成長している企業のインサイドセールスチームがやっていること

成長している企業 インサイドセールスチーム

従来の営業体制や手法に限界を感じる企業が増えるなか、注目が集まっているのが非訪問型である「インサイドセールス」です。
日本でも導入する企業が増えていますが、実際の業務や体制・効果はさまざまです。
今回は、インサイドセールス先進国であるアメリカのインサイドセールスプロフェッショナル協会* とVelocify社が、インサイドセールスの管理職を対象に行った『インサイドセールスプロセスレポート』の結果から、成長しているインサイドセールス導入企業が行っている業務やプロセスをご紹介します。
*AA-ISP(American Association of Inside Sales Professionals)

営業支援ツールの利用状況

20%以上売上が伸びている成長の大きい企業では、2/3以上が1つ以上の営業支援ツールを利用していました。
また、売上が横ばい、または減少しているグループと比較すると、2つ以上のツールを入れている割合が66%以上高い結果となりました。

Digima

営業プロセス指標の精度

営業組織の管理や営業プロセスを向上させるために、測定される諸指標に対する態度についても、差が出ています。
指標が正確だと回答した割合が、成長企業の場合は3倍以上も高くなっています。
逆に指標が正確ではないと回答する割合も低くなっています。
成長企業は重要な指標を測定し、効果的に業務に活用できていることがわかります。

1日あたりの新規見込み客数(営業マン1人あたり)

営業マン1人あたりの適正な新規見込み客数を決めるのは、簡単なことではありません。
業種や商材など、さまざまな要因に影響されるため、正解はありません。
しかしこの調査では、成長企業の方が、営業マン1人に割り当てる1日当たりの新規見込み客数が、78%以上も多いという結果が出ました。
売上がなかなか上がらないというお悩みの方は、見込み客数が足りているのかを一度見直してみてもよいかもしれません。

1日あたりのコール数(営業マン1人あたり)

1日当たりのコール数についても、成長企業の方が50%以上多いという結果が出ました。
しかし、この結果を受けてコール数の目標値を上げても、結果は変わらないかもしれません。
前述の新規見込み客数も関連性が高いと考えられるため、営業プロセスやツールなど、コール数を増やすための環境を整えることがまずは大切です。

インサイドセールスのモデル別

急成長するインサイドセールス導入企業から学べること 第1部:実施体制』でもご紹介したとおり、インサイドセールスにも実施体制がいくつかあります。

チーム型

インサイドセールス担当者がフィールドセールス(外勤営業)担当者と協業し、共通のノルマを課せられている。

分離型

インサイドセールス担当者が自分のノルマを持ち、フィールドセールスの関与なしでセールスを行う。

ハイブリット型

インサイドセールス担当者は主に内勤だが、必要に応じ外出し、対面での打ち合わせを行う。

チャネル/ディストリビューター型

インサイドセールス担当者の主な役割は、チャネルパートナー、ディストリビューターのサポート。
調査では、成長企業の割合が最も高いのは、チーム型であることがわかりました。

新規見込み客の流入経路

新規見込み客の流入経路については、成長企業は、オンライン広告やソーシャルメディアからの流入が高いことがわかりました。
営業活動への依存度も低く、既存メディア、ダイレクトメールについても差が出ています。

新規見込み客データの自動入力

新規見込み客のデータを得たら、早急にデータベースに追加し、営業活動を開始することが重要です。
成長企業は、新規見込み客の8割以上がデータ管理システムに自動的に追加されています。

新規見込み客の営業担当者を決める条件

新規見込み客をルールに基づかず、ランダムに割り振る企業よりも、ソーシャルメディアでの近接性(共通の知り合いがいるかなど)、営業成績、企業規模、新規見込客の特徴など、なんらかの要素に基づいて担当を決めている企業の方が、成長企業の割合が高くなっています。
特にソーシャルメディアの近接性の場合、その傾向が顕著です。

新規見込み客の割り振り方法

新規見込み客の営業担当者の決める条件が同じでも、実際の割り振り方法はさまざまです。

自動

あらかじめ決まった条件をもとにシステムが自動的に割り振る。

ブラインド

営業マンが自分から新規見込み客をリクエストするが、新規見込み客の詳細は見られない。

選別

営業担当者が担当できる新規見込み客のリストを見ることができ、その中からコンバージョンが高いと思えるものを選ぶ。

先着順

新規見込み客を最初にリクエストした営業マンが担当する。

マネージャー

マネージャーがその都度決められた条件に基づき割り振る。
成長企業の割合では差が見られませんでしたが、複数の方法を組み合わせている企業の方が、成長企業の割合が20%ほど高い結果となりました。

見込み客の優先順位付け

営業マンが一人の見込み客だけを担当することは考えにくいため、営業マンは見込み客に優先順位をつける必要があります。
優先順位のつけ方にルールがない企業は、成長企業である割合が低くなっています。
成長企業は、優先順位付けに複数の条件を使っている割合が46%高くなっています。
また、優先順位付けが自動的に行われている割合も高いという結果が出ました。

5分以内に新規見込み客に電話をしているか

成長企業は、新規見込み客に接点を持ってから5分以内に電話をしている割合が、2倍以上となっています。

新規見込み客の事前リサーチ時間

成長企業は、新規見込み客の事前リサーチに1~5分かけている割合が28%高いという結果が出ています。
一方で15分以上リサーチにかけている割合は31%少なく、短時間でリサーチを行い、すぐに電話をかけていることがわかります。

アプローチできなかった新規見込み客に対する対応

担当営業マンがアプローチできなかった場合、7割の成長企業は別の営業マンに割り振っています。
また15分以内に再割り振りする割合が3倍以上となっており、時間に対して非常にシビアであることがうかがえます。

メールの活用

メールについても成長企業はスピード重視で、85%以上ができるだけ早くメールで新規見込み客にアプローチしています。
成長が横ばい、または売上が減少している企業では約半分となっています。
しかし、成長企業でもメールの自動化を導入している企業は半数以下にとどまっています。
成長企業の場合でもメールについては改善の余地がありそうです。

セールスサイクルの長さ

新規見込み客へのアプローチの速さにより、成長企業の方が成約するまでのセールスサイクルが短い傾向が出ています。
90日以下である割合が高い一方、1年以上の場合は低くなっています。

反応のない見込み客へのコール数

成長企業は、反応のない見込客に5~8回電話をしている割合が高く、4回以下であきらめる割合が低くなっています。
8回以上では特に差がありません。
回数が多すぎるのも効率が悪くなるため、適正なコール数は5~8回程度のようです。

アプローチをやめるまでの所要期間

反応がない見込み客に対するアプローチをやめ、育成プログラムに移行するまでの期間については、成長企業の場合、1~4週間の割合が高くなっています。
成長企業は1週間以下であきらめる割合が最も低いという結果が出ています。
1ヶ月以上アプローチする割合も低く、簡単にはあきらめないものの、いつまでも追わない、ということがわかります。

今回は、成長している企業のインサイドセールスについてお伝えしました。
成長企業は、営業支援ツールなどのテクノロジーを活用し、より多くの新規見込み客を営業マンに効率的に割り振っており、担当者の決め方、優先順位付け、アプローチできなかった見込み客への対応についても、戦略的に行っていることがわかります。
スピードを重視しているのも特徴で、リサーチにも必要以上の時間をかけていません。
簡単にはあきらめないものの、無駄にアプローチをせずに、効率も重視していることがわかります。
コール数を増やす、スピードをアップするといった戦術的な対策だけではく、全体の営業プロセスを設計していくことが大切です。

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

川崎 裕介(かわさき ゆうすけ)

慶應義塾大学卒業後、外資系歯科医療機器メーカーを経てコンベックスに入社。プロダクトセールスチームで新規顧客開拓、既存顧客のコンサルティングに従事する傍ら、セミナー企画・運営を担当。現在は「セールスハックス」の運営、「Digima」のプロモーション全般を担当している。

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