リスト購入側のリスクは?通信教育大手ベネッセの情報流出事件に判決

リスト購入側 リスク 情報流出

2014年に起きた通信教育大手ベネッセの情報流出事件。まだ記憶に新しいですね。
先頃、この事件で不正競争防止法違反に問われた元システムエンジニアの被告に懲役3年6か月、罰金300万円という判決が東京地裁から下されました。
「不正競争防止法」がどのような法律かについては「転職先に営業秘密漏洩で日本ペイント元役員逮捕に学ぶ、営業秘密の保護とは?」もご参照ください。
今回は、流出した情報を利用する側の問題について、高島総合弁護士事務所の理崎智英先生にお話を伺いました。

事件の概要

3,000万件を超える個人情報が一度に流出したこの事件、過去最大級の情報流出事件として各所で話題になりましたが、もう一度概要をおさらいしておきましょう。
被告はベネッセのシステム運営を行っていたグループ会社の業務委託先に勤務していました。
業務委託先のスタッフである被告にもデータベースへのアクセス権が与えられていたこと、本来機能するはずのデータ書き出し制限が被告の持つ新機種のスマートフォンには有効でなかったことなどを利用し、3000万件以上の個人情報を取得。
そのうち1,000万件程度を名簿業者に売却したとされています。売却された個人情報は複数の名簿業者を介してIT企業や教育関連企業に渡り、ダイレクトメールなどに利用されたことで事件が発覚しています。

受け取る側も罪に問われる

今回不正競争防止法違反に問われたのは大元の流出を引き起こした被告ですが、状況によっては「情報を受け取る側も」同様の罪に問われる可能性があります。
これはつまり、日々の業務で顧客情報などを利用する営業マンが、刑事事件の「加害者」になる可能性があるということです。
「不正競争防止法では、営業秘密の漏洩に際して、秘密を受け取った側にも漏洩させた者と同様の罰則が適用されます。不正取得した情報と知った上で、または重大な過失により知らないままで情報を利用すれば10年以下の懲役・2000万円以下の罰金という罰則が待っています。法人であれば5億円以下の罰金です。相次ぐ流出事件を受け、今年の1月から罰則が強化されています。」
いつもの営業活動に使っている顧客リスト。
それがどこから入手した情報なのか、確認したことはあるでしょうか。出どころの不明な顧客リストを使っていませんか?
営業マンと個人情報は切っても切れない関係です。業者から名簿を仕入れるケースもあることでしょう。
ただ、その名簿が正当に取得した情報かどうか、よく考える必要があります。
中には個人情報の使用についての同意を得ているような、正当に取得した情報もあるかもしれませんが、出どころのアヤシイものもあるのではないでしょうか。
今回の法改正により、不正取得した情報に関わると1次取得・2次取得者だけでなく、その後の3次、4次……という取得者まで罪に問われる可能性があります。
例え不正取得した情報だと知らなくても、容易に知り得る状況と判断されれば「重大な過失」として不正競争防止法違反にあたる可能性があります。
出どころ不明な数百万件の個人情報などというのは普通に考えれば不正取得だと想像できますね。
普段何気なく使っている顧客リストが、場合によっては実刑判決や数千万円の罰金という高すぎる代償に結びつく、恐ろしい事態が起こり得るのです。
今回は高島総合弁護士事務所の理崎先生に、個人情報を受け取る側のリスクについて伺いました。不正取得した情報の恐ろしさをご理解いただけたのではないでしょうか。
この事件では不正競争防止法での対応でしたが、今後は個人情報保護法の改正も控えています。
職場の個人情報の取り扱い、今のうちに見直しておかないと大変なことになるかもしれません。
「ビッグデータ」のなかの個人情報の取り扱いなど、新しい概念も生まれてきています。
今後ますます重要になるであろう「情報」の取り扱い。一歩間違えると多大なリスクを背負うことになりかねません。
出処不明な情報には関わらないことが賢明ですね。

————————————————– PROFILE ————————————————–

理崎 智英 (弁護士)
当事務所では、30社にのぼる様々な業種(不動産業、建設業、広告代理店、飲食業、製造業、貸金業等)の顧問先を抱えており、日常的な法律相談や契約書チェックから、クレーム対応、労務問題、訴訟まで、迅速かつ的確に対応しています。
所属事務所HP:http://www.takashimalaw.com/

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

川崎 裕介(かわさき ゆうすけ)

慶應義塾大学卒業後、外資系歯科医療機器メーカーを経てコンベックスに入社。プロダクトセールスチームで新規顧客開拓、既存顧客のコンサルティングに従事する傍ら、セミナー企画・運営を担当。現在は「セールスハックス」の運営、「Digima」のプロモーション全般を担当している。

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