営業プロセスを管理する際に考えるべき4つのポイント

営業プロセス

組織として素早く目標達成をするために営業プロセスを管理したいものの、人によって営業のスタイルが違っていて、なかなか管理ができないという企業は少なくありません。目標の達成ができているうちは問題意識を感じないかもしれませんが、成果が下がってきて今後の対策を考えなければいけない場面や、中長期的な売上予測を立てる場面では営業プロセスの管理は必要不可欠です。

今回は、営業プロセスを管理するためのポイントをお伝えします。

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営業プロセスの管理とは

営業プロセスの管理とは、引合やテレアポから受注(場合によってはリピート)までの流れをプロセスに分け、それぞれのプロセスごとに実績を管理する方法です。営業プロセス管理を行うことで、営業活動の現状や課題を適切に把握することができます。それでは、もし営業プロセス管理をしなかった場合はどうなってしまうでしょうか。

例えば、営業の成果が振るわず改善が必要な状況を想定してみてください。営業プロセスの管理をしていなかった場合は、「おそらく今回の成果低迷は訪問数が足りてないことが原因だから、訪問数を引き上げよう」などと過去の経験からの憶測や勘で対応を検討してしまうことがあるかもしれません。

一方で、営業プロセス管理をしていると「今回の売上げ低迷の原因は、訪問からの受注率が下がっていることです。実際、訪問数は過去数年と比較すると増えています。また受注率低下の原因として考えられるのは…」のように、各プロセスの実績をもとにしたボトルネックの分析を行うことができます。

また、営業プロセスの実績を適切に管理し、データがある程度集まれば売上げ予測を立てる際にも役立てることができます。ソフトブレーン株式会社による「営業の見える化についての実態調査」では、プロセス管理を実施している企業と実施していない企業では、増益予測で10%以上の差が出ており、営業プロセス管理と企業収益には相関性が指摘されています。

このように、営業プロセス管理は営業活動の現状把握や売上げ予測などに役立つため、営業部門の責任者にとって必要不可欠な手法と言えるでしょう。

ポイント1:営業プロセスを見える化する

営業プロセスの管理を行うためには、まず営業プロセスを見える化する必要があります。見える化をするためには、営業マンそれぞれが実際にどのように営業しているかをヒアリングすることから始めます。すると、思いのほかプロセスが異なっていて愕然とすることもあるかもしれません。

しかし、安心してください。全員のやり方を無理に一つにまとめる必要はありません。重要なのは誰でも成果を上げることができる理想的なプロセスを見つけることであるため、社内の中でも成果を上げている営業マンを抽出し、その人たちのやり方から共通点を見つけ出しましょう。その共通点から、自社にとって理想的な営業プロセスを作り出していきます。

多くの場合「引合/テレアポ→提案→見積→受注」という基本的な流れになります。その他にも、例えば商品説明会を行っている会社では「引合/テレアポ→商品説明会参加→提案→見積受注」、リピートを狙える商材を扱っている場合は「引合/テレアポ→提案→見積→受注→リピート」となります。

このように、扱っている商材の特徴によっても、営業プロセスは異なります。また、提案の回数が1回で済む場合もあれば、何度も足を運んでやっと購入してくれるサービスもあるかもしれません。まずは自社にとって理想的な営業プロセスを見える化してみてください。

ポイント2:各営業プロセスに設定する営業KPIの具体事例

営業プロセスの見える化の次にやるべきことは、各営業プロセスにKPIを設定することです。KPIとはKey Performance Indicatorの頭文字を取った言葉で日本語では「重要業績評価指標」と言われ、最終的な目標を達成するための中間指標として営業に限らず、さまざまなビジネスの場面で用いられています。

ちなみに、KPIとよく混同しがちな言葉がKGI(Key Goal Indicator)で、KGIは「重要目標達成指標」と言われ、ビジネスの最終目標を表した指標です。営業におけるKGIには売上げ額や受注件数などが挙げられます。つまりKGIを達成するための指標がKPIとなります。KPIを設定し、進捗を管理することで、KGI達成へしっかり近づいているかを客観的に把握することができるようになります。

それではよく使用される具体的なKPIの事例を見ていきます。企業の方針や扱っている商材によっても、用いるべきKPIは変わりますので、自社に当てはまるものがどれかを考えてみてください。

ポイント3:営業プロセスを現場に浸透させる

適切なKPIを設定できたら、次にすべきことは現場への浸透です。しかし、ただ理想的な営業プロセスとKPIを説明するだけでは、現場は納得してくれない可能性があります。提示したプロセスが自分のやり方と大きく異なっている人にとっては、自分のやり方を否定されているように感じてしまうからです。そのため、浸透のさせ方にも工夫が必要です。

最初にすべきことは、なぜ営業プロセス管理を行うのかという目的から伝達することです。目的を理解していない状況では、プロセスやKPIを説明しても上辺だけの理解となり、本当の意味で浸透させることが難しくなってしまいます。この目的の伝達は、社長や役員など役職の高い人から説明をするとポジションパワーにより説得力が高まるので検討してみてください。

続いて、営業プロセスとKPIを伝達します。ここでのポイントは、営業プロセスとKPIが決まった背景を説明することです。一方的に「これに決めたので、あとはよろしく」というスタンスでは納得を得ることは困難であるため、背景も併せて説明することで現場も「それならば、しっかりとやり切ろう」と行動の徹底へとつながります。

さらに、現場への配慮も忘れてはいけません。「それぞれが素晴らしいやり方を確立しているのは理解している。もしかしたら、今回設定した営業プロセスに違和感のある人もいるかもしれない。しかし、とにかくまずは一度このやり方でやり切ってほしい。やり切ったうえで、改善できる部分があれば、提案してくれると嬉しい」といったように、相手への理解を示したうえで依頼事項を伝達することで、納得感は高まります。それでも、納得できない人には個別で質問を受け、相手が納得するまで説明し続けることが重要です。

一人でも理解を得られていない・実行に移してくれない人がいると、「あの人がやっていないから自分もやらなくていいか」とプロセスが全体に浸透しません。伝える内容と伝え方に注意して、設定した営業プロセスとKPIを現場にしっかりと浸透させましょう。

ポイント4:設定した営業KPIの効果検証を行う

KPIはKGIを達成するための指標であるため、KPI達成がKGI達成に影響をしていなければ、意味がありません。そのため、KPIは一度設定して終わりというものではなく、効果検証を行いブラッシュアップしていく必要があります。

例えば、KPIは達成しているのにKGIは達成できないという状況になっていれば、KPIそのものを見直す必要があるでしょう。それではKGIとKPIの達成/未達成を場合分けして、効果検証の方法を見ていきます。

・「KGI:達成、KPI:達成」の場合

大きくKPIの項目自体を見直す必要はありません。KGIの達成率とKPIの達成率のデータから、KPIがそもそも低く設定されていないかは確認する必要があります。例えば、KGIは103%達成であるのに対してKPIは250%達成であった場合は、2つの可能性が考えられます。

1つ目は、KPIが低く設定されすぎていたため現状の営業マンでも簡単にKPIの達成ができたこと。2つ目は、KPIに対して営業マンの能力が想定以上に高かったことが原因として考えられます。その場合は、現状の数値を基に目標値を適切に設定しなおすことでより精度の高いKPIにブラッシュアップすることができます。

・「KGI:達成、KPI:未達成」「KGI:未達成、KPI:達成」の場合

こうなる原因として考えられるのはKPIの目標値が高すぎる(低すぎる)か、KGIにつながるKPIになっていないことです。1点目のKPIの目標値が高すぎる(低すぎる)場合は、目標値を調整することですぐに解決できますが、多くの場合KPIの項目自体に問題があることが多いです。

リードタイム(受注期間)を例にとって説明します。ある会社ではリードタイムをKPIに設定しているにもかかわらず、営業戦略として「今年度は量より質を重視して、高単価の商品を売っていこう」という方針を打ち出していました。結論として成約数は少ないものの、高単価の商品を売ることで顧客単価が上がったため、売上金額のKGIは達成しましたが、KPIとして設定していたリードタイムの目標は達成されませんでした。

このケースでは、KPIの目標値の設定を誤っていたわけではなく、会社の方針とKPIの項目がずれてしまったことがKPI未達成の原因です。このように営業戦略や商材の特徴によっても、KPIの項目を見直す必要があります。

・「KGI:未達成、KPI:未達成」の場合

この場合はまず、KGIに問題があるのか、KPIに問題があるのかを明らかにする必要があります。そのうえで、KPIが問題である場合には上記のようにKGIにつながるKPIになっていたかを検証するとよいでしょう。

まとめ

営業プロセスの設計から管理までの流れについて、イメージを掴むことはできたでしょうか。営業部門の人数や扱う商材数が増加してくると、肌感覚での営業管理はどんどん難しくなっていきます。

営業プロセスの可視化や浸透など手間はかかってしまいますが、適切にプロセス管理できれば、自社の営業成果の現状を客観的に把握するだけでなく、売上げ予測や戦略策定にも役立てることができます。

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