営業会議の効率化で意識するルールとは

営業会議 効率化 ルール

営業マンの主要な業務は、あくまで電話やメール商談といった営業活動です。顧客と接触し商談を進め、成約につなげることを目的に働いているでしょう。そのため、どの営業マンもできるだけ営業活動に時間を割きたいと思っているのではないでしょうか。

そんな中、定期的に行われる営業会議に対して「この会議は本当に意味があるだろうか」「会議の時間を減らせないものだろうか」と考える営業マンもいるかも知れません。実際、株式会社パーソル総合研究所の「長時間労働に関する実態調査」によれば、1万人規模の企業では年間約67万時間を無駄な会議に費やしていることがわかります。

海外においても似たデータが挙げられます。アメリカの大手コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの行った調査によると、管理職は毎週23時間会議に時間を割いているとのこと。しかも、そのうちのほとんどが出席する必要性を感じられない会議だったことがわかっています。

これは「会議」一般に関する調査結果ではありますが、もちろん営業会議も例外ではありません。たしかに、営業会議は進捗情報や目標の共有、営業方針の改善などが行われる有意義なものですが、上手く進行できていないと、無意味に時間を浪費するものになってしまいます。

本記事では、営業会議を効率化をする際に役立つルールについて解説します。

日々の営業活動で活用できる営業スキルのチェックシートはこちら

営業会議の効率化とは

営業会議は、営業組織内の情報共有や意思決定の場として欠かせないものですが、一方で気が付くと習慣的に行っているだけになってしまいがちです。そうなると営業会議を行うこと自体が目的化してしまい、会議で特に何も話が進んでいなくても何かを達成した気分になってしまいます。そこで、必要になるのが営業会議の効率化です。

営業会議の効率化とは、営業会議を行う本来の目的を整理し直して、必要に見合った頻度や時間、方法で会議を行うことです。営業会議のムダをなくし、できるだけ短時間で会議の目的を達成するように会議のあり方を設計し直すことが重要です。

なぜ営業会議の効率化が必要なのか

会議に無駄が多く時間がかかってしまうと、本来営業マンが注力すべき営業活動に時間を割くことができなくなってしまいます。また、会議を行う前後には、会議用資料の作成や会議をセッティングするための事前準備、議事録の作成などさまざまな業務が付随します。そのため、会議の頻度が高ければ高いほど、営業活動にかける時間は圧迫されるでしょう。

このように、本来売上げを向上させるために行っているはずの営業会議が、営業活動の時間を圧迫しているとしたら、本末転倒です。このような場合には、営業会議を効率化させる必要があると言えます。

さらに、無駄な会議が浪費するのは時間だけではありません。ペーパーレス化されていない企業であれば、会議で使う報告資料を制作するために大量の紙を必要とする場合があります。また、会議にかかった時間分、人件費がかかっているというコストの観点も意識することが大切です。

コストの他にも、営業マンの組織に対する信頼やチームワーク、モチベーションです。あまりに無駄な会議が長く行われていると、営業マンはモチベーションを落としてしまい、上司やマネージャーに対しても距離を感じてしまうでしょう。最終的には、まとまりを欠いた組織になってしまい、営業成績も低くなってしまう可能性もあります。そうならないためにも、営業会議の効率化は欠かせません。

営業会議が長くなる原因

営業会議が長くなってしまう原因にはどんなものが挙げられるでしょうか?ここでは代表的な5つの原因について見てみましょう。

営業会議が長くなる原因

議題が明確に決まっていない

営業会議が長くなってしまう原因の一つに、議題が曖昧になってしまっていることが挙げられます。

会議を通して決定すべきことが決まっていないと、何について誰がどう話すのかがわからなくなり、話はまとまらず長くなってしまうでしょう。「何を議題にするのか」を決めるところから会議が始まってしまい、「会議のための会議」になってしまいます。

また、もし議題がはっきりあったとしても、当日の会議で共有されたのでは、意見は活発に生まれません。結果、当日各参加者がその場で議題について考えることになり、表面的な意見しか出ず、議論がまとまらず会議は長引きます。

さらに、最初は議題を明確に決めていた定期的な会議も、何度か行っていくことで、だんだん議題が曖昧になるケースもあります。最終的には、日時と場所と参加する人だけ決まっていて「とりあえず集まっている」という状態に陥っていることもあります。

会議の終了時間を決めていない

会議の終了時間を明確に決めていないと、参加者は無制限に議論を展開してしまいます。営業会議にかかる時間はどんどん伸びていってしまうことでしょう。

株式会社ジェイアール東海エージェンシーの調査によると、社内会議の問題点だと感じることTOP3の一つは「延々と議論ばかりして結論が出ない」こと。議論すること自体が目的化してしまうと、結論を出すことが後回しになってしまって会議はどんどん長引きます。

事前に会議の終了時間が、設定されていないと議論の制限時間がないため、延々と話し合いを続けてしまい結論がまとまらないまま、終了させないといけない時間になってしまいます。

関係のないメンバーを含めてしまっている

会議の内容に直接関係のないメンバーを会議に含めてしまっている場合、さまざまな意見が飛び交い、議論がまとまらなくなってしまい、会議の時間が長引きます。

現場の営業マンや営業マネージャーなどの立場の異なる役職のメンバーや、経営層やマーケティング部門などのメンバーなどが参加すると議論が複雑化します。それぞれが求められている目標に対して業務を行っているため場合によっては、立場的に対立意見が出やすくなることがあります。

もちろん、さまざまな意見が出ることは大切です。しかし、初期段階の議論にいたずらに時間をかけていたのでは意味がありません。場合によっては、施策自体が頓挫してしまう可能性もあります。

ファシリテーターが決まっていない

ファシリテーター(中立的な立場から会議を円滑に進行する司会者のこと)が決まっていない場合も、会議が長引きがちです。ファシリテーターがいないと、メンバーは好きなことを話してしまい、生産的な議論ができなくなってしまいます。

また、議論の方向性を失ってしまい、別の議論に飛び火してそちらが盛り上がってしまったりと雑談化してしまうこともあるでしょう。上司から部下に対する個人的な内容の共有が会議中に行われてしまい、本来行われるべき議論が行われなくなってしまうこともあります。

また、誰かがファシリテーターとして発言を促したりすることがなければ、その場で最もキャリアのある人や役職の高い人のみが話しやすい環境となってしまうことがあります。若手のメンバーなどは話しにくい場となってしまいます。

会議が多すぎる/会議が少なすぎる

会議が多すぎると、例え1回の会議時間が短いとしても結果的には長い会議を行っているのと同じことです。会議の度に準備が必要であれば、準備の時間にも時間が取られてしまったり、営業活動にまとまった時間をとることも難しくなってしまいます。

また、議論すべきことがあるのに会議の頻度が低いと、一回の営業会議にかかる時間は必然的に長引いてしまうことがあるでしょう。

営業会議を効率化するためのルール

営業会議を効率化するためにはどんなルールを設ける必要があるでしょうか。4つの代表的なルールを見てみましょう。

営業会議を効率化するためのルール

事前に議題を明確にして、共有しておく

営業会議が行われる当日以前に、議題をメンバー間で共有しておくことは会議の効率化につながります。できれば、会議の2日前には共有しておきましょう。事前に共有することで、メンバーは会議当日までに議題に目を通しておくこともでき、意見を考えておくことができます。会議当日は、それぞれのメンバーが議題に対する意見を持ち寄って参加するため、議論の展開は自ずと早くなるでしょう。

会議の終了時間を厳守する

会議の終了時間を決めておき、それを厳守することも会議を効率化するためには重要です。事前に終了時間を決めておくことで「どの時間までに議論を行って、残りの◯分を総括や次回のアクションの決定に時間を割くようにしよう」と意識することができるようになります。

よほど急を要するものでない限りは、決めた時間内で会議を終えられるように議論を展開させましょう。時間に対する意識はメンバー各人が持つことが大切です。メンバー全員が意識することで、会議にかかる時間は短縮されていくはずです。

プロジェクトに必要なメンバーを絞り込む

営業会議で話し合うプロジェクトや営業施策に関するメンバーを絞り込み、そのメンバーだけで会議を行うことは営業会議の効率化につながります。さまざまな観点を持った人が関われば関わるほど議論が対立したり、反対意見が多くなってしまうものです。メンバーを絞り込めば、反対意見を最小限に抑えることができますことができます。

また、営業マン全体の人数が多い場合は、営業エリアごとに分ける、各チームのリーダーのみ参加してもらう、などといった工夫もできるでしょう。重要なのは議題に合わせてメンバーを構成することです。

ただ、内容によっては、関連性の低い他部署との連携がどうしても必要な場合もあることでしょう。

もちろん全社的に一丸となって施策を進める必要があるため、関連部署をないがしろにすることはよくないでしょう。そのため、ある程度話が固まってから関係部署に合意を得ることが重要です。違う立場からのフィードバックをもらうこともいいかもしれません。

話をまとめられるファシリテーターを決めておく

ファシリテーターがいなければ、メンバーは各々好きな意見を出してしまい、話がまとまりません。

そのため、ファシリテーターを誰かに担当してもらうようにしましょう。中立的に会議を進行し、必要があれば本題から話がそれないように軌道修正したりすることで、無駄な議論に時間をかけることを避けられます。

また、話しやすい環境をファシリテーターが整えることで、意見が活発に出やすくなり、結果として議論のスピードが速くなり、会議の時間が短縮されます。

まとめ

営業会議は必要に応じて行うもので、会議を行う頻度や、一回の会議にかかる時間に、決まった目安はありません。営業組織の規模や議題に合わせて、会議を行うようにしましょう。単純に「会議の回数を減らせば効率化できた」ということにはなりません。あくまで議論の生産性を高められるかが重要です。

また、普段からこまめに情報共有や報連相といったコミュニケーションを活発に行っておくことで、会議で話し合うことを削減できることもあります。会議でわざわざやる必要のないことは、日頃の業務の中で済ませておいてもいいかも知れません。

営業マン個人へのアドバイスやフィードバックは、個別のミーティングで行ってあげましょう。営業会議の中では、あくまで参加者に必要な議題に絞ることが重要です。個別のミーティングを行う際には、営業マンの営業スキルを把握しておくことが大切になります。営業スキルチェックシートでは、10分で確認できる営業スキルのチェック項目を用意しています。ぜひご覧ください。

    営業スキルチェックシート

kondo

関連記事

  • 効率化

    営業会議を効率化させるためのオンラインツール10選

  • 生産性向上

    無駄な社内会議をなくすためのチェックリスト

  • デジタル化

    Web会議を成功させる12のコツ