カスタマーサクセスとは?営業マンも知るべきカスタマーサクセスの顧客を成功に導くスキル

カスタマーサクセス

近年よく耳にするようになった「カスタマーサクセス」という言葉。サブスクリプション型サービスの増加に伴い、顧客との継続的な関係構築が再注目された結果、生まれた言葉だとされています。

カスタマーサクセスは、これからの企業活動にとって重要な概念ですが、十分理解されていないのも事実です。アイティクラウド株式会社による調査によれば、「カスタマーサクセス」という単語を聞いたことがあるのは、ビジネスパーソン全体の約13.7%。さらにカスタマーサクセスを「知っている」と答えた人の中で「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がある/いる」と答えた人は25.5%でした。

カスタマーサクセスに関する認知状況


(出典:アイティクラウド株式会社

本記事では、カスタマーサクセスの基礎知識や重要性、メリットなどについて詳しく解説します。

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カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客が商品・サービスの活用を通して得たい「成功(=ゴール)」の実現までの道筋を手助けする役割のことです。企業は商品・サービスを利用する顧客の達成したい目的に注目し、できるだけ円滑にその目的を達成できるよう取り組みます。

顧客の成功に寄り添うことで、顧客のビジネスの理解ができるためニーズの把握や満足度の向上につなげることができます。それにより、顧客の商品・サービスの利用継続や収益の拡大につながる重要な概念だと言えます。

カスタマーサクセスの10の原則

カスタマーサクセスが世に知られるきっかけとなった書籍である『カスタマーサクセスーサブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則 』 。この中では、以下のようなカスタマーサクセスを運用していく上で必要な10つの原則が掲載されています。

「顧客の成功」10の原則

どれも重要な原則ですが、営業マンにも知っておくべき考え方の原則をいくつか抜き出して紹介します。

原則2 「顧客とベンダーは何もしなければ離れる」

これは、営業マンとしてもイメージしやすいかもしれません。企業側から何もアプローチ、サポートしなくては、顧客は関心を無くしてしまい離れてしまいます。特に、リピートが重要なビジネスや顧客が継続的に利用することによって売上げを上げるビジネスにとっては重要です。

顧客が離れないためには、企業から積極的に顧客にアプローチやフォローを行っていく必要があります。ルート営業などを行っている企業であれば、訪問した際に顧客がニーズや課題を抱えていないのかをヒアリングすることも有効でしょう。定期的に顧客に連絡をとり、状況の把握や役に立つ情報の提供なども大切です。

原則3「顧客が期待しているのは大成功だ」

営業マンが営業活動を行い商品・サービスを購買、活用してもらう目的は「顧客の抱えている課題を解決する手伝いをすること」とも言い換えられます。つまり、顧客が大成功するのを支援することです。

顧客を大成功へと結びつけるためには、まず顧客にとっての成功は何なのか把握する必要があります。これはビジネスによって異なります。例えば、BtoCでは「顧客がより快適な生活を送る支援をすること」であったり、BtoBでは「顧客の売上げを上げること」「顧客の業務の効率化をお手伝いすること」かも知れません。

顧客が求めていることを把握することで、本当に必要な支援を行うことができるでしょう。

カスタマーサクセスがなぜ重要なのか

従来のビジネスでは、商品・サービスを販売し、購入された時に利益が生まれる販売手法が多かったと言えます。しかし、現在のSaaSビジネスやサブスクリプションモデルでは、一度契約すると顧客に継続的に利用してもらい、その利用料として安定した利益を確保するビジネスが普及してきています。

一方で、月当たりの顧客一人から得られる利益率が低いケースがあるのも事実です。従って、長期にわたって利用してもらうことが前提となります。つまり、あくまで契約の獲得は顧客との取り引きの始まり。そこから顧客が解約しないようフォローを継続する必要があるのです。一回の利用料は低額で利用することができるため、何か問題があるとすぐ競合他社に顧客を奪われてしまいかねません。

企業は顧客が抱える問題を事前に見つけ出し、顧客の成功を促す提案を継続的に行なう必要があります。これはSaaSビジネスやサブスクリプションモデルに限らず、すべての企業に共通して言えることです。どんな企業でも長期的に顧客と取り引きを続けることは大切です。従って、営業マンがカスタマーサクセスの心構えを知っておけば、既存顧客との関係性構築にも役立つと言えます。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとよく混同されがちな言葉に「カスタマーサポート」があります。似ているようで、この2つの性質は異なります。

カスタマーサポートは、顧客から問い合わせがあって初めて対応を行う受動的なサポートであり、顧客の問い合わせの対応の他にクレーム処理を行うこともあります。また、目標値は「顧客満足度」となり、困っている状態にいる顧客を元の状態に戻すことが目標だと言えます。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

これに対してカスタマーサクセスは、顧客を成功へ導くために企業が行う能動的なサポートのことです。顧客からお問い合わせがなくても事前に先回りして、顧客が困らないよう対策を講じることなどができます。

カスタマーサクセスのメリット

では、カスタマーサクセスにはどういったメリットがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。

顧客のニーズや課題をくまなく抽出することができる

カスタマーサクセスが、顧客と積極的にコミュニケーションをとることで、現在の商品・サービスを活用している上でのニーズや課題をヒアリングすることができます。

カスタマーサポートの場合、お問い合わせを行わない顧客の抱えている問題が顕在化されることは難しいことが多くあります。しかし、カスタマーサクセスでは、企業側からコミュニケーションを促すため、ニーズや課題を抽出することが可能になります。そこで、明確になったニーズや課題を営業部門にも共有することによって、提案の際の課題提示の参考にもすることができます。

解約率(チャーンレート)を下げることができる

顧客のニーズや課題をヒアリングできることにより、自社の商品・サービスの改善することができるようになります。それにより、より満足してもらえる商品・サービスを提供することができます。結果的に、顧客がリピートから離脱してしまったり、解約することを防ぐことができます。

顧客生涯価値(LTV)を高めることができる

顧客生涯価値とは、一人の顧客から継続して使ってもらった場合に得られるであろう売上げの合計のことを言います。

解約率を下げることができれば、顧客に自社の商品・サービスを長期間利用してもらうことができます。そのため、チャーンレートを低く抑えつつ、顧客一人あたりの顧客生涯価値(LTV)を最大化させることが可能となるのです。

カスタマーサクセスに求められるスキル

続いて、カスタマーサクセスに求められるスキルについて見ていきましょう。

積極的に顧客と関わろうとする姿勢

カスタマーサクセスはカスタマーサポートと違って、積極的に顧客に関わろうとする姿勢が必要です。その姿勢がなければ顧客の成功を阻む課題を見つけることも、提案を行うこともできません。顧客の成功を実現するための提案スキルも求められます。

関係構築ができるコミュニケーションスキル

カスタマーサクセスの役割の一つとして、顧客と長期的な関係を構築することが挙げられます。顧客の目的を十分に理解した上で、密なコミュニケーションを取っていくスキルが欠かせません。常に「相手の成功」を意識しつつ、熱意を持って提案を行なっていくことで、初めて信頼関係を築くことができるのです。

言葉によるコミュニケーションのみならず、非言語的な部分も顧客と共有できるかどうかも重要な点の一つです。コミュニケーションスキルは、カスタマーサクセスを行う上で、要となるスキルだと言えます。

顧客の立場に寄り添って考えられるスキル

顧客を成功に導くためには、顧客の状況やビジネスそのものに寄り添うことが重要です。顧客の市場の動向からどのような生活、業務を行っているのかを把握してなくては、顧客に寄り添った適切な提案はできません。

顧客の目的を他人事ではなく、自分の事のように感じられるかどうかで成功の確度は大きく変化します。常に顧客の目線に立ち「どのようなことを考えているのか?」「なぜそう感じるのか?」など、顧客と一緒に考えていけるスキルが不可欠です。

情報を分析できるスキル

カスタマーサクセスにおいて、顧客に的確な提案をするためには、顧客に関する情報を客観的に分析するスキルが必要です。顧客に関する情報には、商品・サービスの購買・利用頻度や購買理由、これまでのコミュニケーションの経緯などが含まれます。そうした情報を読み込み、顧客理解を深めた上で顧客にアプローチを行う必要があります。

また、BtoBであれば、顧客の属する業界の動向や顧客の状況といった情報を収集し、分析することが欠かせません。顧客の代わりに客観的に情報を分析することで、本質的な課題を発見したり、成功につながる提案を行ったりすることができます。

課題発見・課題解決スキル

情報分析スキルに関連して、課題発見・課題解決スキルも非常に重要なスキルの一つです。

カスタマーサクセスでは、顧客から得た情報の中から顧客の成功を妨げている課題と、その解決策を見つける必要があります。隠れている課題を発見することで、問題発生を事前に対処することができます。課題を発見し、顧客の意向を踏まえた上で解決策を提案することがカスタマーサクセスの役割なのです。

カスタマーサクセスと営業の関係

現在では、カスタマーサクセス専門の部署を設置する企業も増えています。しかし、顧客に寄り添って支援を行うカスタマーサクセスの概念そのものは、所属している部署に関わりなく大切なことです。もちろん、営業マンにおいてもカスタマーサクセス同様の心構えやスキルが必要だと言えます。

例えば、企業向けクラウドサービスの大手「セールスフォース・ドットコム」のインサイドセールス部門のスタッフは、カスタマーサクセスの意識を持って業務を行っていると言います。この意識を持つことで、ただアポイントをとることだけでなく、顧客の成功に集中することができます。

そのため、彼らはアポイントをとる前に顧客の課題を想定した事前準備を欠かさず行います。それにより、当然電話の会話一つ一つの質が変化します。カスタマーサクセスは、営業にとっても意識するべき重要な概念だと言えます。

まとめ

サブスクリプションサービスの普及と共に広がりつつあるカスタマーサクセス。顧客の成功を意識した活動が、さまざまな分野において重視されています。もちろん、営業マンもカスタマーサクセスを意識しているかどうかが問われている時代だと言えるでしょう。

顧客と長期的な期間付き合っていくためには、顧客の目線に立つことや、成功を阻害するものを発見することが欠かせません。 営業マンが 信頼関係を構築することで、アップセルやクロセスセルといった収益につながる場合もあります。

営業スキルチェックシート」では、営業マンが顧客と信頼関係を築くための、コミュニケーション力や提案力のスキルをチェックできるシートを用意しています。ぜひご覧ください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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