元日産シーマのマーケティング担当者が語る、営業マンもマーケティングを知っておくべき理由

営業マン マーケティング

皆さんは普段、マーケティングをどの程度意識して営業活動をしていますか?
マーケティング担当ではないから自分とは関係ないと思っている営業マンもいるのではないでしょうか。
しかし、マーケティングの観点を持つと、営業活動が変わっていきます。
今回は、マーケティングの基本となる4Pの考え方を通し、営業マンがどう実践で活かせばいいかについて、元日産シーマのマーケティングを担当されていた大野晴司さんに伺いました。

※日産シーマ
日産自動車の国内最上位セダン。昭和63年に発売され、このクラスの高級車としては異例の年間3万6000台を販売した。なかでも排気量3000ccにターボを搭載し走行性能を高めた「ドッカンターボ」と呼ばれたモデルが、それまでの社用車が中心だった高級セダンのイメージを大きく変えた。5代目シーマは5月21日発売。価格は735万円から。

私が日産自動車の社員として、シーマの企画に携わったのは、1995年ごろ、3代目の「シーマ」発売のタイミングでした。
それまでの日産では、定番の新商品発表スタイルがあり、売り方が確立されていました。
つまり前例主義だったのです。過去の成功体験を活かしたいと思うのは当然の考え方です。
しかし、前例を踏襲することがルーティーンになり、俗人化してしまい、次第に主観的なプロモーションになってしまっていたのです。
そこで私は主観的の対局、客観的で、また科学的な手法を取り入れ売りたいと考えました。そこで、マーケティングに出会ったのです。

環境分析、コンセプト設定、ターゲティングを明確する

具体的に何をしたかというと、まず現状把握から始めました。
環境分析、コンセプト設定、ターゲティングを明確するという3つの観点から、自社にどんな強みがあるか、市場にどんなチャンスがあるかを徹底的に調べました。
すると、シーマは他の車種に比べて、既存のお客様の支持が大変大きく、ブランドのファンができているというデータを発見しました。
そこで私は、反対を押し切り、2代目までの既存シーマユーザーにターゲットを絞りました。
車とは新規顧客にアプローチをするのが通例。社内にも反対の声がたくさんありました。
しかし、データ分析の結果、既存ファンに3代目シーマを愛してもらえば、評判は広がり、口コミで新規顧客も必ず増えるだろうと確信を得たのです。
予算の8割を既存ユーザーにつぎ込みました。
既存ユーザーに3代目シーマの写真カタログをお送りするなど、過去にはなかったプロモーションでした。
その結果、シーマは1ヶ月で500億という異例のヒット商品になったのです。
既存客にターゲットを定めたことで、最適な戦略を選べ、そしてそれが口コミで波及したのです。
冒頭でもお話をしたマーケティングにおける4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字を取ったものです。
そして、プロモーションは、広告、販促、広報、人的販売とさらに細分化されます。

マーケティングの観点で行動すると、成功が再現出来るようになる

「シーマ」の例でいくと、営業マンがいざ売ろうとするときには製品も価格も決まっており、販売網も販売店があるためほぼ確立されています。
営業マンが担うのはプロモーション(Promotion)の中の「人的販売」の部分となります。
商材によっては、営業マンが製品や価格、販路を戦略的に選べる場合もありますが、車のような有形の商材ですと4Pのそれぞれの役割は部署ごとに分かれているため、営業マンは、その中の一役割を担うことになります。
一役割であることは、車のような商材を扱う営業マンが、マーケティングの全体像を知らなくてもいいという意味ではありません。
全体感を把握して、自分の担う役割を把握しなければ良い営業活動ができないという意味です。
自身が売る商材について市場の環境、コンセプト、ターゲットを明確にし、そして4Pを使った マーケティングミックスの考え方や、プロモーションミックスの考え方に分類して考えることが重要です。
その中で自分の営業活動を行うと結果が変わっていきます。
マーケティングで大事なのは全体を俯瞰して見ること。
かならず現状把握から始めることを忘れないでください。
いきなり分類から始めると、過去の事例など自分の知識や記憶に引っ張られてしまいます。
把握と分類ができたら、データをもとに客観的科学的にアプローチしてみましょう。
そうすれば「なぜ上手くいったのか」「なぜ失敗したのか」も理由が説明出来るようになります。
過去の成功体験に捕らわれず、今のお客様に最適なアプローチを見つけることが大事です。
前例通りに行動しても、市場環境などによってハマらない場合があります。
しかし、マーケティングの観点で行動すると、成功が再現出来るようになります。
全体を俯瞰すると、営業マンが担う役割が小さく感じるかもしれません。
実は顧客に購入してもらうというマーケティングの目的の終着点となる重要なチャネルです。
マーケティングの観点を常に意識し、成功が説明できる営業マンを目指しましょう。

———————————————– PROFILE ———————————————–

ビズ・エキスパート株式会社 代表取締役 大野 晴司
日産自動車の国内マーケティング部門にて、新型車「シーマ」などの発売企画担当者として「マーケティング力」を磨く。現在は、「ロジカルシンキング力」「ファシリテーション力」「ソリューション力」に強いコンサルタントとして活動している。

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川崎 裕介(かわさき ゆうすけ)

慶應義塾大学卒業後、外資系歯科医療機器メーカーを経てコンベックスに入社。プロダクトセールスチームで新規顧客開拓、既存顧客のコンサルティングに従事する傍ら、セミナー企画・運営を担当。現在は「セールスハックス」の運営、「Digima」のプロモーション全般を担当している。

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