ここ数年で営業を取り巻く環境は大きく変わりました。
デジタル化により、顧客の購買プロセスが大きく変わっただけでなく、ブラックボックス化しがちだった営業活動が可視化されるようになってきました。
多くの企業がより戦略的に営業活動を行うようになり、営業の変化スピードは高まっていると言えます。
その変化についていくためには、営業の最新トレンドにも敏感でいる必要があります。その際は日本だけではなく、海外、特に新たな営業手法の検証が盛んなアメリカにおけるトレンドやデータを見ておくのがお薦めです。
今回は、アメリカを中心とした、営業に関する最新データをご紹介します。
成約までの実態を示すデータ
1. 最初の商談で成約する取引は、わずか2%である (Marketing Donut)
2. 見込み客と繋がるのに、18回電話をする必要がある (Spotio)
3. ひとつのアポイントを取るのに、平均して330回電話がかけられている (Baylor University)
営業活動の難易度は上がっています。
コンタクトしたい見込み客を特定した後、成約に至るのはほんの僅かにすぎません。必要な売上げを上げるために、どれだけの見込み客の数が必要なのか、まずは設定する必要があります。
見込み客の質と精査の重要性を示すデータ
4. 50%以上の見込み客が、購入者として企業に適していない (Marc Wayshack)
5. マーケティング活動によるリードのうち、79%が成約しない (Salesforce)
6. 育成された見込み客は、育成されていない見込み客に比べ、購入額が47%大きい (The Annuitas Group)
7. 営業パーソンの77.3%が、見込み客の少なくとも1/4を会社から提供されている (Marc Wayshak)
デジタル化により、大量の見込み客データを集めることが可能になってきました。しかし、その分、シビアに見込み度を精査していくことが大切です。見込み客を集め精査するだけでなく、長期的な視点で見込み客を育成していくことも行なっていく必要があります。
また、まだ見込み客の特定が営業パーソン頼みになっているため、特定の精度を上げるために、手法の共有や最適化を行っていくことが、営業活動の効果を左右することもわかります。
購買プロセスや行動の変化を示すデータ
8. 10人中6人が、最初の電話で価格について話したいと思っている (HubSpot)
9. 好成績の営業組織の91%が、大きな取引をまとめるのに全部門で協業している (Resourceful Selling)
10. B2Bの顧客の94%が、ビジネスの商品の購入の際オンライン調査を行っている。55%が企業による購買の少なくとも半分についてオンライン調査を行っている (Accenture)
買い手の行動や意識が変わっており、購入についてのインサイトを理解した上で、先回りをした営業プロセスの設計が必要でしょう。
例えば、精査を終えてから価格を含んだ提案をまとめるのではなく、最初から価格も含んだ価値訴求ができるよう、トークスクリプトを変えていくことも有効でしょう。
B2Bの場合は特に、複雑化する意思決定プロセスや情報共有方法を紐解きながら、臨機応変かつ戦略的なアプローチが必須となります。
紹介とソーシャルについてのデータ
11. トップ営業パーソンの47%が常に紹介を依頼している。その他の営業パーソンで紹介を依頼するのは26%のみにとどまっている (HubSpot)
12. 企業幹部の73%が、知り合いから紹介された営業パーソンとビジネスをすることを好む (IDC)
13. 友達から紹介されると、購入する確率が4倍になる (Neilsen)
14. ソーシャルメディア上の新商品についての友達の投稿を見ると、43%の消費者が購入する可能性が高まると答えている (Neilsen)
15. ソーシャルメディアを活用した営業により、いくつかの業界は収益を50%以上増加させた (Forbes)
16. 購入者の32%が、ソーシャルメディアでレビューを投稿する (Avande)
情報量が増加しているだけでなく、サービスや商品の競争力激化により差別化ポイントがわかりづらくなっており、買い手も迷うことが増えています。そのため、信頼できる知り合いの影響力が増しており、紹介の威力がアップしています。
紹介の方法も、デジタル、特にソーシャルメディアの影響力が高まっており、B2Bの場合でも、ソーシャルメディアを営業活動に上手に取り入れていく必要があります。
>> 中小企業こそソーシャルメディアを営業活動に活用すべき9つの理由
営業パーソンができない理由を考えさせられるデータ
17. 66.7%の営業パーソンは、過去1年に250以下の見込み客にしかコンタクトしていない。過去1年に1000以上の見込み客にコンタクトしたのは15%のみ (Marc Wayshack)
18. 44%の営業パーソンは1回のフォローアップで諦めてしまう (Scripted)
19. 営業パーソンの44%が1回断られただけで諦めている (Marketing Donut)
20. 問い合わせフォームの送信後、5分以内に見込み客に返答しているのは僅か7%。半分以上が5営業日以内に返答をしていない (Drift)
営業パーソンの努力が足りないような印象を持ってしまうデータですが、違う見方をすることもできます。
意識を変えることも大切ですが、効率化やデジタル営業ツールの導入により、コンタクトやフォローアップをできていない障害を取り除く方にシフトしましょう。
好成績の組織や営業パーソンから学べるデータ
21. 成功している営業パーソンは「確かに」「間違いなく」「絶対に」など自信を表す言葉を、成績の芳しくない営業パーソンより5倍以上多く使っている (Gong.io)
22. 営業電話中に11〜14の質問をすると、成功する確率が74%高まる (Gong.io)
23. 好成績の営業組織は成績が振るわない組織に比べ、研修を恒常的に行っている可能性が2倍以上ある (HubSpot)
好成績の組織や営業パーソンのやっていることを取り入れることで、売上げ拡大がのぞめます。最適な方法や成功法則の浸透にあたっては、研修が非常に効果的です。研修もデジタル化によって自動化することができます。
メールの活用についてのデータ
24. 営業メールのうち開封されるのは23.9%のみ (Topo HQ)
25. メールの件名に「新」を追加すると、開封率が23%高まる (Adestra)
26. メールのうち40%はモバイル端末で最初に開かれるが、モバイル端末の画面では件名に表示できる単語数が4〜7に限られる (ContactMonkey)
コミュニケーションが電話からメールへとシフトするなか、メールの重要性は増しているものの、活用レベルについてはばらつきがあります。データを分析しながら、効果アップの方法を探っていくことが必要です。
今回は、2020年に向けて知っておくべき営業に関するデータをお伝えしました。
ご紹介したデータを参考に、2020年以降も成長し続けるためのアクションを取っていきましょう。
それぞれのデータについて、自社の場合はどうなのかを知ることも大切です。