Excelショートカットキーの活用で営業マネージャーの業務を効率化する

Excel ショートカットキー

営業マネージャーに昇格するとチームの目標管理、進捗管理、案件管理などを行う必要が出てきます。さらに、管理職会議に参加するために資料を作成することも増えてくるでしょう。

営業マネージャーにとって優先順位の高い業務はチームの目標達成や部下育成ですが、昇格するとExcelを使った作業に時間をとられてしまうケースは少なくありません。営業マネージャーにとってExcelスキルが高いか低いかは仕事の速い・遅いを決める重要な要素の一つだと言えます。

Excel作業を速くするにはショートカットキーを使いこなすことがポイントです。「Ctrl+C(コピー)」「Ctrl+V(貼り付け)」などを使っている方は多いと思いますが、実はマウスでできる作業のほとんどはショートカットキーでできます。膨大な種類があるため意外に知らないショートカットキーもあるかもしれません。

本記事では、営業マネージャーが知っておくべき60種類の基本的なExcelショートカットキー(Windows版)をご紹介します。

Excelショートカットキーとは

Excelショートカットキーとは、Excelの操作を短縮化するためのキーのことです。ショートカットとは「short(短く)cut(切る)=手っ取り早い方法」という意味を持つ英単語であり、Excelでは「処理を高速化する」「2~3回で行う操作を1回で済ませる」などの文脈で使われます。

例えば、Excelのファイルを保存するときに、マウスで[ファイル]をクリック→メニューから[名前をつけて保存]を選択という手順を踏む方も多いと思いますが、実は「F12キー」を押せばすぐに「名前をつけて保存」のダイアログボックスが表示されます。

キーボードの最上部にある「F1」~「F12」「Tab」キーなどは一つのキーだけでもショートカットキーの役割を果たしています。特に、以下3種類のキーを覚えておくと便利です。

  • F9   : 開いているブック内の数値を再計算
  • F11 : 指定範囲を一瞬でグラフ表示
  • F12 : 名前を付けて保存

Ctrlキー、Altキー、Shiftキーとほかのキーを組み合わせるショートカットキーもあります。さまざまな種類がありますが、軸になるキーは3種類なのでキーの場所と指の位置だけ決めてしまえば覚えることはそれほど難しくありません。いずれもキーボードの左右下部にあり両方使ってもどちら側かを使っても問題ありません。 

  • Ctrlキー(コントロールキー): 小指で押さえます
  • Altキー(オルトキー)            : 親指で押さえます
  • Shiftキー(シフトキー)         : 小指で押さえます(薬指を使う人もいます)

Excelショートカットキーが重要な理由

営業部門は、会社組織の中でもITスキルをかなり必要とする部門です。特に近年は、データを基にした科学的な営業マネジメントが主流であり、チームの目標を達成したり部下の育成を正しく行うためにも、顧客の動向、市場の変化、営業マンの売上げなどについてデータを分析して、数値を基に意思決定することが求められるようになりつつあります。

営業マネージャーのITスキルが低いと、Excel作業に追われて営業戦略の策定や部下の支援が手薄になってしまいがちです。「営業部門が生産性をあげる=営業マンが売上げをあげる=マネジメントに営業マネージャーが注力できる」ということなので、事務業務、管理業務を極力効率化することが望ましいと言えるでしょう。

Excelショートカットキーは基本的な機能ですが、毎日の業務に活用されることが多いため覚えるとPC作業全体が速くなります。空いた時間を部下のコーチング、営業同行、戦略構築などに費やすことができます。 

最もITを活用する職種

(出典:平成29年度基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書

知っておきたいExcelショートカットキーと活用のポイント

ここでは、ビジネスマンが必ず覚えておくべきショートカットキーを紹介します。ショートカットキーには膨大な種類があります。同じ目的に対して2種類あることもあります。スピードの差も若干なので「Ctrlキーのほうが押しやすい」「ファンクションキー(F1~F12)は速いけど手から遠い」など、自分の好みやスタイルで使いやすい組み合わせを選べば問題ありません。

以下に、営業マネージャー向けの基本ショートカットキーを紹介します。

Excelファイルを開く、保存する、終了する

Excel作業中に別のExcelファイル(ブック)を開いたり閉じたり、新規作成したりすることも多いと思います。マウスで [ファイル] → [開く] とクリックしないで、以下ショートカットキーを活用すると作業時間が速くなります。保存や終了も同じように短縮できます。

(Excelファイルを開く)

  • Ctrl+O : 違うブックを開く(OpenのOです)
  • Ctrl+N : 新しいブックを作成する。(NewのNです)

(Excelファイルを保存する)

  • Ctrl+S : 上書き保存(SaveのSです)
  • F12    : 名前をつけて保存

(Excelファイルを終了する)

  • Ctrl+W : 開いているExcelのブック終了
  • Alt+F4  : Excel自体を終了 

(新しいシートを作成する)※2種類

  • Shift+F11 : 開いているシート左側に新しいワークシートを挿入
  • Alt+I+W : ワークシート(Worksheet)をインサート(Insert:挿入)すると覚えます

活用シーン・メリット:

Excel作業を行う方は、誰もが開始時にファイルを開き、終了時にクローズします。ファイル数が多いと待っているだけでも結構な時間がかかります。毎日必ず行う基本作業から効率化しましょう。開いたり、保存したり、閉じたりするためのショートカットキーは、ExcelだけでなくWordやブラウザやメモ帳なども共通のことが多いのでパソコン作業全般が速くなります。

文字入力

(文字の装飾)

  • Ctrl+B : 太字にする (大胆、太い(Bold)のBです)
  • Ctrl+I  : 斜体にする(イタリック体(Italic)のIです)
  • Ctrl+U : 下線を引く(アンダーライン(Underline)のUです)
  • Ctrl+K : ハイパーリンク挿入

(入力をもとに戻す)

  • Ctrl+Z : 元に戻す。連続クリックで作業をさかのぼれます。
  • Ctrl+Y : 元に戻した状態から再び最新の状態になります。

(文字の置換)

  • Ctrl+H : シート内の文字をまとめて置換(例:斉藤→斎藤)

活用シーン・メリット:

書類作成中には文字を太字にしたり、アンダーラインを引いたりすることも多いのですが、一度太字にしたもののやはりデザイン上、いまひとつで元に戻すこともあります。そのたびにマウスを持ちながら上部のアイコンを探してクリックすると時間がかりますが、ショートカットキーなら一瞬で変更できもう一度操作を繰り返すと元にもどりますので切り替えも簡単です。

Ctrl+Hはシート内の単語を一斉に置き換えることができますので、表記の統一や誤字の修正が簡単にできます。

コピー&ペースト

(コピー、切り取り、貼り付け)

  • Ctrl+C : コピー
  • Ctrl+X : 切り取り
  • Ctrl+V : 貼り付け

 (セルや表のコピー)

  • Ctrl+D : 下のセルにコピーできます(ダウン(Down)のDです)
  • Ctrl+R : 右のセルにコピーできます(ライト(Right)のRです)
  • Ctrl+Shift +* : 表のコピー

 (範囲選択)

  • Ctrl+A       : ワークシート全体を選択(AllのAです)
  • Shift+矢印キー : ← ↑ → ↓ キーを押しながら選択範囲をセルの上下左右に拡げます
  • Ctrl +Space   :  カーソルを置いている列を選択
  • Shift+Space  : カーソル置いてある行を選択
    ※上手くできない場合はこちら参照

活用シーン・メリット:

文章作成中は、文章をコピーして別の場所にはりつける作業が頻繁にあります。コピーする範囲選択のショートカットキーを覚えると行や列のコピー速度が速くなり業務が効率化できます。

書式設定

(セルごとに書式設定)

  • Ctrl+; : 本日の日付を入れる
  • Ctrl+: : 現在時刻を入れる 
  • Ctrl+;  Ctrl+: : 日付時間をセットで入れる
  • Ctrl+Shift+1  : 数値の3桁区切りスタイルを設定
  • Ctrl+Shift+% : 数値を% 表示に設定(例:0.82→82%)
  • Ctrl+Shift+^   : 設定した表示形式をすべてクリア(標準に戻す)

(まとめて書式設定)

  • Ctrl+1 : 書式設定の画面が表示
書式設定の画面が表示

活用シーン・メリット:

書式設定画面を表示させると、顧客管理表や案件管理表、営業日報などを作成するときの最初の設定がまとめてできます。「日付の表示形式」「郵便番号」「数値の単位」「パーセンテージの小数点以下桁数」などを表示サンプルを見ながら設定することができます。

書類の作成日時を入力する際にショートカットキーを活用すれば、カレンダーを確認する手間が省けます。また、見間違えをするリスクもなくなります。時刻のショートカットキーは自分自身のタスク管理に役立ちます。

もし設定を間違えた場合は「Ctrl+Shift+^キー」でクリアにします。入力内容をデリート(delete)しても設定は消えないため知らないとExcel作業のストレスの元になる場合があります。ぜひ覚えておきましょう。

ブックやシートの移動(進む・戻る)

(ブックの移動)※3種類

  • Ctrl+F6   :  別のブックへ移動
  • Ctrl+Tab : ( 同上)
  • Alt+Tab   :  ※ExcelだけでなくWordやWebページ、メモ帳などにも順次移動します。

(ワークシートの移動)

  • Ctrl+PgUp : 左側のシートに進む
  • Ctrl+PgDn : 右側のシートに進む

活用シーン・メリット:

複数のエクセルを出しているときは別のブックに移動したり、Excelの同一ブック内で左右のワークシートを移動したりすることは頻繁にあります。移動のショートカットキーを覚えると確認業務が速くなります。

シート上での移動

  • PgUp : 前頁(画面の上部)に戻る
  • PgDn : 次頁(画面の下部)に進む
  • Shift+Tab : 左のセルに一つずつ移動
  • Tab        : 右のセルに一つずつ移動
  • Ctrl+矢印(←↑↓→)キー : 上下左右の「データ」のあるセルに移動
    (※空白セルは飛ばす)

活用シーン・メリット:

Excelに大量のデータがあると、データの入っているセルの縦横の幅もかなり広くなります。シート内移動が円滑にできると作業がはかどります。

非表示と再表示

  • Ctrl+9     : カーソルのある位置の行を非表示にする
  • Ctrl+Shift+9  : 非表示の行を表示する 
  • Ctrl+0     : 列を非表示にする

活用シーン・メリット:

大量のデータがある場合は必要な行や列以外をいったん「非表示」にすると見やすくなります。作業もスムーズにできます。(※すぐ再表示する場合は「Ctrl+Z」でも問題ありません。)

挿入・削除

  • Ctrl+Shift+ +(プラス): ダイアログボックスが表示。行や列を「挿入」できます。
  • Ctrl+-(マイナス)   : ダイアログボックスが表示。行や列を「削除」できます。

活用シーン・メリット:

行や列を挿入したり削除するときのショートカットキーは共通です。ダイアログボックスが表示されるので、まとめて増減する時に便利です。

数式と関数

(数式)

  • = : 数式を始める

(関数) 

  • Alt+Shift+=  : SUM関数(合計を出す) 
  • Alt+M+U+S : SUM関数(合計を出す)
  • Alt+M+U+A : Average関数(平均値を出す)

(関数ダイアログボックスの挿入)

  • Shift+F3 : 以下の画面が表示されます。
関数の挿入画面

活用シーン・メリット:

合計を出すSUM関数はアイコンでも速いのですが、縦と横がクロスする位置のセルで自動的に横合計になるところを縦合計も知りたいときなどに便利です。

「Shift+F3」で関数のダイアログボックスを出すことで、関数の知識があまりなくても一覧から目的に適した関数が選べます。平均を出すセルには「AVERAGE関数」、売上げ件数などを合計するセルには「COUNTA関数」、データから特定の文字(営業マンの個人名お客様名等)でデータを抽出するときは「VLOOKUP関数」を設定します。

関数は営業数字の日計や週計をはじめ顧客のABC分析、営業マンの売上げ構成比、営業マンのKPIの達成状況、進捗管理(パイプライン)など営業部門のさまざまな数字の分析に活用できます。

グラフ  ※2種類

  • F11    : 一瞬に対象範囲を棒グラフ表示
  • Alt+N+Q : グラフのデザインを選んでEnter

活用シーン・メリット:

範囲選択してショートカットキーを押せば、以下のように一瞬でグラフが表示されます。営業マンやチームの月別売上げ推移、顧客別売上げ構成比などさまざまな活用用途があります。

グラフのデザインもワンクリックで選択可能ですが、ショートカットキーによって選べるグラフの種類に違いはあります。タイトルは手入力します。グラフ右上のアイコンをクリックすると項目名なども設定できます。

顧客別売上げ推移
矢印
上半期売上げ推移
個人別売上げ(上半期)

その他のショートカットキー

その他、覚えておくと役に立つショートカットキーを記載します。

  • Shift+F10      : 右クリックメニューを表示
  • Ctrl+P      : 印刷プレビュー表示
  • Windows+D  : デスクトップ画面の表示
  • Ctrl+Esc    : Windowsのスタート画面表示
  • Alt+F4       : Windowsの終了(シャットダウン)

なお、Excelショートカットキーには膨大な種類がありバージョンごとで多少違いますが、マイクロソフト社が公表している一覧表で確認できます。

さらにExcelショートカットキーを学んでいくためには

Excelショートカットキーは膨大な量があるため、自分の業務の効率化につながるショートカットキーを選んで覚えることが大切です。とは言え、ショートカットキーは似た英数字の組み合わせのため覚えてもすぐ忘れがちです。頭というよりは手に覚えさせる必要があります。

一覧表を作成してパソコンのそばにはっておく方法もありますが、あまり量が多いとかえって見づらいため少しずつピックアップして3日~1週間ほどトレーニングするつもりで使いこなしていく方法がお薦めです。

マジックナンバーといって人には3、7など覚えやすい数字があるそうです(提案書などでも「3つの課題」としたほうが「4つの課題」と表現するよりも理解されやすいと思います)。また、一度に無理なく覚えられる数は多くても7つ前後だと言われています。

まず3種類のキーを選んでポストイットに書いてパソコン横に貼りいつも視界に入れるようにしましょう。3種類だけと決めて使うことを意識します。頻繁に使うショートカットキーなら1日で覚えるかもしれませんし1週間かかるかもしれませんが、無意識で手が動くようになるまで練習します。月に10件づつ覚えるだけでもExcel作業が速くなっていくでしょう。

まとめ

ショートカットキーを覚えると作業時間が短縮するだけでなく、集中力を切らさないで仕事に取り組めます。Excel業務に限りませんが、慣れている方法を新しい方法に変えると、一時的に必ずといっていいほど効率が悪くなるものです。

「面倒」「前のほうが速い」と思うのは自然な反応ですが、Excelショートカットキーの場合は操作が簡単なので短期間集中して使ってみれば、すぐ覚えたメリットを感じることができるはずです。努力に対するリターンが大きいので、覚えるごとに新たなショートカットキーにも興味が沸いていくでしょう。

Excel作業が速くなると営業マンの案件管理、売上げ分析、進捗管理などもよりスピーディに行えるようになります。まずは、ショートカットキーのスキルをぜひ向上させましょう。「本当に使える、意味のある営業活動KPI集」では営業活動で活用できるKPIを紹介しています。これからの営業活動の数値管理や目標管理の参考として、ぜひご覧ください。

    営業KPI

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