顧客分析とは?売上げ拡大に繋がる顧客分析の手法

顧客分析

営業マンであれば、商品やサービスの販売数や販売額を常に把握していることでしょう。一方で、自社は「どのような層に売れているのか」「どのような層には売れないのか」というところまでは分析できている方はそれほど多くないかも知れません。

これは「顧客分析」を行うことで明確にすることができます。顧客分析により、「どの顧客層に、どの商品・サービスを、どのようにアプローチすればいいか」が明確になり、売上げ拡大につなげることが可能となるのです。

本記事では、売上げ拡大につなげるための顧客分析の手法について解説します。

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顧客分析とは

顧客分析とは、自社の商品・サービスを購入した顧客が「どのような顧客層なのか」「どのような経路を通って購入したか、またどれほどの頻度で購入しているか」といった顧客層や購買行動を分析することです。

顧客層の分析としては、年齢やエリア、性別、役職などの情報によって分析することができます。また、購買行動の分析としては、購入の頻度や営業マンから直接購入するのか、インターネット上で購買が完結しているのかなどが挙げられます。

顧客分析の目的は、分析結果を基にターゲットとなる顧客層を見定め、適切な営業アプローチを行い、売上の拡大を目指すことにあります。

顧客分析がなぜ大切なのか

なぜ顧客分析が必要なのでしょうか。顧客分析の目的は、分析結果を基にターゲットとなる顧客層を見定め、適切な営業アプローチを行い、売上げの拡大を目指すことにあります。そのためには、「顧客層の明確化」と「ニーズの明確化」が必要になります。

顧客層の明確化

アプローチするべき顧客層が明確でないと、見込み度合いの低い顧客層への営業活動に時間と労力を割いてしまい、営業活動が非効率なものになってしまいます。自社の商品・サービスを購買する顧客には「どんな性別・年代の人が多いのか」を把握しておくことで、ターゲット顧客にあった商品・サービスの訴求メッセージ打ち出せたり、適切な販売経路で販売することができます。

ニーズの明確化

見込み客のニーズがわからなければ、営業マンはどのような営業アプローチをすれば良いかがわからなくなってしまいます。Aという課題を持っている見込み客に一生懸命に課題Bの解決策を伝えても、見込み客に価値を感じてもらうことができません。

営業マンの仕事は、見込み客が課題に感じていることを自社の商品・サービスで解決へと導いてあげることです。ニーズを見極められないと、見込み客が期待している正しい解決策を提示することもできません。顧客を分析することで、どのようなことに課題を持っていたのかを明確にすることができます。

顧客分析の4つの手法

ここでは、デシル分析、RFM分析、CTB分析、セグメンテーション分析といった顧客分析の代表的な4つの手法について解説します。

顧客分析の4つの手法

デシル分析

デシル分析とは、全ての顧客を売上げの高い順に10等分にグループ化して分析する手法のことです。ラテン語で「10分の1」という意味がある「デシル」から由来して「デシル分析」と言われています。

デシル分析では、まず商品・サービスの購入金額が高い顧客を順に並べ、10個のグループに分類します。グループ化することによって、どのグループがどれくらい売上げに貢献しているのか把握することができ、優良顧客層が明確になります。シンプルな分析ですが、どのグループに対してアプローチするべきなのかが明確になるため、有益な分析方法だと言えるでしょう。

しかし、利用回数が一度しかない顧客でも、利用金額が高額であれば上位のグループに入ってしまうことがある点はデメリットと言えます。全体でみると優良顧客層とは言えない顧客が、優良顧客層の中に紛れ込む可能性があるので、グループを構成している顧客についても確認しておく必要があります。

RFM分析

RFM分析は「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「累計購買金額(Monetary)」の3つの指標をもとに顧客をランク分けし、分析する手法のことです。それぞれのランク分けの方法は以下の通りです。

  • 最新購買日(Recency):直近で商品・サービスを利用した順にランク付けされる。
  • 購買頻度(Frequency):購買頻度が高い順にランク付けされる。
  • 累計購買金額(Monetary):利用金額が高い順にランク付けされる。

このランク付けを行ったデータを基に顧客特性別で分類すると、さまざまな顧客特性が表れます。例えば「購入頻度が高く購入金額も大きかったが、最近は購入していない顧客」や「一度高い商材を購入したがしばらく購入履歴のない顧客」などが浮き彫りになってきます。

これにより、それぞれの顧客特性に合わせた営業施策を実施できます。「購買頻度は高いが累計購買金額の低い顧客層」に対しては、別の商品・サービスを合わせて買ってもらい購買金額を高くするためのアプローチ(クロスセル)が考えられます。

RFM分析

CTB分析

CTB分析は「分類(Category)」「テイスト(Taste)」「ブランド(Brand)」の3つの指標をもとに顧客をグループ化し、分析する手法のことです。今後、顧客がどのような購買行動をするかを予測できます。それぞれの指標を見てみましょう。

  • 分類(Category)
    「分類(Category)」は商品・サービスのカテゴリのことをいいます。不動産の業界では、不動産賃貸や不動産の売買などのどのような方法の家を探しているのかといった大分類、さらに細分化して、不動産賃貸でも高い価格帯(高級賃貸)なのか低価格帯なのか。売買であっても、建売の家が欲しいのか注文住宅で立てたいのかといったように、家を探しているお客様でもさまざまな分類をすることができます。
  • テイスト(Taste)
    「テイスト(Taste)」は商品のデザインやサイズを指します。家の大きさはどのくらいを望んでいるのか。注文住宅であれば、家の配色やデザインや建築工法などのこだわりはあるのかなど顧客層を区切っていきます。
  • ブランド(Brand)
    「ブランド(Brand)」は、こだわりの企業ブランドやキャラクターなどを切り口として区切っていきます。

CTB分析は、顧客の趣向まで分析する必要があるため、難しい分析ではあります。しかし、分析することによって、顧客への深い理解をすることができますし、自社の強みや弱みを見えてくる分析でもあります。

また、顧客をプロファイリングすることで、いくつかのグループに分類できるので、それぞれのグループに合わせたアプローチ施策を考えることもできます。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客の属性の共通項を見出し、それを指標として分類・分析を行う手法のことです。

RFM分析やCTB分析ほどの高度な分析はではありませんが、簡単に行うことができます。例えば、顧客の年齢や、性別、居住地、購入に至るまでの行動履歴、購入頻度などを指標として分類・分析できます。BtoBであれば業種や企業の所在地、担当者の役職などを設定することができるでしょう。

セグメンテーション分析においては、この指標をどう設定するかがカギとなります。分析を行う前に仮説を立て、分析を通して知りたいことを予め決めておいてから実行するのがポイントです。

顧客分析を売上拡大に結びつけるためには

顧客分析で得た結果を、売上げ拡大に結びつけるためにはどのようなことができるでしょうか。

ターゲット顧客層に合わせた施策を実施できる

顧客分析を行い、ターゲットとなる顧客層が明確になれば、その層に合わせた施策を実施できます。例えば、DMやセミナー、展示会、新規テレアポ、SNS広告などの施策をターゲット顧客層に合わせて行こなうことができるでしょう。

同時に、顧客分析を行っていれば、どの施策が最も効果的だったか明らかにすることも可能です。闇雲に施策を実施するのではなく、効果の得られる施策のみを実施することで、営業マンの手間やコストなど企業のリソースを有効活用できます。

顧客層にカスタマイズしたアプローチを行う

顧客分析を行うと、顧客層に合わせたメッセージを伝えることができるようになります。

現代はITツールが発達しており、一斉送信メールなど自動化が進んでいます。したがって、情報流通量は爆発的に増えており、多くの受け手は画一的なメッセージには関心を持ちづらくなってきています。そのため、お客様の抱えているニーズや課題に合わせたメールや営業トークを行うことが大切だと言えます。

例えば、メールを送る際も、知っている顧客の情報を基に、顧客の抱えているニーズをある程度想定した内容のメッセージを作成することもできます。相手に寄り添うことこそが、売上げ拡大の近道なのです。

まとめ

顧客分析を行うことは、営業対象やアプローチ方法を明確にすることにもつながるため、営業マンにとって欠かせない分析だと言えます。分析を行うことで、顧客の購買活動やニーズを把握することができ、さらには顧客の気持ちも見えてきます。顧客に寄り添った営業活動は顧客の満足度を高め、売上げ拡大につながります。

とは言え、実際に売上げをあげていくためには、顧客分析を基に策定した施策を、営業現場全体で徹底して実行する必要があります。「デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック」では売上げ拡大戦略を実行へ落とし込む方法を解説しています。ぜひ、ご覧ください。

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