の動向やトレンドの変化などネガティブな外的要因

SWOT分析

SWOT分析をする際には、外的要因からスタートして、そののちに内的要因の分析を行うと精度が上がります。どうしても、内的要因については主観的になりがちであるため、外的要因を先にチェックした方が分析しやすいためです。

3C分析

3C分析とは、3つのC(自社=Company・顧客=Customer・競合他社=Competitor)を分析することで、市場環境を明らかにするフレームワークです。3C分析を用いることで、ビジネスにおける成功要因を導き出すことが可能になります。 3C分析は以下の手順で行います。

①顧客(市場)分析

「変化」に注目して、ターゲットとする市場や顧客を分析します。

②競合分析

市場に対して競合他社がどのように対応しているのかを分析します。分析するポイントは以下の通りです。

・市場の変化に対する競合他社の対応
・競合他社がどのように市場に対応しているか?
・競合他社の資源
・競合他社にはどのような課題があるか?

③自社分析

顧客(市場)と競合他社の分析を踏まえ、自社の強みや弱み、独自性を明確にします。

3C分析

3P分析における市場の分析にはPEST分析やファイブフォース分析を、競合他社や自社の分析にはSWOT分析を用いるといったように、フレームワークを組み合わせて使用すると円滑に分析を進めることができます。

STP分析

STP分析とは、市場の中での自社の立ち位置を明確にしてターゲットを絞り込むためのフレームワークです。S(セグメンテーション=細分化)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の頭文字を取って、STP分析といわれています。

立ち位置を明確にすることにより、どのような分野でどのように戦うかを明確にするかが重要だからです。STP分析は以下のように行います

S:セグメンテーション

人口動態変数(性別・年代・世帯規模・家族構成・収入など)、地理的変数(地域・最寄り駅・天候傾向・発展度など)、心理的傾向(ライフスタイル・価値観・購買動機など)、行動変数(購買回数・頻度・利用経験・ロイヤリティの有無など)

T:ターゲティング

市場規模や自社のブランド力、成長性などを踏まえて、ブルーオーシャン(未開だが、市場を独占・寡占できる可能性がある)もしくはレッドオーシャン(成熟市場だが、競合他社が存在する)のどちらにターゲットを絞るのかを分析します。

P:ポジショニング

設定したターゲティングに対する自社の立ち位置を明らかにします。立ち位置を明らかにすることで価格設定や販売数の見込みを立てていきます。

STP分析によりターゲットを明確にすることで「どのような点で他社と差別化を行っていくか」を分析しやすくなります。

4P分析

4P分析は、自社商品を「どのようなターゲットにいくらで、どのように販売するか?」を決定するために用いられるフレームワークです。自社商品だけではなく、競合他社の商品の両方の立場から検討すると効果的です。

Product(製品):

他社商品に対して、自社商品の優位性や特徴などをチェック。

Price(価格):

価格が適正なのか否かを確認。同業他社の他の製品と比較して価格が安いか高いかをチェック。

Place(流通):

どのような流通戦略で販売するべきなのかを分析する。

Promotion(販促活動):

どのような販促活動を行っているのかを分析する。

4P分析

4P分析をマーケティングや営業に生かすうえで重要なことは、4つの項目のバランスです。4つの項目それぞれの分析をした後に、製品と価格のバランスは合っているか?製品のコンセプトと販促方法にズレが生じてしないか?など、バランスが取れているか否かを確認します。そして、最後に分析結果を踏まえて戦略を立案します。

競合他社から勝ち抜くためには実行が大切

競合他社分析は、活用して経営戦略に反映させて初めて意味があります。しかし、他社分析を行い自社の優位性や独自性が明らかになっているにも関わらず、それらを活かせていない企業は少なくありません。その結果「売上を増やすことができない」「優位性や独自性をアピールできず、結局価格競争に陥ってしまっている」といった状況に陥ってしまいます。

戦略を実行に移すために重要な点の一つが、戦略の現場への落とし込みです。逆にいえば、現場に落とし込みができれば、競合他社分析を営業活動に100%反映させることができます。

では、現場への落とし込みをどのように行っていくべきでしょうか?まず行うのは以下の3点です。

  • 効果の見込みやコストを踏まえて戦略実行の優先順位を立てる
  • 「何を・いつまでに・どのように」実行すべきかというアクションプランの立てる
  • 徹底した振り返り(KPT)を行う

(具体的な方法は『デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック』にて解説しております。)

競合他社分析の結果を現場に落とし込み、実行することにより本来の意味での他社との差別化に成功します。そして、少子高齢化など様々な商環境の変化に対応しながら、生き残りを図っていくことが可能になります。

まとめ

競合他社分析を行う際には、フレームワークやツールなどを用いて、客観的に実行する必要があります。また、競合他社分析の実行に留まらず、自社の強み・弱みの把握や現場への落とし込みまで意識して、競合他社分析を実行することが大切です。

効果的な競合分析を行うことで、自社のUSPを発見し、マッチングの高い顧客と出会いやすくなるというメリットがあります。競合他社分析は、①環境の把握、②ターゲティング、③競合と比較した自社の強み・独自性の把握という順序で行うのが効果的です。

デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック』では、戦略を現場に落とし込むために方法をまとめております。この記事で紹介した競合他社分析を、効果的に現場に落とし込む際の参考になれば幸いです。

    売上げ拡大戦略と実行ガイドブック

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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