営業トークテクニックを向上させて営業成績をあげる方法

営業 テクニック

営業マンの方は、営業トークのテクニックを勉強していますか?

営業トークとは営業中の話し方のことです。もちろん、コミュニケーション能力が抜群で、学ばなくても自然に好印象かつ説得力あふれるトークができる方もいると思います。

しかし、営業活動は長期戦。テレアポやメール、DMなどのアプローチ段階で使う営業トーク、ヒアリングの時に重要な営業トーク、課題把握の時、クロージングの時…など、さまざまな営業活動の段階で適切なトークを使い分ける必要があります。 

営業トークにもたくさんの話法があるため、もしかしたら知らないトークがあることでチャンスを逃しているかも知れません。基本的な営業トークの型を一通り学んで、心理学的な裏付けなども押さえると営業力はより安定していきます。

 本記事では、営業成績を上げる営業トークの技術をご紹介します。

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営業トークテクニックとは

営業トークテクニックとは、お客様と信頼関係を作り、お客様に自社の商品・サービスが役に立つことをきちんと伝えるための話術です。

成績優秀な営業マンは自覚の有無はともかく、適切な言葉を使ってお客様から信頼されています。短い言葉で「あ、なるほどね」と腹落ちさせる力、気付きやヒントを与えてお客様の視点を変えるような力(ファシリテーション力)を持っているものです。

もちろん、営業マンごとに個性があり「傾聴」が非常に得意でそれだけでかなりの信頼を得ている営業マンもいれば、自分の主張を上手に論理展開することが得意な営業マンもいます。すべてに完璧でなくとも、一つ二つ得意な領域の営業トークがあるだけでも営業マンの能力は高くなります。

営業トークは営業プロセスごとに、例えば以下のような種類があります。

  • お客様から信頼されるためテクニック
  • お客様の課題をつかむ傾聴・質問のテクニック
  • お客様に課題に気づいてもらうテクニック
  • お客様に成果をイメージしてもらうテクニック
  • 緊急性を感じていないお客様に、必要性を感じてもらうテクニック
  • お客様に決断してもらうテクニック
  • お客様の本気度を確認するテクニック、他 

営業トークテクニックの重要性

なぜ営業トークテクニックは重要なのでしょうか?

シンプルに言えば、同じ商品・サービスでも伝え方によって印象がかなり変わってくるからです。私たちが無意識によく見るCMや広告の商品を買ってしまうのも、広告のキャッチコピー(言葉の力)に影響された結果であることは少なくありません。練られた言葉の力とは非常に大きいのです。

もっともBtoC商品であればイメージや知っているかどうかで購入を判断でき、BtoBの場合はメリット・デメリットを明確にする必要があるなどの違いはあります。それでも、営業マンがお客様と対話を積み重ねて、商品や営業マン個人の人間性を信頼してもらわなければならないことは同じです。

もし、営業マンが単調な営業トーク、曖昧な営業トークしかできないと、お客様も「この営業マンと話しても発想が広がらないから会う意味がない」「購入したら成果がどれくらいあがるかはっきりわからない」など、営業マンの評価を下げたり、購入に踏み切れず迷ってしまうことが起こり得ます。

営業トークは自社の商品・サービスの魅力を最大限伝えるために重要な要素だと認識しましょう。

営業トークテクニックの紹介【基本編】

ここでは、まず基本的な営業トークのテクニックについて解説します。 

基本的な営業トークのテクニック

会話の優先順位を高めてもらう

営業マンが、忙しいお客様に自分の話を聞く時間を割いてもらうためには、自分と話すことの優先順位を高めてもらう必要があります。最初の営業トークで「何が得られるのか」を明確に伝えなくてはいけません。

テレアポやメール営業であれ訪問営業であれ、具体的には以下のことをかいつまんで伝えます。 基本の型として覚えておきましょう。

  1. 当社商材はこのような課題に役立ちます
  2. 根拠となる事例もあります
  3. 成果イメージです(〇〇なメリットがあります、〇〇を回避できます)
  4. 御社の課題にも役立てると思っています

ヒアリングをする

お客様が興味を持ちお会いすることになったら、まず最初はお客様の考えや意見をお聞きします。お客様のタイプにもよりますが、営業マンの質問が上手ければ現状の仕事の課題や関心のあることを話してくれます。

ここでは「傾聴の技術」が重要です。

傾聴とは、ただ話に相槌をうつのではなく、相手に共感しながら聴くテクニックです。例え相手の意見に同意できなくても、ひたすら聴くことに徹します。話がムダにぐるぐる回ってしまう方、黙っている時間が長くボソボソ話すペースの方、話が四方八方に飛ぶ方などさまざまですが、肯定的な態度で聴き続けます。

不思議なことに最初はまとまりがなかった話でも、何十分か傾聴しているとお客様自身が「結局、こういうことがうちの課題なんだよね」「本当はこういうことができればいいと思うんだよね」と言ったりするようになります。

コーチングやカウンセリングで傾聴が重視されるのは、人は話すときに適切な相槌などの肯定的フィードバックがあると、自分の思考を整理できるからなのです。

傾聴の基本的な技術として「うなずき」「相槌」「繰り返し」「言い換え」などがあります。「はい」だけでは間が持たない場合もあるので、「繰り返し」と「言い換え」も適宜使い分けましょう。

  • 「繰り返し(オウム返し):相手の発言を繰り返す。
    例:「副業の制度を作ったのに希望する社員があまりいないんだよね」→「希望者が少ないのですね」
  • 「言い換え」:同じ内容について言葉を言い換えて表現する。
    例:「今はまったく必要だと思わないよ」→「ニーズが感じられないのですね」

お客様に個別化された話題を話す

雑談であれ事例の紹介であれ、お客様とあまりにかけ離れた話(例えば中小企業に大企業の事例のみをを出したりマクロな経済の話)だと、「うちには関係ない」と思われてしまう可能性があります。

営業現場では、 できるだけお客様の興味・関心ごとに個別化した内容を伝える必要があります。

訪問前に徹底したリサーチを行い「この規模、このような社風の企業ならこのような課題がありそう」という予測を立てた上で、「仮に御社に〇〇のような課題があれば役に立てるのではないかと考えております」と、現実的な話を出した方がお客様も興味を持ちやすいでしょう。

今はWeb、SNSなどでかなりの情報を収集できます。経営者だとブログを書いている方も少なくありません。「当社について勉強はしているな」と伝わるような話ができれば、より深い話をしてもらえる可能性が高くなるはずです。

話を展開させる

営業現場ではお客様が課題に気付いていなかったり、現状でもそれなりに上手くいっているから、何かを変える必要はないという気持ちを持っていることは少なくありません。

この場合、お客様に課題に気づいていただき、自社なら解決できることを伝える必要があります。このとき役に立つのがSPIN話法です。 

  • Situation Questions(現状を把握していただく質問)
    例):「現在、賃貸と住宅購入を迷われていらっしゃる感じでしょうか?」
  • Problem Questions(問題に気づいていただく質問)
    例):「賃貸マンションと一般住宅購入のどちらが得かという話がよくありますが、高齢になるとだんだん部屋を借りるのが難しくなることをご存じでしょうか?」
  • Implication Questions(問題の重要性を認識できるような質問)
    例):「仮に〇才で住宅を購入した場合、ローンを終えるのは何歳くらになると思われますか?」
  • Need-Payoff Questions(理想の状態をイメージできるような質問)
    例):「もしご予算に制約がない場合、〇〇様はどのような空間がお住まいとして理想的だと思われますか?」 

お客様に、これまでと違った視点で物事を考えてもらう時に役立ちます。

営業トークテクニックの紹介【心理学編】

人を言葉で説得するテクニックについては、心理学領域でさまざまな研究がされてきました。

以下は、必ずしも営業現場用に研究されたテクニックではありませんが、中には営業マンが無意識に行っているようなものもあります。ビジネス心理学の基本として覚えておきましょう。

ミラーリング

ミラーリングとは簡単にいうと「鏡のように目の前の相手と同じ仕草や言動をとること」です。たまに共感性がすごく高く、自然に相手のしぐさや口グセが移ってしまうようなタイプの方がいますが、無意識にミラーリングをしているのかも知れません。

営業マンならテレアポや訪問の際、相手が慌ただしくしていればテキパキと話したりするなど、無意識に使っているテクニックだと思います。逆に顧客の立場で、急いでいる時にコールセンターや販売員の丁寧でゆったりとしたトークにストレスを感じることなどもあると思います。

お客様と声のトーンをあわせたり、会話のリズムを同じにしたりするのはむしろ自然な「思いやり」の範疇だと言えます。人間にはミラーニューロンという神経細胞(他者の行動に自分が行動しているような反応を示す脳神経細胞)があり、「共感能力」や「自己意識形成」を制御しているという研究があります。 会話のリズムが合うとお互い心地よいのは、共感しやすい状態になっているからかもしれません。

※ビジネスの現場では露骨に仕草を真似するような行為は、かえって不快感を持たれる可能性が高いので控えましょう。

単純接触効果

単純接触効果(ザイアンス効果)とは、人は接触頻度が多い対象に好意を持つ傾向があることからきているテクニックです。例えば、広告、メールマガジンなどをいつも見ているうちに、なんとなくその企業や商品に安心感を覚えるようになるような現象です。 

営業マンの例で言えば、職域営業としてとりあえず毎日のように来社する保険の営業の方がいると、いざ保険を検討しようとなった時に「まず、あの保険会社の人に相談してみよう」となる心理です。

人間は何度も同じ対象に接すると、脳の情報処理がスムーズになるそうです。確かに、まったく新たな人を理解したり信頼したりするのは、ゼロから情報を集めなければならず、脳に負荷がかかると考えるとわかりやすい理屈です。 

単純接触効果はまさに「単純な接触」でよく、時間の長短は関係ありません。最近は非難されがちなアナログ営業の「用がなくてもとりあえず顔を出す」という行為も、実は心理学で考えると意外に効果的なのです。 

ドア・イン・ザ・フェイス(譲歩的依頼法)

ドア・イン・ザ・フェイスは「譲歩的依頼法」と言われます。最初に難しい要求を提示して、相手に断ってもらうとともに「断って悪い」という感情を持ってもらい取引につなげるテクニックです。 

営業マンや販売員の中には、ドア・イン・ザ・フェイスという言葉を知らなくても一番高い商品から進めるタイプの方はいると思います。

そうすると、お客様は「これは高すぎるので難しい」と断るわけですが、そこで値引きをしたり少し価格の低い商品を薦めたりすると、お客様は一度価格を理由に断っているため「何度も断っては悪い…」という心理から発注したりすることがあります。 

ただし、毎回同じような薦め方をすると「この営業マンは高いプランしかしか薦めない」という認識になるだけの場合もありますし、必要もなく高い商品をこのテクニックで売ると、購入した後お客様から「上手く売りつけられた」と思われる場合もあるでしょう。営業マン本人が最高価格、せめて2番目の価格の商品がお客様に適していると思う時に使うことが望ましいと言えます。

逆に営業マンの中には過去の成功体験からいつも「一番安い価格プランから薦める」ことが習慣になっている方もいます。こちらもお客様の立場に立っているとは必ずしも言えないので、お客様の持っている適切な予算感を確かめるために、一度譲歩的依頼法を使ってみるのもよいかもしれません。 

フット・イン・ザ・ドア(一貫性の原理)

フット・イン・ザ・ドアとは訳すと「ドアに足を入れる」という意味です。訪問販売営業が多かった時代に、営業マンが足先をドアに挟み込んでドアを閉じられないようにして「お話だけでも聞いてください!」と依頼し、お客様が「しょうがないから話だけ」と了承すると、一度イエスと言ったことが理由で、お客様はその後の話を聞いて、購入する心理になりやすいという逸話からきています。

人間には一貫性を保ちたいという心理があり、一度でも「イエス」と言った相手には肯定的な心情を持ちやすくなるそうです。営業的にも、簡単なことでまず「イエス」という答えを得るようなトークが有効とされています。 

ハロー効果

ハロー効果とは、人が人を評価するときに一つの特徴的な面に影響され、他の面に対しても同じような評価をしてしまうことを指します。

例えば、「学歴が高い=仕事ができるはず」「トップセールスマン=ほかの仕事でも優秀なはず」「礼儀正しくいつも明るい=仕事ができるはず」などの思い込みが起きやすいことを指します。人事考課の際によく起こりがちな、認知バイアスと言われます。

営業現場においてはプラスの面もあります。礼儀正しく、明るい挨拶をして、身だしなみに気を配っていれば、ハロー効果のおかげで仕事ができるように見えるということなので、特に飛び込み営業、ルートセールス担当の方は覚えておきましょう。 

バーナム効果

バーナム効果とは、占いなどで使われるテクニックの一つです。誰にでも該当するような曖昧な表現をすると、相手が「自分にあてはまる」と捉えてしまう効果があります。

例えば、「あなたは積極的な方ですが内気な面もあります」「自分の意見をしっかり持っている方ですが優柔不断な面もあります」と言われれば、あてはまると感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 

もっとも、現実問題、人や物事の事象とは、それほどきっぱり説明できるものではありません。企業の課題解決策にも複数のパターンがあるものです。予測や分析をすることが多い仕事などは、バーナム効果的な表現にならざるを得ない場合もあります。何かを言い切れない時には、むしろ活用しやすいテクニックです。

例):

  • 「今は売り手市場で中小企業が優秀な人材を採用するのは難しいのですが、経営者に魅力があれば小さい会社でも応募が増える傾向はあります」 
  • 「今の若者には成果主義的な会社を好む人が増えていますが、終身雇用やチームワークを大事にする昭和的な会社を好きな人も結構います」
  • 「日本の人口は急激に減少しているので今後も人手不足が進んでいきます。でも、景気の落ち込みやAIの普及などによって、人余りの時代が来るかも知れません」

など、こういう場合もありますが、ああいう場合もありますという説明に使えます。

ホット・リーディング

ホット・リーディングも占いやカウンセリングなどで使われるテクニックです。例えば、占い師などが、占う人の情報を事前に極力集めた上でリーディングを行い、相手のことをあてて驚かせるテクニックです。業界で「顧客名簿を共有化して活用する」という方法がとられているという説すらあります。

何も知らない占いの依頼者は、相手がそのようなことをしているとは知らず「素晴らしい占い師」「私のことを見ただけでずばりあてた」と感動するという筋書きです。 当然、ビジネスの世界では違法であり、そのまま使えない技術です。

しかし、可能な範囲で事前の情報収集や仮説構築を徹底すれば、「うちの社員以上に当社のことを勉強している」「一度訪問しただけでここまで当社の課題がわかるのか……」と感動してもらえる可能性があることはわかります。

if(もし~なら)の効果

さまざまな営業トークのテクニックは、基本的に米国由来です。しかし、積極的な気質の人が多い米国と比べ日本人は慎重な傾向があり、よくも悪くも「これは相手に悪いかもしれない…」と気を遣う面があります。 

購買担当者の中にも、断ることにストレスに感じる人もいます。アポイントにしても「発注するとは限らないし、あまり期待されたら心苦しいからやめとこう」という理由で了承しない人もいます。必要性を感じないから断る場合もありますが、「相手をがっかりさせたくない、ムダな時間を使わせるのは悪い」という思いやりから、多少興味があっても断っている場合が意外にあるのです。

このような方に効果的なのが「もし~だったら」という話法です。「もし、よろしければ」「もし、お時間がありましたら」「もし、ご興味がありましたら参考までに」という柔らかい表現をすることで切迫感が薄れます。慎重な人も安心感を持ってアポに応じてくれる可能性が高くなります。

ウィンザー効果

人は当事者よりも、第三者が発信した情報を信頼する傾向があります。実際、今の時代なら会社のHPよりもSNS、口コミサイトの評判を信用する人のほうが多いでしょう。営業マンが製品の長所をアピールしてもポジショントークだと思われがちですが、利害関係のない第三者の意見は説得力があるのです。

営業現場でも、自社商材のレビューサイトの情報などを営業ツールとして活用したり、できるだけ匿名事例よりも実名事例を使うなど活用できるテクニックです。

営業トークテクニックを実践に落とし込むためには

俳優さんにも台本がありますが、徹底して練習して自然な演技ができるようになるのであって、トークを覚えてそのまま言うだけでは、そう人は感動させられません。練習次第で名演と賞賛されることもあれば、大根役者と言われてしまうこともあります。

営業マンは役者でありませんが、いかにもテクニックというようなマニュアルどおりの営業トークだと、言葉が上滑りしている感じになるのは同じです。営業トークのテクニックを身につけるためには、事前にロールプレイング(一人ロールプレイング)をするなど、少なくとも自分の言葉として自然に口から出せるようになるまで練習する必要があります。

なお、営業トークテクニックを実践で使う時には、自分自身の個性にマッチした自分が納得できる営業トークのテクニックを選ぶことが大切です。それこそ俳優のキャスティングがあっているかどうかと同じで、あまり自分に似合わない営業トークを無理に使っていると、わざとらしい印象になってしまう可能性があります。自分でも後で嫌になってしまうかも知れません。

自分でこれだと思う営業トークを選び、自然に言えるようになるまで練習し、実際に使ってみた日にお客様がどのような雰囲気だったか、自分がどのような気持ちになったかを振り返りましょう。「この言い方なら伝わる」と思ったテクニックを磨いていきましょう。

まとめ

営業トークにおいても「守破離(しゅはり)の原則」は存在します。営業トークの型を学ぶことや先輩のトークを真似ることは、効率的な営業スキルの習得方法です。最初は型通りの営業トークしか話せなくても、現場で経験を積んでいくうちに、いつか自分の個性が表れる営業トークになっていきます。ぜひ自分なりの営業トークを磨いて営業成績を向上させていきましょう。

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