営業マンが営業活動を行う上で、なんだかんだと生じてしまうのが移動時間です。「外回りの際に発生する移動時間を短縮したい……」と思う営業マンは少なくないでしょう。
営業活動に伴い発生する移動時間を、少なく見積もって1日1時間だと仮定します。週5日間出勤すれば、その週にかかる移動時間は5時間になります。1カ月の稼働日が20日だとすると、かかる移動時間は20時間、半年だと120時間です。1年間だと、なんと240時間にもなります。
このように見ると、移動時間に費やしている時間の大きさに気づくのではないでしょうか。この時間を有効に使うことで営業効率も向上し、営業成績に良い影響を与えることもできるかも知れません。本記事では、無駄になってしまいがちな移動時間を有効活用する方法について解説します。
目次
営業マンの移動時間とは
営業マンの移動時間とは、営業活動などを行う上で、会社から顧客先に訪問する際にかかる時間のことをいいます。具体的には、顧客先に向かう際にかかる時間や訪問先から帰社(帰宅)する際にかかる時間を指します。
営業活動上での移動時間に加えて、会社への通勤時間や出張時の長距離移動の時間も含めた時間を考えると、さらに営業成果の向上に直結させることができます。
なぜ移動時間を無駄にしないことが重要なのか
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、対面接触を伴わないオンラインでの商談が普及しつつあります。しかし、実際には全ての商談がオンライン化しているわけではありません。ファストマーケティングの営業職に向けたアンケート調査によると、「オンライン商談を行っていない」と答えた人は全体の半数近くにも及びました。
取り扱っている商品・サービスの種類にもよりますが、完全にオンライン商談に移行するには、まだ時間がかかりそうです。オンライン商談を行うためには「通信環境の改善」「設備の充足」「営業マンの訓練」などが必要な上、「取引先が受け入れてくれるか」という問題もあります。今後も当面の間、営業マンは足で稼ぎながらもオンライン営業に少しずつ移行していく必要があるのかも知れません。
移動にかかる時間は莫大なものとなります。その時間を何もしないで過ごすこともできますが、有効活用することで業務の効率は格段に向上します。移動時間をどう使うかが営業成績を左右すると言っても過言ではないのです。
営業マンの移動時間の実情
営業マンの移動時間は、実際どれほどかかっているのでしょうか。株式会社インターパークのアンケート調査では、70%の営業マンが「移動時間(出張含む)に年間360時間以上費やしている」と答えています。さらに、そのうち26%の営業マンは年間1,200時間以上を移動に費やしているという結果が出ています。会社によって営業スタイルはさまざまですが、多くの営業マンが移動に多くの時間を費やしているようです。
営業マンの移動時間を有効活用するポイント
ここでは、移動時間を有効に活用するポイントを解説します。
お客様先の企業情報を確認する
移動中にお客様先の企業情報や場所を改めて確認しましょう。例えば、電車で移動中に、到着駅から訪問先企業のルートを調べます。そうすることで、迷うことなく訪問先へ辿り着け、遅刻などによりお客様に迷惑をかけてしまうことを防ぐことができます。
また、移動中に企業のホームページを見るなどし、企業の情報を確認できます。訪問先が新規顧客であれば、ホームページを通して企業の全体像を掴むことが欠かせません。何度か訪問している企業であっても、最新情報をチェックしておきましょう。移動中に確認することで、提案の際のトークに役立つ情報が得られます。
過去のコミュニケーションの振り返り
CRM(顧客関係管理)ツールなどを使用し、自分を含む自社の営業マンとお客様とのやりとり内容を振り返りましょう。「別の営業マンが聞いた内容をお客様にさらに聞いてしまう」「自分がお客様から聞いていたことを忘れてしまう」といったミスを防げます。
また、事前に過去のコミュニケーション履歴を把握し、お客様とのコミュニケーションの経緯を捉えることで、提案を具体的にイメージしやすくなります。
提案書の見直しを行う
訪問先のお客様に見せる予定の提案書を移動中に見直しましょう。改めてお客様の立場に立って見直し、「ストーリーが一貫していて分かりやすいか」といったことを確認します。また、誤字脱字などのケアレスミスについても確認が必要です。
修正箇所を見つけたらプレゼンの資料だけでもすぐに修正し、もし時間に余裕がある場合は、最寄りのコンビニのコピー機などで印刷することもできますので、直前でも用意することができます。
商談での提案のイメージを行う
移動中は、商談のイメージトレーニングを行うのにも最適です。これはどんな移動手段であっても行えます。事前に集めた情報を元にお客様像をイメージし、自身の提案の内容や提案方法をシミュレーションしましょう。
「どんな質問をされそうか」「商品・サービスのどんなところがお客様にとって懸念事項になりそうか」など、先回りしてイメージしておくことで商談の際に落ち着いて話すこともできます。お客様が契約してくれるところまで具体的にイメージできていると、成約の確率は高くなるでしょう。
お客様の業界などの情報収集を行う
自分が担当しているお客様の業界情報を集めておくことも大切です。業界の最新情報に敏感になり、情報収集することで業界の状況を把握できます。また、お客様と共通認識を持てるため、コミュニケーションが円滑になったり、場合によっては知った情報で商品・サービスの提案がしやすくなるきっかけになることもあるでしょう。
タスクの整理
移動中はタスクの整理を行うのに最適です。営業マンは常に目の前の見込み客への営業アプローチを行わなくてはいけないため、なかなかまとまった時間を取れないものです。そのため、移動時間などを活用して、勤務時間中の比較的早い時間であれば「今日行うべき業務」、遅い時間であれば「明日行うべき業務」の整理や優先順位付けを行うこともできます。
移動時間を無駄にしないためにできることを決める
時間は限られているため、移動中に先に挙げたことを全て行うのは難しい場合もあるでしょう。そのため「やらないこと」を決め、できることを探すことが大切です。ここでは、できることを探す際に重要なポイントを解説します。
普段の移動時間に行っていることを振り返る
まずは普段の移動時間に何をしているか箇条書きで書き出し、振り返りましょう。営業歴が長くなるほど訪問先が固定されていたり、ルーティンが決まっていたりするものです。無意識のうちに行っていることも多く、場合によってはそれが時間の無駄になっている可能性もあります。そのため、一度全て書き出して客観視して見ると良いでしょう。
普段行っている中で「やること」と「やらない」ことを決める
箇条書きにした「移動中にしていること」の中から、今後も継続して「やること」と「やらない」ことを決めましょう。判断基準は、「時間を無駄にしていないか」「営業活動に良い影響を与えているか」という点です。
なかには、移動中に瞑想を行う営業マンもいます。一見無駄と感じてしまうかもしれませんが、瞑想は集中力を高めたり、気持ちを落ち着かせることにも有効な方法です。自分の営業活動にとってプラスとなることだけ残しましょう。
やらないことに代わる「やれそうなこと」を決める
次に、「やらない」と判断したものに代わる「やれそうなこと」を決めましょう。例えば、今までSNSの確認にあてていた時間を提案書の再確認の時間にあてるなどがあります。現在は、誰もが半径1メートル以内にスマートフォンを持っています。あらゆるメッセージや誘惑に溢れているため、いくらでも「やれてしまうこと」はあります。そのような中で、自分がやれそうなことを抽出することが重要です。
実際に意識して行ってみる
やらないことに代わる「やれそうなこと」を決め、それを実行していきましょう。今までの習慣を意識的に変えることが重要です。「やらない」と決めたことを無意識のうちにやらないよう注意してください。手帳やメモなどに明文化していくことで、視覚的にも意識を戻すことができます。
どうしてもモチベーションが上がらないこともあるかと思うので、複数個やれそうなことを設定しておき、その中でその場でやれそうなことから意識して行っていくことも有効です。どうしても誘惑に負けてしまいそうになるかもしれませんが、負けそうになっていたら、気持ちを切り替えて意識を戻す練習を積み重ねても良いでしょう。
営業での移動時間活用を継続していくためには
継続して移動時間を有効活用していくためには、長い期間続けられるような難易度の「やれそうなこと」を見つけることが大切です。明らかに移動時間内に行うのが難しいことや、明らかにこれまでの習慣とかけ離れていることは、行うこと自体がストレスとなってしまい、モチベーションを大きく削いでしまう可能性があります。
重要なのは、「自分が行えそうな範囲のタスクで優先度の高いものから行っていくこと」です。小さいタスクでも一つずつこなしていくことで、継続して達成感を味わうことで、長期間に渡って続けることができるでしょう。それが結果的に、習慣となり営業成績にも努力が現れてくるはずです。
まとめ
営業活動で生じる移動時間は、ただ漫然と過ごすのではなく、自分にあった有効活用方法考え、実行してみることが大切です。今行っている習慣を振り返って、より営業成績に直結する行動に置き換えていくことで長期間で大きな変化になります。習慣化させていくことは、大変ではありますが、試してくうちに、自分なりの方法が見つかってきます。
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