新人営業マンが押さえておきたい5つのこと

新人営業マン 押さえておきたい

営業の業務にはさまざまなスキルが必要です。
はじめから全てが完璧な人はいませんから、少しずつ身につけていきましょう。
今回は、支援実績3,000人以上のキャリアカウンセラー壷井央子さんに、「新人営業マンが押さえておきたい5つのこと」という内容でお話を伺いました。

営業スキルチェックシート

① 営業マンは商品を売ろうとしてはいけない

「新卒で入社した会社で、営業の研修などもほとんどない中、社長からただ一言言われたのがこの言葉です。」
あらゆる営業職の最終的な目的は自社商品を顧客にアピールし、契約を得ることですから、この表題とは矛盾しているように感じますね。
壷井さんによると、この社長さんの言葉は「売ろうとするのではなく、いかに顧客の役に立つかを考えろ」という意味だそうです。
実はこれは営業マンにとって「心構え」としてだけでなく、実務的にも重要なことなのです。
営業研修でよく耳にする言葉に「FAB」というものがあります。
Feature(特徴)、Advantage(利点)、Benefit(利益)の頭文字を合わせたもので、セールストークの重要なスキルとされています。
商談の際に営業マンが陥りがちなのが、商品の特徴(F)や他社製品との比較(A)に終始し、顧客が得られる利益(B)をうまく提示できないという状況です。
顧客のメリットを具体的に示せるかどうかは、商談を優位に進められるかどうかの重要な要素になります。
常に「いかに顧客の役に立つか」と考えていれば、商談の際にも自然と「顧客の利益」を盛り込んだトークに繋がりますね。
結果として「売ろう」とする営業マンより良い成果を上げられる可能性が高まります。

② 商品を好きになる

そんなの当然だろう、と思うかもしれませんが、とても重要なことです。
自分自身が「良い」と思える商品でなければ、顧客に心から勧めることはできません。
そういった営業マンの迷いは、顧客に伝わってしまうものです。
しかし場合によっては「これは売れないだろう」という商品でも売らなければいけないのが営業職ですから、商品をよく識り、良いと思える点を探すことも大切です。
壷井さんはかつてグルメガイドの営業をされていたそうですが、1ページ数十万円という掲載費に「これは売れない」と思ってしまっていたそうです。
やはり、受注は伸びませんでした。
そこで考え方を変え、顧客に「どれくらいの価格ならば掲載してもいいか」というヒアリングを行いました。
そして、1店舗あたり数万円の掲載費になるよう1ページを複数店舗で分割した特集記事を考案し、上司に提案しました。
結果として「そこまでしてくれるなら」ということで多数の店舗から契約をいただいたそうです。
①の話とも重なりますが、商品をよく識り、顧客の利益に結びつけることが営業活動の成功に繋がります。

③ 自分のファンを作る

これができるかどうかが「営業マンとして成功するかどうか」の分かれ目と言っても過言ではありません。
ともすると顧客を「陥落させるべき敵」と見なしてしまいがちな営業マンですが、そうではないのです。
顧客を味方につけることができれば、①、②の話が更に活きてきます。
「○○さんがそう言うなら」という状況をつくり出せれば、あらゆる営業活動がスムーズに行えるのです。
「仕事がうまくいかず落ち込んだ時には、馴染みのお客様のところを訪問して気持ちを切り替えていました。10件営業をかけても7件は冷たくあしらわれるものですが、1~2件は受け入れてくれるお客様がいらっしゃいます。そういうお客様を自分のファンにできれば、精神的にも楽になります」
法人営業と個人営業、業界によって異なる部分もありますが、顧客を味方につけることが重要なのは同じです。
営業職はたくさんの人と関わる仕事ですから、年代も性格もさまざまな人々と出会うことができ、そういった「人との関わり」を通じて自分自身の世界も広げることができます。

④ 遠くを見過ぎない

まずは一歩ずつ進むことを考えましょう。
「MVPを取りたい!」「トップセールスになりたい!」といった大きな目標を立てることも大事ですが、そればかりを見ていると足元が疎かになってしまいます。
「営業に飛び級はありません。日々の活動が少しずつ力になり、積み重ねが成長になります。そうしてふと振り返った時、一歩ずつ歩いてきた道のりの長さを感じられる。この一歩の積み重ねが、結果としてトップセールスや社内表彰といった成果をもたらすのです。」
働く人生は長いですから、遠くばかりを見ていては息切れしてしまいます。
同期との成績の差が気になることもあるでしょうが、成長の仕方はそれぞれ異なります。
結果だけを求めてもなかなか実現しませんから、まずは「今日できること」を確実にこなすことから始めましょう。

⑤ 活動内容は可視化する

最後に「今日できること」をこなせたかどうか、目に見える形で残しましょう。
訪問件数や電話の件数、見積り提示の件数など、基礎的な営業活動を数字として記録します。
はじめのうちは1日など短い期間での目標を立て、それに対して実際の活動内容がどうであったかを毎日振り返ります。
営業職的な言葉で言えば「短いスパンでPDCAを回す」ということですね。
そしてそれを上司と共有しましょう。
新人営業マンにとって、営業活動を自分だけで管理するのは難しいことです。
目標・結果を可視化し先輩や上司と共有することで、自分の営業活動を客観視することができます。
「今日は訪問件数が少なかったから報告し辛い……」という日もあるでしょうが、言い辛い時こそ積極的に報告しましょう。
顧客を味方につけるという話をしましたが、もちろん上司だって敵ではありません。
新人営業マンを育てる役割を負っている訳ですし、経験も持っている方が多いでしょう。
聞けることは何でも聞いて、できるだけ相談します。
先輩や上司の経験を取り込み、方法論を学ぶことで「一歩」のスピードを上げることができます。
ここまで「新人営業マンが押さえておきたいこと」として5つの項目を見てきましたが、いかがだったでしょうか。

最後にもう1つ、壷井さんから重要なことを伺いました。
「プライドは捨てる!」
社会人としてスタートを切ると、学業で優秀な成績を収めてきた人やリーダー的存在だった人が、そうではない人より成果を上げられない、ということも多々あります。
それだけ求められるスキルが違っている訳ですから、学ばなければいけないことはたくさんあります。
「守破離」という言葉がありますが、やはりまずは先人のやり方を受け入れることから始めましょう。
多くの場合、年月を経て形成された方法論は、業界や商品の特徴も踏まえた学ぶ価値のあるものです。
これらの内容を参考に、皆さんの社会人生活をより良いものにしていただければ幸いです。

————————————————– PROFILE ————————————————–

壷井 央子 (キャリアカウンセラー) 運営サイト
「食べること」が栄養を補給するためだけの行動から、幸せを共有する「楽しみ」に変わったように、「働くこと」も同じ。生活のためから、幸せを共有する「楽しみ」になる時代。あなたという素材を生かして、どんなレシピを作りますか?「働く」レシピの考案。

    営業スキルチェックシート

原誠

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