働き方改革を簡単に言うと?経営者が理解しておくべきポイント

働き方改革 ポイント

最近「ワークライフバランス」「ワークスタイル」など仕事の働き方に関する言葉をよく耳にするようになりました。政府により働き方に関連する法案が一部施行されるなど、社会が働き方改革に向けて大きく動いています。

従業員も快く生産的に仕事をしたいと日々感じてるはずですし、企業にとっても従業員により大きな成果や成長を期待しているはずです。

企業の大小に限らず避けては通れないこのテーマ。

今回は、働き方改革の目的や背景など、経営者が理解しておくべきポイントを解説します。

働き方改革とは

内閣府の「人口・経済・地域社会の将来像」のデータによると、日本は2010年から人口減少社会に突入しており、2050年には国内人口が1億人を下回ると言われています。当然、生産年齢人口も減少するため、企業の生産性を維持・向上していくことは難しくなります。これまで以上に企業は、自社の労働環境の見直しを求められているのです。

働き方改革とは、この深刻な労働力不足を解消させるため、労働環境を大幅に見直そうという政策を指します。スローガンとして「働き手を増やす」「出生率を上昇させる」「労働生産性を向上させる」の3つが掲げられています。

働き方改革3つのスローガン

これらのスローガンを実現するため、通称「働き方改革関連法」が2018年6月29日に成立しました。この法律は2019年4月から順次施行され、全ての企業に対応義務があります。

労働人口が減少するということは、中小企業では特に注目するべきことです。人手不足によってやむを得ず営業時間を短縮しなくてはいけなくなったり、事業を縮小せざるを得なくなったり、影響が出てしまう可能性があります。

働き方改革の背景

では、働き方改革の必要性が注目されるようになった背景には何があるのでしょうか。

少子高齢化による労働力不足

内閣府による「高齢化の状況」によると、2030年には日本の人口の3分の1が高齢者になると見込まれています。現在では、定年退職を60歳から65歳へ引き上げる企業や増えていたり、定年後も嘱託社員として再雇用で働き続けるなど、継続して仕事に従事する高齢者も増えています。

当然、長年の経験やノウハウを蓄積しているベテランの高齢者を活かすことは大切です。しかし、やはり柔軟に仕事に取り組み、成長の伸びしろのある若年層や若年層をリードしていく、中堅のマネージャー層による効果的な生産性が重要なのも言うまでもありません。

少子化により、将来の15歳以上65歳未満の生産年齢人口が少なくなることで、このような人材の確保が難しくなってしまい、効果的な生産性向上ができなくなってしまいます。

長時間労働と過労死問題

「骨を埋めるつもりで」「身を粉にして」働くことを美徳とする風潮があったこれまでの日本。その結果、長時間労働が常態化するようになりました。独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、日本の長時間就労者の割合は世界的に見ても高い値です。また、長時間労働が原因で起こる過労死も問題視されています。

企業には、従業員の安全配慮義務が労働契約法にて定められています。その中には、従業員の健康診断などの安全衛生上の措置だけではなく、メンタルヘルス対策や従業員の労働時間管理についても含まれています。

従業員は、企業にとって重要な「人財」のはずです。多くの投資をして採用・教育した従業員を失ってしまうことで、さらに生産性を下げてしまうことになります。

労働生産性の低さ

「公益財団法人 日本生産性本部」の調べによると、日本の時間当たりの労働生産性は、他国と比較しても非常に低くなっています。労働生産性は、「付加価値」「労働者数」「労働時間」の3つの要素によって決まります。

そのため、生産性が低いということは、

  • 付加価値をつけて商品・サービスを販売できていない
  • 労働者数が多すぎる
  • 労働時間が長すぎる

ということが考えられます。

現在の日本では、市場が成熟してきており、企業の思うように商品・サービスを売ることが難しくなっています。また、1つの仕事に多くの人材を投下して、長時間労働を惜しまず行なって目標達成を目指す姿勢がうかがえます。

こうしたことを背景に、働き方改革の必要性が近年注目されるようになったのです。

働き方改革の目的

働き方改革の目的は、労働者自身が自分の能力や事情に応じた働き方を選べる社会を実現させていくことで、「労働者の働きやすさ」を向上させていくことにあります。労働者の働きやすさを確保することは、結果的に企業にとっては労働力を確保しつつ生産性を向上させることにつながるのです。

「働きたい」という意志があるのに、個人的な事情により仕事に従事できないことは、企業にとっても優秀な人材を確保できないことになり、生産性向上を妨げる要因となる可能性があります。また、従業員からしても、仕事に就けないことにより収入を得ることができず、安定した生活を送れなくなってしまうなど、お互いにデメリットが生じてしまいます。

働き方改革で変わる3つのポイント

働き方改革を行うことによって、具体的に何が変化するのでしょうか。本格的に取り組む前にポイントをおさえておきましょう。

働き方の柔軟性

日本では終身雇用が主な働き方とされていた時代が長かったため、「働くこと」とは会社に出勤して週休2日で午前9時から午後6時まで業務にあたるイメージを持たれているかもしれません。

しかし、勤務場所や労働時間を限定することは、労働意欲があるのに仕事できない人を生んでしまいます。例えば、子育て中の人や親の介護をしている人は、一日中ご家族に寄り添ってあげる必要があります。その場合、フルタイムで仕事を続けることができなくなり、退職せざるを得なくなってしまうケースは多く見られます。

そこで、働き方改革では柔軟な働き方ができる環境をつくることが求められています。

例)

  • 育児や介護といったライフステージに応じた働く環境を整える
  • 労働者のキャリアアップに寄与する副業を受け入れる
  • シニア層の従業員が活躍できる仕事を明確にする

以下に、どのような働き方があるのかまとめます。

時短勤務

時短勤務とは、一日あたりの労働時間を短くした勤務形態のことです。時短勤務を取り入れることは、育児・介護休業法の改正により、各事業主に義務づけられました。これにより、育児や介護などで通常の勤務時間に合わせることが難しい人たちでも、都合のよい時間帯で働くことができるようになります。

テレワーク

テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間の制約にとらわれない働き方のことです。事業主と雇用契約を結び、自宅やサテライトオフィスなどで働く人を「雇用型テレワーカー」と呼びます。

ちなみに厚生労働省の調査によると、働く側は「通勤時間・移動時間が削減できそう」「家族との時間が増えそう」といった理由からテレワークに関心を持っているようです。国土交通省による「平成29年度テレワーカー人口実態調査」を見ても、テレワーカーは年々増加の一途をたどっており、今後も増えることが予測されます。

時間外労働の是正

「モーレツ社員」や「企業戦士」などの言葉が流行っていた時代から今に至るまで、長時間労働を美徳とする風潮が、少なからず日本には存在します。しかし、時間外労働は従業員に負担をかけてしまい、結果として生産性向上とは真逆の結果を生み出してしまいます。

違法な時間外労働もなかなか無くなりません。働き方改革の中では、時間外労働の上限を具体的に定めており、労働時間に関する見直しがされています。長時間労働が是正されれば、労働者は健康面を豊かに保つことができ、仕事の質も向上されます。結果としてモチベーションを維持しやすくなり、業務効率も高まることが期待されます。

同一労働同一賃金へ対応

2018年の総務省統計局の労働力調査によると、日本では約4割が非正規雇用労働者であることが分かります。これだけ非正規雇用が多くても、正規雇用である正社員と賃金や待遇の差はなくなりません。同じ業務内容であっても賃金が異なることで、不信感やモチベーションの低下に繋がります。

そこで、「働き方改革」において「同一労働同一賃金」が目指されています。この改革により、雇用形態に関わらない公正な待遇が生まれ、従業員のモチベーションも向上します。結果として、企業の生産性が高まることが期待できるのです。

社内の働き方を変えるためには

経団連による「働き方改革事例集」にさまざまな事例が掲載されている通り、すでに働き方改革へ取り組まれている企業はいくつもあります。

例えば、テレワークを導入している企業では、週に1日2時間だけ出社して、残りは社外で仕事を行うようなワークスタイルが可能となります。自宅やレンタルオフィスなどで仕事をする人も多いようです。

さらに大企業を中心に、時間外勤務をなくそうという取り組みも増えています。企業としても、従業員にしっかりと気持ちをリフレッシュしてもらうことで、生産性が上がるというメリットを期待しているのでしょう。

また、男性社員の育児休暇取得を後押ししている企業もあります。従来の「子育ては女性の役目」という偏った意識は捨て、男性が育児休暇を取ることによって、女性の家事や子育ての負担を減らし、働くための時間を確保することができたり、女性の社会進出の発展にも繋がるでしょう。

働き方改革で大切なことは、経営者が従来の労働環境を固持せず、積極的に従業員の立場に立って「働きやすい環境」づくりに努めることです。従来の労働環境を変えるのには抵抗があるかもしれませんが、働き方改革を取り入れることによって、従業員が活き活きと活躍できる職場環境を構築できるはずです。

セールスハックスの『営業部門で取り入れるべき働き方改革』の記事でも営業部門での働き方改革について紹介しています。よろしければご参考ください。

まとめ

「働き方改革」は、労働人口の減少、少子高齢化、長時間労働による過労死など、現代の日本の経済を取り巻く課題を解消するための手立てのひとつです。

「モーレツ社員」として勤勉に働いてきた自負がある経営者にとって、多様な働き方を認めることや時間外労働の是正を行うことは抵抗があるかもしれません。しかし、従業員にとってよい労働環境を提示することは、企業の業績向上にもつながります。

つまり「働き方改革」は、企業と従業員双方に利益を生み出す取り組みと言えます。これからの企業は、今後の成長や発展に向けて「働き方改革」に取り組む必要があるでしょう。また、働き方が多様化する現代社会では、デジタル技術を活用した営業スタイルが注目されています。そんなデジタル時代における営業スタイルのノウハウに関しては「まだ会っていない 見込客を魅了する!AI時代に向けて知っておきたい デジタル時代の営業スタイル」をご覧ください。

    デジタル時代の営業スタイル

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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